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【MGS2完全解剖】なぜ私たちは「雷電」を許せなかったのか?2025年に的中したAI社会の予言とS3計画の全貌

2001年のあの日、あなたはコントローラーを握りしめて、こんな風に叫びませんでしたか?

  • 「なんでスネークが使えないんだ! この金髪の優男(雷電)は誰だよ!」
  • 「大佐が『川西能勢口』とか言い出したんだけど、バグった? 意味不明すぎて怖い」
  • 「結局、S3計画って何だったの? ネットの考察を見ても難しくてモヤモヤする……」

わかります。

私も当時、長崎の実家にあるブラウン管テレビの前で、同じようにポカーンとしていましたから。

期待していた英雄譚とは違う、あまりにも難解で、不気味なストーリー。

多くの人が「わけがわからないまま」大人になってしまったのではないでしょうか。

 

でも、現代社会に目を向けてみてください。

SNSにはフェイクニュースが溢れ、AIが書いた文章か人間が書いた文章かも区別がつかない。

自分好みの情報だけに囲まれて、真実が見えなくなっている今の世界。

なんだか息苦しいと感じていませんか?

 

実はこれ、

全て『メタルギアソリッド2(MGS2)』が24年前に予言していたこと

なんです。

 

この記事を書いている私は、MGSシリーズを発売日からリアルタイムでプレイし続け、分厚い設定資料集を枕元に置いて寝る生活を20年以上続けてきた、筋金入りのメタルギアオタクです。

現在は東京でフルタイム勤務の会社員と主婦をこなしながら、ウェブライターとしてAI社会の最前線で「情報の波」に揉まれています。

そんな私だからこそ断言できることがあります。

MGS2は、2025年を生きる私たちのための「生存マニュアル」であると。

 

この記事では、以下の謎を徹底的に解き明かします。

  • なぜ主人公はソリッド・スネークではなく、雷電でなければならなかったのか?
  • 9.11テロによって封印された「幻のマンハッタン破壊シーン」とは?
  • AI大佐が語った「S3計画」の真実と、それが現代のSNS社会とどうリンクしているのか?

この記事を読み終える頃には、長年のモヤモヤが晴れるだけでなく、あなたが日々接しているネットニュースやSNSを見る目が劇的に変わっているはずです。

「情報の呪縛」から解き放たれ、誰かの受け売りではない、

あなた自身の名前で生きる覚悟

が決まるでしょう。

 

さあ、準備はいいですか?

情報の欠損は一切なし。

忖度もなし。

2001年の小島秀夫監督が仕掛けた、時限爆弾のようなメッセージの封印を、今ここで解きましょう。

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はじめに2025年の東京砂漠で、AI大佐の幻聴を聞く

お疲れ様です。

今朝も満員電車に揺られながら、スマホの画面と睨めっこしていましたか?

私もです。

中央線は今日も今日とて地獄絵図でした。

 

私の隣にいたサラリーマンのおじさまは、ニュースアプリが「あなたへのおすすめ」として吐き出した記事を、虚ろな目で無限にスワイプしていました。

向かいの女子高生は、AIフィルターで加工されたTikTok動画を見続けて、時折真顔で「いいね」を押していました。

 

ふと、思うんです。

「ああ、ここはアーセナルギアの中だ」って。

 

ここは2025年の12月。

生成AIが書いた文章が溢れ、何が本当で何が嘘かわからない「ポスト・トゥルース」の世界。

実はこの光景を、24年も前に完璧に予言していたゲームがあったことを、皆さんは覚えていますか?

 

そう、

『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ(MGS2)』

です。

 

当時、私はまだ長崎の実家にいて、ブラウン管テレビの前でポカンとしていました。

「雷電? 誰これ? スネークどこ行ったの?」って。

でも、アラフォーになり、東京で揉まれ、AI時代の波に吞まれかけている今ならわかります。

あれは単なるゲームじゃなかった。

小島秀夫監督が私たちに突きつけた、あまりにも早すぎた「警告状」だったんです。

 

今日は、ライターとしてキーボードを叩きつつ、主婦業(今日の夕飯は冷凍餃子で手を打ちます)もこなしつつ、この「MGS2」という怪物を解剖していきたいと思います。

当時の私たちが感じた「裏切られた!」という怒りの正体から、封印された9.11の幻のシーン、そしてAI大佐が語ったS3計画の真実まで。

情報の欠損は一切なし。

2025年の視点から、徹底的に語り尽くします。

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第1部:21世紀最大の「裏切り」アバター「雷電」という装置

