『夫婦の世界』は、夫の不倫を暴いて離婚すれば終わる話かと思ったら、その先のほうがずっと痛いんです。とくに最終回。母と父を見つめるジュニョンの顔が、なかなか頭から離れません。
2020年の韓国JTBC版『夫婦の世界』本編は全16話です。
結末ではソヌがテオの復縁の申し出を拒み、ダギョンも娘を連れてテオから離れます。けれど、ソヌと息子の生活も無傷では済みませんでした。ジュニョンは両親の前から逃げ出し、1年後もソヌは息子を待ち続けています。
最後の玄関には、ジュニョンの帰宅を思わせる若い男性の姿。離婚後もテオはソヌに執着し、ジュニョンは両親の争いで傷ついていきます。
ソヌとテオは離婚したのに、なぜ争いが終わらなかった?
不倫の発覚から、息子をめぐる離婚へ
チ・ソヌは医師として働き、夫イ・テオ、息子ジュニョンと暮らしていました。異変に気づくきっかけは、夫のマフラーについた長い髪の毛です。夫を探るうちに、ヨ・ダギョンとの不倫と、周囲の友人たちがそれを知りながら黙っていたことが分かってしまいます。
しかも、ソヌの診察を受けたダギョンの妊娠が発覚。夫だけでなく、笑顔で付き合ってきた人たちまで信じられなくなるんですよね。食卓で普通に会話を続けるだけでも、相当な我慢でしょう。
ソヌは離婚に向けて動き、隣人イェリムの夫で会計士のジェヒョクと関係を持ちます。その秘密を使ってテオの会社の収支と個人口座を調べさせ、ダギョンの両親には不倫と妊娠を暴露しました。傷ついた妻であると同時に、相手を追い詰めるためなら危うい手も使う人なんです。
やがてジュニョンをめぐる対立が激しくなり、テオはソヌに暴力を振るいます。離婚が成立し、息子はソヌと暮らすことに。これで親子が静かに生活できたらよかったのですが、2年後、テオがコサンに戻ってきました。
再婚したテオが、元妻の生活に手を出す
戻ってきたテオは映画の仕事で成功し、ダギョンと再婚して、娘ジェニにも恵まれていました。ダギョンの父・ヨ会長の後ろ盾もあります。それでもジュニョンを自分の側へ取り戻そうとし、ソヌを町や病院から追い出すために動くんです。
テオはソヌの患者だったヒョンソの元恋人・インギュを使ってソヌを脅させ、ソヌは襲われます。一方で、ソヌが同僚のユンギと会うとテオは嫉妬。自分は再婚したのに、元妻の交際には不機嫌。テオ、都合がよすぎませんか?
インギュが駅で転落死すると、テオにも疑いが向けられました。ソヌは、息子を殺人者の子にしたくないという思いから、テオが自分と一緒にいたと嘘のアリバイを示します。事件は自殺として処理されましたが、元夫をかばったことで、二人の関係はさらにこじれていくんですよね。
ジュニョンが父の家へ移り、母のもとへ戻るまで

母への悪い噂と、両親が再び関係を持った夜
ジュニョンは両親の離婚に傷つき、ユンギのカウンセリングを受けていました。学校では人の物を盗むようになり、インギュの死をめぐる母の悪い噂にも苦しみます。大人が家庭の外で起こしたことまで、教室に持ち込まれてしまうんです。
ダギョンから父の家で暮らすよう誘われ、ジュニョンは自分が母の負担になっていると感じ、父の家へ移りました。
ソヌは息子の荷物を渡すためにテオを自宅へ呼び、その夜、二人は再び肉体関係を持ちます。ジュニョンは母の家を訪れ、別れたはずの両親が一緒にいるところを目撃していました。そのことが後に分かり、ソヌとテオも衝撃を受けます。
学校での暴力沙汰まで起こしたジュニョンに、ソヌの謝罪は届きませんでした。争って離婚したのに、また二人でいる。息子からすれば、何を信じればいいんでしょう。
海へ向かったソヌと、父に殴られたジュニョン
息子との関係が崩れ、ソヌは病院を辞めてコサンを離れます。ひとりで海に入り、駆けつけたユンギに助けられました。仕事でも家庭でも踏ん張ってきた人が、もう自分を支えられなくなっている場面なんです。
そのころ父の家では、ジェニが泣いたことをダギョンがジュニョンのせいにし、テオが息子を殴ってしまいます。ジュニョンは泣きながら母に迎えを頼みました。新しい家族の中でも、安心して居られる場所がなかったんですよね。
