2025年11月。
街路樹の葉も落ち、少し肌寒くなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
私の通勤電車での密かな楽しみは、CD PROJEKT REDが開発を進める新サーガ『Project Polaris(ウィッチャー4)』の最新情報をSNSで漁ることです。
ティーザー画像の「雪に埋もれたメダリオン」を見るたびに、またあの泥臭くも美しい世界に帰れるのだと、胸が高鳴ります。
しかし、新作を前にして、ふと立ち止まることはありませんか?
『ウィッチャー3 ワイルドハント』という、RPG史に刻まれた巨大な山脈。
あの物語の全てを、私たちは本当に理解しきれているのでしょうか。
- 「血まみれ男爵」の結末があまりに救いがなく、数日間どんよりとした気分を引きずってしまった
- シリのエンディング分岐が複雑すぎて、良かれと思って選んだ選択肢でバッドエンドに直行し、コントローラーを投げそうになった
- クリアはしたけれど、「白き霜」や「鏡の達人」の正体など、物語の核心部分がいまいち消化不良でモヤモヤしている
もし、これらが一つでも当てはまるなら、この記事はあなたのためのものです。
広大すぎるオープンワールド、複雑に絡み合う人間関係、そして容赦のない選択の結果。
攻略サイトの断片的な情報をつぎはぎしても、この物語の「魂」には触れられません。
ただのデータではなく、
「なぜその選択が重要なのか」
「あの時ゲラルトは何を思ったのか」
という文脈こそが、ウィッチャーの醍醐味だからです。
私はしがないウェブライターですが、この10年間、家事と仕事の合間を縫って、ゲラルトと共に大陸を旅し続けてきました。
プレイ時間は4桁を超え、原作小説を読み込み、海外の考察フォーラムを深夜まで徘徊する日々。
息子には
「お母さんまた魔法使いのおじさんのゲームしてる」
と呆れられていますが、私にとってこれはただのゲームではなく、人生の教科書なのです。
この記事では、本編の全ストーリーを時系列で整理し、全エンディングへの到達方法を「親の視点」から徹底解説します。
さらに、傑作DLC2作の深層心理、開発者が隠した裏設定、そして2025年現在の視点で見る『Polaris』への展望までを、余すところなく網羅します。
読み終える頃には、ネットの断片的な情報に振り回されることなく、あなた自身の手で「最高の結末」を選び取る準備ができているはずです。
そして、ウィッチャーの世界が今までとは違った、より深く鮮やかな色彩で見えてくることをお約束します。
さあ、準備はいいですか?
ここから先は、
物語の核心、黒幕の正体、そしてすべての結末に関する重大なネタバレ
を含みます。
覚悟を決めた方だけ、銀の剣を抜いてついてきてください。
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序章:伝説を理解する「世界解像度」を上げる

いきなり「ケィア・モルヘンで〜」と話し始めてもいいのですが、少しだけ時計の針を巻き戻しましょう。
満員電車で足を踏まれた時のイライラを鎮めるには、状況を俯瞰することが大事なように、この複雑な世界も「仕組み」を知っているだけで、物語の解像度が4Kから8Kくらいに跳ね上がりますから。
天体の合:世界がバグった日
約1500年前、この世界にとんでもない事故が起きました。
「天体の合(Conjunction of the Spheres)」です。
ざっくり言えば、複数の並行世界(パラレルワールド)が多重事故を起こして、グシャッと融合してしまったんです。
その結果、本来この世界にはいなかった「グール」や「吸血鬼」といった怪物が雪崩れ込んできました。
ついでに「人間」という、ある意味で一番厄介で繁殖力の高い生き物も、この時に異世界から漂着したと言われています。
世界は混沌、つまり魔法エネルギーで満たされました。
これに対抗するために魔法使いが人体実験で生み出したのが、変異体「ウィッチャー」です。
猫のような瞳、毒に耐える肝臓、超人的な反射神経。
彼らは人間を守るために作られたのに、その異質さゆえに人間から「バケモノ」と蔑まれる。
なんともやるせない、理不尽な存在です。
驚きの法:運命という名の絶対契約
主人公、リヴィアのゲラルト。
彼は過去に、ある王族を救った報酬として
「驚きの法(Law of Surprise)」
を行使しました。
「家に帰って、予期せず最初に出迎えたものを貰い受ける」
そんなギャンブルみたいな契約、普通なら結びませんよね?
