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Homeworldシリーズのストーリーを時系列順に結末までネタバレ

【警告!ネタバレの嵐にご注意】

はい、どうも!あなたの隣のデスクにいそうな、しがない会社員兼ウェブライターやってます。

いやはや、毎日満員電車に揺られて通勤してるとね、ふと思うんですよ。

「この閉塞感、まるでカデシュの星雲の中みたい…」なんてね。

…え?いきなり何の話だって?失礼しました!今日は私の大、大、だーーい好きなゲームシリーズ、「Homeworld」のお話をしたくて、ついついテンションが上がっちゃいました。

さて、この記事なんですが…もうね、「Homeworld」シリーズの、ぜーーーーんぶ!最初から最後まで!容赦なくネタバレしちゃいます!

『Deserts of Kharak』の砂漠の秘密から、『Homeworld 3』のあの衝撃の結末、そしてその先に広がるかもしれない未来まで、根掘り葉掘り語り尽くします!

「自分の手で感動を味わいたいんだ!」って方や、「ネタバレ?絶対イヤ!」って方は、お願いですから、今すぐそっとブラウザを閉じてくださいね?約束ですよ?じゃないと、後で「あの時の感動返せー!」って言われても、私、責任取れませんからね!

大丈夫ですか?覚悟は決まりました?よし!

では、失われた故郷を求め、星屑の海へと漕ぎ出した人々の、壮大で、切なくて、そしてとんでもなくドラマチックな魂の旅路へ、一緒に出かけましょう!

これはただのゲームの話じゃない、私たちの心に深く響く、普遍的な物語なんです。

さあ、シートベルトを締めて。

ハイパースペース・ジャンプ、開始します!

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序章:砂塵に埋もれた銀河の記憶 ― 追放と、未来を照らすかすかな光

私たちの知る壮大な物語が始まる、ずっとずっと昔。

銀河がまだ若く、星々が今よりずっと賑やかだった頃。

銀河の中心部には、まるでエメラルドのように輝く緑豊かな惑星、ヒガラ(Hiigara)がありました。

そこに住んでいたのは、高度な文明を築き、星々の間を自由に行き交う技術を持っていた人々。

彼らこそ、後に砂漠の惑星でクーシャン(Kushan)と呼ばれることになる、この物語の主人公たちの遠い祖先です。

まさに銀河の楽園、約束の地。

でもね、どんな楽園にも終わりは来るものなんですよ…悲しいけど。

約3000年前、銀河の支配権を巡る大きな、大きな戦争が起こりました。

残念ながら、我らがヒガラの人々は、この戦いに敗れてしまいます。

勝利したのは、冷酷で強大なタイダン帝国(Taiidan Empire)

彼らは敗者に対して、最も残酷で屈辱的な罰を与えました。

それは、死よりも辛いかもしれない罰――故郷ヒガラからの永久追放でした。

タイダンは、彼らを完全に滅ぼす代わりに、銀河の辺境へと追いやるという、ある種の「慈悲」を見せたつもりだったのかもしれません。

でも、それは同時に「二度と星間航行技術を持ってはならぬ」という、未来永劫にわたる隷属を強いる呪いの言葉でもあったんです。

星々への道を閉ざされた民に、未来はあるのでしょうか?

この絶望的な追放の混乱の中、クーシャンの祖先たちは、最後の希望を託して、一枚の石板を密かに持ち出します。

異星の文字――おそらくはタイダンの文字――で銀河図が描かれ、「ヒガラ」つまり「我が故郷」という言葉とその正確な座標が記された「ガイドストーン」

それは、いつか必ずこの場所へ帰るのだという、血と涙で刻まれた誓いであり、暗闇の宇宙で唯一、未来を照らす道標でした。

故郷を追われた人々は、古びた世代間宇宙船に乗り込み、あてどない宇宙の放浪へと旅立ちます。

どれほどの時間が流れたのか、どれだけの犠牲があったのか…正確な記録は失われてしまいました。

長い長い、想像を絶する苦難の旅の果てに、彼らがようやく安住の地として辿り着いたのは、銀河の吹き溜まりのような辺境宙域に浮かぶ、灼熱の太陽が容赦なく照りつける過酷な砂漠の惑星カラク(Kharak)でした。

まるで神に見放されたかのような場所。

星々を渡る高度な技術は完全に失われ、輝かしい故郷ヒガラの記憶も風化し、いつしか神話や曖昧な伝説の中にその姿を留めるだけになっていました。

この灼熱地獄は、彼らの社会をも変えてしまいました。

限られた水と資源を巡って、血族を中心とした氏族キース(Kiith)が互いに疑心暗鬼になり、時には激しく争う。

そんな内向きで、閉塞感に満ちた「暗黒時代」が長く続きました。

かつて銀河にその名を轟かせた文明の面影は、どこにも見当たりません。

彼らは、自分たちがどこから来て、何を失ったのかさえ、忘れかけていたのかもしれません。

それでも、人間の魂って、そう簡単には死なないんですよね。

心の奥底の、さらに奥底で、故郷への渇望は小さな炎のように燃え続けていました。

彼らが信仰する神サジューク(Sajuuk)――全てを創造し、全てを終わらせる偉大な存在であり、いつか「選ばれし者」がその力を蘇らせるという伝承――は、遠い昔の追放の記憶と複雑に絡み合い、クーシャンの文化や宗教、そして日々の厳しい生活を支える精神的な支柱となっていきます。

それは、砂漠の過酷な現実から目を背けるための気休めだったのかもしれないし、あるいは、いつか訪れるかもしれない奇跡への、最後の祈りだったのかもしれません。

そして、運命の歯車が、再び大きく動き出す時が来ます。

カラク暦1110年頃(銀河標準暦だと9400年代らしいです。

…って言われてもピンときませんけどね!)。

カラク北部では、長らく続いたキース間の大規模な戦争が終わり、比較的安定した時代が訪れていました。

人々はようやく顔を上げ、空を見上げる余裕を取り戻し始めていたのかもしれません。

そんな時、軌道上から惑星を監視していた人工衛星が、誰も足を踏み入れたことのない広大な砂漠「グレート・バンディッド・デザート」の奥深くで、信じられないものを発見します。

巨大な、そして明らかに人工的な構造物から発せられる異常なエネルギー反応。

それは「ジャラシの物体(Jaraci Object)」、あるいは「第一の都市(First City)」の伝説と結びつけて語られ、砂の下に何か途方もない古代の秘密が眠っていることを示唆していました。

当時のカラクは、気候変動による深刻な砂漠化が進み、惑星全体がゆっくりとした死に向かっているような状況でした。

この謎めいた発見は、単なる考古学的な大ニュースというだけではありませんでした。

それは、滅びゆく種族にとって、文字通り最後の希望の光となったのです。

「あの砂の下に眠るものこそが、我々を救う鍵に違いない!」――そんな切実な思いが、対立していたキースたちをも一つにし、前人未踏の砂漠横断調査計画へと彼らを駆り立てます。

この決断が、やがて銀河全体の歴史を根底から揺るがすことになるなんて、彼らはまだ知る由もありません。

そう、全てはここから始まったのです。

我々が最初に目撃することになる物語、『Homeworld: Deserts of Kharak』の、熱く乾いた風が吹き抜けるプロローグが。

カラク砂漠の探索:砂塵の彼方に見た星への道標(『Homeworld: Deserts of Kharak』)

さてさて、時は初代『Homeworld』の物語が始まる、ざっと100年前のカラク。

空を見上げれば、どこまでも続く砂、砂、砂!時折、空が真っ赤に染まるほどの巨大な砂嵐がすべてを飲み込んでいく…そんな、お世辞にも住みやすいとは言えない惑星です。

星々への憧れなんて、遠い昔のおとぎ話。

人々は、ただ今日一日を生き延びることで精一杯でした。

でもね、そんな絶望的な状況の中でも、未来を諦めない人たちがいたんです。

カラク北部の主要なキース(氏族ね)が集まって作った北部諸氏族連合(Coalition of the Northern Kiithid)は、あの「ジャラシの物体」の謎を解き明かすため、水面下でとんでもない計画を進めていました。

その名も「オペレーション・カディーム(Operation Khadiim)」

これは、連合の持てる技術のすべてを結集して建造した、巨大な陸上空母を旗艦とする大遠征隊を編成し、文字通り「死の砂漠」と呼ばれるグレート・バンディッド・デザートを横断しようっていう、壮大すぎる計画だったんです。

カラクの未来、いや、クーシャン民族の存続そのものを賭けた、一世一代の大博打ですよ、これは。

ただ、こういうデカい計画って、いつの時代も反対する人がいるんですよね。

特に、古くからの教えを頑なに守ろうとする人たちにとっては、許しがたいことだったみたいです。

強力な武力を持つ狂信的な氏族、ガルシエン氏族(Kiith Gaalsien)は、この遠征を神サジュークへの冒涜だと激しく非難しました。

「汝、天を犯すな(Thou Shalt Not Reach For The Heavens)」っていう、サジュークの第一戒律とされる言葉を錦の御旗にしてね。

彼らにとって、空を見上げること、ましてや星々を目指すなんてことは、絶対に許されない禁忌だったんです。

だから、彼らは決めた。

「オペレーション・カディームは、我々が全力で阻止する!」って。

こうして、未来を切り開こうとする者たちと、過去に縛られ続ける者たちとの間で、避けられない戦いの火蓋が切られようとしていました。

このオペレーション・カディームの希望の星、それが最新鋭の巨大陸上空母“カピシ”(Kapisi)

山のような巨体にキャタピラ付けて走るんですよ?ロマンの塊じゃないですか!…って、話が逸れましたね。

そのカピシの頭脳とも言える科学部門のトップ、科学主任として乗り込んでいたのが、若き日のレイチェル・スジェット(Rachel S’jet)

聡明で、意志が強くて、ちょっと影のある美人さん。

そう、彼女こそ、後に銀河の運命を左右することになる、あのカラン・スジェットの遠いご先祖様(かもしれない)って言われてる人なんです。

レイチェルがこの危険すぎる遠征に参加したのには、科学者としての探求心だけじゃない、もっと個人的で、切実な理由がありました。

実はね、数年前に行われた第一次の調査隊に、彼女のお兄さん、ジェイコブが参加していて、そのまま砂漠で消息不明になっていたんです。

生きてるのか、死んでるのか…もし生きてるなら、どこに?そして、何があったのか?真実を知りたい――その一心で、彼女は安全な研究室を飛び出して、この死と隣り合わせの最前線に志願したんです。

科学者から軍人へ。

この転身自体が、スジェットという名を持つ者が背負うことになる、過酷な宿命の始まりだったのかもしれませんね…。

カラク暦1110年。

いよいよ遠征隊が出発!…した途端、待ってましたとばかりにガルシエンの激しい奇襲攻撃が始まります。

用意周到な罠にはまり、遠征隊はいきなり大ピンチ。

多くの犠牲を出しながらも、カピシはその性能とクルーたちの頑張りで、なんとか包囲網を突破します。

でも、前途は多難。

目の前にはどこまでも続く灼熱の砂漠、そして背後からは砂漠を知り尽くした狂信者たちの執拗な追撃。

まさにサンドイッチ状態!

砂漠をひたすら進む中で、レイチェルはついに兄ジェイコブが乗っていた陸上巡洋艦“イフリート・ナーバル”の残骸を発見します。

残されたデータログには、ガルシエンとの激しい戦闘記録が…。

そして、それだけじゃなかった。

なんと、古代タイダン帝国のものと思われる、軌道上から攻撃可能な超兵器の存在を示唆するデータまで見つかったんです!

第一次調査隊は、単にガルシエンに襲われただけじゃなくて、もっと古くて、もっとヤバい何かに遭遇してたってこと…?謎は深まるばかり。

一体この砂漠には何が隠されてるのよ!?