なぜ、私たちのヒーロー「ソリッド・スネーク」は奪われたのか

まず、あの時の衝撃を振り返らせてください。

2001年11月。

世界中のゲーマーが「待ってました!」とPS2の電源を入れました。

発売前のトレーラー映像は完璧でしたよね。

雨の降りしきるタンカー、タバコを吹かすスネーク、映画のような演出。

「PS2の性能ですごいスネークが操作できる!」

と、誰もが疑っていませんでした。

 

ところが、です。

スネークを操作できるのは序盤の「タンカー編」だけ。

「プラント編」が始まった途端、画面に現れたのは、透き通るような白い肌と中性的な顔立ちをした、線の細い新米兵士「雷電(ライデン)」だったのです。

 

「……は?」

当時、長崎の自室で私が発した第一声です。

「誰これ? スネークは? なんでこんなナヨナヨした優男を操作しなきゃいけないの?」

 

世界中でちゃぶ台返しが起きました(心のなかで)。

「金返せ!」という暴言すら飛び交った、ゲーム史上類を見ない「詐欺的」な主人公交代劇。

でもね、これこそが小島監督が仕掛けた、最も計算高いトリックだったんです。

 

前作『MGS1』で、ソリッド・スネークはあまりにも完璧な「伝説の英雄」になりすぎていました。

プレイヤーがスネークを操作し続ける限り、私たちは「自分は最強の兵士だ」という万能感(錯覚とも言う)から抜け出せません。

スネークと一体化しすぎて、彼の苦悩や孤独、そして「老い」を客観的に見ることができなくなっていたんです。

 

シャーロック・ホームズの凄さを語るには、凡人であるワトソン役が必要ですよね?

それと同じです。

未熟で、経験不足な雷電という「凡人」の視点を通すことで初めて、私たちはスネークという存在がいかに異質で、頼もしく、そして孤独であるかを客観的に知ることができたのです。

プラント編で共闘するスネーク(プリスキン中尉)、めちゃくちゃ頼もしかったでしょう?

あれは、私たちがスネークじゃなかったからこそ感じられた感情なんです。

プレイヤーの分身としての「空っぽの器」

雷電の設定を改めて見直すと、これがもう、本当に残酷なんです。

 

彼は「VR(仮想現実)トレーニング」のエリート。

何百ものミッションをシミュレーション上でこなし、「訓練ではスネークを超えている」なんて豪語しちゃう。

でも、実戦経験はゼロ。

血の匂いも、人を殺める重みも知らない。

怪我をしてもレーション(回復アイテム)を食べれば治ると思っているような、ゲーム脳の兵士。

 

これって、誰のことだと思います?

 

そう、暖かい部屋でポテチをつまみながら、「戦争ゲーム」を楽しんでいる

私たちプレイヤーそのもの

なんです。

  • 主体性の欠如
    雷電は上官(大佐)や恋人(ローズ)の指示に、「はい、わかりました」と従うだけ。
    任務の裏にある政治的背景なんて深く考えない。
    これも、
    「ゲームだから次の目的地に行けと言われれば行く」
    という私たちの受動的な姿勢そのもの。
  • 名前の刻印
    ゲーム冒頭で入力させられたあなたの名前(本名入れて赤面した人、正直に手を挙げて? 私です)、あれは雷電のドッグタグに刻まれます。
    彼は独自の自我を持つ主人公ではなく、プレイヤーの操り人形(アバター)であることを突きつけられているわけです。

私たちが雷電を嫌った本当の理由。

それは彼が「カッコよくないから」だけじゃありません。

雷電という鏡に映った、

「英雄気取りの、中身のない自分」を見せつけられるのが不快だったから――。

「こんな弱々しい奴は俺じゃない!」

と叫ぶその姿こそが、現実を見ようとしない未熟さの証明だった。

小島監督、性格悪すぎませんか?(最高の褒め言葉です)

「ジャック・ザ・リッパー」の深層と少年兵の記憶

物語が進むと、雷電のメッキが剥がれていきます。

彼の中身は「空っぽ」じゃなかった。

むしろ、直視できないほど血塗られていました。

 

彼の正体は、1980年代後半のリベリア内戦で

「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」

「白い悪魔」

と恐れられた元少年兵。

10歳にして小隊長を務め、銃よりもナイフで敵の喉を掻き切ることを得意としていた殺人マシーン。

その彼を育て上げ、殺人術を教え込んだのが、今回の敵の親玉であるソリダス・スネーク(当時はジョージ・シアーズ)だという皮肉。

 

雷電は、あまりに凄惨な記憶から逃れるために、ナノマシンによる記憶操作を受け入れ、自分を

「VR訓練しか知らないクリーンな新兵」

だと思い込んでいました。

現実の痛み(PTSD)よりも、整理整頓されたデジタルの嘘(VR)を好む。

 

これ、現代の私たちにも通じるところがありませんか?