でも、この世界で「運命」は絶対的な拘束力を持ちます。
その結果、ゲラルトはシントラ王国の姫、シリ(シリラ)と結ばれました。
彼女はただの王女ではありません。
古代エルフの賢者ララ・ドーレンの血を引く
「古き血脈(Elder Blood)」
の継承者。
時空を自在に超える力を持つ、歩く戦略兵器のような存在です。
ゲラルトにとってシリは養女ですが、その絆は血よりも濃い。
この物語は、究極的には
「いなくなった反抗期の娘を、不器用な父親が必死に探す話」
なんです。
シンプルでしょう?
でも、その道中は複雑怪奇です。
開幕:1272年、詰んでいる世界
前作『ウィッチャー2』で記憶を取り戻したゲラルトですが、世界情勢は最悪です。
南の超大国「ニルフガード帝国」が北へ侵攻し、戦争は泥沼化。
飢えと疫病が蔓延し、人々は心を病んでいます。
そこへ、シリの強大な力を狙う異次元の幽鬼騎士団「ワイルドハント」が現れる。
まさに八方塞がり。
そんな中、ゲラルトは愛馬ローチ(呼んでも柵に引っかかってるあの馬です)と共に、イェネファーからの手紙を頼りに旅に出ます。
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第1部:本編ストーリー徹底解析父が歩む修羅の道

ここからは、ゲラルトが歩んだ旅路を時系列順に、その感情の機微と共に追体験していきます。
【プロローグ】ホワイト・オーチャード
旅の起点は、かつての激戦地ホワイト・オーチャード。
師匠ヴェセミルとの二人旅。
久しぶりの再会、グリフィン退治。
ここで描かれるのは、ウィッチャーの日常業務です。
やがて再会したイェネファーに導かれ、ゲラルトはヴィジマの王城へ。
そこで待っていたのは、ニルフガード皇帝エムヒル・ヴァル・エムレイス。
シリの実父です。
「娘を連れ戻せ。報酬は望むままだ」
冷徹な皇帝の言葉。
彼は娘を愛しているのか、それとも政治の道具として見ているのか。
おそらく両方でしょう。
ゲラルトは金のためではなく、娘への愛のために依頼を受けます。
ここから、大陸全土を股にかけた、気の遠くなるような捜索行が幕を開けます。
【第1幕】シリの足跡を追って:ヴェレン・ノヴィグラド・スケリッジ
ゲラルトが訪れる3つの地域。
それぞれが全く異なる「地獄」と「美しさ」を描いています。
1. ヴェレン:泥と血と、家族の崩壊
「誰もいない地(Velen)」
と呼ばれる湿地帯。
ここは本当にひどい。
木には死体が吊るされ、そこら中で食人鬼が宴を開いています。
ここを支配するのは、自称領主「血まみれ男爵(フィリップ・ストレンガー)」。
彼は一見、豪快な荒くれ者ですが、シリの情報を対価に
「失踪した妻アンナと娘タマラを探してくれ」
と懇願してきます。
調査を進めると、見えてくるのは家庭の闇。
男爵のDV、アルコール依存、それに耐えかねて流産した妻。
埋葬されなかった胎児は、呪われた怪物「ボッチリング」へと変貌していました。
自分の子供が怪物になり、それを自らの手で鎮めなければならない男爵の姿。
自業自得とはいえ、その慟哭には胸が締め付けられます。
そして、物語は湿原の深淵へ。「森の貴婦人(妖婆)」の登場です。