真実にもっと近づきたい。

その一心で、レイチェルは危険を承知で単独偵察任務に出ます。

ガルシエンの秘密基地に潜入した彼女は、そこで彼らが神聖視している古文書を発見。

「追放者(The Exile)」に関する記述…それは、クーシャンの遠い過去、ヒガラからの追放に関する神話の断片でした。

そして、兄ジェイコブが最後に目指していた場所が、古代の巨大な隕石クレーター、トリン巨大クレーター(Torin Crater)であることも突き止めます。

やった!これで兄さんの足取りが…!

と思ったのも束の間、今度は信じてた同盟氏族、シジーム氏族(Kiith Siidim)がいきなり裏切って、ガルシエンと一緒になって襲いかかってきたんです!もうね、人間不信になりますよ、こんなの!

完全に包囲されて絶体絶命。

レイチェルは、自分が囮になって敵を引きつけ、カピシが到着するまでの時間を稼ごうと、決死の覚悟で戦います。

「私に構わず先に行け!」的なね。

もう、完全にヒーロー(ヒロインだけど)ですよ。

その自己犠牲が報われて、間一髪のところで救援に来たカピシと、同じ連合の空母“サカラ”によって、九死に一生を得るんです。

よかった…!

この激しい戦闘と混乱の中で、レイチェルはついに、兄ジェイコブの最期の真実を知ることになります。

お兄さんは、ガルシエンの追跡を妨害して、クレーターの中にある「ジャラシの物体」――つまり、カラクの民の未来を守るために、命がけで古代タイダンの軌道砲台を確保し、それを起動させていたんです。

彼は、未来への道を切り開くために、自らを犠牲にした英雄だった…。

「兄さん…あなたはずっと、私たちを守ってくれていたのね…」。

涙で兄を弔ったレイチェルは、悲しみを振り払い、決意を固めます。

兄が命と引き換えに残してくれた古代兵器を、今度は自分が使う。

そして、この忌まわしい戦いに終止符を打つのだと。

数えきれないほどの困難、仲間たちの死、そして信じていた者からの裏切り…。

それら全てを乗り越えて、レイチェル率いる遠征隊は、ついに最終目的地、伝説の「カー・トバ(Khar-Toba)」――“第一の都市”――に到達します。

でも、そこにあったのは都市じゃなかった。

砂の中から、まるで古代の巨人が横たわるかのように姿を現したのは、天を衝くほど巨大な、異星の宇宙船の残骸だったんです!

これこそが「ジャラシの物体」の正体。

3000年前、クーシャンの祖先たちを、遠い故郷ヒガラから、この砂漠の惑星カラクへと運んできた、太古の移民船そのものだったんですよ!すごい発見!…だけど、感傷に浸る暇はありません。

カー・トバを聖地と見なすガルシエンとの、最後の決戦が始まります。

レイチェルは、兄が遺してくれた軌道兵器の圧倒的な力と、カピシを中心とする遠征隊の持てる全ての戦力を結集し、最後の抵抗を試みるガルシエン主力艦隊に挑みます。

砂漠全体が揺れるほどの激しい戦闘の末、ついにガルシエンの指導者とその旗艦を撃破!指導者を失った狂信者たちは統制を失い、長年にわたってカラクの進歩を妨げてきた宗教的対立は、ここに事実上の終止符を打ったのです。

戦いの後の静寂の中、レイチェルはカー・トバの内部へと足を踏み入れます。

そこで彼女が見つけたものは、カラクの、いや、クーシャン民族の運命を永遠に変えることになる、とんでもないお宝でした。

船の中枢部には、数千年という時間を超えて、奇跡的にまだ動く状態の超光速航行装置(ハイパースペース・モジュール)とその動力炉が眠っていたんです!失われたはずの、星々への道を開く鍵!

さらに、船の記録装置に残されていた古文書(データログかな?)は、クーシャンが遠い昔に緑豊かな惑星ヒガラから追放された民であるという、これまでおとぎ話だと思われていた伝説が、紛れもない歴史的事実であることを科学的に証明しました。

「私たちはどこから来たのか?」――その答えが、ついに見つかった瞬間でした。

そして、この大発見から数十年後。

カー・トバの発掘と研究を続けていた考古学チームが、遺跡内の天文台で、決定的なものを見つけます。

それは、まさに伝説そのもの、ガイドストーン!石板には、タイダン帝国の文字で、失われた故郷ヒガラ星系への正確な座標が、寸分の狂いもなく記されていたのです!神話は現実となり、クーシャンはついに、自分たちが帰るべき真の故郷の存在と、その場所を知ったのです!

レイチェル・スジェットと、彼女を支えた勇敢なクルーたちが、多くの血と涙の上に成し遂げたこの砂漠での探検と発見は、カラク社会全体に、まるで地殻変動のような衝撃と、かつてないほどの興奮をもたらしました。

「ヒガラへ帰ろう!」――それはもはや、夢見るだけの言葉ではなく、全民族が一丸となって実現すべき、具体的な目標となったのです。

各キースの代表者で構成される統治機関、ダイアミド評議会は、歴史的な決断を下します。

故郷への帰還を果たすための巨大な恒星間宇宙船、「マザーシップ」を建造することを、全会一致で決定したのです!

カー・トバから回収されたハイパースペース・コアとその関連技術は、カラクの科学レベルを、まるで魔法のように、一気に数世紀分も引き上げました。

カラク暦1159年、全てのキースが、過去の確執を乗り越えて協力し、惑星軌道上に巨大な建造ドック「スキャフォールド」を建設。

マザーシップ建造という、人類(クーシャンだけど)史上、最大級の国家プロジェクトがスタートします。

そして、未来のヒガラを担うべく選ばれた60万人の移民候補者――彼らの名前はゴールド名簿(Gold List)に刻まれ、希望の象徴となりました――は、約60年後と予想される出航の日に備え、冷凍睡眠(コールドスリープ)に入りました。

夢に見るのは、まだ見ぬ故郷、緑豊かなヒガラの風景…。

レイチェルたちの砂漠での死闘は、クーシャンに自分たちのルーツを思い出させ、再び星空を見上げる勇気を与えました。

でもね、それは同時に、銀河全体を巻き込むことになる、さらなる試練、想像を絶する悲劇、そして壮大な戦争の始まりを告げる、運命の鐘の音でもあったんです。

故郷への道は確かに示されました。

でも、その先に待っていたのは、彼らが想像していたような希望に満ちた旅路ではなかったのです…。

帰郷への旅:星屑の海を渡る孤独な方舟(『Homeworld』)

カラク暦1206年(銀河暦だと9500年らしいです)。

カラクの赤い大地が見守る中、軌道上の巨大ドック「スキャフォールド」から、ついにその全貌を現す、巨大な、巨大すぎる船。

全長数キロメートルにも及ぶ、まるで山脈が宇宙に浮かんでいるかのような威容を誇る、巨大移民船マザーシップ

約60年という長い歳月、そしてカラクの全てのキースが持てるもの全て――技術、資源、労働力、そして祈り――を注ぎ込んで完成させた、クーシャン民族の未来そのものを乗せた、たった一隻の方舟です。

艦内には、この前代未聞の航海を支えるための精鋭クルー24万人、そして、故郷ヒガラの土を踏む日を夢見て、長い眠りについている冷凍睡眠移民60万人。

彼らの目的は、ただ一つ。

3000年前に、彼らの祖先が理不尽に追われた場所、銀河の中心に輝くはずの伝説の故郷、ヒガラへの帰還。

この、民族の存亡そのものを賭けた、あまりにも重すぎる大航海の指揮官に選ばれたのは、一人の若き女性でした。

天才的な神経科学者、カラン・スジェット(Karan S’jet)

そう、あの砂漠で道を切り開いたレイチェル・スジェットの子孫(かもしれない)とされる人物です。

彼女は、この途方もない重責を全うするために、常人には理解も想像もできないような、究極の自己犠牲を払うことを決断します。

それは、自らの生身の肉体を放棄し、その神経系の全てを、マザーシップの中枢コンピューターネットワークと直接、そして不可逆的に接続すること。

つまり、文字通り「艦(ふね)と一体化」するということだったんです。

彼女の意識は、もはや肉体という檻から解放され、マザーシップという巨大な身体そのものとなり、無数のセンサーを通して外部宇宙を認識し、思考と同じ速度で艦隊全体を指揮する…。

それは、この複雑怪奇で、おそらくは危険に満ちた航海を成功させるための、最も効率的な、そして最も非人間的な選択でした。

「アンバウンド(Unbound:束縛されざる者)」と呼ばれるようになった彼女の存在そのものが、この旅がいかに異常で、いかに切実なものであるかを物語っていました。

艦隊司令(Fleet Command)となったカランの意識は、マザーシップのブリッジ(というより、彼女自身がブリッジそのもの)から、ガイドストーンが示す故郷への道筋を、静かに、そしておそらくは計り知れない孤独と共に、見つめていました。

クーシャンの、そしてカラン・スジェット自身の、新たな、そしてあまりにも過酷な歴史の幕が、今、上がろうとしていました。

計画通り、マザーシップは搭載されたカー・トバ由来のハイパースペース・コアを咆哮させ、最初の超光速ジャンプを実行します。

時空のトンネルを駆け抜け、未知の星系へ!故郷への、記念すべき第一歩!…のはずでした。

しかし、ジャンプ完了直後、カランの意識に流れ込んできたのは、歓喜の完成報告ではなく、母星カラクからの、絶望と恐怖に染まった緊急通信でした。

「カラクが…カラクが攻撃されている!軌道上から…無数の…!ああ、神よ、助け…!ギャァァァ!」

断末魔の悲鳴、全てを破壊する爆音、そして、プツリと途切れる信号。

同時に受信した、ノイズ混じりの断片的な映像データが映し出したのは、信じられない、信じたくない、地獄そのものの光景でした。

空を覆い尽くさんばかりの正体不明の敵艦隊、そこから雨のように降り注ぐ無慈悲な質量爆弾。

それによって、惑星全土が瞬く間に炎に包まれ、赤い大地が黒く焦げ付き、大気は燃え上がり、生命の存在を一切許さない灼熱地獄へと変貌していく、母星カラクの最期の姿。

地上に残っていた数億の同胞、愛する家族、かけがえのない友人たちが、一瞬にして宇宙の塵と化していく様を、マザーシップのクルーたちは、ただ呆然と、モニターの前で立ち尽くすことしかできませんでした。

ほんの数時間前まで、自分たちがいた場所、生まれ育った故郷は、もう、この宇宙のどこにも存在しない…。

後に「カラク大虐殺(The Kharak Genocide)」として、銀河の歴史に悪名高く記録されることになるこの事件は、マザーシップに乗る60万人の生存者――最後のクーシャンとなった彼ら――の心に、決して癒えることのない深い悲しみと喪失感、そして骨の髄まで焼き付くような、燃えるような復讐心を刻み込んだのです。

絶望の淵に突き落とされた彼らに、追い打ちをかけるように、新たな悪夢が襲いかかります。

マザーシップがジャンプアウトしたばかりのこの宙域には、まるで彼らの到着を正確に予測していたかのように、ターキン海賊(Turanic Raiders)と名乗る、略奪と破壊を好む好戦的な傭兵艦隊が姿を現したのです。

しかも、彼らは、マザーシップの航路を偵察するために先行していたクーシャンの支援艦“カース・セリム”(Khar-Selim)をすでに撃破しており、その無残な残骸が、マザーシップのセンサーに冷たく映し出されました。

これは偶然じゃない。

明らかに、我々を狙った罠だ――カランは、個人的な悲しみや怒りを押し殺し、アンバウンドとしての冷徹なまでの冷静さで指揮を執り、性能で勝るマザーシップの力(と、おそらくはカラクの造船技術者たちの意地)によって、辛くもこの最初の襲撃者を撃退します。

しかし、状況は最悪を通り越していました。

もはや帰るべき場所は物理的にも精神的にも失われ、彼らは文字通り、広大な宇宙に漂流する、最後のクーシャンとなってしまったのです。

ヒガラへの旅は、希望に満ちた民族大移動から、種族の存亡そのものを賭けた、必死の、そして孤独な逃避行へと、その意味をあまりにも残酷に、そして劇的に変えたのでした。

背後には、燃え落ちた故郷の忌まわしい残像。

前方には、何が待ち受けているのか皆目見当もつかない、未知の脅威に満ちた星々の海。

彼らの、本当の旅が始まりました。

絶望的な状況の中でも、彼らは立ち止まるわけにはいきません。

なぜなら、立ち止まることは、そのまま種族の絶滅を意味するからです。

マザーシップ艦隊は、故郷ヒガラへの道筋を示すガイドストーンだけを唯一の頼りとして、星々の海を前へ、前へと進み続けます。

その長く、孤独で、危険に満ちた旅の途中で、彼らは運命的な出会いを果たします。

古代から銀河を旅し、多くの種族から賢者として、あるいは不可解な存在として知られる、謎めいた交易種族ベントゥシ(Bentusi)との遭遇です。

まるで都市そのものが宇宙を航行するかのような巨大な港船(Harbor Ship)に乗り、集合意識として悠久の時を生きる彼らは、自分たちと同じように、かつて故郷を追われ宇宙を放浪した経験を持つ(とされる)クーシャンの悲劇的な境遇に、深い同情と共感を示し、彼らに貴重な援助の手を差し伸べます。

それは、強力なイオン砲(Ion Cannon)技術をはじめとする、当時の銀河標準を遥かに超える先進的な兵器テクノロジーであり、そして何よりも、彼らが今まさに直面している絶望的な状況の、その背景にある冷徹な真実に関する情報でした。

ベントゥシは、カラクを滅ぼした真の敵、その名を告げます。

それは、この銀河の広大な領域を恐怖と圧倒的な軍事力で支配する、銀河帝国タイダン(Taiidan Empire)そのものである、と。

なぜ、タイダン帝国が、辺境の、しかも星間航行技術を持たないはずのカラクを、そこまで徹底的に破壊する必要があったのか?

