みなさん、毎日お疲れ様です。
朝の満員電車で足を踏まれながら、
「ここにマスターソードがあれば道を切り開けるのに」
と本気で妄想している、しがないライターです。
家事に仕事に子育てに。
私たちの日常は戦いの連続ですが、ハイラルの歴史もまた、私たちのスケジュール帳真っ青の「修羅場」の連続だってご存知でしたか?
さて、あなたは今、こんなモヤモヤを抱えてこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。
- 「『ティアキン』の感動的なラストを見たけど、結局あそこはどの世界線なの?と夜も眠れない」
- 「ネットで考察を見ても『敗北ルート』だの『収束説』だの専門用語ばかりで、余計に頭がこんがらがっている」
- 「シリーズが多すぎて、どれがどう繋がっているのか、家系図レベルで整理された情報が見つからない」
分かります。
痛いほど分かります。
私も小4の息子に
「ねえママ、どうしてリンクは毎回顔が違うの?」
と聞かれ、夕飯のハンバーグを焦がす勢いで3時間語り尽くした経験がありますから。
最近のゲームはストーリーが複雑化していて、ただクリアするだけでは全体像が見えません。
特に『ゼルダの伝説』は、約40年にわたる歴史がパズルのように散らばっていて、公式情報ですら後から修正されたりします。
攻略サイトを見ても断片的な情報ばかりで、
「で、結局どういうこと?」
という核心にたどり着く前にスマホの充電が切れる、なんてこともザラですよね。
ご安心ください。
私は普段、企業の堅い記事を書くウェブライターをしていますが、そのリサーチ能力の全てを「ゼルダ史の解明」に注ぎ込んでいます。
初代ファミコン版から最新作まで、全てのハイラルを歩き回り、公式資料集である『ハイラル・ヒストリア』や『マスターワークス』をボロボロになるまで読み込んだ私が、あなたの疑問を徹底的に解消します。
主婦の勘とライターの執念は、ガノンドロフよりもしつこいんです。
この記事では、以下の内容をどこよりも分かりやすく、そして濃密に解説します。
- 公式年表に基づいた、全シリーズの完全ネタバレ時系列解説
- なぜ歴史は3つに分岐したのか? その悲劇的なメカニズム
- 2025年現在における最新作『知恵のかりもの』や『ティアーズ オブ ザ キングダム』の配置と考察
- ゾナウ族の正体や、ループ説など、ファンが唸る深層考察
この記事を読み終える頃には、あなたはハイラルの歴史を「自分の家族の歴史」のように語れるようになっているはずです。
ネットの曖昧な情報に振り回されるストレスから解放され、次にゲームをプレイする時、その風景が180度違って見える感動をお約束します。
さあ、この壮大で、少し切なくて、とてつもなく愛おしい「呪いと希望の物語」。
その全ての謎が解ける終着点へ、一緒に旅立ちましょう。
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序章:ハイラル史を貫く運命のトライアングル

個々の物語という迷宮に足を踏み入れる前に、まずはこの世界を支配する「絶対的なルール」を押さえておきましょう。
これを知らないと、ゼルダ史はただの「後付け設定の羅列」に見えてしまいます。
逆に言えば、これさえ押さえておけば、どんなに複雑な時系列も「ああ、またあのパターンね」と、親戚の集まりのような感覚で理解できるようになります。
この世界の根底にあるのは、神々が遺したシステムと、それにバグのように食らいつく三つの魂の因縁です。
黄金の聖三角「トライフォース」
世界を創った三人の女神(ディン・ネール・フロル)が、去り際に置いていった万能の願望機です。
触れた者の願いを何でも叶える。便利ですよね。
でも、条件が厳しい。
「力・知恵・勇気」のバランスが取れた人が触れば願いが叶いますが、バランスが悪い人が触ると、パリーンと割れてしまいます。
そして、その人に合ったピースだけが手元に残り、残りは他の選ばれた人のところへ飛んでいく。