辛い現実(満員電車とか、上司の嫌味とか、姑の小言とか)から目を背けて、SNSのキラキラした世界や、整えられたフィクションの中に逃げ込む心理。

雷電は、現代人の心の弱さを象徴するキャラクターでもあったんです。

 

ちなみにコードネームの「雷電」は、旧日本海軍の局地戦闘機「雷電」に由来し、連合国側コードネームが「Jack」だったこととリンクしています。

当初カタカナの「ライデン」だったのが、漢字の「雷電」になったのは、「ビンラディン」を想起させるからという噂もありましたね。

時代を感じます。

ローズマリーという「虚構の恋人」

雷電をサポートする恋人、ローズマリー。

彼女の存在もまた、背筋が凍るような設定です。

「ジャック、今日の調子はどう?」

「ねえ、明日は何の日か覚えてる?」

と、任務中にプライベートな会話をねじ込んでくる彼女。

当時は「うっとうしいな」と思った人も多いでしょう。

 

でも、彼女は単なる恋人ではなく、愛国者達のエージェントとして雷電を監視するために送り込まれたスパイでした。

雷電の好みの髪型、目の色、性格を演じ、彼をコントロールするための「理想の彼女」。

 

さらに終盤、無線で話していたローズが、実はAI(GW)が作り出したアバターだったことが判明します。

自分が愛し、頼りにしていたパートナーさえも、システムがあてがった「都合の良い幻影」だった。

 

今の2025年、AIパートナーやチャットボットと疑似恋愛を楽しむサービスが普及していますよね。

MGS2は20年以上前に、「システムとの疑似恋愛」の虚しさと、それが破綻した時の恐怖を描いていたわけです。

「あなたはまだ家に帰れないの?」

という彼女のセリフは、深夜までゲームをしているプレイヤーへの皮肉でもありました。

耳が痛い。

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第2部:ストーリー完全解析2つの事件と再現された悪夢

ここからは、少し頭を整理しましょう。

MGS2の物語は大きく2つのパートに分かれます。

これらは単に「1章」「2章」という関係ではなく、意図的に「反復(リフレイン)」する構造になっています。

2-1. タンカー編:マンハッタン沖タンカー沈没事件(2007年8月8日)

舞台は2007年のニューヨーク、ハドソン川。

前作のシャドー・モセス島事件から2年後。

ソリッド・スネークは、オタコンと共に反メタルギアNGO「フィランソロピー」を結成していました。

目的は、アメリカ海兵隊が極秘開発した対メタルギア用兵器「メタルギアRAY(レイ)」の証拠写真を撮り、ネットで拡散すること。

 

スネークが潜入したのは、偽装タンカー「ディスカバリー号」。

しかし、そこへセルゲイ・ゴルルコビッチ率いるロシアの私兵部隊が襲撃をかけ、船をシージャックします。

彼らを手引きしていたのは、スネークの宿敵リボルバー・オセロット。

 

船倉での演説中、オセロットは本性を現します。

海兵隊司令官スコット・ドルフを射殺し、あろうことか盟友であるはずのセルゲイも裏切って殺害。

そしてメタルギアRAYに乗り込んだ瞬間、彼に移植されていた「リキッド・スネークの右腕」が暴走。

死んだはずのリキッドの人格がオセロットの肉体を乗っ取り、

「兄弟(スネーク)!」

と叫びながらRAYでタンカーを破壊して逃亡します。

 

結果、タンカーは沈没。

大量の原油がマンハッタン沖に流出。

オセロットの情報操作により、スネークは「タンカーを爆破した環境テロリスト」として指名手配され、公式には死亡したと発表されました。

ここで重要なのは、「真実」がいとも簡単に捻じ曲げられ、「作られたニュース」が大衆にとっての事実になってしまったということです。

2-2. プラント編:ビッグ・シェル占拠事件(2009年4月29日)