その理由は、3000年前に、彼らがクーシャンの祖先に対して一方的に押し付けた、屈辱的な条約にありました――「クーシャンは二度と超光速航行技術を開発・保有してはならない」

マザーシップの建造と、今回のハイパースペース・ジャンプは、この古(いにしえ)の、しかしタイダンにとっては絶対的な禁忌を破る行為と見なされたのです。

タイダン帝国の冷酷にして猜疑心が強く、そして晩年は狂気に蝕まれていたとされる支配者、皇帝リーストゥーIV世(Riesstiu IV the Second)は、これを帝国に対する許し難い反逆行為、そして将来的に帝国の支配を脅かしかねない危険な兆候と断じ、見せしめとして、そして脅威の芽を完全に摘み取るために、カラクの完全なる惑星規模での殲滅――ジェノサイド――を命じたのでした。

故郷へ帰ろうとした、ただそれだけの、人間として、あるいは知的生命体として当然の願いが、クーシャンを銀河帝国に対する大逆罪人の立場へと追いやり、彼らは、勝ち目など万に一つもないと思えるほどの、圧倒的な戦力差を持つタイダン帝国との、絶望的な全面戦争へと、否応なく引きずり込まれてしまったのです。

でもね、どんなに暗い夜でも、どこかに星は輝いているものなんですよ。

彼らは決して、完全に孤独だったわけではありませんでした。

ヒガラへと続く、長く、険しく、そして血塗られた道のりの上で、マザーシップ艦隊は様々な出会いと別れを経験し、少しずつですが確実に力を蓄え、そして銀河という世界の複雑な真実を知っていくことになります。

カデッシュ教団(The Kadesh)との悲劇

広大な星雲「グレート・ネビュラ」の奥深く、あらゆるセンサーも通信も役に立たなくなるような、隔絶された空間で、彼らは予期せぬ、そして衝撃的な同族との遭遇を果たします。

カデッシュと名乗るその集団は、驚くべきことに、同じく3000年前にヒガラから追放されたクーシャンの末裔だったのです。

しかし、彼らは長い年月の間に外部世界との接触を完全に断ち、この星雲そのものを侵すべからざる聖域として崇める、排他的で、攻撃的で、そして狂信的なカルト教団へと変貌を遂げていました。

「星雲に入る者は浄化されるべし!」――彼らは、同胞であるはずのマザーシップ艦隊に対して、有無を言わさず襲いかかってきます。

カランは、かつての同胞との対話を必死に試みますが、彼らの狂信はあまりにも深く、そしてその戦闘能力は驚くほど高く、やむなく、生き残るためには、悲劇的な殲滅戦へと突入せざるを得ませんでした。

結果的にカデッシュ艦隊を壊滅させてしまいますが、それは失われた同胞との、あまりにも哀しく、そして虚しい再会でした。

この出来事は、故郷を失い、孤立することが、いかに知的生命体の精神を歪め、狂気へと至らせるかという恐ろしい現実を、カランとクルーたちに改めて痛感させました。

もしかしたら、クーシャンも一歩間違えれば、こうなっていたのかもしれない…。

エルソン大佐(Captain Elson)との希望の出会い

一方で、絶望の中にも、確かな希望の光となる出会いもありました。

全てのタイダン人が、皇帝の狂気と残虐行為に盲従していたわけではなかったのです。

タイダン帝国軍の内部にも、皇帝の非道な行い――特にカラク大虐殺のような常軌を逸したジェノサイド――に強い疑問を抱き、自らの良心に従って反旗を翻す者たちが、少数ながら存在していました。

その代表格が、勇敢にして高潔な人格を持つ軍人、エルソン大佐でした。

彼は、自らが指揮する艦隊を率いて帝国から離反し、皇帝打倒を目指すレジスタンス活動を行っていました。

カラン率いるマザーシップ艦隊は、偶然にも彼の艦隊と接触し、帝国軍の追撃によって窮地に陥っていた彼らを救出します。

共通の敵である皇帝リーストゥーIV世を打倒するという目的のために、本来であれば敵同士であるはずのクーシャンとタイダン反乱軍は、歴史的な、そして極めて重要な共闘関係を結ぶことになります。

この出会いは、単に戦術的な利点をもたらしただけでなく、種族間の憎しみを超えた協力の可能性を示し、さらに、後にタイダン帝国が崩壊した際に、より民主的で平和的な新たな国家、タイダン共和国(Taiidan Republic)が誕生する上での、決定的な礎となったのです。

憎しみの連鎖を断ち切る可能性が、ここに見えた瞬間でした。

ベントゥシから供与された先進的なイオン兵器技術、エルソン大佐らタイダン反乱軍との予想外の協力関係、そして何よりも、失われた故郷ヒガラを奪還するという、決して揺らぐことのない民族全体の悲願と覚悟。

それらが、艦と一体化し、超人的な情報処理能力と戦略的思考を発揮するカラン・スジェットの卓越した指揮能力と結びつき、奇跡的な化学反応を起こします。

絶望的としか思えない戦力差にもかかわらず、クーシャン艦隊は時に大胆な奇襲をかけ、時に巧妙な陽動作戦を展開し、帝国の追撃艦隊を翻弄し、あるいは真正面から打ち破りながら、一光年、また一光年と、着実に、そして力強く、故郷ヒガラへと近づいていきます。

艦隊に乗り組む全ての兵士、技術者、そして眠り続ける移民たちの心の中には、燃え落ちた母星カラクの忌まわしい幻影と、まだ見ぬ故郷ヒガラの緑豊かな大地への焦がれるような想いが、常に同居していました。

そして、ついに、ついにその瞬間が訪れます。

数えきれないほどの星系を越え、想像を絶する距離と時間を、血と涙と犠牲の上に乗り越えて旅したマザーシップ艦隊は、ついに彼らの最終目的地、3000年前に祖先が追われた場所、銀河の中心に輝くヒガラ太陽系の宙域に到達したのです!

しかし、感動に浸り、安堵の息をつく暇など、彼らには与え られませんでした。

約束の地であるはずの故郷の、その青く美しい空の下には、タイダン帝国の最後の、そして最強の切り札が、彼らを待ち構えていたのです。

皇帝リーストゥーIV世自らが座乗し、その狂気と傲慢さを体現するかのような、山のように巨大で、おびただしい数の砲塔を備えた超弩級旗艦(Super Flagship)。

その圧倒的な威容は、まるで、3000年の時を超えて故郷の土を踏もうとする者たちのささやかな希望を、根こそぎ踏み潰そうとするかのようでした。

ヒガラの、どこまでも青く美しい大気を背景に、銀河の歴史の転換点となるであろう、最後の、そして最大の決戦の火蓋が切って落とされます。

数においても、個々の艦船の性能においても、そして補給線においても、クーシャン艦隊は圧倒的に不利でした。

しかし、彼らにはもはや失うものは何もありません。

あるのは、背水の陣で臨む覚悟と、3000年間の追放の屈辱を晴らし、カラクで虐殺された同胞たちの無念を胸に、何としてもこの故郷を取り戻すのだという、鋼鉄よりも固い決意だけでした。

カラン・スジェットの、もはや神懸かり的とも言える冷静沈着かつ時に奇抜な采配、死をも恐れずに敵艦に突撃していく戦闘機パイロットたちの不屈の闘志、ベントゥシから託されたイオンキャノンの青白い閃光、そしてエルソン大佐率いるタイダン反乱軍の決死の援護。

それら全てが、奇跡という名の歯車を回し始めます。

激しい砲火が虚空を埋め尽くし、次々と味方の艦船が爆発の光の中に消えていく。

その一つ一つの尊い犠牲が、勝利への道を一歩ずつ切り開いていきます。

そしてついに、クーシャン艦隊は皇帝旗艦へと肉薄し、持てる全ての火力を、怨念と希望を込めて集中させ、その巨大な船体を内側から打ち砕くことに成功します!

狂気の皇帝リーストゥーIV世は、自らの巨大なエゴの象徴と共に、宇宙の塵となり果てました。

絶対的な指導者を失ったタイダン帝国軍の残存艦隊は、統制を完全に失い、混乱のうちに潰走していきました。

3000年という、気の遠くなるほど長きに渡る追放の歴史は、この瞬間、ついに、本当に終わりを告げました。

血と涙、そして数えきれないほどの尊い犠牲の、その先に、クーシャンはついに、夢にまで見た真の故郷、ヒガラの緑豊かな大地を、その裸足で踏みしめることができたのです!

マザーシップ内で、長い長い冷凍睡眠から目覚めた同胞たちは、目の前に広がる、信じられないほど美しく、生命に満ち溢れた約束の地の光景に、歓喜の声を上げ、涙を流します。

しかし、その喜びも束の間、彼らは同時に、もう二度と帰ることのできない母星カラクの完全な喪失という耐え難い事実と、そこに残してきたであろう愛する家族や友人たちの死という、あまりにも過酷な現実に直面し、深い悲しみと、埋めようのない喪失感に打ちひしがれることになります。

新天地ヒガラでの国家再建は、希望に満ちた未来への第一歩であると同時に、カラク大虐殺によって民族全体の魂に深く刻まれたトラウマを、どのように癒やし、乗り越えていくかという、極めて困難な課題も同時に抱えることになりました。

一部の過激な者たちの間では、タイダンという種族全体への強い復讐心が燃え上がり、この虐殺の記憶は、ヒガラ人(彼らはもはや砂漠の民クーシャンではなく、故郷の民ヒガラ人と呼ばれるようになります)の集合的記憶の中に、暗く、重く、そして決して消えることのない影を落とし続けることになるのです…。

それでも、彼らは故郷を取り戻しました。

星屑の海を、たった一隻で、孤独に渡り続けた巨大な方舟の、長く、そしてあまりにも壮絶な旅は、ここに一つの、しかし決して完全なハッピーエンドではない、新たな始まりの場所へと辿り着いたのでした。

再興と新たなる火種:忍び寄る有機的恐怖(『Homeworld: Cataclysm/Emergence』)

ヒガラ奪還!…と、まあ、めでたしめでたし、で終わりたいところですが、人生そんなに甘くないんですよねぇ。

ましてや、ここは広大で、何が起こるか分からない宇宙空間。

ヒガラを取り戻してから約15年、銀河暦だと9525年頃のお話です。

ヒガラの人々は、そりゃあもう必死で故郷の再建と新しい社会作りに励んでいました。

新しい政府として新ダイアミド評議会ができたり、惑星の環境を住みやすくしたり(テラフォーミングってやつですね)、新しい街を作ったり。

かつての宿敵、タイダン帝国は皇帝が倒れたことでガタガタになって、エルソン大佐たちが中心になって作ったタイダン共和国とは、「まあ、色々あったけど、これからは仲良くやろうぜ」って感じで和平を結びました。

