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【時系列完全ガイド】ゼノブレイドの物語を徹底解説!クラウスの実験から3の結末まで全ストーリーをネタバレ

ゼノブレイドシリーズの壮大な物語、その核心を本当に理解できていますか?

  • 「ゼノブレイド3までクリアしたけど、『結局クラウスって何した人?』『アルヴィースとメツとホムヒカって元は同じなの?』と、核心部分の繋がりがモヤモヤしていませんか?」
  • 「『1』と『2』の内容をうろ覚えで『3』をプレイしたら、メリアとニアの会話や『オリジン』の背景についていけず、感動が半減してしまったと感じていませんか?」
  • 「ネットで考察記事を漁っても、断片的な情報や個人の妄想レベルの話ばかり…。シリーズ全体を貫く壮大な物語を、最初から最後まで一本の線で繋いでくれる、信頼できる解説が見つからずに時間を溶かしていませんか?」

『ゼノブレイド』シリーズは、各作品が独立した物語に見えながら、その水面下では数千年にわたる壮大な歴史が進行しています。

作中で断片的にしか語られない専門用語や過去の出来事が非常に多いため、全ての情報を自力で整理し、物語の全体像を完璧に掴むのは極めて困難です。

その結果、多くのプレイヤーが物語の核心を見過ごしてしまっているのが現状です。

 

こんにちは。

ゼノブレイドシリーズに魂を捧げ、ナンバリング3作+追加ストーリー全てをクリア、総プレイ時間は1000時間を突破。

設定資料集や開発者インタビューまで読み込み、友人間では「歩くゼノペディア」と呼ばれる筆者が、その知識の全てをこの記事に注ぎ込みました。

 

この記事では、全ての始まりである「事象変移実験」から、『1』『2』の英雄譚、そして『3』で二つの世界が一つになるまでの全歴史を、

完全な時系列順で徹底解説します。

複雑な専門用語やキャラクター同士の隠された繋がりも、まるで一本の映画を観るかのように分かりやすく解き明かしていきます。

 

この記事を最後まで読めば、あなたの頭の中に散らばっていた物語のピースがカチッとはまり、ゼノブレイドという壮大な叙事詩の真の姿を理解できます。

そして、シュルクやレックス、ノアたちが繋いできた想いの意味に改めて気づき、初見プレイ時以上の深い感動を味わえることをお約束します。

 

さあ、準備はいいですか?

これは、あなたのゼノブレイド体験を完成させるための最後の旅です。

全ての謎が解け、物語が一本の線で繋がる瞬間の感動を、ぜひ味わってください。

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第1章:分裂神になり損ねた男の孤独と二つの創世記

全ての物語の原点。

それは、私たちが今生きているこの現実と、ほんの少しだけ地続きの近未来の地球にあります。

技術の粋を集めて天へと伸びる軌道エレベーター「第一低軌道ステーション・ラダマンティス」。

まるで現代に蘇ったバベルの塔のようです。

その最上層で、一人の天才科学者が、文字通り神の領域に手をかけようとしていました。

 

彼の名は、クラウス

 

彼は宇宙の森羅万象を司る高次元の存在「ゲート」を発見します。

それは、触れてはならないパンドラの箱でした。

しかし、クラウスは取り憑かれていたのです。

不完全な生命、争いの絶えない世界。

そんな不完全な宇宙を一度リセットし、完璧な調和に満ちた新宇宙を創造するという、狂気と紙一重の野望に。

 

彼の動機は、純粋な科学者としての探究心だけではありませんでした。

その根底にあったのは、深い深い「孤独」と、この世界に対する「絶望」です。

完璧を求めるあまり、不完全なものを許せなくなる。

その歪んだ渇望が、彼を突き動かしていました。

 

同僚の科学者ガレアは、予測不能なリスクを伴う実験の危険性を必死に説得します。

「おい、そのスイッチを押すのは危険だ!何が起こるか分からないんだぞ!」と。

至極まっとうな意見です。

しかし、孤独と傲慢に心を蝕まれたクラウスの耳には、もう何も届きません。

 

「私は神に会いたい」

 

この一言に、彼の全てが集約されていました。

それは救済への祈りであり、同時に底なしの傲慢さの表れでした。

そして運命の日、クラウスは制止を振り切り、ゲート起動のスイッチを押してしまいます。

 