これ、核ボタンみたいなもので、扱いを間違えると世界が吹っ飛びます。
神様もこんな危ないものを置いていかないでほしいものです。
管理責任を問いたいところですが、神様はもういないので、残された人間たちが尻拭いをする羽目になります。
運命の三者
このトライフォースを巡って、永遠に鬼ごっこを続ける三つの役割が決まっています。
- 勇者(リンク)
どんな絶望的な状況でも「なんとかなる!」と突っ込んでいく、異常なほどのメンタルと「勇気」を持つ者。
緑の服がトレードマークですが、最近は半裸だったり青い服だったり自由です。
基本無口ですが、背中で語るタイプですね。 - 姫(ゼルダ)
女神ハイリアの血を引き、神聖な力と「知恵」を受け継ぐ者。
だいたい大変な目に遭いますが、実はシリーズ最強のフィジカルとメンタルを持っているのは彼女かもしれません。
国を背負う重圧は、私たちの中間管理職なんて目じゃありません。 - 魔王(ガノン)
太古の魔王の憎悪と怨念を受け継ぎ、「力」を渇望する者。
何度倒しても蘇る、お風呂場のカビのような執念深さを持っています。
ある意味、一番の努力家かもしれません。
この三者が揃ったとき、歴史の歯車がギシギシと音を立てて回り出します。
それでは、全ての元凶である「創世の時代」へ、時間を巻き戻しましょう。
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第1章:創世神話と呪いの始まり統一の時代

歴史が分岐するなんて誰も思っていなかった、遥か昔。
世界がまだ一つだった時代のお話です。
ここでは
「なぜ彼らは戦い続けなければならないのか?」
という、根本的な理由が明かされます。
原因がわかれば、結果にも納得がいくというものです。
1. 天地創造と女神の去就
混沌の中に降臨した三大神は、大地を作り、物理法則を与え、生命を生み出しました。
そしてトライフォースを遺し、その管理を大地母神女神ハイリアに押し付け…いえ、託して去っていきました。
神代の時代、地上は神と人が共存する楽園でした。
そう、奴が現れるまでは。
2. 『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』:運命の原点
(時系列:最古の時代)
平和なんてものは長く続かないのが世の常です。
地底から、魔族の長「終焉の者(デミス)」が湧き出てきました。
彼の目的はトライフォースの強奪。
世界を真っ黒に染め上げる気満々です。
女神ハイリアは考えました。「人間、弱すぎる」。
そこで彼女は、生き残った人類を大地ごと空へ浮上させました。
これが後の「スカイロフト」です。
そしてデミスを地上に封印します。
しかし、封印はいずれ破れる。
そこでハイリアは、とんでもない「二重の策」を講じました。
- ファイ(精霊)を宿した剣を作り、人間の中から魔を断つ勇者を見出すシステムを構築する。
- 自分自身が神であることを辞めて人間として転生し、トライフォースを使う資格を得る。
神様辞めるって、相当な覚悟ですよ。
定年退職とかそういうレベルの話じゃない。
命がけのジョブチェンジです。
そして数千年後。
空に浮かぶスカイロフトで、のんきに騎士学校に通う青年リンクと、幼馴染の少女ゼルダ(ハイリアの転生体)は、運命に引きずり込まれるように雲の下の大地へ降ります。
リンクは数々の試練を経て、へなちょこだった「女神の剣」を、あの退魔の聖剣「マスターソード」へと鍛え上げます。
一方ゼルダは、過去の時代に残り、封印の楔となることを選びました。
【デミスの呪い:全ての元凶】
リンクは復活した終焉の者をマスターソードで撃破し、その魂を剣に封じ込めました。
ハッピーエンド?
いえ、ここからが地獄の始まりです。
消滅の間際、デミスはとんでもない呪詛を吐きました。
我の憎悪は… 魔族の世にある限り輪廻する。
女神の血を引く者と勇者の魂を持つ者…
お前たちは永久にこの呪縛から逃れられぬ!