でも、まだ皇帝陛下バンザイ!な帝国残党(インペリアリスト)もあちこちにいて、ちょっかい出してくるから、完全に平和ってわけでもなかったんですけどね。

ヒガラ社会の中でも、色々と変化がありました。

カラク時代からの氏族(キース)制度は続いたんですが、やっぱりヒガラに来てからの人口とか、経済力とか、そういうので力関係が変わってきちゃって。

大きなキース、例えば軍事力で有名なマナーン氏族なんかは、小さいキースを吸収合併していく動きが目立ってきます。

まあ、効率を考えたら仕方ないのかもしれないけど、小さいキースからしたら、「俺たちの伝統がなくなる!」って感じで、ちょっとギスギスした雰囲気もあったみたいですね。

そんな中、「うちはデカいとこには吸収されんばい!」って頑張ってたのが、ソムタウ氏族(Kiith Somtaaw)

カラク時代は、どちらかというと地味~な採掘専門の小さなキースだったんですが、独立心が強くて、他の弱小キースを逆に保護したりして、独自の勢力を築いていったんです。

真面目で技術力も高いってことで、評議会からも一目置かれるようになって。

特に、あの初代マザーシップ(引退後は軌道上のドックになってた)を使わせてもらえるようになったのは大きかった。

それで、大型の採掘兼精錬艦“クーン=ラン”(Kuun-Lan)なんていう、ソムタウの力の象徴みたいな船も作っちゃったりしてね。

この、ちょっとマイペースだけど実直なソムタウが、まさか銀河全体を揺るがすトンデモない事件の中心になるなんて、この時は誰も思ってもみなかったでしょうねぇ。

あ、そうそう。

この頃、ヒガラの科学者たちは、あのカー・トバで見つかったハイパースペース・コアについて、すごいことに気づき始めてました。

あれ、単なるエンジンじゃなくて、大昔に銀河を支配してたっていう伝説の超種族プロジェニタ(Progenitor)が、銀河のあちこちにわざと残した「三つのコア(The Trinity)」の一つなんじゃないかって。

これらのコアは、単体でもすごいパワーを持ってるけど、三つ揃うと、銀河中に張り巡らされた古代のワープゲート網(ハイパースペース・ゲート)をコントロールできて、さらにヤバい力が解放されるんじゃないか…?なんて噂が囁かれ始めてたんです。

まあ、この時点ではまだSFみたいな話でしたけどね。

…まさか、これが後にあんな大騒動を引き起こすとは…。

さて、本題です。

ヒガラに訪れたかに見えた平和を、根底から覆すような、気色悪~い事件が起こります。

後に“ビースト戦役(The Beast War)”と呼ばれることになるこの出来事は、ちょっと不遇な扱いを受けがちだけど、絶対に無視できない重要な物語、『Homeworld: Cataclysm』(後に権利関係で『Homeworld: Emergence』って名前になったやつ)で描かれました。

全ての始まりは、我らがソムタウ氏族の主力艦“クーン=ラン”が、タイダン帝国残党との小競り合いの後片付け中に、宇宙空間で妙ちくりんな漂流物を拾ったことでした。

なんか、人工衛星のポッドみたいな形してるんだけど、表面に赤黒くてヌメヌメした、生き物みたいなのがへばりついてる…。

「何じゃこりゃ?」って感じで、とりあえず回収しちゃったんですね。

で、氏族の偉い人たち(長老会)の指示で、こっそり研究艦“クリー=サン”に運んで調べようとしたら、待ち合わせ場所で待ってたのは、クリー=サンを人質(船質?)にとったターキン海賊!「お宝よこせ!」って感じで襲いかかってきたんです。

まあ、クーン=ランも必死で戦って、なんとかクリー=サンを取り返したんですが、問題はその後ですよ。

艦内で、あのヌメヌメ付きポッドの調査を始めた途端、原因不明の、でも明らかにヤバい「侵食」が始まったんです!

金属の壁も、電子回路も、そしてうっかり触っちゃったクルーも、まるで悪性のカビかガン細胞みたいに、赤黒い有機物にどんどん蝕まれていく!

しかも、そのスピードが半端ない!あっという間に艦の一部が制御不能に!「こりゃダメだ!」ってんで、クーン=ランは泣く泣く、感染が広がったセクションを丸ごと切り離して、宇宙空間にポイッ!と捨てたんです。

…が!これで終わりじゃなかった。

切り離されたモジュール、死ぬどころか、なんか赤黒い肉塊と歪んだ金属がグチャグチャに混ざったような、おぞましい怪物みたいな姿に大変身!

しかも、「We...live...(我々は…生きている…)」なんて、ホラー映画みたいな通信まで送ってくる始末!

さらに最悪なことに、こいつ――後に「ビースト(The Beast)」と呼ばれることになる――は、周りの船に近づいて接触したり、緑色の気色悪いビームを照射したりすることで、次から次へと「感染」を広げていったんです!

感染させられた船は、もう元の船じゃない。

AIも乗組員も全部ビーストの言いなりになって、見た目もグロテスクに変わり果て、かつての仲間だろうが敵だろうが関係なく襲いかかって、さらに感染を広げていく…。

まさに、自己増殖するバイオハザード!悪夢そのものですよ、こんなの!

クーン=ランは、この突如現れた悪夢の存在ビーストと、相変わらず邪魔してくるターキン海賊と、この混乱に乗じて何か企んでるタイダン帝国残党っていう、もう何が何だか分からないカオスな戦場から、命からがら逃げ出します。

でも、どうすりゃいいのよ、この状況!?生物なの?機械なの?目的は何なの?さっぱり分からない!

艦長は、最後の望みを託して、銀河の賢者として知られるベントゥシに助けを求めることにします。

ところが!ベントゥシの交易宙域にたどり着いたソムタウが見たのは、信じられない光景でした。

あの賢くて強力なはずのベントゥシが、無数の小型ビーストに襲われて、大苦戦してるじゃないですか!

ソムタウと、救援要請を受けて駆けつけたヒガラの大氏族、マナーン氏族の艦隊が必死で助けようとするんですが、敵の数が多すぎる!

そして、ついに一隻の感染フリゲートがベントゥシの巨大な港船に接近し、あの忌まわしい緑色の感染ビームを撃ち込むことに成功しちゃったんです…!

自分たちがビーストに汚染され始めたことを悟ったベントゥシは、潔かった。

「我々は…囚われの身とはならない!(We will not be imprisoned!)」――その誇り高い最後の言葉と共に、古代から銀河を見守ってきた賢者の船は、自ら核融合炉を暴走させ、大爆発!宇宙の塵となって消えてしまいました…。

あまりにも壮絶な最期。

このベントゥシの犠牲は、ソムタウのクルーたちに深い悲しみと衝撃を与えると同時に、「ビーストだけは絶対に許さん!」という、燃えるような決意を固めさせたのでした。

悲しんでる暇なんてありません。

ソムタウとマナーンの連合艦隊は、ビーストに対抗する手段を探し続けます。

タイダン帝国残党がこっそり使ってた秘密基地を叩き潰した際、そこでビーストの感染を抑える技術データと、古代兵器の技術を応用した超強力なエネルギー砲「包囲砲(Siege Cannon)」の設計図を手に入れます。

これで勝てる!…と思ったんですが、クーン=ランから分離して、周りの船や残骸を吸収しまくって巨大化した「ビースト母艦」には、この包囲砲も決定打にはなりませんでした。

硬すぎ!

もうダメか…と思った時、艦長は諦めなかった。

彼は再び、ベントゥシを探すことを決意します。

だって、彼らなら何か知ってるかもしれないし、もっとすごい技術を持ってるかもしれないから!

広大な宇宙を探し回り、ようやく別のベントゥシ船団を見つけ出すんですが、なんと彼ら、最初のベントゥシの犠牲を知って、ビーストが怖すぎて、「こんな銀河、もうイヤだ!」って、銀河系から脱出しようとしてたんです!

さあ、どうするソムタウ艦長!?…彼の取った行動は、無茶苦茶でした。

なんと、ベントゥシの脱出ルートに立ち塞がって、物理的に邪魔をするっていう荒業!「おいおい、そりゃないぜ!」ってベントゥシも怒りますわな。

一触即発!

でも、艦長は必死に訴えます。

「このままじゃ銀河が全部ビーストに食われちまう!あんたたちの力が必要なんだ!」って。

その熱意と、ソムタウが見せた覚悟と犠牲に、さすがのベントゥシも心を動かされたのか、最終的には協力を約束してくれます。

そして、ベントゥシの超技術でクーン=ランの包囲砲はメチャクチャにパワーアップ!ついにビースト母艦の装甲もぶち抜ける、真の切り札が完成したんです!

そして、最終決戦!舞台は、タイダン共和国が作った巨大な武装衛星「ノマド・ムーン(Nomad Moon)」がある宙域。

ところが、このノマド・ムーンもすでにビーストに感染済み!デカい図体で味方に襲いかかってくる始末!

さらに悪いことに、タイダン帝国残党が、古代遺跡から掘り起こして復活させたっていう、とんでもないラスボスが登場!その名も“ナガロック(Naggarok)”

こいつ、なんと100万年前に別の銀河からやってきて、中にビーストの元凶を潜ませたままカラクの近くに漂着、それをガルシエンが神聖なものとして崇めてたっていう、超ヤバい代物だったんです!

タイダン残党はこいつでビーストを操ろうとしたけど、逆に飲み込まれちゃった、と。

もうね、敵が多すぎる!

ビースト、感染したノマド・ムーン、ナガロック、そして自暴自棄になったタイダン残党!まさに地獄絵図!

でも、ソムタウは諦めなかった!ベントゥシが最後に託してくれた超強力な戦闘機「スーパー・アコライト」も生産して、艦隊総出で反撃開始!

そして、ついにクーン=ランの改良型包囲砲が火を噴き、元凶である超巨大母船ナガロックの核を撃ち抜きます!

絶対的なリーダーを失ったビーストのネットワークは崩壊し、個々のビーストは活動停止。

銀河全体を蝕もうとしていた有機的な悪夢は、ここに完全に消滅したのでした!

いやー、長かった!この戦いで、地味な採掘氏族だったソムタウは、一躍ヒーローに!

“ビーストスレイヤー(Beastslayer:怪物退治人)”なんて呼ばれちゃって、ヒガラ社会での地位も発言力も爆上がり!