ソヌが迎えに来ると、ダギョンはジュニョンを連れていくことに抵抗します。言い争いの中で、ソヌはテオと寝たことをダギョンに告げました。母子が再び一緒に暮らす一方、テオの再婚生活が崩れるきっかけにもなります。
ソヌは息子に、これまでのことを謝ります。ジュニョンはコサンを離れて暮らしたいと話しました。盗んだ物を同級生に託して返し、母と一度町を離れた後、二人はコサンで生活をやり直すことになります。
ダギョンの結末は、テオを許すことより離れること
テオがソヌとの関係を認めた後も、ダギョンは娘のために夫を許し、結婚生活を続けようとしました。不倫相手だった自分は、元妻とは違う結婚生活を送れる。その思いに、まだすがっていたんです。
けれど、テオはソヌへの執着をやめていませんでした。ダギョンは売りに出されたソヌの家を訪れ、イェリムから、テオがその家の周囲に来ていたことを聞きます。新しい妻ができても、元の家族から離れられていなかったんですよね。
さらにソヌは、テオが二人に同じ曲でプロポーズしたこと、香水や下着にも同じ好みが表れていることをダギョンに突きつけました。プロポーズの曲まで同じとは。そこはせめて、選び直してほしかったです!
ソヌは、ダギョンも自分の代わりなのだと迫ります。ダギョンは、自分だけが特別に愛されているという確信を失い、テオを見限りました。ダギョンは娘ジェニと家族を選び、テオと別れてコサンを去ります。
ヨ会長の支援が切れ、テオは会社を解雇され、カードも使えなくなります。妻、娘、仕事、暮らしをまとめて失ったテオは、ソヌを責めました。ソヌは当座の金を渡しますが、そこで元の夫婦に戻ることはありませんでした。
最終回の食事から、ジュニョンが姿を消すまで

貼り合わせた写真と、息子を連れ出したテオ
コサンに戻ったソヌとジュニョンは、穏やかな生活を取り戻しかけていました。ところが、破られた結婚写真がテープで貼り合わせられ、家のポストに届きます。テオが再び近づいていることを感じたジュニョンは、父と連絡を取らないよう母に頼むんです。
その後、ソヌが帰宅するとジュニョンがいません。テオが息子を連れていったことを告げるメモが残されていました。母の留守中に、息子を連れ出してしまったんですね。
ソヌはテオに連絡し、川辺にいる二人を迎えに行きます。ジュニョンの無事を確かめ、テオを食事に誘いました。三人が同じテーブルにつくことになるんです。
ソヌは復縁を拒む。それでもテオはすがり続ける
食事の席でテオは涙を流し、もう一度三人で暮らしたいと頼みます。苦しい生活から立ち直る話が、いつの間にか元の家族に戻る話に変わってしまうんです。ちょっと待って。食事への誘いを、復縁の約束にしないでほしい!
ソヌは、テオとの夫婦関係は終わったとはっきり告げます。ジュニョンも、家族を壊したのは父だと訴えました。父の申し出を喜んで受け入れる食卓にはならないんですよね。
テオがすがり続ける中、ジュニョンは席を離れ、トイレで泣きます。ソヌはテオに自立するよう求め、息子との別れをきちんと済ませてほしいと話しました。同じ席に座っているのに、家族それぞれの気持ちは離れたままなんです。
トラックの前に出た父と、駆け寄った母
店を出たテオは、息子に自分のようになるなと話します。その直後、走ってくるトラックの前へ出てしまいました。車両は急停止し、テオは衝突を免れます。
ソヌはテオへ駆け寄り、無事を知って抱き合いながら泣きました。その姿を見たジュニョンは、携帯電話を投げ捨てて走り去ります。その後も、息子の行方が分からないままでした。
考察として、ここでジュニョンが耐えられなくなったのは、また両親の関係に巻き込まれる怖さだと感じます。父の家でも母の家でも傷つき、やっと母と生活をやり直そうとしたところだったんですよね。
ソヌにとっては、目の前で死にかけた相手へのとっさの行動でしょう。けれど息子には、母がまた父のもとへ戻る光景に見えても不思議はありません。抱き合う二人の事情と、見ている子どもの痛みが食い違う。あの場面のつらさは、そこにあると思います。
1年後のソヌ、テオ、ダギョンはどうなった?