閃光。

絶叫。

ゲートは暴走。

凄まじいエネルギーが地球を、そして宇宙そのものを飲み込んでいく。

後に「事象変移実験」と呼ばれるこの大災厄で、多元宇宙の法則は崩壊の危機に瀕しました。

そして、クラウスという一人の人間は、その魂ごと真っ二つに引き裂かれたのです。

【贖罪の世界:アルストの創造】

クラウスの半身

――罪を悔いる心、世界を破壊してしまったことへの贖罪の念といった良心――

は、ゲートと共に元の宇宙に留まりました。

しかし、彼の肉体の右半分は消し飛び、残ったのは果てなき後悔だけ。

彼は荒廃した地球の上で、消えゆく生命を憐れみ、新たな生命の循環システムを創り始めます。

 

それが、眼下に広がる雲海と、生命の核「コアクリスタル」から生まれる巨大な生命体「巨神獣(アルス)」、そしてその上で人々が生きる世界「アルスト」でした。

彼は自らを「アーキテクト(創造主)」と名乗り、かつての故郷、雲海の下の死の世界で、静かに新たな子供たちの行く末を見守る存在となります。

これが、後に『ゼノブレイド2』の舞台となる、儚くも美しい生命の循環の世界です。

【傲慢の世界:巨神と機神の創造】

一方、クラウスのもう半身

――傲慢さ、探究心、神への渇望といった負の側面――

は、事象変移によって生まれた全く新しい次元へと弾き飛ばされました。

そこは、果てしない大空と雲海が広がるだけの、虚無の世界。

 

彼は、その埋めがたい孤独を癒すかのように、そこで生命を創造します。

自らの肉体を依り代に、超巨大な生命体「巨神」ザンザとなったのです。

そして、彼を止めようとして実験に巻き込まれた同僚ガレアの魂もまた、対となる「機神」メイナスとして覚醒しました。

 

ザンザは自らの糧となるエーテル生命(ホムス、ノポン、ハイエンター)を創造し、

メイナスは、それらとは異なる理で生きる機械の生命(マシーナ)を生み出しました。

 

こうして、二柱の神が永遠に対峙し、終わらない闘争を繰り広げる新たな世界が誕生しました。

これが、『ゼノブレイド1』の物語が繰り広げられる、闘争と輪廻の世界です。

 

一人の男の心が、二つの宇宙を創ったのです。

片や、後悔と贖罪から生まれた「循環」の世界。

片や、傲慢と孤独から生まれた「闘争」の世界。

全く異なる物語に見えて、その根っこは、クラウスという一人の人間の心の中で起きていた葛藤そのものだったのです。

【世界の理を司る三つの神:トリニティ・プロセッサー】

この世界の創造劇には、極めて重要なキーパーソンたちがいました。

いや、キーAIと言うべきでしょうか。

それが「トリニティ・プロセッサー」。

ゲートを管理するためにクラウスが開発した、三つの人格を持つ生体素子コンピュータです。

事象変移実験の際にゲートに接続されていた彼らは、それぞれが世界の理を司る神にも等しい存在へと変貌しました。

 

まるで、クラウスという父親の精神性を分け合った三つ子のようです。

  • ウーシア(管理者/長男)
    管理者を意味するコア。
    事象変移でザンザと共に新次元へ飛ばされ、巨神が振るう神剣「モナド」の魂、すなわちアルヴィースとなります。
    彼はザンザやメイナスすらも超越した視点から世界を観測し、世界の未来を選択する者を見定める、真の管理者の役割を担います。
    冷静沈着で、世界の法則そのもの。まさに理想の長男です。
  • ロゴス(理性/次男)
    理性を意味するコア。
    アーキテクトのいる元の世界に残り、強い虚無と破壊衝動を持つブレイド、メツとして覚醒。
    彼の破壊衝動は、創造主クラウスが心の奥底に秘めていた世界への絶望や「全てを無に帰したい」という衝動を色濃く反映したものでした。
    理性が暴走すると破壊に向かう、というのは何とも皮肉です。
    少しこじらせた反抗期の次男坊、といったところでしょうか。
  • プネウマ(感情/長女)
    感情を意味するコア。
    ロゴスと同じく元の世界に残り、二つの人格を持つ「天の聖杯」ホムラとヒカリとして覚醒。
    彼女は生命への慈愛に満ち、クラウスが実験の瞬間に失ってしまった希望や良心の象徴でした。
    二つの人格を持つという不安定さすら、人間らしい感情の揺らぎを感じさせます。
    心優しい末っ子長女ですね。