これです。
これが全ての元凶。
この呪いが、後にガノンドロフという魔王として何度も何度も転生してくるシステムを生み出したのです。
リンクとゼルダは、この瞬間から「永遠に終わらない戦い」というブラック企業に入社させられたようなものです。
退職届は受理されません。
戦いの後、二人は地上に留まりました。
マスターソードは神殿に安置され、静かに次の出番を待ちます。
これが、後のハイラル王国建国の始まりです。
3. 『ふしぎのぼうし』と『4つの剣』:王国の黎明期
ハイラル王国が建国され、まだ「ガノンドロフ」という個体が登場する前の時代。
『ふしぎのぼうし』では、小人族ピッコルから授かった「光の力(フォース)」を巡って、魔神グフーという悪いやつが生まれます。
リンクは「フォーソード(4つの剣)」の原型となるピッコルの剣を鍛え直し、グフーを封印します。
続く『4つの剣』では、復活したグフーを倒すためにリンクが4人に分身して戦います。
体が4つあれば家事も仕事も4倍速で終わるのに…
なんて羨ましく思いながらプレイした記憶がありますが、この時代はまだ魔王ガノンの影はなく、どちらかと言えば魔法的な脅威が中心でした。
嵐の前の静けさ、というやつですね。
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第2章:時のオカリナと歴史の三分岐運命の転換点

統一された歴史にヒビが入り、世界が3つのパラレルワールド(並行世界)へと引き裂かれたのが、あの名作『時のオカリナ』の時代です。
ここでの出来事が、その後の歴史をややこしく…
いえ、豊かにしたのです。
この分岐システムを理解すれば、ゼルダ史の8割は理解したも同然です。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』:時の勇者の孤独な戦い
ハイラル統一戦争という内戦を経て、一応の平和が保たれていた時代。
砂漠の民ゲルド族の王として生まれたガノンドロフは、ハイラル王家に忠誠を誓うフリをして、虎視眈々と聖地のトライフォースを狙っていました。
政治家のような腹黒さです。
コキリの森で育った少年リンクは、予知夢を見たゼルダ姫と共謀し、
「奴より先にトライフォースを守ろう!」
と動きます。
しかし、これが若さゆえの過ちでした。
リンクが時の神殿でマスターソードを抜いたことで、皮肉にも聖地への封印が解け、ガノンドロフの侵入を許してしまったのです。
セキュリティを強化しようとして鍵を開けっ放しにしたようなものです。
うっかりミスでは済みません。
ガノンドロフは「力のトライフォース」を手に入れ、魔王として世界を支配。
リンクは聖剣の力で7年間の強制睡眠に入り、「時の勇者」として覚醒します。
7年後、体だけ大人になったリンクは、六賢者を覚醒させ、ゼルダ姫(シーク)と協力してガノンドロフを撃破。
魔獣ガノンとなった彼を、賢者たちの力で聖地ごと封印しました。
【歴史を分けた決断】
感動のフィナーレ。
平和が戻りました。
しかしここで、ゼルダ姫は余計な気をつか…
いえ、優しさを見せます。
「あなたは7年間の子供時代を失ってしまった。だから、本来の時間を生きてほしい」
そう願って、時のオカリナでリンクを7年前の過去(聖剣を抜く前の時代)へと送り返したのです。
この「時間移動(タイムパラドックス)」と「戦いの勝敗」という要素が複雑に絡み合い、歴史はまさかの3つに分岐します。
- 【敗北ルート】
リンクがガノンとの戦いに「負けちゃった」世界線。 - 【子供ルート】
リンクが過去に戻り、ガノンの野望を「未然に防いだ」世界線。 - 【大人ルート】
リンクが過去へ去り、勇者が「いなくなった」未来の世界線。
シュレディンガーの猫もびっくりな展開です。