ヒガラは、外からの敵(タイダン)だけじゃなく、内側から生まれた異形の怪物(ビースト)をも打ち破り、これで本当に平和が…来ると思ったんですけどねぇ。

実は、このビースト騒動の裏で、あの「三つのコア」を巡る、もっと大きな運命の歯車が、静かに、でも確実に回り始めていたんです。

次なる危機は、宇宙の怪物じゃなく、もっと古くて、もっと根源的な「伝説」の中からやってくることになるのでした…。

(※『Cataclysm/Emergence』のストーリーは、長らく正史か外伝かの位置づけが曖昧でしたが、開発元や権利元の変遷を経て、近年の公式見解や『Homeworld 3』での関連要素の登場などにより、現在はHomeworldユニバースの重要な一幕を成す公式の歴史(カノン)の一部として扱われています。

)

銀河終末の予言:三つのコアが導く避けられぬ運命(『Homeworld 2』)

ビーストとの悪夢のような戦いから100年以上が過ぎ、ヒガラ帰還からは約115年。

銀河暦9625年頃のお話です。

ヒガラ社会はすっかり落ち着きを取り戻し、再建も進んで、銀河の中でも結構な有力国家になっていました。

初代マザーシップの冒険譚は、子供たちが寝る前に聞かせられる英雄伝説になり、カラクでの苦しい生活や、タイダン帝国との死闘の記憶も、だんだんと風化しつつある…そんな、まあまあ平和な時代でした。

でもね、平和ってのは、嵐の前の静けさだったりするんですよね。

銀河には、古くから、それこそヒガラがまだ故郷だった頃から伝わる、不吉な予言があったんです。

「終末の時(The End Time)」に関する伝承。

色々な種族が、それぞれの言葉で語り継いできたその予言の中心には、いつも決まって二つのキーワードがありました。

「三つのハイパースペース・コア」と「サジューク」。

曰く、「失われし三つのコアが再び一つとなる時、永き眠りより目覚めし偉大なる“サジューク(Sajuuk)”が帰還し、星々を裁くだろう」と。

カラクの民にとっては、サジュークは自分たちの種族を導く創造神の名前でした。

でも、もっと広い銀河のスケールで見ると、サジュークは「星々を創り、そして気まぐれに破壊する、古代より来たりし全能の存在」として、畏敬の念と共に、計り知れない破滅をもたらす者としても恐れられていたんです。

まるで、旧約聖書の神様みたいですよね。

恵みも与えるけど、怒らせたらメチャクチャ怖い、みたいな。

ヒガラの人々は、この時点で三つのコアのうち、二つを持っていました。

一つは、カラクの砂漠、カー・トバで見つけた、彼らを故郷に導いたオリジナルの第二のコア

もう一つは、ベントゥシが、おそらくはビースト戦役の折か、あるいはそれより前に、未来を託す証としてヒガラに譲り渡した第一のコア

(まあ、どのコアがいつどうやって手に入ったか、細かいところはちょっと曖昧なんですけど、とにかくヒガラは二つのプロジェニタ・コアを持って研究してた、ってことです)。

ベントゥシはかつて、「三つのコアが揃うことは、とんでもない災いを招くから気をつけなさいよ」と警告してくれていたんですが、平和な時代が長く続いて、科学技術にも自信満々だったヒガラの人々の多くは、「ふーん、古い迷信でしょ?」くらいにしか考えていませんでした。

危ない、危ない…。

しかし、その予言は、彼らが知らない銀河の遥か彼方、東方の未踏宙域で、静かに、そして恐ろしいほど着実に、現実のものとなりつつありました。

そこは「ヴェイガー・リーチ」と呼ばれる広大な領域。

数多くの好戦的な遊牧民族や氏族が割拠する無法地帯でしたが、そこに現れた一人のカリスマ的な指導者が、彼らを武力と恐怖、そしてある種の宗教的な熱狂で統合し、強大な軍事国家を築き上げていました。

その民族の名はヴェイガー(Vaygr)

そして、彼らを率いる冷酷にして野心的な大指導者の名はマカーン(Makaan)

彼は、長年にわたる執念深い探索の末、ついに予言に謳われた最後の「第三のコア」を発見し、その計り知れない力を手に入れてしまったのです!

第三のコアが持つ古代の知識(あるいは、コア自身が見せる幻影や囁き)に完全に魅了されたマカーンは、自分こそがサジュークの到来を告げ、その道を切り開く選ばれし者、「サジューク・カー(Sajuuk-Khar)」であると宣言します。

そして、彼は壮大すぎる、というか狂気に満ちた野望を抱きます。

古代の予言を、自らの手で成就させること。

すなわち、残る二つのコアを奪い取り、三つのコアを揃えることでサジュークを召喚し、その絶対的な力を独占する。

そして、この銀河全体をヴェイガーの旗の下にひれ伏させ、永遠に支配するのだ、と。

その野望を実現するため、彼は第三のコアの力で強化されたヴェイガーの全軍勢を結集させ、西方銀河――つまり、ヒガラとその同盟勢力が存在する領域――への、大規模かつ電撃的な全面侵攻を開始したのです。

彼の最終目標はただ一つ、残る二つのコアが眠る場所、ヒガラそのものでした。

銀河暦9625年。

ヒガラの青く澄み渡った空は、前触れもなく、おびただしい数の赤黒い艦影によって、まるで不吉な日食のように覆い尽くされます。

ヴェイガーの大艦隊による、奇襲攻撃!その圧倒的な物量と、第三のコアの力によって未知の強化が施されたと思われる新型兵器の前に、100年以上の平和の中でやや牙を抜かれていたヒガラの防衛艦隊は、なすすべもなく次々と撃破されていきます。

かつてタイダン帝国を打ち破った栄光も、今となっては遠い昔話。

ヒガラは建国以来、最大の、そしておそらくは最後の存亡の危機に、あまりにも突然、そして無慈悲に直面することになったのです。

でも、ヒガラ人も指をくわえて滅亡を待っていたわけじゃありませんでした。

もしかしたら、銀河のどこかで燻る戦火の匂いを嗅ぎ取っていたのか、あるいは純粋にプロジェニタの遺産への探求心がそうさせたのか…。

彼らは、来るべき日に備えて、初代マザーシップを超える性能を持つ、第二世代の新型マザーシップの開発・建造を、極秘裏に進めていたんです。

小惑星帯の奥深くに隠された秘密工廠「タニス基地」で、まさに完成間近だったその最新鋭母艦の名は「プライド・オブ・ヒガラ」(Pride of Hiigara)

初代の基本コンセプトは受け継ぎつつ、船体の各セクションをモジュール化して、戦況に応じて兵装や生産設備をフレキシブルに換装できるという、超革新的な設計。

まさに、ヒガラの技術力の結晶であり、新たな時代の希望の象徴でした。

そして、この艦の心臓部には、ヒガラが保有する二つのプロジェニタ・コアのうちの一つ(第二のコアなのか第一のコアなのか…ゲーム中でもハッキリしないんですよねぇ。

まあ、とにかく重要な方のコアです!)が、動力源兼ナビゲーションシステムとして搭載されていました。

しかし、ヴェイガーの侵攻は、ヒガラ側の予想を遥かに超える速さでした。

プライド・オブ・ヒガラが完全に完成し、万全の体制で出撃する前に、タニス基地は敵の大部隊に発見され、包囲されてしまいます。

陥落は時間の問題。

もはや、万事休すか…!?

基地司令官は、苦渋の、しかし唯一の選択をします。

プライド・オブ・ヒガラは、まだ接続が不完全だった外部ドックや一部の未完成モジュールを強制的にパージ!基地が自爆シークエンスに入る中、文字通り火事場の馬鹿力で緊急発進(クラッシュローンチ)を敢行します!

そして、そのブリッジ、いや、艦の中枢神経ネットワークには、あの伝説の女性が、再び接続されていました。

カラン・スジェット

初代マザーシップを率いて奇跡の帰還を果たし、その後は半ば隠居生活を送っていた(と皆が思っていた)彼女でしたが、故郷と民族が再び存亡の危機に瀕した今、黙って見ていることなどできるはずがありませんでした。

彼女は再び、ヒガラの未来を、そしてもしかしたら銀河全体の運命そのものをその双肩に背負うため、100年以上の時を経てさらに深みを増した(であろう)その意識を、新たな母艦プライド・オブ・ヒガラと接続し、「アンバウンド」として戦場に舞い戻ったのです!

燃え盛り、轟音と共に崩壊していくタニス基地を背にして、カランの冷静沈着な指示の下、プライド・オブ・ヒガラはヴェイガーの追撃艦隊を辛うじて振り切り、深宇宙へと脱出します。

母艦と搭載されたプロジェニタ・コアは守られましたが、ヒガラの状況は依然として絶望的。

カランの、これが本当に最後の戦いになるかもしれない、新たな、そして最も過酷な旅が、今、始まりました。

カラン・スジェットに課せられた使命は、二つ。

第一に、あの狂信的なヴェイガーの指導者マカーンを倒し、彼の侵略から故郷ヒガラを守り抜くこと。

第二に、「サジュークの帰還」という古(いにしえ)の予言が、一体何を意味するのか、そして三つのコアが持つ本当の力と、それがもたらすかもしれない破滅的な危険性の正体を解き明かすことでした。

プライド・オブ・ヒガラを旗艦とする、かき集められた新生ヒガラ艦隊は、圧倒的な戦力で迫り来るヴェイガーの追撃艦隊から必死に逃れつつ、反撃のチャンスと、予言の謎を解くための古代の遺物を求めて、銀河各地を転戦する長く、そして極めて危険な情報収集の旅に出発します。

まるで、かつて初代マザーシップが辿った道を、再び繰り返すかのように…。

その苦難に満ちた旅の途中で、彼らは驚くべき古代の遺物を発見します。

それは、プロジェニタが遺したとされる、一種の超知性情報端末、“オラクル(Oracle)”でした。

長い休眠状態にあったオラクルを起動させると、それは三つのコアに関する断片的な、しかし極めて重要な情報と共に、サジュークへと至るための鍵――正確には「サジュークの門」あるいは「サジュークの鍵」の在り処を示す座標、「バラク(Balcora)のゲート」――の場所を指し示したのです!ついに、予言の核心に迫る手がかりが…!

しかし、世の中そんなに甘くありません。

オラクルの起動は、同時に、招かれざる、そして非常に厄介な番人たちをも目覚めさせてしまいました。

それは、プロジェニタが自らの重要な遺跡や施設を、未来の「資格なき者」から守護するために配置していた、自律型の超高性能古代兵器群“キーパー(Keepers)”でした。

目的のためには一切の容赦なく、侵入者を排除しようとする、恐るべき戦闘能力を持つ機械の番人たち。

ヒガラ艦隊は、ただでさえ強大なヴェイガーという敵がいるのに、この太古の殺人マシーンという、予期せぬ、そして極めて危険な第三勢力とも戦わなければならなくなってしまったのです。

もう、踏んだり蹴ったりですよ!

さらに、彼らの旅路において、決定的な、そしてあまりにも悲痛な悲劇が訪れます。

銀河にただ一隻だけ残っていた、最後のベントゥシ母船、Bentusが、あろうことか、プロジェニタのキーパーによる大規模な襲撃を受けている場面に遭遇してしまうのです!

カランは、かつてベントゥシから受けた計り知れない恩義に報いるため、そして彼らなら三つのコアやサジュークについて何か知っているかもしれないという期待を込めて、艦隊の総力を挙げて救援に向かいます。

しかし、キーパーの猛攻はあまりにも激しく、ベントゥシの古代技術をもってしても耐えきれず、ヒガラ艦隊の必死の援護もむなしく、Bentusは致命的な損傷を受け、その最期が目前に迫っていることを悟ります。

ベントゥシは、ヒガラ艦隊に最後のメッセージと、彼らが永きにわたって守り続けてきた第一のコア(あるいは、彼らが最後に保有していたプロジェニタ・コア)を、未来への希望として託します。

「未来を…頼む…(The future... is yours...)」。

その、重く、そして悲しい言葉を残し、銀河の誕生からおそらくは終焉までを見守り続けたであろう、古代種族の最後の生き残りは、自らの船と共に、壮麗な光の爆発の中へと消滅していきました…。

この計り知れない喪失は、カランとヒガラ艦隊に、言葉では言い表せないほどの悲しみと衝撃をもたらすと同時に、ベントゥシが命がけで託したコアを守り、三つのコアを集め、予言の真実に辿り着かなければならないという、もはや逃れることのできない宿命を、改めて強く認識させたのでした。

今や、三つのコアのうち、ヒガラは二つ(自艦搭載のコアとベントゥシから託されたコア)、そしてヴェイガーのマカーンが、最後の「第三のコア」を保有することになります。

役者は、揃いました。

全ての道は、バラクのゲートへと繋がっていました。

予言の成就を、そして銀河の支配を目前にしたマカーンもまた、彼の全艦隊を結集させ、バラク・ゲートが存在する、銀河の深淵とも言える宙域へと進軍していました。

そこで、ついに、カラン・スジェット率いるヒガラ艦隊と、マカーン自らが座乗するヴェイガー主力艦隊との間で、この銀河の未来、そしてサジュークの目覚めの運命を賭けた、最終決戦の火蓋が切って落とされたのです!