彼女たちは孤児を保護するふりをして食べる、おぞましい三姉妹の魔女。
男爵の妻アンナは、彼女たちの奴隷にされていました。
ここでプレイヤーは、究極の選択を迫られます。
妖婆の母である「古木の精霊」を解放するか、殺すか。
- 精霊を解放する
孤児たちは救われます。
でも、代償としてダウンウォレン村は狂乱して全滅。
アンナは妖婆の呪いで異形の怪物となり、人間に戻った直後に息絶えます。
絶望した男爵は、首を吊って自ら命を絶ちます。 - 精霊を殺す:
孤児たちは妖婆に食い殺されます(直接描写はありませんが、確実に)。
アンナは精神を病みますが一命を取り留め、男爵は妻の治療のために旅立ちます。
どちらを選んでも、誰かが死に、誰かが泣く。
ウィッチャーの世界には「正義」なんてありません。
あるのは「よりマシな悪(Lesser Evil)」だけ。
このヴェレン編で、私たちはこのゲームのルールを骨の髄まで叩き込まれるわけです。
2. ノヴィグラド:狂信の炎と都会の孤独
世界最大の自由都市ノヴィグラド。
表向きは華やかですが、裏ではラドヴィッド王が扇動する「永遠の炎教団」による魔女狩りが吹き荒れています。
火刑台で焼かれる人々の悲鳴がBGM代わりなんて、どんなディストピアでしょうか。
ゲラルトは元恋人トリス・メリゴールドと協力し、シリの行方を知る親友、吟遊詩人ダンディリオンを探します。
ダンディリオンはシリを助けるため、裏社会のボス「ホアソン・ジュニア」の金庫破りを計画し、失敗して捕まっていました。
ここでの探索は、まさに都会のサスペンス劇場。
変身能力者ドゥードゥーを使って演劇を仕掛け、ドッペルゲンガーをおびき出す作戦は、緊張感の中にもユーモアがあって私は好きです。
救出したダンディリオンの話から、シリが追っ手を逃れるために魔法を暴走させ、スケリッジへ高飛びしたことが判明します。
3. スケリッジ:荒波と王位継承戦
最後に向かうのは、スケリッジ諸島。
ヴァイキングのような荒々しい戦士の国です。
ここではブラン王の葬儀が行われ、次期王位を巡る政治闘争の真っ只中。
ゲラルトはイェネファーと合流し、森で起きた謎の魔法爆発を調査します。
ここでイェネファーが見せる執念がすごい。
彼女は禁忌とされる死霊術を使い、死者の口を無理やり割らせてシリの情報を引き出します。
村人からは罵倒されますが、彼女は止まりません。
「娘のためなら、世界中を敵に回してもいい」
という母性の暴走。
怖くて、美しい。
判明した事実は衝撃的でした。
シリは謎のエルフ魔術師「アヴァラック」と共にこの地を訪れていました。
アヴァラックはシリをワイルドハントから守るため、彼女を時空の狭間「霧の島」へ隠し、自身は呪いを受けて世界一醜い男「ウーマ」へと姿を変えていたのです。
あの醜いウーマが、まさか高貴なエルフの賢者だったとは。
人は見かけによらない、の極致ですね。
【第2幕】ケィア・モルヘンの戦い:喪失と覚醒
すべての点が線になりました。
ゲラルトはウーマの呪いを解き、正体を表したアヴァラックの手引きで、ついに「霧の島」へ向かいます。
小屋に入ると、冷たくなっているシリの姿が。
このシーンのゲラルトの表情、見ましたか?