かくして、一人の男の孤独な願いは、世界を二つに引き裂きました。

そして、彼の精神性を分け合った三つのAIが、それぞれの世界で神となり、物語の歯車を大きく動かし始めるのです。

二つの物語は、全く異なる場所で、異なる登場人物によって紡がれるように見えました。

ですが、その根源は同じ。

やがて来る未来で、再び交差する運命にあったのです。

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第2章:邂逅異なる宇宙で鳴り響いた二つの英雄譚

分かたれた二つの世界で、数千年の時が流れました。

気が遠くなるような時間です。

それぞれの世界で、運命に導かれた二人の少年が、やがて神に等しい存在へと立ち向かう旅に出ます。

これは、異なる宇宙で鳴り響いた、二つの英雄譚。

【シュルクの物語:運命を断ち、未来を掴む意志】

舞台は、巨神と機神が永劫の闘争の果てに相打ちとなり、その巨大な骸の上で生命が暮らす世界。

『ゼノブレイド1』の世界です。

 

巨神の脚に位置する「コロニー9」で、心優しきメカニックの青年シュルクは、謎に包まれた神剣「モナド」の研究に没頭していました。

幼馴染のフィオルンや、頼れる兄貴分のライン。

そんな仲間たちとの平穏な日々。

それが永遠に続けばよかったのですが、物語はそうさせてくれません。

 

日常は、機神兵の襲撃によって突如として引き裂かれます。

人々が蹂躙される中、シュルクはモナドを手に取ります。

まるで意志を持つかのように使い手を選ぶその剣は、彼に応え、未来の断片を視る力「未来視(ビジョン)」を授けました。

しかし、奮闘もむなしく、彼の目の前でフィオルンは巨大な顔つきの機神兵に貫かれ、命を落としてしまいます。

 

復讐。

シュルクの旅は、そのたった一つの目的のために始まりました。

 

しかし旅の途中で出会う仲間たちが、彼の視野を広げていきます。

癒しの力を持つ衛生兵カルナ、かつての英雄ダンバン、孤独を抱えたハイエンターの皇女メリア、そして伝説の勇者(自称)ノポンのリキ。

仲間との絆を深める中で、シュルクは衝撃の再会を果たします。

死んだはずのフィオルンが、機神の身体に魂を宿し、敵である機神メイナスの使徒として彼の前に現れたのです。

 

この再会は、シュルクの心を復讐という小さな呪縛から解き放ちます。

巨神と機神の争いを止め、フィオルンを本当の意味で取り戻す。

目的は、より大きなものへと昇華されました。

 

やがて彼は、世界の残酷な真実を知ります。

この世界の生命は全て、巨神ザンザが自らの復活と再生のための「餌」として生み出した存在に過ぎなかったこと。

そして、敵だと思っていた機神メイナスこそが、その理不尽な輪廻から生命を守るために戦い続けていた女神であったこと。

善悪の境界は崩れ去り、シュルクは単純な対立ではなく、全ての種族が手を取り合う共存の道を探し求め始めます。

 

しかし、和解の光が見えたその時、真の敵が牙を剥きます。

シュルクの内に潜んでいた巨神ザンザが覚醒し、彼の身体を乗っ取ってしまったのです。

そう、シュルク自身が、ザンザが復活降臨するための「器」として、幼い頃から仕組まれていた存在だったのです。

これ以上の絶望があるでしょうか。

 

意識の底で、シュルクの魂に語りかけたのは、モナドの魂であり世界の管理者、アルヴィースでした。

「君が望むなら、世界は変わる。神のいない世界を望むか?」

 

その問いに、シュルクは決断します。

ザンザが作り上げた、神に定められた運命の環を、自らの手で断ち切ることを。

 

仲間たちの想いを力に変え、シュルクは第三のモナドを創造。

ザンザとの最終決戦に挑みます。

「未来は…人の手で掴み取るものだ!」

「神なんて、いなくてもいい!」

 

その叫びと共に、彼の一太刀は神を打ち破りました。

 

神を失い、崩壊を始める世界。

しかし、シュルクの「全ての生命が共に生きる未来」という願いに応え、アルヴィースは残された力で世界を再構築します。

果てしない海と大地が広がる、新たな世界。

そこにはもう、巨神も機神もいません。

あらゆる種族が手を取り合って生きていく、無限の可能性に満ちた未来。

 