マカーンは、第三のコアの力を最大限に利用し、彼の旗艦は通常ではありえないほどの機動力と攻撃力を発揮。

さらに、ヴェイガーお得意の圧倒的な物量作戦で、ヒガラ艦隊を徐々に、しかし確実に追い詰めていきます。

歴戦のプライド・オブ・ヒガラも、度重なる戦闘によるダメージが蓄積し、艦隊全体も壊滅寸前。

まさに、絶体絶命、万事休すかと思われたその時…!

カラン・スジェットには、まだ最後の、そして究極の、そして最も危険な切り札が残されていました。

彼女は決断します。

この絶望的な状況を覆し、マカーンの狂気に満ちた野望を打ち砕くには、もはやこれしかない、と。

自艦プライド・オブ・ヒガラに搭載されていたプロジェニタ・コア。

ベントゥシが最後の希望として託してくれたプロジェニタ・コア。

そして…味方艦隊の多大な犠牲と引き換えに、敵旗艦に決死の強襲・白兵戦を敢行し、マカーンから力ずくで奪い取った、最後の第三のプロジェニタ・コア

ついに、永きにわたって離れ離れになっていた三つのプロジェニタ・ハイパースペース・コアが、プライド・オブ・ヒガラの艦橋(あるいは専用のコア・チャンバー)に、一堂に会したのです!

その瞬間、艦全体が、いや、周囲の空間そのものが、まるで新しい宇宙が誕生するかのような、眩いばかりの純粋なエネルギーの光に包まれます。

三つのコアは互いに共鳴し、融合し、そして、この宇宙の物理法則を超越したかのような、莫大な、計り知れないほどのエネルギーを放出し始めます。

古代より、様々な種族によって語り継がれてきた予言は、今、まさに、この場所で、成就したのです!

カランは、アンバウンドとして増幅されたその精神力の全てをかけて、三つのコアが解き放つ、荒れ狂うエネルギーの奔流を制御し、目の前にある巨大な古代の建造物、バラクのゲートへと、その力を注ぎ込みます。

ゲートは、数千年、あるいは数万年、あるいはそれ以上の長きにわたる沈黙を破り、轟音と共に起動!その中心に、時空の連続体を切り裂くかのような、深淵へと続く裂け目が開かれます。

そして、その裂け目の彼方から、ゆっくりと、しかし、その存在だけで周囲の空間を歪ませるかのような、圧倒的な質量と威厳をもって、伝説としてのみ語られてきた存在が、その姿を現します。

それは、人々が想像していたような、超越的な神や霊的なエネルギー体ではありませんでした。

“サジューク(Sajuuk)”――それは、創造主たるプロジェニタが、自らの叡智と技術の粋を集めて建造し、おそらくは何らかの目的のためにこの銀河に遺した、全長数十キロメートルにも及ぶ、文字通り「超」巨大な弩級戦艦(Dreadnought)だったのです!

その主砲とされる「フェイザー・ランス(Phased Cannon Array)」は、惑星すら一撃で破壊しうると言われ、それは決して誇張や比喩ではないのかもしれません。

まさに、銀河最強、いや、もしかしたらこの既知宇宙において最強の戦闘艦。

サジュークの、絶対的としか言いようのない威容と力の前に、先ほどまであれほど猛威を振るっていたマカーン率いるヴェイガーの大艦隊は、もはや赤子の手をひねるかのように、なすすべもなく蹂躙され、宇宙の塵芥と化して壊滅していきます。

自らの野望が、文字通り一瞬にして打ち砕かれ、完全な敗北を悟ったマカーンは、最後の、そして最も卑劣な悪あがきとして、あるいは自らの破滅と共に、憎きヒガラにも同じ運命を与えようとしたのか、密かに別動隊として潜ませていた複数の惑星破壊ミサイル搭載艦“プラネットキラー”に、ヒガラ本星への一斉攻撃命令を発します。

カラクの悲劇を、二度と繰り返させてはならない――その強い想いを胸に、カランは即座に自らの意識(あるいは制御権)をプライド・オブ・ヒガラからサジュークへと移し、その、もはや物理法則を超越したとしか思えない超光速跳躍能力を用いて、ヒガラ星系へと急行!

故郷の青い空が再び絶望の炎に包まれる寸前で、飛来する全てのプラネットキラー・ミサイルを捕捉し、その圧倒的な火力で撃墜することに成功しました。

ヒガラは、二度目の、そして今度こそ本当に最後の、惑星規模での壊滅の危機から救われたのです!

戦いは、終わりました。

ヴェイガーの脅威は完全に消え去り、銀河支配を目論んだ狂信的な指導者マカーンも、サジュークとの戦闘、あるいはその後の混乱の中で、その野望と共に滅び去ったと伝えられています。

そして、ヒガラは三つのコアを再びその手に取り戻し、さらに銀河最強、いや宇宙最強かもしれない伝説の戦艦サジュークをも手に入れるという、想像を遥かに超えた結果を得ました。

戦後、カラン・スジェットは、再び、そしておそらくは以前にも増して、ヒガラの人々だけでなく、ヴェイガーの侵略に苦しめられていた銀河全体の多くの種族から、救世主として、生ける伝説として、英雄として称賛されることになります。

彼女は、三つのコアとサジュークの持つ、計り知れない力を用いることで、プロジェニタがかつて銀河中に蜘蛛の巣のように張り巡らせ、しかし長い年月の間にその多くが機能停止したり、不安定になったりしていた古代のハイパースペース・ゲート網を、完全に再起動させ、安定化させるという、歴史的な偉業を成し遂げます。

これにより、これまで数週間、数ヶ月、あるいは時には数年を要していた長距離の星間移動が、わずか数日、あるいは状況によっては数時間で可能となり、銀河各種族間の物理的な障壁は劇的に低くなりました。

交流は爆発的に活発化し、交易は空前の規模で促進され、文化や技術の相互交換がかつてない速度で進展します。

銀河は、文字通り、未曾有の平和と繁栄の時代を迎えることになったのです。

この輝かしい時代は、その扉を開いた偉大な立役者であるカラン・スジェットの名を冠して、「サジュークの時代(The Age of S’jet)」あるいは単に「スジェットの時代」と呼ばれ、銀河史における比類なき黄金期として、後世に永く記憶されることになります。

かつて故郷を追われ、砂漠の惑星で細々と生きていた民、ヒガラ人は、今や銀河の平和と秩序を守護する中心的な存在、まさに銀河の守護者(Guardian)へと昇華したのです。

そして、カラン・スジェットの名は、もはや単なる英雄譚を超え、神話の領域へと足を踏み入れようとしていました。

物語は、これ以上ないほどの大団円、輝かしい希望と栄光と共に、一つの頂点を迎えたかに…誰もがそう、信じて疑いませんでした。

しかし、宇宙の深淵は、常に我々のちっぽけな理解を超えた謎と、そして予期せぬ新たな脅威を、その暗闇の中に静かに孕んでいるものなのです…。

消失と未知なる脅威:開かれたゲートの先に待つ深淵(『Homeworld 3』)

いやはや、めでたしめでたし!…って、普通ならここで終わるんですけどねぇ。

「サジュークの時代」ですよ、皆さん!カラン・スジェット様のおかげで、銀河は空前の大フィーバー!

ハイパースペース・ゲート網がバンバン繋がって、今まで辺境扱いだった星系も「あらヤダ、お隣さんじゃない!」ってくらい近くなって、貿易も文化交流も盛んになって、まさにゴールデンエイジ!

カラン様自身も、あのバカでかい伝説の戦艦サジューク(ヒガラでは敬意を込めて“カール=サジューク” (Khar-Sajuuk)、すなわち「サジュークの手」あるいは「サジュークの意志」と呼ばれる)を乗り回して、ゲートの管理やら、たまに起こる小競り合いの仲裁やらで大活躍。

もうね、ヒガラ人、完全に銀河のスターダムですよ。

かつて砂漠で泥水すすってたなんて、誰も信じないでしょうね。

…と、まあ、そんなキラキラした時代が永遠に続くわけがないのが、この世の常、宇宙の常。

この輝かしい平和の時代が、まさかあんな形で終わりを迎えるなんてねぇ…そして、あのカラン・スジェット様自身の運命も、あんなことになるなんて…。

『Homeworld 3』の物語は、この黄金時代の静かな崩壊と、伝説の英雄の謎めいた消失、そして、重すぎるバトンを受け継ぐことになった次世代の、新たな、そしてもっと根源的な戦いを描くことになるんです。

ゲート網がバッチリ稼働して、銀河全体が「いやー、便利になったねぇ」なんて浮かれてたのが、だいたい10年くらい続いた頃でしょうか。

じわじわと、でも確実に、おかしな事が起こり始めたんです。

最初は、銀河の端っこの方、あんまり使われてないようなマイナーなゲートでね。

「あれ?なんかゲートが動かなくなっちゃったよ」とか、「あのゲート通ったはずの輸送船が、いつまで経っても着かないんだけど…どこ行っちゃったの?」みたいな、原因不明のトラブルがポツポツと報告されるようになったんです。

まあ、最初はね、「プロジェニタの古代技術だし、そろそろガタが来たんじゃない?」とか、「辺境だからメンテが行き届いてないんでしょ」とか、そんな感じで、あんまり大きな問題とは考えられてなかったみたいです。

平和ボケってやつですかねぇ。

でも、一人だけ、これがただの故障じゃないって、肌感覚で分かってた人がいました。

そう、我らがカラン・スジェット様です。

彼女は、誰よりもゲート網と、その動力源であるプロジェニタ・コアと深く繋がっていましたからね。

異常が報告されるゲートの周辺で観測される、奇妙なエネルギーの揺らぎ、時空間そのものが不安定になってるような兆候、そして、ノイズに混じって聞こえる、意味不明だけど明らかに人工的なパターンのある通信…彼女は、そこに何か得体の知れない、悪意を持った「意志」の存在を感じ取っていたんです。

心配になったカラン様は、銀河暦9720年頃、公式な許可も待たずに、旗艦カール=サジュークと信頼できる側近だけで構成された艦隊を率いて、こっそりと異常宙域の調査「ベースランナー作戦(Operation Baserunner)」を開始します。

そこで彼女が見たものは、想像以上にヤバい状況でした。

ゲートが物理的に崩壊して消えちゃったり、周りの空間がまるで病気に罹ったみたいにドロドロに変質していく「異常領域」が広がっていたり…。

「何か…何者かが、ゲート網を内側から食い荒らしている…!」。

カラン様はそう確信して、ヒガラ評議会に何度も何度も警告を送るんですが、具体的な敵の姿も証拠もないもんだから、「まあまあ、カラン様、お疲れなんじゃないですか?」みたいにあしらわれちゃう始末。

官僚って、いつの時代も…。

さらにこの頃、カラン様、ちょっと心配になるようなことを言い始めるんです。

「私以外にも、三つのコアと心で通じ合って、ゲートを操れる“ナビゲーター”がいる。

それは…女性の声で、私に直接語りかけてくるの…」って。

周りの人たちは、「えぇ…カラン様、大丈夫?長年のアンバウンド生活と、コアとの接続で、ちょっとお疲れが溜まってるんじゃ…幻聴とか…」って、本気で心配したみたいです。

でも、カラン様本人は、「これは幻じゃない!」って、固く信じて疑わなかった。

一体、彼女は何を聞き、何を感じていたんでしょうね…?

そして、恐れていたことが、最悪の形で現実になってしまいます。

銀河暦9725年。

銀河の新しいフロンティアを目指していた、何百万人もの人々を乗せた大規模な民間移民船団が、ハイパースペース・ゲートを通ってワープしようとした、まさにその瞬間!

ゲート周辺に突如として巨大な空間異常が発生!船団は一瞬にしてそれに飲み込まれ、跡形もなく消滅…生存者ゼロという、未曾有の大惨事が起こってしまったんです!