百戦錬磨のウィッチャーが、ただの無力な父親に戻る瞬間。
絶望に震えながら娘を抱きしめる彼の手から、導きの光が溢れ、シリは奇跡的に息を吹き返します。
「もう二度と離さない」
プレイヤー全員がそう誓ったはずです。
でも、現実は甘くない。
ワイルドハントの王エレディンが、すぐそこまで迫っていました。
決戦の地は、ウィッチャーの故郷ケィア・モルヘン。
イェネファー、トリス、ゾルタン、ロッシュ、キーラ、レソ……
旅で出会った仲間たちが集結します。
まさにオールスター戦。
しかし、敵の力は圧倒的でした。
将軍イムレリスの猛攻からシリを守ろうとし、最年長のウィッチャーであり、みんなの「おやじ」だったヴェセミルが命を落とします。
「許さない……!」
父のような師の死。
シリの悲しみと怒りが臨界点を超え、「古き血脈」の力が暴走します。
その凄まじい絶叫と衝撃波は、ワイルドハント軍を一時撤退させるほどでした。
ヴェセミルの死は、決定的な転換点でした。
シリは、もう「守られるだけの少女」であることを辞めました。
彼女は剣を取り、自らの運命と戦う覚悟を決めるのです。
その背中は、いつの間にかゲラルトよりも大きく見えたかもしれません。
【第3幕】最終決戦と白き霜:物語の終着点
復讐の狼煙が上がります。
シリとゲラルトは、ヴェレンの禿山で宴を開いていた宿敵イムレリスと妖婆たちを強襲。
シリは妖婆を、ゲラルトはイムレリスを一騎打ちで葬り去ります。
ヴェセミルのメダリオンを取り戻した時、少しだけ胸のつかえが取れた気がしました。
そして明かされる真実。賢者アヴァラックは語ります。
ワイルドハントがシリを狙う本当の理由。
それは彼らの故郷もまた、
「白き霜(White Frost)」
という次元を侵食する氷の災厄によって滅びつつあるからでした。
彼らはシリの時空移動能力を使い、種族ごと別の世界へ侵攻・移住しようとしていたのです。
つまり彼らもまた、生き残るために必死だった。
ここでも「絶対的な悪」は存在しないのです。
最終決戦の舞台はスケリッジの海岸。
伝説の「太陽の石」でワイルドハントの幽霊船を実体化させ、総力戦を挑みます。
ゲラルトは王エレディンとの死闘を制しますが、エレディンは最期にこう言い残します。
「アヴァラックに騙されたな。奴は俺もお前も出し抜いたのだ」
その言葉通り、アヴァラックは姿を消し、世界に「白き霜」が到来し始めます。
世界が凍りつく中、ゲラルトはアヴァラックの元へ走ります。
しかし、アヴァラックは裏切ったのではありませんでした。
彼は、白き霜そのものを根絶するために、次元の扉を開いていたのです。
「私がやらなきゃいけないの。この物語を終わらせるために」
シリはゲラルトの制止を振り切り、猛吹雪の中へと歩み出します。
彼女が生きて戻るか、それとも世界と共に凍りつくか。
それは、これまでの旅でゲラルトが――
つまりあなたが、どう振る舞ってきたかに委ねられます。
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第2部:【完全解析】運命を分ける「親の背中」全エンディング分岐条件

ここが『ウィッチャー3』の最も恐ろしく、かつ素晴らしいところです。
エンディングを決めるのは、ラスボス戦の勝敗でも、派手な選択肢でもありません。
「娘の自立心を尊重できたか」
たったこれだけ。
日々の何気ないコミュニケーションの積み重ねが、結末を変えるのです。
これ、子育て中の身としては胃が痛くなるほどリアルです。
息子の宿題を手伝いすぎるのも良くないのかしら、なんて考えてしまいます。
運命の「5つの対話」
以下の5つの場面で、あなたが「ポジティブ(自立支援)」な対応をしたか、「ネガティブ(過保護・支配)」な対応をしたか。
このポイントで勝負が決まります。
- ケィア・モルヘンの戦い後(クエスト:戦いが残した課題)
- ポジティブ
「元気が出る方法を知ってる」。
雪合戦をして、思いっきり遊ぶ。
悲しい時こそ笑う、それが強さです。 - ネガティブ
「気楽にいけ」。
酒を飲ませて誤魔化す。
逃げ癖がつくだけです。
- ポジティブ
- エムヒル皇帝への謁見(連れて行った場合のみ)
- ポジティブ
報酬を受け取らない。
「金のためにやったんじゃない」と示す。
プライスレスな愛情。 - ネガティブ
報酬を受け取る。
シリは「結局、私も商品なのか」と失望します。
これは最低ですね。
- ポジティブ
- 女魔術師会との面会(クエスト:最後の準備)
- ポジティブ
「一人で行かせる」。
扉の外で信じて待つ。
信じることが一番の応援です。 - ネガティブ
「一緒に行く」。
心配だからと過保護に付き添う。
- ポジティブ
- アヴァラックの研究所(クエスト:古き血脈の子)
- ポジティブ
「やっちまえ」。
部屋を破壊して、プレッシャーを発散させる。
たまには暴れるのも必要。 - ネガティブ
「落ち着け」。
ララ・ドーレンの首飾りをつけさせ、「運命に従え」と諭す。
型にはめるのは親のエゴです。
- ポジティブ
- スヒャールの墓参り(クエスト:古き血脈の子)
- ポジティブ
「行こう」。
シリの命の恩人の埋葬に付き合う。
義理を通す姿勢を見せること。 - ネガティブ
「時間がない」。
王女の使命を優先させる。
- ポジティブ
3つの結末:あなたの育て方は正しかったか?