それから2年後の2009年。

タンカー沈没地点には、流出した原油を処理するための巨大な洋上プラント「ビッグ・シェル」が建設されていました。

この施設が、「サンズ・オブ・リバティ(自由の息子達)」と名乗るテロリスト集団に占拠されます。

人質は視察に来ていたジェームズ・ジョンソン大統領。

要求は現金300億ドル。

従わなければ施設を爆破し、有毒な化学物質で海を汚染すると脅します。

 

事態を収拾するため、新生FOXHOUND部隊の新人「雷電」が単独潜入します。

任務は「人質の救出」と「テロリストの武装解除」。

2-3. 再現されたシャドー・モセス

ここで、前作をプレイした人は奇妙な既視感(デジャヴ)に襲われます。

  • 海上の閉鎖空間への単独潜入
  • エレベーターを使った潜入(MGS1冒頭でスネークが装備を脱ぎ捨てたあの演出)
  • 人質になった重要人物(DARPA局長と大統領。しかも今回も心臓発作で……)
  • 戦闘ヘリ(ハリアーII)との一騎打ち(前作はハインドD)
  • サイボーグ忍者の登場
  • サポート役の裏切り

これ、全部MGS1と同じなんですよ。

雷電は「まるでVR訓練みたいだ」と言いますが、これは偶然じゃありません。

黒幕が意図的に「シャドー・モセス島事件」を再現(シミュレート)していたんです。

同時にこれは、私たちプレイヤーに対するメタ的なメッセージでもあります。

「お前ら、また同じようなことやりたいんだろ?」

という、続編への安易な期待に対する強烈な皮肉。

「新作楽しみ!」

と言いながら、結局は「前と同じ体験」を求めてしまう私たちの保守性を、小島監督は見透かしていたんですね。

2-4. サンズ・オブ・リバティとデッドセル

敵の面々も強烈です。

もはやアメコミヒーロー並みの濃さ。

 

リーダーはソリダス・スネーク

元第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・シアーズその人であり、ビッグ・ボスの3人目のクローン。

ソリッド(劣性)やリキッド(優性)と違い、優性・劣性の偏りがない「完全なバランス」を持つ個体です。

パワードスーツを着て、背中から生えた2本の触手(スネークアーム)を操る姿は圧巻。

 

そして彼に従うのが、特殊部隊デッドセル(Dead Cell)

  • フォーチュン
    幸運の女神。
    銃弾が彼女を避けて通る(実は電磁波装置の力でしたが)悲劇の女性。
    レールガンをぶっ放す姿がカッコ良すぎます。
  • ヴァンプ
    ナイフ使いの不死身の男。
    水面を走ったり壁を駆けたり、影を縫って動きを封じたり、物理法則を無視しがち。
  • ファットマン
    爆弾魔の巨漢。
    ローラースケートで優雅に走り回りながら爆弾を仕掛けるサイコパス。
    ワインを片手に爆破を楽しむ姿は、狂気そのもの。

さらに、オルガ・ゴルルコビッチ

タンカーで殺されたセルゲイの娘です。

彼女は愛国者達に生まれたばかりの子供を人質に取られ、不本意ながらサイボーグ忍者の格好をして雷電をサポートすることになります。

わき毛の描写までこだわったという逸話は有名ですね(笑)。

2-5. イロコィ・プリスキンと真実の暴露

潜入中、雷電は「イロコィ・プリスキン中尉」と名乗る海軍SEALsの生き残りと出会います。

まあ、バレバレなんですけど、正体はソリッド・スネークです。

この「雷電から見たスネーク」が本当にかっこいい。

自分が操作していない時のスネークって、こんなに頼りになるんですね。

ちなみに「イロコィ・プリスキン」という名前は、映画『ニューヨーク1997』の主人公スネーク・プリスキンから取られています。

小島監督の映画愛が炸裂しています。

 

物語中盤、ビッグ・シェルは単なる除染施設ではなく、巨大な潜水要塞アーセナルギアを隠すためのカモフラージュだったことが判明します。

そしてその中枢には、すべてを監視し制御するAI「G.W.(ジー・ダブリュー)」が鎮座していました。

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第3部9.11と封印された「幻のMGS2」

ここで少し、ゲームの外側の話をしなければなりません。

MGS2という作品の運命を決定づけた、2001年9月11日のアメリカ同時多発事件についてです。

 