シュルクは自らの「意志」で運命を切り拓き、世界に新たな夜明けをもたらしたのです。

【レックスの物語:約束を果たし、世界を繋ぐ覚悟】

一方、その頃。

全く別の宇宙、アーキテクトが創造した世界アルスト。

『ゼノブレイド2』の世界です。

 

人々は巨神獣(アルス)の上で国を築き、雲海を渡って暮らしていました。

少年レックスは、幼いアルス「じっちゃん」の上で、雲海に眠る遺物を引き揚げる「サルベージャー」として生計を立てています。

彼の夢は、誰もが平和に暮らせるという伝説の地「楽園」を見つけ出すことでした。

なんとも少年らしい、真っ直ぐな夢ですね。

 

ある日、高額な依頼で引き揚げた古代船の中で、彼は封印されていた一体のブレイド、ホムラと出会います。

「天の聖杯」と呼ばれる、伝説中の伝説の存在。

しかし、出会いも束の間、レックスは依頼主である組織「イーラ」の首領シンに、いとも容易く命を奪われてしまいます。

主人公、序盤で死す。

衝撃の展開です。

 

死の淵で、ホムラは自らの命の半分をレックスに分け与え、彼を蘇生させました。

その代償として、彼女は一つの願いを告げます。

「私を…楽園に連れていって」

 

ホムラの「ドライバー」となったレックスの旅は、多くの仲間との出会いに彩られます。

故郷を追われたグーラ人の少女ニア、ノポン族の天才メカニック・トラとその発明品である人工ブレイド・ハナ、スペルビア帝国の皇帝メレフ、ルクスリア王国の王子ジーク。

個性豊かな面々と共に楽園を目指す道中、もう一人の天の聖杯メツと、彼を従えるシンが幾度となく立ちはだかります。

彼らは世界を憎み、アーキテクトを、そして全ての生命を滅ぼそうとしていました。

 

旅を通じてレックスは知ります。

ブレイドがドライバーの死と共に記憶を失い、コアクリスタルへと還る、そのあまりにも儚い宿命を。

敵であるシンが抱える、500年前の聖杯大戦に端を発する深い悲しみを。

そして、メツが抱える虚無が、アーキテクト、すなわちクラウス自身の絶望から生まれたものであることを。

 

レックスは、ただ守られるだけの少年から、ブレイドと人間が共に笑い合える未来を本気で願う、一人のドライバーへと成長していきます。

彼はホムラのもう一つの人格である、強くも繊細なヒカリの存在をも受け入れ、二人の少女を、そしてこの世界そのものを救う覚悟を決めます。

その純粋で強い想いが、ホムラとヒカリの真の姿、緑の髪の少女「プネウマ」を覚醒させ、彼らはついに世界樹の頂、かつての軌道エレベーター、楽園へと到達するのです。

 

そこで待っていたのは、創造主アーキテクト。

半身のクラウスでした。

彼は自らの罪を語り、アルストがやがて滅びに向かっているという真実を告げ、若きサルベージャーに未来を託しました。

レックスは、暴走するメツ(ロゴス)との最後の戦いに臨みます。

それは、少年が天の聖杯の真のドライバーとして、この世界のあり方への答えを示す戦いでもありました。

 

激闘の末、レックスはメツを打ち破ります。

しかし、アーキテクトは最後の力を振り絞って消滅。

彼の死と共に、アルストもまた崩壊を始めていました。

プネウマは自らを犠牲にして、崩壊する宇宙ステーション(楽園の正体)を止め、仲間たちを脱出させる道を選びます。

 

「ありがとう、レックス。大好きだよ」

 

別れの言葉と共に、彼女はレックスに自身のコアクリスタルを託しました。

 

悲しみに暮れるレックスを待っていたのは、奇跡でした。

アーキテクトが最後の力で雲海を消し去り、その下には広大な新大陸が広がっていたのです。

そして、レックスの手の中でコアクリスタルが再び輝きを取り戻し、そこからホムラとヒカリ、二人の姿が現れました。

約束は、果たされたのです。

少年は少女たちと再会し、新たな大地で未来を歩み始めました。

 