【バッドエンド】シリ死亡 / 行方不明
条件
上記の選択で「ネガティブ」が過半数(3つ以上)の場合。
内容
白き霜の空間にて、シリの脳裏に浮かぶのは、ゲラルトに信頼されなかった記憶ばかり。
「私は一人では何もできない」
という無力感が彼女を包み、彼女は帰還を諦めます。
エピローグは地獄です。
ゲラルトはシリのメダリオンを取り戻すため、最後の妖婆ウィーヴスに自殺同然の特攻を仕掛けます。
メダリオンを握りしめ、怪物の群れが迫る小屋の中で、虚ろな目で座り込むゲラルト。
画面が暗転し、彼がどうなったかは語られません。
シリーズで最も悲痛で、救いのない結末です。
トラウマになります。
【ウィッチャーエンド】シリ生存・自由な狩人(正史有力)
条件
「ポジティブ」が多く、かつ「皇帝に会わせていない」または「ニルフガードが敗北」している場合。
内容
白き霜を止めたシリは生還しますが、ゲラルトは皇帝に「シリは死んだ」と嘘をつきます。
その後、ホワイト・オーチャードの酒場。
フードを被ったシリに、ゲラルトは特注の銀の剣を手渡します。
刀身に刻まれた名は「ジルエアエル(ツバメ)」。
「さあ、試してみろ」
シリは王族の地位も権力も捨て、ゲラルトと共に泥と血にまみれた「ウィッチャー」として生きる道を選びました。
もっとも自由で、もっとも彼ららしい結末。
後のコミック展開や続編の情報から、これが
公式の正史(Canon)
である可能性が極めて高いとされています。
【女帝エンド】シリ生存・ニルフガード女帝
条件
「ポジティブ」が多く、かつ「皇帝に会わせており」、さらに「ニルフガードが戦争に勝利(ラドヴィッド暗殺成功)」している場合。
内容
シリは悟ります。
剣を振るって数匹の怪物を倒すだけでは、世界の理不尽を変えることはできないと。
彼女はゲラルトとの別れを惜しみつつも、実父エムヒルの後継者として帝位を継ぐ決意を固めます。
雪原での別れのシーンは涙なしには見られません。
シリが自身の意思で「個人の幸せ」よりも「より大きな善」を選んだ、ビタースイートながらも尊い大団円です。
ついでに決まる世界情勢とゲラルトの老後
シリの運命だけでなく、サブクエスト「国家の理性」の結果で北方の未来も変わります。
- ラドヴィッド勝利
魔女狩りが激化し、恐怖政治が続く。
最悪のパターン。 - ディクストラ勝利
ロッシュたちを見殺しにした場合。
産業化が進み国は富みますが、独裁体制となります。 - ニルフガード勝利
ロッシュに加勢した場合。
テメリアは属国として復活し、大陸に秩序ある平和が訪れます。
そして、ゲラルトの隣に誰がいるか。
- イェネファー
政治の喧騒を離れ、二人で静かな隠居生活。
朝遅くまで寝て、朝食を楽しむ日々。
最高ですね。
私もこんな老後を送りたい。 - トリス
コヴィルの王宮で、裕福で情熱的な日々。 - 独り身
二股をかけた罰、あるいは誰も選ばなかった場合。
ゲラルトは「道」に戻り、貧しくとも自由なウィッチャーとして生を全うします。
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第3部:DLC詳細解析本編を超えた「物語の極致」

本編クリアで満足して売ってしまった人、正直に手を挙げてください。
今すぐ買い戻すべきです。
なぜなら、この2つのDLCこそがウィッチャー3の真骨頂だからです。
なんなら本編よりも脚本の密度は濃いかもしれません。
DLC第1弾「無情なる心 (Hearts of Stone)」
これは、人間の魂と悪魔的契約を巡る、極上のサスペンス・ホラーです。
あらすじ
下水道の怪物退治という地味な依頼から始まった事件は、呪われたオフィルの王子殺害へと発展。