ここから、それぞれの世界は全く異なる運命を辿ることになります。
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第3章:勇者敗北ルート衰退と再興の茨道

「もしも、時の勇者がガノンに敗れていたら?」
なんて絶望的な「if」でしょうか。
しかし、公式年表で最も多くの作品群が属するのが、実はこのルートなんです。
魔王ガノンがトライフォースをコンプリートしてしまった最悪の状況からスタートし、ハイラル王国が徐々に、でも確実に衰退していく「滅びの美学」が描かれます。
ある意味、一番人間臭い歴史かもしれません。
1. 封印戦争と『神々のトライフォース』
時の勇者が敗れた後、ガノンは完全な魔王となり、聖地を「闇の世界」へ変貌させました。
ハイラル王国の騎士団は、ほぼ全滅するという犠牲を払いながらも、七賢者の力でガノンを闇の世界ごと封印しました。
これが「封印戦争」です。歴史の教科書に載るレベルの大事件です。
数百年後、『神々のトライフォース』の時代。
司祭アグニム(実はガノンの分身)が賢者の子孫たちを生贄にし、封印を解こうとします。
新たな勇者リンクは、光と闇の二つの世界を行き来してガノンを討伐。
トライフォースを奪還し、ハイラルに一時的な黄金時代をもたらしました。
ここで一度、世界は持ち直します。
2. 『夢をみる島』と『ふしぎの木の実』:勇者の放浪
ガノンを倒したリンクは、「もっと強くならなきゃ」と修行の旅に出ます。
ストイックですね。
私なら有給取って温泉に行きますが。
『ふしぎの木の実(大地の章/時空の章)』では、異国の地でガノン復活を目論むツインローバの陰謀を阻止します。
その帰路、嵐に遭い漂着したのが『夢をみる島』です。
そこは「かぜのさかな」が見る夢の世界でした。
リンクは島の人々との交流を経て、ある残酷な事実に気づきます。
「かぜのさかなが目覚めれば、この島も、ここにいる人々も、すべて消えてしまう」。
それでも彼は、悪夢を断ち切り、現実世界へ帰還することを選びました。
この時のリンクの心境を思うと、胸が締め付けられます。
夢から覚めた後の虚無感、日曜の夜のサザエさん症候群の比ではありません。
3. 『神々のトライフォース2』と『トライフォース3銃士』
さらに時代は下り、『神々のトライフォース2』では、ハイラルの対となる異世界「ロウラル」が登場します。
ロウラルの姫ヒルダは、自国の崩壊を止めるためにハイラルのトライフォースを奪おうとしますが、リンクの活躍により和解。
トライフォースは本来あるべき姿に戻ります。
その後、リンクがおしゃれな衣装で冒険する『トライフォース3銃士』が続きます。
ここまでは、まだハイラルにも余裕がありました。
4. 『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』:失われた環【2025年・最重要考察】
さて、ここからが重要です。ここ、テストに出ますよ。
2024年に発売された『知恵のかりもの』は、この敗北ルートの末期、具体的には『トライフォース3銃士』の後、『初代』の前に位置づけられました。
この時代、ハイラル各地に謎の「裂け目」が発生し、人々や、あろうことか勇者リンクまでもが神隠しに遭います。
この危機に立ち上がったのは、なんとゼルダ姫でした。
彼女は「カリモノ」の力と知恵を駆使し、世界を「無」に帰そうとする邪神ヌゥルと対峙します。
【考察:なぜ世界は裂けたのか?】
ちょっとメタな視点で考えてみましょう。
この敗北ルートは、本来あり得なかったはずの「敗北」から生じた、いわば「歪んだ歴史」です。
『知恵のかりもの』で描かれる「裂け目」や「無」という現象は、この不安定なタイムラインそのものが崩壊しかけている、一種のバグのような現象だったのではないでしょうか?