マンハッタンを舞台にしたこのゲームは、現実の悲劇とあまりにもリンクしすぎていました。

そのため、発売直前に緊急手術のような大幅な修正が行われたのです。

これを知っているのといないのとでは、エンディングの重みが違ってきます。

3-1. 削除されたマンハッタン破壊のカタストロフ

本来の脚本と、すでに完成していた映像では、制御を失った巨大要塞アーセナルギアがマンハッタンの湾岸に突っ込み、都市を物理的に破壊しながら進むシーンがありました。

自由の女神像をなぎ倒し、エリス島まで押し流し、ウォール街のビル群を粉砕してバッテリーパークに乗り上げる。

そんな映像、あの当時の空気の中で流せるわけがありません。

「不謹慎」とかそういうレベルを超えていました。

小島監督も一時は発売中止や退社を覚悟したそうです。

3-2. 不自然なシーン接続と消えた星条旗

結果として、これらの破壊シーンは全カットされました。

製品版をプレイすると、アーセナルギアが暴走を始めた直後に画面がホワイトアウトし、次の瞬間にはもうフェデラル・ホール(連邦公会堂)の前に座礁しているシーンに飛びます。

「あれ? 今どうやってここまで来たの?」

という違和感。

でも、この情報の欠落が、逆に

「何が起きたかわからない不気味さ」

「情報の断絶」

を醸し出し、作品のシュールな雰囲気を高める結果になったのは皮肉な話です。

 

また、最終決戦の地であるフェデラル・ホールには、本来なら無数のアメリカ国旗(星条旗)が掲げられていました。

これも配慮からすべて削除されています。

ソリダス・スネークが最期を迎えるジョージ・ワシントン像の前。

彼が「愛国者達」からの独立を宣言しようとしたその場所に、国家の象徴である国旗がない。

意図せぬ修正でしたが、これによってソリダスの戦いが誰にも顧みられない、孤独で虚しいものであることが強調されてしまいました。

3-3. カレン北条とニュース映像

エンディングでは、『ポリスノーツ』のキャラクターであるキャスター「カレン北条」による、実写のニュース映像が流れる予定でした。

彼女が瓦礫の山となったマンハッタンから現場レポートをする内容でしたが、これも当然お蔵入り。

これらの「幻のシーン」は、後に発売された『The Document of Metal Gear Solid 2』やノベライズ版などでその痕跡を確認することができます。

もしこのシーンが入っていたら、MGS2はもっと「現実と地続きの恐怖」を感じさせる作品になっていたかもしれません。

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第4部:S3計画と愛国者達の全貌騙されていたのは誰だ?

さて、ここからが本題です。

物語の核心にある「愛国者達」と「S3計画」。

この言葉の意味が二転三転して、プレイヤーの脳みそをシェイクしてきます。

ついてきてくださいね。

ここが一番面白いところですから。

4-1. 組織としての「愛国者達」

「愛国者達(The Patriots)」とは、冷戦時代に「賢者達」の遺産を受け継ぎ、アメリカを影から支配するために作られた秘密組織。

創設メンバーはゼロ少佐、ビッグ・ボス、パラメディック、シギント、オセロット、EVAの6人。

伝説の兵士ザ・ボスの「世界を一つにする」という意志を継ぐはずでした。

しかし、組織は徐々に変質し、ゼロ少佐の高齢化とともに、AIによる自動統治システムへと移行。

MGS2の時点では、すでに人間の実体はなく、「システムそのもの」が愛国者達となっていました。

「らりるれろ」という言葉、覚えていますか?

ナノマシンによる言語統制で、「愛国者達」と言おうとすると勝手に「らりるれろ」に変換されてしまう。

言葉狩りの究極系です。

4-2. 愛国者達のAIネットワーク

彼らの支配システムは、中枢AI「JD(ジョン・ドゥ)」を頂点に、4つの下位AIで構成されています。

  • GW (George Washington): 情報統制担当。MGS2のボス的存在。
  • TJ (Thomas Jefferson)
  • TR (Theodore Roosevelt)
  • AL (Abraham Lincoln)

歴代大統領のイニシャルを持つ彼らが、アメリカの政治、経済、軍事、文化をコントロールしている。

雷電が戦っていたのは、この巨大なシステムのほんの一部、GWという端末に過ぎなかったわけです。

4-3. S3計画の第一義:Solid Snake Simulation

物語の中盤まで、S3計画はこう説明されます。

「Solid Snake Simulation(ソリッド・スネーク・シミュレーション)」

最強の兵士ソリッド・スネークのような兵士を量産するためのプログラム。極限状態(シャドー・モセスのような状況)を再現し、そこを生き延びさせれば、誰でもスネークになれる。

雷電はその実験台であり、ビッグ・シェル事件はそのための演習だった。

ソリダスもオセロットも、この説明を信じていました。

プレイヤーも

「なるほど、だからMGS1と同じシチュエーションなのか!」

と納得しましたよね。

4-4. S3計画の真義:Selection for Societal Sanity

しかし、オタコンの妹エマ・エメリッヒが作ったウイルスによってGWが崩壊し始めた時、AI大佐は本当の真実を語り出します。

 

真のS3とは、

「Selection for Societal Sanity(社会的正気の選別)」

 

兵士を作る?