事故現場には、カラン様がずっと警告していた、物理法則がめちゃくちゃになったような「アノマリー」が、不気味に広がっていました。

さすがにここまで来ると、「単なる事故」で済ますわけにはいきません。

銀河中に衝撃と恐怖が走り、「ヒガラ政府は何やってんだ!」、「カラン・スジェットは何故これを防げなかったんだ!」という非難の声が渦巻きます。

世論に突き上げられる形で、ようやくヒガラ評議会も重い腰を上げ、カラン・スジェットに対して、この「アノマリー現象」の本格的な調査、原因の特定、そして可能であればその脅威の排除を、正式に命じます。

カラン様率いる第5次遠征艦隊――旗艦カール=サジュークと三つのプロジェニタ・コア、そしてヒガラ海軍の文字通りの精鋭たちで構成された、最強の艦隊――は、銀河の未来を、そしておそらくは自分たちの運命をも賭けて、謎が深まるばかりの異常宙域、後に「アノマリー(The Anomaly)」として銀河全体を恐怖に陥れることになる、深淵のような暗黒空間へと、最後の、そして悲壮な覚悟をもって、出発しました。

…しかし。

調査開始から、わずか81日後。

第5次遠征艦隊との、あらゆる連絡が、完全に途絶します。

彼らが突入していった宙域は、まるで生きた腫瘍のように、急速に、そして広範囲に拡大していく、不安定極まりない「アノマリー空間」によって完全に覆い尽くされ、いかなる最新鋭のセンサーも、いかなる決死の救援部隊も、その内部に近づくことすら不可能になってしまいました。

銀河を二度も救った英雄カラン・スジェットと、銀河の平和と繁栄の礎であった三つのハイパースペース・コア、そして伝説の戦艦カール=サジュークは、まるで神隠しにでもあったかのように、突如として、銀河の歴史の表舞台から完全に姿を消してしまったのです…。

ヒガラ情報軍が最後に受信できたのは、カラン様が個人的な記録として残したと思われる、極めて断片的で、そして謎めいた音声ログだけでした。

「私は…戻らねばならない。

“彼女”が…彼女が言った全てが真実ならば……もし本当なら……私は独りじゃない。

……行くしかない。

…「彼女」って誰?独りじゃないってどういう意味?どこへ行くっていうの?疑問ばかりが残りました。

偉大すぎる指導者と、銀河最強の切り札、そして未来への鍵となるコアを、いっぺんに失ってしまったヒガラ社会、そして「サジュークの時代」という安定に慣れきっていた銀河全体は、再び先の見えない混乱と、じわじわと広がるアノマリーへの恐怖に怯える時代へと、逆戻りしてしまったのです。

まるで、振り出しに戻ったかのように…。

カラン・スジェット様が消失してから、さらに20年という長い、長い歳月が流れました(銀河暦9745年頃)。

その間、「アノマリー」は止まるどころか、まるで悪性の癌細胞のように銀河中に転移し続け、かつては多くの人々が暮らし、賑わっていた複数の有人星系を次々と飲み込み、犠牲者の数は億単位では済まないほどに膨れ上がっていました。

もはやこれは、原因不明の自然現象なんかじゃない。

明確な意志を持った、計画的な侵略行為だ――誰もがそう確信していました。

このまま座して死を待つわけにはいかない――ヒガラの新しい世代の評議会は、存亡を賭けた最後の抵抗を決意します。

でも、最大の壁は、やっぱり「足」でした。

プロジェニタ・コアを失ったヒガラには、もはや長距離を超光速でジャンプできる大型艦船を作る技術がなかったんです。

アノマリーの発生源を突き止めて叩きたくても、そこまで行く手段がない!まさに八方塞がり!…と思われたその時、一筋の、でもめちゃくちゃ重要な光明が差し込みます。

かつてカラン・スジェット様の最も優秀な弟子であり、師の消失後は、その遺志を継いでアノマリー現象の研究に人生を捧げてきた、若き天才科学者、イモゲン・スジェット(Imogen S’jet)

そう、彼女もまた「スジェット」の名を持つ女性でした。

彼女が、長年の、血の滲むような研究の末、失われたプロジェニタ・コアの技術を、限定的ながらも再現することに成功したんです!擬似コア(Synthetic Core / Temporal Coreとも呼ばれる)の開発!

それは、オリジナルのような無限のパワーや時空間を操るような芸当はできないけれど、短距離ながらも安定した超光速ジャンプを可能にする、まさに画期的な新技術でした!やった!これでアノマリーの中に飛び込める!

この擬似コアを搭載した、ヒガラの持てる技術の全てを結集して建造された新型母艦「カール=クシャーン」(Khar-Kushan)が完成します。

「カラクの魂」って意味でしょうかね。

そして、本来なら研究室に引きこもって理論と格闘していたいタイプの内向的な技術者、イモゲン・スジェットでしたが、運命は彼女を放っておきませんでした。

伝説の英雄と同じ「スジェット」の名を継ぐ者として、そしてこの不安定な擬似コアを安全に運用できる唯一の人物として、この銀河規模の超ヤバい状況下で、なんとカール=クシャーンの艦隊司令(Fleet Command)に、半ば無理やり任命されてしまうんです!

「ええーっ!?私なんて、師匠(カラン様)みたいなカリスマも戦闘経験もないし、人前に出るのも苦手なのに…無理無理無理!」――そう内心で叫びながらも、彼女はヒガラの、そしてアノマリーに脅かされる全ての生命の未来を守るため、自ら開発した擬似コアを搭載したカール=クシャーンに乗り込み、未知と危険に満ちたアノマリー空間へと、震える足で、しかし確かな決意を胸に、旅立つことを決意します。

後に「アノマリー戦争(The Incarnate War)」あるいは「受肉戦争」と呼ばれることになる、新しい世代の、そしておそらくはカラン様の時代とはまた違った意味で過酷な戦いが、ここに幕を開けたのです。

アノマリーの内部…そこは、物理法則すら捻じ曲がり、まるで悪夢をそのまま形にしたような、混沌とした異次元空間でした。

そこでイモゲンたちが遭遇したのは、彼らの常識を遥かに超えた、異様で、そして狂信的な敵でした。

自らを“インカーネイト(The Incarnate)”――「受肉せし者」あるいは「化身」――と名乗る、謎めいたカルト集団。

彼らの正体は…なんと、太古の超種族プロジェニタを創造主として神格化し、ハイパースペース空間そのものを侵すべからざる「聖域」だと信じ込んでいる狂信者たちだったんです!

彼らに言わせれば、ヒガラ人や他の“定命の”種族が、プロジェニタ様の遺産であるゲート網を勝手に使って、聖域を汚しているのは許せない!だから、アノマリーを引き起こして、銀河全体から不浄な「異物」を浄化・排除してやる!…という、とんでもない理屈。

しかも、彼らは高度なサイバネティクス技術で自分たちの肉体を捨て去り、個々の意識をネットワークで共有する、まるでハチの巣のような精神集合体(ハイヴマインド)と化していました。

そして、その頂点に君臨し、絶対的なカリスマで彼らを統率しているのが、女王ティアーマ(Queen Tiaa’Ma)と呼ばれる存在でした。

つまり、あのアノマリーは自然現象なんかじゃなく、インカーネイトがゲート網の制御システムを乗っ取り、それを時空間兵器として転用することで引き起こした、銀河規模での狂信的な聖戦(ジハード)だったってわけです!なんて迷惑な…!

さらに、イモゲンはアノマリー空間の深部で、信じられない、そして銀河全体を揺るがすほどの衝撃的な事実を発見します。

カラン・スジェットは、生きていたのです!!

20年前、カラン様はアノマリー内部でインカーネイトと接触していました。

彼女は、女王ティアーマが三つのプロジェニタ・コアを狙っていること、そしてそれが敵の手に渡れば銀河が破滅することを、瞬時に見抜いたのです。

カラン様は、自らの身を犠牲にしてでも、コアを守ることを決意。

咄嗟の判断で、第5次遠征艦隊の乗員たちを脱出ポッドで可能な限り遠くへ避難させ、自分は三つのコアと共に旗艦カール=サジュークに残り、艦ごと巨大な氷の塊の中に身を隠したのでした。

彼女は、自らの生命維持活動を仮死状態に近いレベルまで極限に低下させ、サジュークのシステムとコアを外部から絶対にアクセスできないように厳重にロックすることで、たった一人で、20年もの間、ひたすらコアを敵の手から守り続けるための、「生きた封印(Living Seal)」となっていたのです…!

あの最後のログにあった「彼女」とは、やはり女王ティアーマのことだったんですね。

そして「独りじゃない」という言葉は、コアを守るという重すぎる使命感、あるいは、イモゲンのような後継者がいつか必ず現れるはずだという、か細いけれど確かな希望を指していたのかもしれません…。

想像を絶する孤独と重圧の中で、彼女はずっと耐え続けていたなんて…。

師であるカラン様が生きていた!しかも、そんな壮絶な自己犠牲によってコアを守り続けていた!

その事実を知ったイモゲンは、自らの使命を改めて自覚し、決意を固めます。

「私が、カラン師匠を救い出す!そして、インカーネイトの狂気に終止符を打つ!」と。

彼女は、アノマリー空間の中で、インカーネイトの圧政に苦しみながらもゲリラ的に抵抗を続けていた、旧第5艦隊の生き残りの兵士たちや、故郷をインカーネイトに奪われた現地のレジスタンス勢力と協力関係を築き、少しずつ、しかし確実に戦況を有利に進めていきます。

最初は自信なさげで、指示もたどたどしかったイモゲンでしたが、戦いの中でリーダーとして目覚ましい成長を遂げ、師であるカラン様譲りの戦術的な才能と、どんな困難にも決して諦めない不屈の精神を発揮し始めます。

そしてついに、イモゲン率いるヒガラ連合艦隊は、カラン様が眠る氷の牢獄を発見!インカーネイトによる最後の猛烈な妨害を、文字通り死力を尽くして打ち破り、20年ぶりに師であるカラン・スジェットを救出!同時に、銀河の未来の鍵を握る「サジュークの三コア」を、完全に無傷の状態で奪還することに成功したのです!やったー!

さあ、いよいよ最終決戦です!

20年という長い長い眠りから覚めたカラン・スジェット様は、まだ完全回復とはいかないまでも、再び艦隊司令としてブリッジ(というか、サジュークの制御中枢かな?)に立ちます。

伝説の英雄であり、百戦錬磨の指揮官カランと、幾多の試練を乗り越え、次世代のリーダーとして覚醒したイモゲン。

二人の「スジェット」が指揮するヒガラ連合艦隊は、インカーネイトの本拠地である巨大な移動要塞へと、最後の総攻撃を開始します!

奪還された三つのコアは、カール=サジュークの艦内で再び一つとなり、その本来の、計り知れないほどの力を解放!

その力によって完全に再起動し、真の姿を現した伝説の戦艦サジュークが、女王ティアーマが座乗する巨大なハイヴシップに向けて、必殺のフェイザー・ランスを発射します!