医師として働きながら、息子を待つソヌ
ジュニョンの行方が分からないまま、1年が過ぎます。ソヌは医師の仕事を続け、自宅でひとり食事をしながら息子の帰りを待っていました。ダギョンを町から去らせても、望んだ母子の暮らしは手元にありません。
テオは仕事を探し、ダギョンは勉強へ戻る
テオは持ち込み先で断られながら、脚本を売り込んでいます。
ダギョンは大学での学業に戻り、ギャラリーを持つという以前の希望に向かっています。図書館で男性からコーヒーを差し出されても、受け取らずに席を離れました。
隣人のイェリムとジェヒョクも、やり直しを試した末に別れました。やり直しを試したイェリムは、ジェヒョクへの疑いを抑えられず、携帯を見てしまいます。
1年後、イェリムはカフェを営み、ジェヒョクには別の女性がいるんです。ユンギもソヌの同僚として働いています。主要人物の多くが、以前の夫婦関係から離れた生活へ移っていました。
最後の玄関にいる若い男性は、ジュニョンなのか
最後に、ひとりでいるソヌが玄関の物音に気づきます。家に入ってきたのは若い男性。ソヌは表情を緩めて近づきますが、男性の顔には焦点が合っていません。
「帰ってきてくれた」と受け止めたくなる場面なんです。待っていた母の表情が、ようやくほどけるので。
私は、最後の若い男性の姿に、ジュニョンが母のもとへ帰る希望を感じます。ジュニョンが自分の意思で帰ってきたと読むなら、離れていた時間の後に、母子がもう一度会える希望が残ります。一方、顔が曖昧なことから、ソヌの願いが形になった場面とも受け取れるでしょう。
私は、息子が戻る可能性を感じさせながら、失った1年の重さも残すラストだと感じます。仮に帰宅したとしても、以前と同じ暮らしには戻れないはず。今度は、ジュニョン自身の気持ちを置き去りにしないでほしいんですよね。
韓国版の第16話と、日本放送の第16話は違います
韓国JTBC版の本編は、全16話です。日本では再編集した全28話の放送版もあり、その場合の最終回は第28話です。話数だけで探すと、まだ途中の第16話にたどり着くことがあります。
全16話の韓国JTBC版では第16話、全28話の日本再編集版では第28話が最終回です。原作のBBCドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』と日本版リメイクは、それぞれ別の作品です。
もう一度振り返るなら、息子の表情に注目したい
韓国版第12話の転居、第14話の母への電話、第15話の盗品を返す場面を振り返ると、ジュニョンが自分なりに暮らしを立て直そうとしていたことが見えてきます。最終回では、食事中に席を立つところから、道路で両親を見つめるところまで続けて見たいですね。
ソヌとテオが何を言い合っているかに気を取られがちですが、そのそばで息子がどんな顔をしているか。そこに目を向けると、最後の家出が突然の出来事には感じられなくなると思います。
人物関係や作品の雰囲気を振り返れる、TSUTAYA DISCAS公式の日本版予告です。
FAQ
ソヌとテオは最後に復縁したのですか?
いいえ。ソヌはやり直すことを断っています。
テオはトラックにはねられて死んだのですか?
テオは生きています。トラックが止まって衝突を免れ、1年後には脚本を売り込んでいました。
ジュニョンが1年間どこにいたかは分かりますか?
家出中の居場所や暮らしは描かれていません。終幕では、母の家に若い男性が入ってくる姿だけが映ります。
ダギョンは最後にテオのもとへ戻りますか?
ダギョンは別離を選び、娘とともに町を去りました。
まとめ
『夫婦の世界』の結末で苦しいのは、離婚や再婚を経ても、大人の争いが息子の日常を壊し続けることです。テオの不倫から始まった傷は、妻たちが彼を見限るだけでは消えませんでした。
ダギョンは離れ、テオは立て直しを試み、ソヌは待ちます。最後の玄関に希望を感じるからこそ、ジュニョンには大人の都合から離れて、自分の生活を選んでほしい。そう願いたくなる終わり方なんですよね。