そんなチャチな目的じゃありません。

真の目的は、

「状況と情報をコントロールすることで、人間の意志決定と行動を完全に支配できるか」

という社会実験でした。

 

「雷電のような、信念も思想もない空っぽの個人を、与えられた情報と状況だけで操り、命を賭けて戦わせ、殺人までさせることができるか?」

 

結果はどうだったか。

雷電は見事に操られ、育ての親であるソリダスに剣を向けました。

実験は成功です。

愛国者達は

「人類は情報によっていかようにも制御可能である」

という確証を得てしまったのです。

 

私たちプレイヤーもまた、「ゲームだから」という理由だけで、画面の中の敵を何百人も殺しましたよね?

「ここに行け」

「これを倒せ」

という無線指示に従って。

私たちもまた、S3計画の被験者として、見事に合格してしまったというわけです。

悔しいけれど、完敗です。

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第5部:AI大佐の予言と言語分析現代社会への警鐘

MGS2が「神ゲー」として再評価されている最大の理由。

それは終盤、AI大佐とローズが雷電(と私たち)に向けて放つ演説の内容です。

2025年の今、このセリフを読むと鳥肌が立ちます。

今のインターネット社会そのものだからです。

大佐の言葉を、今の2025年の状況と照らし合わせてみましょう。

5-1. 情報の飽和と劣化

AI大佐はこう言います。

「現在のデジタル化された世界では、取るに足らない情報が毎秒蓄積され、その無意味さのまま保存されている。噂、誤解、中傷……フィルタリングされないまま増大し続けるジャンクデータ」

昔は、情報は自然に消えていくものでした。

紙は朽ちるし、人の記憶は薄れる。

でもデジタル空間では、どんなにくだらないデマも、悪意ある中傷も、黒歴史も、劣化せずに永遠に残り続ける。

AIはこれを「進化の袋小路」だと断じます。

ゴミ情報に埋もれて、人類は真実を見つけられなくなると。

「インフォデミック(情報のパンデミック)」

なんて言葉が流行るずっと前に、小島監督はこの状況を見抜いていたんですね。

5-2. コンテクスト(文脈)の生成

そしてAIが提示した解決策。

ここが重要です。

「検閲(Censorship)」をするんじゃない。

「文脈の生成(Context Creation)」をするんだと。

「我々が提案するのはコンテンツの制御ではない。コンテクストの生成だ」

「人間が生み出すゴミの海を渡り歩き、価値ある真実を拾い上げ、後世のためにその意味を解釈してやる」

特定の情報を消すのは野暮。

バレると反発を招くから。

そうじゃなくて、

「どの情報を上位表示するか」

「どの情報を『おすすめ』に出すか」

を操作する。

情報の「意味」や「優先順位」をコントロールすることで、大衆が見るべき「真実」を作り出す。

 

これ、今のGoogle検索や、YouTube、TikTokのレコメンドアルゴリズムそのものじゃないですか?

私たちがスマホで見ている「世界」は、実はアルゴリズムによって選別され、味付けされた「コンテクスト」の結果に過ぎないのかもしれません。

「あなたが興味ありそうな記事」ばかり表示されるせいで、世の中の本当の姿が見えなくなっているとしたら?