そして、この作品で描かれるハイラルの地形や文化は、後の『初代』に極めて近くなっています。
王国が徐々に力を失い、魔物が跋扈し、人々が洞窟に隠れ住むような荒廃した時代へと移り変わる「衰退の予兆」が、ここで決定づけられたのです。
5. 『ゼルダの伝説(初代)』と『リンクの冒険』:王国の黄昏
敗北ルートの最果て。
かつての大国ハイラルは見る影もなく、「小王国」と呼ばれるほどに衰退し、文明レベルも後退しています。
初代『ゼルダの伝説』では、復活したガノンが「力のトライフォース」を強奪。
ゼルダ姫は「知恵のトライフォース」を8つに砕いて隠しました。
旅の少年リンクが欠片を集め、ガノンを討伐します。
その直後を描く『リンクの冒険』では、初代ゼルダ姫(現在のゼルダの先祖にあたる、呪いで永い眠りについた姫)を目覚めさせるため、リンクは「勇気のトライフォース」を求めて過酷な試練に挑みます。
最後は自らの影(ダークリンク)に打ち勝ち、ついに3つのトライフォースが揃います。
長く続いた衰退の歴史に終止符が打たれ、ハイラル再興への微かな希望が灯ったところで、このルートの記録は途絶えています。
まるで、古い歴史書の最後のページが破れているかのように。
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第4章:勇者勝利・子供ルート影と異界の歴史

『時のオカリナ』のエンディングで、7年前の過去に戻されたリンクの世界線です。
リンクは子供時代に戻ると、すぐさまゼルダ姫のもとへ走り、ガノンドロフの陰謀を密告しました。
「あいつ、ヤバいこと考えてるよ! 信じちゃダメ!」と。
これにより歴史は書き換わり、ガノンドロフの聖地侵入は未然に防がれます。
めでたしめでたし…
とはいきません。
1. 『ムジュラの仮面』:誰にも知られぬ勇者の孤独
歴史を変えたリンクは、相棒の妖精ナビィを探して旅に出ますが、異世界「タルミナ」に迷い込みます。
そこは、3日後に月が落下して滅びるという、とんでもない世界でした。
リンクは3日間を無限に繰り返しながら、仮面の魔力に支配されたスタルキッドを救い、月の落下を阻止します。
でも、考えてみてください。
この世界のリンクは、ハイラルを救った英雄としての記憶を持っているのに、この世界の人々にとっては「ただの子供」なんです。
誰に称賛されることもなく、異世界を救い、再び孤独な旅に戻るリンク。
この時の勇者の「誰にも武勇伝を語り継がれない無念」や「自分は何者なのか」という葛藤が、後の物語に亡霊として影を落とします。
切ない。中間管理職の悲哀に通じるものがあります。
2. 『トワイライトプリンセス』:黄昏の領域と魔王の処刑
数百年後。
かつて未然に防がれたはずのガノンドロフの処刑が実行されようとしていました。
しかし、彼には神の悪戯か、それとも歴史の修正力か、「力のトライフォース」が宿っており、処刑は失敗。
賢者たちはやむなく彼を「影の世界(トワイライト)」へ追放しました。臭いものに蓋をしたわけです。
トアル村の青年リンクは、影の世界の侵略に巻き込まれ、狼の姿に変えられてしまいます。
影の世界の王女ミドナと共に、光と影の世界を救う旅に出ます。
【亡霊となった古の勇者】
ここで登場する、リンクに剣技の奥義を授ける「骸骨の剣士」。
彼の正体こそ、成長し、誰にも理解されぬまま無念の死を遂げた『時のオカリナ』のリンク(古の勇者)です。
子孫である現行のリンクに技を託すことで、彼はようやく長い迷いから解放されました。
「息子よ」と呼びかけるその声に、涙腺が崩壊したプレイヤーも多いはず。
復活したガノンドロフとの一騎打ちの末、マスターソードが魔王の胸を貫き、この世界線のガノンドロフは(一時的にせよ)完全に息絶えます。
立ったまま絶命するその姿は、魔王としての矜持を感じさせました。
3. 『4つの剣+』:新たなる魔王の影