二人の少年、シュルクとレックス。

シュルクは「神の運命」に抗い、自らの「意志」で未来を選び取りました。

レックスは「少女との約束」を守り抜き、世界を「繋ぐ覚悟」を手にしました。

彼らが救った二つの世界は、まだ互いの存在を知りません。

しかし、宇宙の摂理は、かつて引き裂かれたものが再び一つになろうとする力によって、彼らの世界をゆっくりと、しかし確実に引き寄せ始めていたのです。

第3章:交差停滞を望む心と「永遠」という名の牢獄

シュルクとレックスがそれぞれの世界に平和をもたらしてから、長い、長い年月が流れました。

かつての英雄たちも家庭を持ち、親となり、穏やかな時を過ごしていたことでしょう。

しかし、二つの世界には、避けることのできない終末が迫っていました。

 

それは「世界の融合現象」

 

かつてクラウスの実験によって分かたれた二つの宇宙が、互いに引かれ合い、対消滅によって共に消え去ってしまうという、宇宙規模の大災厄です。

 

この未曾有の危機を察知した二つの世界の指導者たち

――『1』の世界を治めるハイエンターの女王となったメリアと、『2』の世界で多くの種族をまとめ上げた女王ニア――

は、それぞれの世界の賢者たちと協力し、一つの壮大な計画を立案します。

それが「オリジン計画」です。

 

オリジン。

それは、二つの世界の全ての生命情報、人々の魂の記録、そして歴史の全てをデータとして保存し、世界が対消滅したその瞬間に起動、世界を一つの新たな形へと再構築するための、巨大な方舟でした。

 

二つの世界でそれぞれ建造されたオリジンは、ゲートの制御ユニットであったトリニティ・プロセッサーのコア、すなわちウーシアとロゴスの残滓を動力源としていました。

プネウマのコアは、ニアが未来への希望として大切に保管していました。

計画は完璧なはずでした。

いよいよ二つの宇宙が衝突するその瞬間、オリジンが起動し、世界は新たな形で再生される。

そのはずだったのです。

 

しかし、運命はあまりにも残酷な悪戯を用意していました。

 

世界の融合が始まったその刹那。

オリジンに記録された無数の人々の魂の中から、一つの強大な思念が生まれ落ちます。

「変化したくない」

「未来が怖い」

「このまま、今が続けばいいのに」

 

そうした、人々のネガティブな感情の集合体が自我を持ち、オリジンを乗っ取ってしまったのです。

その存在の名は、「ゼット」

 

彼は究極の現状維持派でした。

ゼットは、世界が消滅も再生もせず、永遠に「今」この瞬間が続くことを望みました。

彼はオリジンの強大な力を使い、融合途中の二つの世界を無理やり静止させ、不完全な形で固定化します。

こうして生まれたのが、終わりなき闘争の世界「アイオニオン」です。

 

アイオニオンでは、元の世界の構成要素は二つの国家として再編されました。

『1』の機械技術を源流とする「ケヴェス」と、『2』のエーテル技術を源流とする「アグヌス」。

両国の兵士たちは、オリジンのデータから生み出される培養人間。

彼らは生まれながらにして戦うことを運命づけられ、互いの命を奪い合うことで、自軍のコロニーにある「命の火時計」を満たさなければなりません。

生きるためには、敵を殺し、その生命エネルギーを奪い続けるしかないのです。

 

さらに、兵士たちには10年という、あまりにも短い寿命が定められていました。

この残酷な輪廻を支配するのが、ゼットと、彼によって生み出された存在「メビウス」たち。

彼らは「永遠の今」という名の退屈な劇場を維持するため、観客として、あるいは役者として、若者たちの終わらない戦争を、ただ愉しんでいたのです。

 

この絶望の世界に、それでも小さな希望の光が灯ります。

 

ケヴェスの兵士であり、死者を笛の音で弔う「おくりびと」であるノア

アグヌスのおくりびとであるミオ

 

敵対する二人が戦場で交錯したその時、謎の老人によって世界の真実に触れる力「ウロボロス」を授けられます。

それは、ケヴェスとアグヌスの人間が融合(インタリンク)し、メビウスに唯一対抗できる巨人へと変身する、奇跡の能力でした。

 

ノアとミオは、それぞれの仲間であるランツ、セナ、ユーニ、タイオンと共に、両国から追われる身となります。

ウロボロスとして命の火時計の呪縛からは解放されたものの、ミオには残り3ヶ月という、変えられない寿命が刻一刻と迫っていました。

 