5-3. フィルターバブルとエコーチェンバー

さらにAI大佐は畳み掛けます。

「誰もが大きなフォーラムを恐れ、自分だけの小さなゲート・コミュニティに引きこもる。都合の良い『真実』を社会という汚水溜めに垂れ流す。異なる真実は衝突も融合もしない。誰も否定されないが、誰も正しくない」

うわあ……。

これ、X(旧Twitter)のリプライ欄そのままでしょう。

自分と似た意見の人とだけ繋がって(フィルターバブル)、自分たちの正義を増幅させていく(エコーチェンバー)。

異なる意見を持つ人をブロックし、対話は成立せず、ただ罵り合うだけの分断された社会。

「誰も否定されないが、誰も正しくない」。

2025年の今、この言葉ほど現代社会を鋭く刺す言葉はない気がします。

私のタイムラインも、気づけば似たような意見の人ばかりです。

5-4. 生成AIと「ハルシネーション」

作中で、ウイルスに感染したGW(AI大佐)がバグり始めますよね。

「川西能勢口、次は池田~」とか「昔、紫の剥製を着た……」とか、意味不明なことを口走る。

これ、今で言う生成AIの「ハルシネーション(幻覚)」です。

もっともらしい顔をして嘘をつく、データの継ぎ接ぎで壊れていく知性。

AIは完璧じゃない。学習データやプロンプト一つで狂ってしまう危ういシステムに、私たちは社会の基盤を委ねようとしている。

その危うさまで描かれていたことに、改めて戦慄します。

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第6部メタフィクションの極北と狂気の演出

MGS2の終盤は、もはやゲームという枠を超えた「体験」です。

第四の壁(フィクションと現実の境界)をハンマーで叩き割るような演出の数々。

当時プレイしていた私は、本気でゲーム機が壊れたと思いました。

6-1. Fission Mailed(核分裂メール済?)

アーセナルギア突入後、突然のゲームオーバー画面。

「あ、死んだ?」と思ったら、文字が「Fission Mailed」(Mission Failedのアナグラム)。

しかも画面は半透明で、後ろではゲームが続いている。

「失敗した」というプレイヤーの焦りを利用したトリック。

システム自体が崩壊していることを、これ以上ないほど雄弁に語る演出です。

初見の時、本当にテレビが壊れたかと思ってリモコン叩きましたもん、私。

6-2. プレイヤーへの直接攻撃

暴走した大佐は、雷電を飛び越えて「私」に話しかけてきます。

  • 「雷電、今すぐゲーム機の電源を切るんだ!」
  • 「長時間プレイは目に悪いぞ」
  • 「モニターに近づきすぎだ」
  • 「君は最低だ」

深夜に及ぶプレイで目が充血していた当時の私には、効果てきめんでした。

「これはゲームだぞ。お前はただデータを操作しているだけだぞ」

と突きつけてくる。没入感を強制的に剥ぎ取ることで、逆に「現実の自分」を意識させる。

小島監督、あんた鬼だよ。

6-3. VR理論とその決着

あまりにシュールな展開、雷電の曖昧な記憶。

ファンの間では長年、「MGS2の物語はすべて雷電が見ていたVR(夢)だったんじゃないか?」という「VR理論」が議論されてきました。

ですが、続編『MGS4』や公式資料で、

ビッグ・シェル事件は「正史(実際に起きた出来事)」

だと確定しています。

 

ただし、

「物理的には起きたけど、その内容は愛国者達によってVRシミュレーションのように脚本化・演出されていた」

というのが正解。

現実はあった。

でもそれは、「作られた現実」だった。

私たちの人生も、誰かが書いた脚本の上にあるのかもしれない……

なんて考え出すと、夜も眠れなくなりますね。

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第7部:ミームの継承私たちが未来に残せるもの

メタルギアシリーズには、各作品にテーマとなる遺伝子コードがあります。

MGS1はGENE(遺伝子)。

MGS2はMEME(ミーム:文化的遺伝子)。

 

DNAによる遺伝ではなく、言葉、文化、物語、魂。

これらをどうやって後世に伝えていくか。

7-1. ソリダス・スネークの悲哀

ラスボスのソリダス・スネーク。

彼もまた、被害者でした。

ビッグ・ボスの完全なクローンでありながら、生殖能力を持たず、寿命も制限されていた彼。

遺伝子(GENE)を残せない彼は、自分の生きた証、自分の名前を歴史(MEME)に刻むことに執着しました。

 

彼がやろうとしたのは、愛国者達のデジタル支配から、人間の自由と尊厳を取り戻すこと。

「自由の国アメリカ」の復権。

やり方は過激でしたが、彼の動機は人間的で、ある意味で純粋でした。

彼がジョージ・ワシントン像の前で散った姿は、アナログな「人間の時代」の終わりを告げているようで、涙なしには見られません。

子を持つ親として、何かを残したいという彼の切実な願いには、胸が締め付けられます。

7-2. 雷電の自立とスネークの言葉

エンディング。

雷電はプレイヤーの名前が刻まれたドッグタグを投げ捨てます。

これは「プレイヤーのアバター」としての役割を終え、雷電という一人の人間として生きる宣言。

 