捕らえられたゲラルトを救ったのは、「鏡の達人」と名乗る謎の男、ゴウンター・オーディムでした。
彼は救出の代償として、不死身の男オルギエルド・フォン・エヴェレックが抱える「3つの願い」を叶える代理人になるよう要求します。
物語の核心
調査を進めると、オルギエルドの悲劇が浮き彫りになります。
彼はかつて、愛する妻イリスとの結婚を認めてもらうため、そして失った富を取り戻すためにオーディムと契約しました。
しかし、悪魔の契約には罠があります。
「不死」と「富」を得る代償として、彼は最も愛する弟の命を差し出し、さらに副作用として「石の心」となり、感情を失ってしまったのです。
愛するイリスでさえ、彼の冷酷さに絶望して孤独死していました。
エンディング分岐
- 見捨てる
オーディムがオルギエルドの魂を回収。
彼は干からびたミイラとなって死亡します。 - 助ける
ゲラルトは自らの魂を賭け、オーディムに知恵比べを挑みます。
異界での謎解き(「割れない鏡=水面」を見つける)に成功すると、オーディムを追放できます。
感情を取り戻したオルギエルドは、愛刀「イリス」をゲラルトに託し、新たな人生を歩み始めます。
DLC第2弾「血塗られた美酒 (Blood and Wine)」
ゲラルトの最後の冒険を描く、シリーズの集大成。
本編よりも明るく、しかし影はより濃い。
あらすじ
舞台は、戦争とは無縁の美しいワインの国「トゥサン」。
まるで絵本の中のような風景ですが、そこでは騎士たちが「古き美徳」を汚したという理由で殺される猟奇事件が起きていました。
犯人は、なんと高等吸血鬼デトラフ。
しかも彼は、原作小説で死んだはずのゲラルトの親友レジスの命の恩人であり、同族でした。
物語の核心
デトラフは極悪人ではありませんでした。
彼は恋人「ラナ」を人質に取られ、殺人を強要されていたのです。
しかし、その「ラナ」の正体こそが、公爵アンナの実の姉、シアンナでした。
シアンナは「黒い太陽の呪い」を受けたとして幼少期に国を追放され、虐待を受けて育ちました。
彼女は自分を捨てた妹と国への復讐のため、吸血鬼デトラフの純粋すぎる愛を利用し、殺戮兵器として使っていたのです。
愛憎が入り混じる姉妹喧嘩に、吸血鬼とウィッチャーが巻き込まれる構図。
トゥサンはおとぎの国ではなく、残酷な現実の隠れ蓑だったのです。
エンディング分岐(童話の国での選択)
- ハッピーエンド(姉妹和解)
マッチ売りの少女から「リボン」を入手してシアンナを守り、さらに彼女の過去の痛みに寄り添って説得する必要があります。
デトラフはレジスに殺されますが、姉妹は和解し、国に平和が戻ります。 - バッドエンド(シアンナ死亡)
リボンを入手しない場合、シアンナはデトラフに殺されます。
ゲラルトは投獄され、釈放後もアンナ公爵との関係は最悪になります。 - 悲劇のエンド(姉妹共倒れ)
シアンナの説得に失敗すると、彼女は裁判の場で妹アンナを刺殺し、自らも兵士に殺されます。
国は荒廃し、誰も救われない結末です。
エピローグ
すべてを終えたゲラルトは、報酬の邸宅「コルヴォ・ビアンコ」で隠居します。
そこへ、本編のパートナー(イェネファー、トリス、シリ、あるいはダンディリオン)が訪ねてきます。
ゲラルトがカメラ(プレイヤー)を見つめ、静かに微笑むラストシーン。
「これにて、一巻の終わり」
それは10年に及ぶ旅の終わりを告げる、あまりにも美しい幕引きです。
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第4部:未回収の伏線と考察氷山の一角

さて、ここからは「深読み」の時間です。
表向きのストーリーには出てこない、でも確かに存在する謎について。
1. ゴウンター・オーディムの正体:彼は何者か?