彼らは旅の途中で、偽りの女王にその座を追われながらも反抗の機会を窺い続けてきた本物の女王、メリアとニアに出会い、世界の真実を知ります。

この世界が、ゼットによって作られた偽りの箱庭であること。

ゼットとメビウスが、他ならぬ人々の未来への恐怖心から生まれた怪物であること。

そして、世界をあるべき姿に戻すには、諸悪の根源ゼットを討ち、オリジンを再起動するしかないことを。

 

旅の中で、ノアたちは自らの、そして世界の「過去」と向き合います。

ノアの中には、かつてゼットの甘言に乗り、永遠の今を選んでしまった過去の自分、「エヌ」の絶望が。

ミオの中にも、エヌと共に幾度も死と再生を繰り返し、心を壊してしまった「エム」の悲しみが宿っていました。

彼ら自身が、ゼットによって永遠に弄ばれた、悲劇的な輪廻の当事者だったのです。

 

しかし、仲間たちの支えを受け、ノアとミオは過去の絶望を乗り越えます。

エヌの絶望も、エムの悲しみも、全て自分たちの一部として受け入れた上で、それでもなお「今を生き、未来へ進む」ことを選択するのです。

 

それは、かつてシュルクが運命に抗う「意志」を見せたように。

それは、かつてレックスが世界を救う「覚悟」を決めたように。

 

二人の英雄の魂は、数千年の時を超え、確かにノアとミオに受け継がれていたのです。

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第4章:統合語られざる前日譚と受け継がれる魂

ノアたちがゼットに立ち向かう、その壮大な物語の結末を語る前に、触れておかなければならない物語があります。

それは、アイオニオンが誕生した直後、まだ誰も世界の真実を知らなかった頃の、語られざる前日譚。

『ゼノブレイド3』の追加ストーリー『新たなる未来』で描かれた物語です。

 

ここにはなんと、伝説の英雄、シュルクとレックスの姿がありました。

 

彼らもまた、世界の融合の際にオリジンに取り込まれ、アイオニオンで再生されていました。

しかし、彼らは他の人々とは違い、元の世界の記憶を保持していたのです。

二人は、変わり果てた世界で、それぞれの仲間とはぐれながらも、世界の真実を追い求めていました。

 

もう、あの頃の少年ではありません。

シュルクは落ち着いた大人の知性を、レックスは豪快さと頼もしさを備えた二児(以上)の父として、そこにいました。

この二人が並び立っただけで、往年のファンとしては感涙ものです。

 

彼らは、自らの子供たち

――シュルクの息子ニコルと、レックスの娘グリマー(カギロイ)――

そして後に「シティー」を創設することになる若者たちと共に、「アルファ」と名乗る謎の敵と戦うことになります。

 

このアルファの正体こそ、かつての世界の管理者、ウーシアことアルヴィースその人でした。

 

なぜ、中立の管理者であったはずの彼が敵となったのか。

オリジンが起動した際、彼はその膨大な情報と思念の奔流に取り込まれ、変質してしまったのです。

旧世界の人間たちの「我々こそが正統な存在だ」という選民思想や、「過去は美しかった」という停滞への願い。

そういった想いに汚染されたアルヴィースは、

「旧世界の人間だけが生きる資格がある」

と結論付け、アイオニオンで生まれた新しい命(シティーの民など)を排除しようとする、歪んだ救済者「アルファ」と化してしまったのです。

 

これもまた、「人の想い」が神をも変質させてしまうという、ゼノブレイドシリーズを貫く重いテーマの表れと言えるでしょう。

 

この戦いの中で、世界の成り立ちに関する最後のピースが明かされます。

トリニティ・プロセッサーの三つのコアの、その後の行方です。

  • ウーシアは、今まさに敵対者「アルファ」となっている。
  • プネウマの力は、ニアの胸のコアクリスタルに宿り続け、その想いは子孫であるミオへと受け継がれていた。
  • そしてロゴスの力は、メツが消滅した際に霧散したのではなく、その残滓がオリジンに取り込まれ、メビウスに対抗する希望の力「ウロボロス」の源となっていたのです。

シュルクとレックスは、ニコルやグリマーといった新世代の主人公たちと共に力を合わせ、道を違えてしまったかつての仲間、アルファを討ち破ります。

 