絶対的な力から放たれた一撃は、女王艦を内部から完全に粉砕!精神的なネットワークと絶対的な統率者を失ったインカーネイトのハイヴマインドは、一瞬にして崩壊し、個々のサイボーグ兵士は機能を停止。

女王ティアーマは、自らが崇拝したプロジェニタが生み出した力の前に滅びるという、なんとも皮肉な最期を迎え、その歪んだ野望と狂気と共に、宇宙の虚無へと消滅していきました…。

インカーネイトの脅威は、完全に去りました。

銀河全体を蝕んでいたアノマリーは急速に収縮し、消滅。

ハイパースペース・ゲート網は再び正常な機能を取り戻し、銀河に再び光が戻りました。

カラン・スジェット様は無事に救出され、三つのコアもまた、ヒガラの、そして銀河の全ての人々の手に戻りました。

この「アノマリー戦争」を通して、最初は自信なさげな若き科学者だったイモゲン・スジェットは、想像を絶する困難と責任を乗り越え、銀河を救った真の英雄へと成長し、新たな時代の担い手として、広く銀河にその名を知られることになります。

一方、伝説の英雄カラン・スジェット様は…彼女は、自らの長きにわたる戦いと使命に、ようやく一つの区切りがついたと感じたのかもしれません。

あるいは、20年間の封印状態と、コアとの常時接続が、彼女の心と体に、我々には計り知れないほどの深い影響を与えていたのかもしれません。

伝えられるところによると、彼女は第一線を退き、後継者であるイモゲンに銀河の未来を託した、とされています。

彼女がその後、どのような人生を歩んだのか、そして銀河最強の戦艦サジュークと、宇宙の法則すら左右しかねない三つのコアが、今後どのように管理・運用されていくことになるのか…その詳細は、2025年4月の今現在、まだ明らかにされていません。

しかし、確かなことは一つ。

イモゲン・スジェットという、新たな希望の星が、偉大な師から受け継いだ重すぎる遺産と、血と涙の教訓を胸に、次の時代の、おそらくはさらに複雑で困難な課題に満ちた銀河を、見守り、導いていくことになるだろうということです。

物語は、まだ終わらない…。

(※ちなみに、『Homeworld 3』のストーリー、特にシリーズの顔だったカラン様の扱い(えっ、20年も氷漬け!?からの、割とあっさり引退!?)とか、新主人公イモゲンのキャラクター性(最初は頼りないけど、覚醒してからは…?)、あと敵のインカーネイトさんたちの背景(結局、何者なの?女王様とプロジェニタの関係は?)とかについてはね、2023年の発売以降、古参ファンを中心に、まあ、色々と…賛否両論、喧々囂々、侃々諤々…活発な議論が続いてるみたいですね。

個人的には、もう少しカラン様の活躍が見たかった気もするけど…でも、世代交代っていうテーマを描くには、あれしかなかったのかなぁ…なんて、通勤電車の中で考えちゃったり。

まあ、まだ語られてない謎もいっぱいありそうだし、今後のDLCとかで補完されるのを期待しましょうかね!)

総括・考察:星屑の中に家を探す旅路 ― この銀河(ゲーム)は我々に何を問いかけるのか?

いやはや、壮大な物語でしたねぇ…。

カラクの砂漠で、埃まみれになって古代船の残骸を探していたあの頃から、まさか銀河全体の運命を左右するような大事件に次々と巻き込まれることになるなんて、レイチェルさんも、カラン様も、イモゲンちゃんも、思ってもみなかったでしょうね。

改めて「Homeworld」シリーズ全体を振り返ってみると、そこには単なる宇宙戦争やSFアクションを超えた、深くて、普遍的で、そして時に胸が締め付けられるようなテーマが、繰り返し、繰り返し描かれていることに気づかされます。

「故郷(ホームワールド)」とは何か?

まず、何と言っても「故郷(ホームワールド)」という概念。

失われた故郷ヒガラへの渇望は、シリーズ全体の、まさに背骨となる原動力でした。

でも、それは単に「生まれた場所に戻りたい」っていうノスタルジーだけじゃないんですよね。

カラクを追われた時、ヒガラ人(当時はクーシャン)は物理的な故郷だけでなく、自分たちの歴史、文化、そしてアイデンティティそのものをも失いかけたわけです。

彼らの旅は、失われた場所を取り戻す旅であると同時に、「自分たちは何者なのか?」という根源的な問いに向き合い、新たなアイデンティティを再構築していくプロセスでもあったように思うんです。

そして最終的に、彼らは物理的な故郷ヒガラだけでなく、「広大な宇宙そのものが我らの家である(Our home is among the stars.)」という、より大きな視点での「故郷」を見出したのかもしれません。

まるで、地方から上京して、最初は都会に馴染めなくても、色々な経験を経て、いつしかここが自分の居場所だって思えるようになる…みたいな?ちょっと違うか(笑)。

繰り返される「喪失と再生」

そして、「喪失と再生」のテーマ。

もうね、これでもかってくらい、彼らは色々なものを失い続けます。

故郷カラク、数億の同胞、頼りになる仲間、信じていた者からの裏切り、そして時には自分自身の人間性さえも…。

特にカラン・スジェット様の払った犠牲は、想像を絶しますよね。

でも、その度に彼らは絶望の淵から立ち上がり、残されたもの、新しく得たもの(ベントゥシの技術とか、エルソン大佐との友情とか、ソムタウの勇気とか、イモゲンの才能とか)を糧にして、必ず再生し、より強く、より賢くなっていく。

まるで、失敗や挫折を乗り越えて成長していく私たち自身の人生の縮図のようにも見えます。

まあ、スケールは全然違いますけどね!

「テクノロジーと神話」の奇妙な関係

さらに、「テクノロジーと神話(あるいは宗教)」の関係性も、非常に興味深い点です。

ガイドストーン、ハイパースペース・コア、サジューク、プロジェニタ…これらは、古代の超科学技術であると同時に、クーシャン/ヒガラの人々にとっては、神話や伝説、信仰の対象でもありました。

特に「三つのコア」と「サジューク」を巡る物語は、科学が神話を生み、神話が人々の行動を規定し、そしてその行動が再び新たな現実(科学的発見や破滅)を呼び起こす…という、複雑な相互作用を描いています。

これは、現代社会における科学技術の進歩と、それがもたらす倫理的・宗教的な問題に対する、鋭い問いかけにもなっているんじゃないでしょうか。

例えば、AIや遺伝子工学なんかが、将来的に新しい「神話」を生み出す可能性だって、ゼロじゃないわけですから。

避けられない「世代交代」のドラマ

そして、今回、特に『Homeworld 3』で色濃く描かれたのが「世代交代」というテーマ。

カラン・スジェットという、あまりにも偉大すぎる英雄から、イモゲン・スジェットという、まだ未熟だけれども確かな可能性を秘めた次世代へと、バトンが渡される。

それは、単に役者が交代するっていうだけじゃなくて、古い時代の価値観や成功体験(あるいはトラウマ)を、新しい時代に合わせてどう乗り越え、どう受け継いでいくかという、普遍的な課題を描いているように感じました。

カラン様のやり方が常に正しかったわけではないかもしれないし、イモゲンちゃんだってこれからたくさんの失敗をするかもしれない。

でも、そうやって歴史は紡がれていくんだ、と。

…まあ、個人的には、もう少しカラン様に頑張ってほしかった気もしますけどね!お母さん目線で見ちゃうと、イモゲンちゃん、ちょっと心配になっちゃう(笑)。

俯瞰的妄想タイム!

さて、ここからは、ちょっとだけ「超」俯瞰的な視点…

というか、まあ、私なりの妄想に近い考察を。

プロジェニタって、一体何者なんでしょうね?

単なる古代の超文明だったのか?それとも、もっと別の…例えば、この銀河自体を実験場か何かだと考えて、知的生命体の進化を観察し、時には介入し、あるいは「リセット」するような、高次元の存在だったりして?

彼らが遺したコアやゲート網は、単なる移動手段やエネルギー源じゃなくて、実は銀河全体の生命の進化をコントロールするための「仕掛け」だったとしたら?

三つのコアが揃うとサジュークが現れるっていうのも、単なる伝説じゃなくて、プロジェニタが仕組んだ一種の「イベントトリガー」だったのかもしれません。

ある程度文明が発達して、三つのコアを扱えるようになった種族が現れたら、サジュークという究極の「力」を与えて、彼らがその力をどう使うかを見る…みたいな。

あるいは、サジュークは、銀河の「掃除屋」で、一定の条件が揃うと起動して、危険なレベルまで進化した文明をリセットするための存在だったとか?考えすぎですかね?

ビーストやインカーネイトも、単なる敵役として片付けるのはもったいない気がするんです。

ビーストは、もしかしたら銀河の生態系における一種の「免疫システム」みたいなもので、特定の技術(例えば、制御不能な自己増殖兵器とか?)が蔓延するのを防ぐために、何者か(プロジェニタ?)によってプログラムされた存在だったり…?ナガロックが別の銀河から来たっていうのも、意味深ですよね。

インカーネイトも、プロジェニタを崇拝するあまり道を誤ったカルト集団、というだけじゃなくて、もしかしたらプロジェニタ自身が遺した「番人」の一部が暴走したもの、あるいは、プロジェニタが予期していた「次なる進化の形」の、歪んだ発露だったのかもしれません。

女王ティアーマが、カラン様と同じようにコアと感応できたっていうのも、気になりますよね。

彼女もまた、プロジェニタが仕掛けた「何か」の一部だったのかも…?

そして、このHomeworldユニバース全体が、実は壮大な「サイクル(繰り返し)」の物語なんじゃないか、とも思うんです。

故郷を失い、宇宙を放浪し、新たな故郷を見つけ、繁栄し、そしてまた新たな脅威によって危機に瀕し、世代交代を経て乗り越える…。

このパターンって、クーシャン/ヒガラだけでなく、もしかしたらベントゥシも、タイダンも、ヴェイガーも、そして我々が知らない他の多くの種族も、形を変えながら繰り返してきた、銀河規模での歴史の法則性なのかもしれません。

プロジェニタは、そのサイクルそのものをデザインした、あるいは、そのサイクルから脱却できる種族が現れるのを待っている…?

…なんて、まあ、考え出したらキリがないですね!こういう、答えのない問いについて、ああでもないこうでもないと想像を巡らせるのが、SFの醍醐味であり、Homeworldの奥深い魅力なんだと思います。

結び:星屑の中に家を見つけた者たちの軌跡、そして未来へ

ふぅ~…長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!

いやー、語り始めると止まらなくなっちゃいますね、Homeworld。

まるで、止められないハイパースペース・ジャンプみたい(笑)。

カラクの砂漠で、埃と油にまみれて古代船の謎を追いかけた日々から、銀河の運命そのものを背負って、孤独な艦橋(あるいはコアの中)で決断を下し続けた日々へ。

そして、偉大な先達の影に悩みながらも、自らの足で立ち上がり、未来への扉を開いた新しい世代へ…。

「Homeworld」シリーズが私たちに描き出してくれたのは、単なる宇宙艦隊のドンパチや、壮大なスペースオペラだけではありませんでした。

それは、どこまでも人間臭い、いや、知的生命体としての根源的な「渇望」と「葛藤」の物語でした。

故郷(ホームワールド)とは何か?それは、生まれた場所なのか、帰るべき場所なのか、それとも、仲間と共に生きる、この宇宙そのものなのか?

失ったものへの悲しみや怒りを、どう乗り越え、未来への力に変えていくのか?

科学技術という、時に神にも悪魔にもなりうる力を、私たちはどう使いこなすべきなのか?

そして、過去から何を学び、何を捨て、何を次世代へと託していくべきなのか…?

これらの問いに、簡単な答えはありません。

でも、ヒガラの人々が、何度も何度も絶望の淵に立たされながらも、決して諦めずに、もがき、苦しみ、それでも前へと進み続けた姿は、現実世界で色々な困難にぶつかりながら生きている私たちにとっても、大きな勇気と、そして考えるきっかけを与えてくれるように思うんです。

プロジェニタの真の目的は?カデッシュやヴェイガーのその後は?ビーストやインカーネイトの脅威は完全に消えたの?そして、カラン様は、今、どこで何をしているの…?

物語は『Homeworld 3』で一区切りつきましたが、広大すぎるこの銀河には、まだまだ語られていない謎や、想像力を掻き立てる余白がたくさん残されています。

それがまた、たまらなく魅力的!ファン同士で、「実はこうなんじゃないか?」なんて考察をぶつけ合うのも、Homeworldの楽しみ方の一つですよね。

彼らは、血と涙と、数えきれないほどの犠牲の上に、物理的な故郷だけでなく、宇宙における自分たちの存在理由(アイデンティティ)と、未来を自らの手で切り開く権利を取り戻しました。

「広大な宇宙に我らの家あり(Our home is among the stars.)」――この、シリーズを象徴する言葉を胸に刻み、星屑の海の中に真の「ホームワールド」を見出した人々の物語は、きっとこれからも、私たちの心を強く捉え、宇宙へのロマンと、困難に立ち向かうことの尊さを教えてくれ、世代を超えて語り継がれていくことでしょう。

そして、その物語は、まだ終わってはいない。

私はそう信じています。

だって、この広大な宇宙には、まだまだ私たちの知らない驚きと冒険が、きっと待っているはずですから!

さあ、あなたも一緒に、再び星々の海へ旅立ちませんか?

-その他