怪獣と戦えない取材班は、地球の危機に何ができるのでしょうか。
最終回までのネタバレがあります。『ウルトラマンオーブ』は2016年放送、全25話のテレビシリーズです。
カードで力を借りるオーブ
風来坊のクレナイ ガイは、ウルトラフュージョンカードで歴代戦士の力を借りるウルトラマンオーブです。ウルトラマンとウルトラマンティガのカードなら、スペシウムゼペリオンに変身します。
歴代の戦士に「さん」を付ける、妙に礼儀正しいヒーロー。地球が大変なときにも先輩への挨拶はきっちりです。こういう律儀さ、ちょっと好きなんですよね。
マガタノオロチには、なぜオーブオリジンも敗れたのか

第24話で現れた超大魔王獣マガタノオロチは、サンダーブレスターもオーブオリジンも打ち破ります。
第12話の勝利のあとも、地底で育っていた命
そもそも魔王獣との戦いを仕組んでいたのが、ガイの宿敵ジャグラス ジャグラー。魔王獣の封印を解き、オーブが倒すたびにその力をカードへ回収していました。惑星侵略連合から得たベリアルのカードと集めた力で、大魔王獣マガオロチを復活させます。
第11話で敗れ、変身カードまで奪われたガイに、タマユラ姫が託したのはゾフィーとベリアルの2枚でした。姫はマガオロチの攻撃からガイをかばって消滅。怒りの中で生まれたサンダーブレスターは、敵の尻尾を切り、その尻尾まで武器にして第12話の戦いを制します。ジャグラーも敗北を認め、奪ったカードを返しました。
けれど、マガオロチが地底に託した命は、地球のエネルギーを吸って成長を続けていました。真冬の異常な暑さ、現れるなり力尽きる怪獣、地球を去る宇宙人。第24話の異変は、マガタノオロチの覚醒へつながっています。
ビートル隊は、拘束中のジャグラーから得た情報をもとに、東京タワーの地下へ最新鋭ミサイル「スパイナーR1」を撃ち込みました。敵はそのエネルギーまで吸収して完全に目覚めます。倒すための攻撃が、かえって成長を後押ししてしまったんですね。
強い力を制御し、本来の姿へ戻ったガイ
第14・15話のギャラクトロン戦では、ナオミを取り込んで地球の生命をリセットしようとする敵に一度敗れ、サンダーブレスターを使用。暴走したまま敵を破壊し、救うはずのナオミまで傷つけてしまいました。
意識を失った彼女を病院に残し、ガイはルサールカへ向かいます。そこは、かつてマガゼットン戦の大爆発で少女ナターシャを失ったと思い込み、自分本来の力を恐れるようになった場所でした。
ジャグラーはゼットン、パンドン、マガオロチの尻尾の力でゼッパンドンとなり、ガイを追い詰めます。さらにナオミも狙われ、ガイは彼女のもとへ戻りました。第17話、切られたマトリョーシカから出てきた写真には、ガイとナターシャが写っていたんです。
ナオミはナターシャの子孫でした。ナターシャは爆発を生き延び、ガイの楽器オーブニカの曲も家族へ受け継いでいた。目の前のガイが古い写真に同じ姿で写っているのも驚きですよね。家族写真の情報量がすごい。
戦いの最中も自分を信じるナオミに応え、ガイはサンダーブレスターを制御して彼女を守ります。白かったカードも輝きを取り戻し、本来の姿オーブオリジンが復活。聖剣オーブカリバーでゼッパンドンを撃破しました。
大きな力を使えるようになったガイに、最後は相手の体を知り、攻撃を届かせる工夫が求められたのです。
SSPは太平風土記から、攻撃が届く一点を探し当てる
2016年TV版の第25話「さすらいの太陽」の公式予告(20秒)。
SSPは、夢野ナオミが幼いころから見る光の巨人の夢を追って立ち上げた、怪奇現象追跡サイトです。撮影を担う早見ジェッタと、調査・分析が得意な松戸シンが仲間でした。
第1話で竜巻の原因を調べていた3人は、巻き込まれたところをガイに助けられます。彼が倒したのは風ノ魔王獣マガバッサー。
「過去の記録」を「未来の予言」と読み替えたシン
第25話「さすらいの太陽」で、シンとジェッタはSSPの車ごと瓦礫に閉じ込められています。その車内で、シンは調査に使ってきた古文書「太平風土記」を、古代の予知能力者による予言書だと見抜きました。
2人は解読した情報をサイトに掲載。渋川一徹とビートル隊員たちが駆けつけ、2人を救出しました。この取材班、土壇場での粘りがすごい!
シンは、マガオロチが地中に注いだエネルギーを御神木の聖なる気が一部だけ遮り、そこだけ成長が不完全になったと推理しました。ビートル隊の分析では、顎の下の一点だけ、体を構成する物質が違うと判明します。
ナオミの救出から、ジャグラーの参戦へつながる