ガノンドロフの死からさらに時が経ち、新たなガノンドロフ(ゲルド族の転生者)が誕生します。
呪いはしつこいですね。
彼は古の魔神グフーを復活させますが、4人に分身したリンクによって倒され、フォーソードに封印されました。
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第5章:勇者勝利・大人ルート大海原と新天地の歴史

ガノンを封印した時の勇者リンクが、過去の世界へ帰ってしまった後の世界線です。
「勇者がいなくなった世界」に残された人々は、数百年後に復活したガノンの脅威に晒されます。
人々は祈りました。
「勇者様、助けて!」。
しかし、祈りは届きません。
勇者はもう、別の時間軸に去ってしまったのですから。
神々は最終手段として、
ハイラル全土を大洪水で海に沈め、ガノンごと封印する
という、あまりにも乱暴な解決策を取りました。
部屋が片付かないから家ごと燃やすみたいな発想です。
1. 『ゼルダの伝説 風のタクト』:過去との決別
かつてハイラルがあった場所は大海原となり、人々は点在する島々で暮らしていました。
プロロ島の少年リンクは、さらわれた妹を救うため、海賊の長テトラ(実はゼルダ姫の末裔)と共に海へ出ます。
復活したガノンドロフは、海の底に眠るハイラル城でトライフォースを再び手にしようとします。
しかし、彼の願いは「過去のハイラルの復活」という執着でした。
「あの風が欲しかった」と語るガノンドロフには、どこか哀愁が漂います。
対してハイラル王は、「過去を消し去り、若者に未来を与えること」をトライフォースに願います。
ガノンドロフは、故郷の風を渇望しながら石となり、ハイラル王国と共に完全に海の底へと消え去りました。
リンクとテトラは、過去の因縁(ハイラル)を捨て、新しい大地を探す旅に出ます。
過去に縛られる大人たちと、未来へ進む子供たち。この対比が素晴らしい。
2. 『夢幻の砂時計』と『大地の汽笛』:新ハイラルの建国
『夢幻の砂時計』は『風のタクト』の直後、新天地を探す航海中の物語。
幽霊船や海王の神殿を巡る冒険を経て、リンクたちは強い絆で結ばれます。
そして『大地の汽笛』では、発見された新大陸に「新生ハイラル王国」が建国されてから100年後が描かれます。
この世界にはもうマスターソードも、古のハイラルの因縁もありません。
代わりに電車が走っています。
機関士見習いのリンクとゼルダ姫は、この土地固有の魔王マラドーに立ち向かいます。
大人ルートは、「血塗られたハイラルの歴史からの脱却」をテーマにした、最も希望に満ちたタイムラインと言えます。
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第6章:歴史の収束と再構築ブレス オブ ザ ワイルド以降

さて、ここからが現代の私たちを最も悩ませ、そして興奮させるパートです。
これら3つの分岐した歴史の遥か未来、あるいは全ての伝承が「神話」として混ざり合った地点に位置するのが、『ブレス オブ ザ ワイルド(BotW)』と『ティアーズ オブ ザ キングダム(TotK)』です。
1. 『ブレス オブ ザ ワイルド』:1万年の空白と収束
この時代、ハイラル王国は一度高度な技術(シーカー文明)によって栄華を極めましたが、1万年前の厄災ガノンとの戦いを経て、100年前の「大厄災」で崩壊しました。
目覚めたリンクは記憶を失っており、滅びた世界を旅します。
ここで奇妙なことに気づきます。
この世界には、「過去作のあらゆる要素が混在している」のです。
- リト族(大人ルートの特徴)とゾーラ族が当たり前のように共存している。
- 地名に歴代の賢者や王の名が冠されている。
- 『時のオカリナ』や『トワイライトプリンセス』の出来事が「伝説」として語られている。
開発チームは
「どのルートに繋がるかはプレイヤーの想像に委ねる」
としていますが、ファンの間では「収束説」が最も有力視されています。