そして、スネークおじさんは雷電に(そして私たちに)語りかけます。

「僕たちが伝えられるものは、たかが知れている。でも、誰かに伝えずにはいられない」

「言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ」

「自分の名前は、自分で決めるんだ」

ミームは、血の繋がりがなくても伝えられる。

でも、そこには誤解や改変のリスクもある。

だからこそ、AIやアルゴリズムに任せるんじゃなくて、自分の頭で考え、何が真実かを選び取り、それを自分の言葉で伝えていく責任がある。

 

情報過多の2025年。

何が本当かわからない時代だからこそ、このスネークの言葉は重い。

重すぎます。

7-3. その後の雷電

自立を選んだ雷電でしたが、彼の人生はその後もハードモードでした。

オルガの遺児サニーを救うために戦い、愛国者達に捕まり、人体実験でサイボーグに改造され……。

『MGS4』で再登場した彼は、全身機械のサイボーグ忍者になっていました。

かつて私たちが「ナヨナヨしてる」と嫌った青年は、痛みと強さを兼ね備えた悲劇のヒーローへと変貌していました。

彼の成長と変化もまた、MGS2という通過儀礼があったからこそ輝くんですよね。

今では私の最推しキャラの一人です。

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第8部データベース・補足情報

最後に、飲み会でドヤ顔できる小ネタやデータをまとめておきます。

これを知っていると、MGS2通ぶれますよ。

8-1. 開発データ・特許

  • 開発規模
    スタッフ約70名、期間約3年。
    前作の倍以上の規模。
  • ギネス記録
    「PlayStation 2で最も売れたステルスゲーム(約700万本)」として認定。
  • 特許
    コナミは本作で、敵兵の集団連携(クリアリング)や、壁際でのカメラ視点切り替えなどの特許を取得。
    当時の技術力の高さが伺えます。

8-2. サブスタンスとメディアミックス

  • MGS2 サブスタンス (Substance)
    完全版。
    英語音声・日本語字幕、大量のVRミッション、スネークを操作できる「スネークテイルズ」などを収録。
    私もこれでスケボーやりました。
    まさかメタルギアでスケボーするとは思いませんでした。
  • バンドデシネ
    アシュレイ・ウッドの絵が動くデジタルコミック。
    ここではソリダスとの決着をスネークがつけるというif展開が見られます。
  • ノベライズ
    レイモンド・ベンソン版(海外)と野島一人版(日本)があります。
    野島版はメタフィクション構造を小説で見事に再現していておすすめです。

8-3. 知ってると楽しい小ネタ

  • カモメ
    ビッグ・シェルのカモメを撃つと、ローズにマジギレされます。
    フンに当たると滑って転びます。
    細かい!
  • ロッカーのポスター
    グラビアアイドルのポスターに主観視点で近づくと、「チュッ」というキス音が。
    小島監督の変態性(褒め言葉)が光ります。
  • 心霊写真
    タンカー編で、ステルス迷彩を着たオタコンをデジカメで撮ると……。
    ぜひ試してみてください。

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結論今こそ、スマホを置いてMGS2を起動せよ

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

『メタルギアソリッド2』は、2001年の時点ではあまりにも「早すぎた」作品でした。

でも、2025年の今、私たちはようやく小島監督が見ていた景色に追いつきました。

いや、追い越してさらに深い森の中に迷い込んでいるのかもしれません。

 

私たちは今、雷電と同じです。

スマートフォンという端末(ノード)を通じて、AIに管理され、最適化された情報の海を漂っています。

私たちが信じている「正義」や「真実」は、本当に自分の意志で選んだものでしょうか?

それとも、S3計画のようなアルゴリズムによって「選ばされた」ものでしょうか?

 

今こそ、MGS2をプレイし直すべきです。

そこで目にするのは、懐かしいレトロゲームなんかじゃありません。

現代社会の構造を暴き出し、

「お前の意志はどこにある?」

と問いかけてくる、鋭利な刃そのものです。

 

さあ、私も家に帰ったら、久しぶりにPS2(あるいはマスターコレクション)を起動しようと思います。

夫と息子に白い目で見られようとも、これだけは伝えなきゃいけないから。

「自分の名前で生きろ」ってね。

 

それでは、また次の記事で。

あ、夕飯の餃子焼かなきゃ。

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