弱点を探すSSPの一方で、ガイを引き留めていたのがナオミの危機です。脱走したジャグラーは彼女をさらい、第三埠頭へガイを呼び出していました。
かつてガイと切磋琢磨したジャグラーは、オーブの力に選ばれたガイへの執着を抱えてきた男です。第23話には特訓で新月斬波を会得し、巨大化して直接対決を挑みますが、敗れてビートル隊に拘束されました。
第20話には、傷ついて追われる彼をナオミが介抱する場面もあります。
ナターシャを救っていたのはジャグラーだった
第三埠頭でジャグラーは、ガイとの思い出さえ消えていき、永遠なのは闇だと語ります。ガイは愛と希望について真正面から答え、ナオミも体を斬られても心までは斬れないと立ち向かいました。
そこへ、マガタノオロチに撃墜されたゼットビートルが墜落。飛び散る瓦礫から、ジャグラーがとっさにナオミをかばいます。
その姿を見て、ナオミは自分の夢の正体を悟りました。夢はナターシャの記憶で、かつて爆発から彼女を救ったのもジャグラーだったのです。
弱い者を放っておけないことをガイの弱点としていた本人が、同じように人を助けていた。戸惑うジャグラーをガイは殴り、続いて抱きしめて感謝を告げます。怒りもお礼も一度に来る、ずいぶん不器用な抱擁でした。
ガイはナオミをジャグラーに任せ、走りながら変身して、怪獣のもとへ戻ります。人質を取っていた相手に彼女を託す、その決断が重いです。
感謝だけで終わらせず、ナオミが手を差し出す
自分が何をしたいのか分からず、ジャグラーはうなだれていました。そこでナオミは、以前彼が口にした夜明けのコーヒーの話を持ち出し、今戦わなければ夜明けも来ないと叱咤します。自分が生きていることへの感謝とともに、手を差し伸べました。
その手を取ったジャグラーは、巨大な魔人態となってオーブの危機に駆けつけます。今度は彼が差し出した手をオーブが握り、2人は並んで立ち上がりました。
【考察】私はこの変化を、弱い相手を助けてしまう自分を認めた瞬間だと受け取りました。急に何もかも許してしまう話より、この気まずさも残る共闘に納得したんです。
ビートル隊が弱点をあぶり出し、ジャグラーが敵を押さえる

共闘したオーブとジャグラーも、マガタノオロチの圧倒的な力に苦戦しました。
渋川は菅沼長官の許可を取り、ゼットビートル全機へ顎の下を一斉攻撃するよう指示します。一斉射撃でその一点があらわになり、ジェッタとシンも地上からオーブたちに弱点を知らせました。
オーブとジャグラーの拳が、むき出しになった弱点へ同時に入ります。見ているこちらも力が入る一発でした!
触手に捕らわれても、敵を押さえ続けたジャグラー
マガタノオロチは触手を伸ばし、ジャグラーを捕らえてしまいます。彼は体の自由を奪われながらも敵を押さえ、自分ごと撃つようオーブに叫びました。
オーブはすべてのウルトラフュージョンカードから歴代戦士の力を解放します。オーブスプリームカリバーに戦士たちの光線、さらにオーブ自身のオリジウム光線が重なり、マガタノオロチを撃破しました。
ここで他人の命まで預かるガイの決断が、ずしりと来ました。
勝利のあと、ジャグラーは生存し、ガイは再び旅立つ

爆発の直後には、ジャグラーの蛇心剣が突き立っています。それでも彼は生き延び、遠くから微笑んでガイとナオミを見届けたあと、自分も立ち去ります。あの顔には、ようやく息をつかされました。
夕陽の海辺で、ナオミはガイが星から来た人だと気づいていたことを打ち明けます。口にしたら彼がいなくなりそうで、ずっと言えずにいたんですね。
ガイは、海の向こうで起きている危機へ向かうため、また旅に出ると告げました。ナオミは自分も連れていってほしいと口にしますが、ガイの返事を受け、冗談だと笑います。
最後に望んだのは、いつもの曲を聴かせてもらうこと。ガイのオーブニカにナオミのハミングが重なり、別れの時間が流れました。あれだけ大きな音がした戦いのあとに、小さな楽器の音が残る。私はこの静けさが好きです。
ナオミにはジェッタ、シン、渋川が合流します。ジェッタは、SSPのサイトが世界中で2億4千万アクセスに達したと喜びました。地球が丸いからまた会えると前を向くナオミと、仲間たちの活動は続いていきます。
FAQ
テレビ版の最終回はいつ放送された?
テレビ東京系では2016年12月24日に放送されました。クリスマスイブの朝が、ガイたちの決戦の日だったんですね。
最後の光線の正式な技名は?
「オーブスプリームカリバー オリジウムギャラクシス」です。
最終回のエンディングで流れる曲は?
主題歌の「オーブの祈り」です。終盤にサブタイトルが現れ、そのまま歌へつながるので、夕陽の中を歩くガイが一段と格好よく感じられました。
まとめ
ガイの勇姿と同じくらい、今回はジェッタとシンにも拍手したくなります。地道な調査を続けてきた2人の顔が、すっかり頼もしく見えるんですよね。
「さん」付けの挨拶をする風来坊も、その周りに集まった人たちも、見終わるともっと好きになる。私にとって『オーブ』は、そんな温もりのある締めくくりでした。