DLC1の黒幕、ゴウンター・オーディム(Gaunter O'Dimm)。
彼のイニシャルはG.O.D.。
時間を止め、スプーンを目に突き刺し、魂を契約で縛るその能力は、魔法使いや悪魔の域を超えています。
実は彼、本編の最初(ホワイト・オーチャードの酒場)に一般人として登場し、ゲラルトにイェネファーの居場所を教えているんです。
最初からすべてを監視し、コントロールしていた。
ファンの間では
「彼はこの世界の創造主(God)、あるいは純粋な悪の具現化(Devil)ではないか」
と議論されています。
私は、彼こそが「物語の強制力」そのものの擬人化ではないかと思っています。
2. シリとサイバーパンク2077
霧の島で再会した際、シリは異世界への旅について不思議なことを言います。
「そこには頭に金属を埋め込んだ人々がいて、遠くから戦争をして、誰も馬に乗らず空飛ぶ船を持っていた」
これ、どう聞いてもCD PROJEKT REDの次回作『サイバーパンク2077』の世界(ナイトシティ)ですよね。
実際に『2077』のゲーム内には、ウィッチャー3の雑誌が登場するイースターエッグが存在します。
シリは本当にナイトシティに行っていたのか?
もしそうなら、彼女の能力はゲームのフランチャイズさえも飛び越えることになります。
3. 未実装の幻:イオルヴェスとカトリオナ疫病
前作の人気キャラ「イオルヴェス」が今作にいないことを嘆くファンは多いです。
解析データによれば、当初はノヴィグラドで「カトリオナ疫病」のアウトブレイクに対処する大規模クエストに関わる予定だったそうです。
開発期間の都合でカットされましたが、もし実装されていれば、非人間族への迫害と疫病の恐怖がより深く描かれていたはず。
完全版で復活してほしかった……。
4. 最後の妖婆の行方
バッドエンド以外のルートでは、妖婆の生き残りであるウィーヴスは、シリのメダリオンを持ったまま逃亡しています。
彼女がその後どうなったのかは描かれていません。
おそらく、ウィッチャーとなったシリの最初の標的になったか、あるいはどこかの沼地で再び悪事を働いているのか。
この「決着のつかなさ」もまた、ウィッチャーらしいリアリティと言えるでしょう。
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結びPolaris(ウィッチャー4)へ続く道
長々と語ってきましたが、いかがでしたか?
『ウィッチャー3』がなぜここまで愛されるのか。
それは、このゲームが「正解のない問い」を投げかけ続けるからだと思います。
男爵を救うために孤児を見捨てるか。
国を救うために友を殺すか。
娘の自由のために、親としての心配を飲み込むか。
私たちが現実世界で直面する葛藤が、ファンタジーの皮を被ってそこにあります。
2025年11月現在、私たちは新たな伝説の幕開けを待っています。
コードネーム「Polaris」。
Unreal Engine 5で描かれる新サーガ。
公開されたティーザー画像には、雪に埋もれた「オオヤマネコ(Lynx)」流派と思われるメダリオンが描かれていました。
これはシリが新たな流派を立ち上げる物語なのか、それとも全く新しい主人公なのか。
確かなことは一つだけ。
ゲラルトの旅はコルヴォ・ビアンコで終わりましたが、ウィッチャーの世界はまだ終わりません。
もし、まだこの世界に触れていない方がいたら、ぜひその手で銀の剣を抜いてください。
既プレイの方は、ニューゲーム+で「あの時選ばなかった選択肢」を選んでみてください。
そこにはきっと、まだ見ぬ真実と、あなた自身の心が映し出されるはずです。
それでは、また次の「道(Path)」でお会いしましょう。
「幸運を祈る。ウィッチャーの道に栄光あれ」
【2025年最新完全版】ウィッチャーの物語と「運命」の正体を徹底考察!ゲラルトの記憶喪失から隠された裏設定まで