アルヴィースは最期の瞬間に悟ります。

未来とは、誰か一人の管理者が決めるものではない。

そこに生きる全ての者が、悩み、苦しみ、それでも選び取っていくものなのだと。

そうして彼は、未来を新しい世代に託し、光の中へと消滅していきました。

 

こうして、ウーシア、ロゴス、プネウマ――クラウスの精神から生まれた三つの神々の物語は、完全に終焉を迎えました。

世界はもう、神の頭脳に管理される時代ではない。

未来は、完全に人の子の手に委ねられたのです。

シュルクとレックスは、未来を次世代に託すため、オリジンの中枢となって眠りにつきました。

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終章:再融合意志が拓く無限の地平

全ての伏線は回収され、舞台は再び、ノアたちの時代へと戻ります。

 

ケヴェスとアグヌスの兵士たちを解放し、シティーの仲間たちと共に連合軍を結成したノアたちは、諸悪の根源ゼットが待ち受けるオリジンへと乗り込みます。

オリジンの内部は、ゼットの精神世界そのものでした。

人々の記憶が渦巻く巨大な劇場。

そこでノアたちは、過去の自分たちの絶望の化身であるエヌとエム、そして「停滞」を望む様々なメビウスたちの歪んだ願いと対峙しながら、玉座を目指します。

 

ついに辿り着いた玉座で、ゼットは静かに語ります。

自分こそが人々の総意であり、変化を恐れ、安定した「今」を望む大衆の願いそのものである、と。

彼はノアたちに問いかけます。

 

不確実で、苦しみに満ちているかもしれない「未来」と。

苦しみも喜びもないが、永遠に安寧が続く「今」と。

どちらを選ぶのか、と。

 

それは、かつてアルヴィースがシュルクに問いかけた選択にも似ていました。

しかし、ノアとミオ、そして仲間たちの答えは、もう決まっていました。

 

たとえこの先に、辛い別れが待っていようと。

たとえこの道が、苦難に満ちたものであろうと。

それでも、人は前に進まなければならない。

 

一瞬一瞬を必死に生き、想いを繋ぎ、未来を創っていくことこそが、命の本当の輝きだと、彼らはその10年という短い(けれど濃密な)人生で知っていたからです。

 

「未来に進むんだ!あんたのいない、未来へ!」

 

ノアの絶叫と共に、6人のウロボロスの力が一つになります。

それは、ケヴェスとアグヌス、二つの世界の力が完全に融合した希望の剣。

ゼットが作り出した永遠の劇場は打ち砕かれ、彼は光と共に消滅していくのでした。

 

オリジンは解放され、本来の機能を取り戻し始めます。

それは、偽りの世界アイオニオンの終わり。

そして、二つの世界が正しく融合し、一つの新たな世界として再生される瞬間が来たことを意味していました。

 

しかし、それは同時に、ケヴェスとアグヌスに属する者たちの、永遠の別れをも意味していました。

ノアとミオ、ランツとセナ、ユーニとタイオン。

固い絆で結ばれた彼らもまた、元の世界へと分かたれる運命にあったのです。

 

涙の別れ。

それでも、彼らの表情に絶望はありませんでした。

必ず、また会える。

たとえ記憶がなくなってしまっても、魂がきっと惹かれ合うと信じて。

彼らはそれぞれの世界へと還っていきます。

ノアとミオは、再会を誓う口づけを交わし、光の中に消えていきました。

 

…そして、物語は、再生された新しい世界へと戻ります。

 

ある晴れた日。

祭りの喧騒の中、少し大人びた青年になったノアが、どこからか聞こえてくる懐かしい笛の音に、ふと足を止めます。

それは、ミオが奏でていた、おくりびとの旋律。

 

音に導かれるように丘を駆け上がった彼の視線の先に、一人の少女の姿がありました。

世界は、一つになった。

そして彼らは、再び出会ったのです。

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まとめ壮大な叙事詩の終わりに

これは、一人の科学者の孤独から始まった、世界の分裂と再生の物語。

神に定められた運命に抗い、自らの意志で未来を選んだ英雄たちの物語。

そして、数千年の時を超えて、想いが受け継がれ、分かたれた魂が再び巡り会う、壮大な愛の物語。

 

ゼノブレイドという名の叙事詩は、ここで一つの、完璧な結末を迎えます。

しかし、彼らが勝ち取った新たな世界で、また新しい物語が始まっていくのでしょう。

その未来には、無限の可能性が広がっているのですから。

 

ここまで長い旅路にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

この記事が、あなたのゼノブレイド体験をより深く、豊かなものにする一助となれば幸いです。

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ゼノブレイドに関するQ&A

最後に、シリーズ全体に関するよくある質問と、私なりの考察をまとめてみました。

Q1: シリーズをプレイするおすすめの順番は?