つまり、どの歴史を辿ったとしても、最終的には行き着く先は同じだった、ということでしょうか。
まるで、すべての川が海に注ぐように。
一万年という途方もない時間は、歴史の矛盾さえも飲み込んでしまったのかもしれません。
2. 『ティアーズ オブ ザ キングダム』:円環する神話とゾナウの謎
続編『TotK』では、さらに衝撃的な事実が明かされます。
ハイラルの地底には、神話の時代よりさらに古い「ゾナウ族」の遺跡と、封印された魔王ガノンドロフのミイラが眠っていました。
ここでの「ハイラル建国」の描写は、過去作(スカイウォードソード後の建国)とは矛盾する点が多く見られます。
これについては、
「一度滅びたハイラルを、ゾナウ族のラウルが"再建国"した」
という説が濃厚です。
つまり、私たちが知る旧作シリーズの歴史(神話時代)のさらに後に、文明がリセットされ、ゾナウ族が地上に降り立ち、新たなハイラルを興した。
そう考えれば辻褄が合います。
【究極の献身:龍となったゼルダ】
物語の核となるのは、ゼルダ姫の時空を超えた「時間遡行」です。
彼女は建国時代へ飛び、現代で砕かれたマスターソードを蘇らせるため、自ら禁忌の術で「白龍」となりました。
自我を失い、永遠の時を空で孤独に飛び続け、数万年かけて剣に聖なる力を注ぎ込んだのです。
一人の人間が、愛する人と世界のために、数万年の孤独に耐える。
これを愛と呼ばずになんと呼ぶのでしょう。
夫にこれほどの愛があるか自問自答しましたが、答えはノーコメントで。
【ゾナウとトワイライトのミッシングリンク】
ここで、私のような古参ファンがニヤリとする考察を一つ。
ゾナウ族と『トワイライトプリンセス』の影の一族、似ていませんか?
共に高度な魔力を持ち、一方は空へ、一方は異界(影)へ消えた一族。
『TotK』で登場するガノンドロフの意匠や、地底の不気味な植生は、トワイライトの色彩と酷似しています。
もしかすると、ゾナウ族の一部が影の世界に落ちてトワイライトの民になった、あるいはその逆か…。
失われた歴史のピースが、ここで繋がっている気がしてなりません。
3. 終わりなき伝説へ
『TotK』のエンディングで、リンクは龍となったゼルダを奇跡的に人間に戻すことに成功します。
デミスの呪いから始まった数万年の戦いは、ゼルダの自己犠牲という愛と、リンクの不屈の勇気によって、一つの到達点を迎えました。
しかし、2025年現在もなお、ハイラルの歴史が完結したわけではありません。
勇気、知恵、力。この三つが交錯する時、また新たな伝説が紡がれることでしょう。
私たちが生きている限り、彼らの旅もまた続くのです。
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終章あなたの冒険はどこから?
長々と語ってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
ハイラル史を俯瞰してみると、それぞれの作品が単なる続編ではなく、異なるテーマと哲学を持っていることが分かります。
- 王道の英雄譚と、滅びゆく世界の美学を味わいたいなら → 敗北ルート(神トラ、知恵のかりもの、初代など)へ。
- ダークファンタジーと、勇者の心の深淵に触れたいなら → 子供ルート(ムジュラ、トワプリ)へ。
- 過去からの解放と、希望への船出を感じたいなら → 大人ルート(風タク、大地の汽笛)へ。
- 圧倒的な自由と、歴史の重みの集大成を感じたいなら → BotW / TotKへ。
どの時代、どのリンクから始めても、そこには色褪せない「冒険」が待っています。
私も今夜は、子供が寝静まった後に、久しぶりにハイラルの風を感じに行こうかと思います。
明日の仕事のことは、とりあえず忘れて。
さあ、コントローラーを手に取り、あなただけのハイラルの歴史を刻みに行きましょう。
良い旅を!