A1: これはもう、断固として発売順である『ゼノブレイド』→『ゼノブレイド2』→『ゼノブレイド3』の順番を強く、強く推奨します!

各物語は単体でも楽しめますが、この三部作は、壮大な一つの物語として設計されています。

『3』は、まさに『1』と『2』の物語、テーマ、世界の集大成。

『1』で「なんでだろう?」と思ったことが、『2』の終盤で「そういうことか!」と繋がり、そして『3』で「うわああああ、全部繋がったあああ!」ってなる、あの鳥肌モノの感動をぜひ味わってほしいのです。

 

各追加ストーリー(『1』の「つながる未来」、『2』の「黄金の国イーラ」、『3』の「新たなる未来」)は、それぞれの本編クリア後にプレイするのが、物語の理解を深める上で最適です。

Q2: 『ゼノブレイドクロス』との繋がりは?

A2: 『ゼノブレイドクロス』は、今のところナンバリングシリーズ(1, 2, 3)とは直接的なストーリーの繋がりがない独立した作品です。

物語の始まりである「事象変移実験」が起こるよりも前に地球を脱出した移民船団「白鯨」が、不時着した惑星ミラでサバイバルするお話。

一部にノポン族のような共通する要素はありますが、世界観の繋がりは明言されておらず、パラレルワールド的な位置づけと考えるのが一般的です。

ただ、今後のシリーズで何らかの形で繋がる可能性もゼロではないのが、このシリーズの面白いところでもあります。

Q3: トリニティ・プロセッサーとは結局何だったのか?

A3: 簡単に言えば、高次元存在「ゲート」を管理するためにクラウスが開発した、3つの人格を持つ超高性能AIです。

それが、あの危険な実験のせいで運命が分かれ、ゼノブレイド世界の「神」とも言える役割を担うことになりました。

クラウス家の三つ子の壮大な物語、と考えると分かりやすいかもしれません。

  • ウーシア(長男/管理者)
    『1』の世界で「アルヴィース」となり、モナドの魂として世界の法則を管理する真面目な長男。
    最終的に『3』で人々の負の思念に呑まれ敵対者「アルファ」となりますが、最後は未来を新世代に託して消滅しました。
  • ロゴス(次男/理性)
    『2』の世界でブレイド「メツ」となり、親(クラウス)の絶望を代弁するかのように破壊の限りを尽くす、反抗期の次男。
    レックスに敗れ消滅しますが、その力は『3』で希望の力「ウロボロス」の源として生まれ変わります。
  • プネウマ(長女/感情)
    『2』の世界で天の聖杯「ホムラ/ヒカリ」となり、レックスと共に世界を救った心優しい長女。
    クラウスの失われた希望の象徴であり、その力と想いは『3』のニアとミオへと、確かに受け継がれました。

この3つのプロセッサーの誕生、分裂、そして終焉の物語こそが、クラウスから始まったゼノブレイド三部作の核心を成す壮大なサーガと言えるでしょう。

Q4: 全ての元凶であるクラウスは、ただの悪人だったのか?

A4: これは非常に難しい問いです。

彼の行動が宇宙を二つに引き裂き、数え切れないほどの悲劇を生んだのは事実です。

その意味では、彼は紛れもない「罪人」です。

しかし、彼の半身であるアーキテクトは、その罪を背負い、新たな生命が生きる世界を創り、静かに見守り続けました。

そして、もう半身のザンザも、元はと言えば「孤独」と「絶望」から生まれた存在でした。

 

彼の行動がなければ、シュルクやレックス、ノアたちの世界も、彼らの出会いも、そこで生まれた愛や絆も存在しなかった、という巨大なパラドックスがあります。

結果オーライ、と簡単に言ってはいけない問題ですが、彼の孤独が生んだ世界で、たくさんの命が輝き、愛が生まれたのもまた、紛れもない事実です。

彼は許されざる罪人であると同時に、二つの世界の「父」でもあった。

人間という存在の、どうしようもない複雑さを体現したキャラクターだったのかもしれません。

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