※2003年の映画『マトリックス レボリューションズ』の結末まで、ネタバレを含みます。
あれだけ戦ったネオが、最後にはスミスに自分を取り込ませる。戦いのあとに待っているのは、静かな公園と朝日です。エンドロールが流れても、リモコンを握ったまま「ちょっと待って」となりますよね。
ネオはスミスに自分を取り込ませ、ザイオンを救う停戦を実現します。戦闘後のネオは機械に運ばれ、仲間のもとへ帰る姿は描かれません。死亡と解釈する解説もありますが、本編で生死が明示されているかは資料で見方が分かれるんです。トリニティは機械の都市へ向かう旅で命を落としており、二人そろって帰還する結末ではありません。(参考:TheWrapの結末解説、SparkNotesの三部作のあらすじ)
ネオが目を覚まし、機械の都市へ向かうまで
救世主でも抜け出せない駅に閉じ込められる
『マトリックス リローデッド』のラストで昏睡状態になったネオは、本作の冒頭でも目を覚ましません。意識は、機械の世界とマトリックスの間にある駅に閉じ込められていました。そこを支配するのが、メロビンジアンの部下・トレインマンです。

ネオは列車に乗って脱出しようとしますが、駅の中ではトレインマンに勝てません。救世主にも、乗せてもらえない電車があるんですね。ここでネオが出会う少女サティはプログラムで、両親は彼女を救うために逃がそうとしていました。娘への愛が、親を動かしているんです。
救出に向かったのはトリニティ、モーフィアス、そしてセラフ。メロビンジアンとの交渉で、トリニティは自分の命も危険にさらしてネオの解放を迫ります。その覚悟に押され、メロビンジアンはネオを帰すことにしました。(参考:映画ウォッチの冒頭からのあらすじ)
ザイオンを救うため、別の場所へ向かう
戻ったネオはオラクルに会い、スミスが人間にも機械にも脅威となっていることを知ります。スミスは自分のコピーを増やし、ついにはオラクルまで取り込んでしまいました。機械の側も、この増殖を止められなくなっているんです。
ザイオンに機械の軍勢が迫る中、ネオは機械の中心地、マシン・シティへ行くと決めます。そこで機械を統べる相手と直接話し、戦争を止めるための取引をするんですね。防衛戦に加わる仲間とは、行き先が分かれました。
ナイオビは自分の船・ロゴス号をネオに渡し、トリニティが一緒に乗り込みます。一方、ナイオビとモーフィアスたちはハンマー号でザイオンへ。片方は街を守り、もう片方は戦争を止める相手に会いに行きます。(参考:SparkNotesのネオと機械の取引についての説明、シネマヒッツの船と行き先のあらすじ)
トリニティとネオの最後の旅
ベインの襲撃でネオは両目を失う
ロゴス号には、スミスに乗っ取られたベインが潜んでいました。つまり、スミスの脅威は仮想世界の中だけに収まっていません。現実の人間の体を使って、ネオとトリニティに襲いかかります。
戦いの中で、ベインは電線でネオの両目を焼き、視力を奪いました。それでもネオは、相手の内側にいるスミスを捉えてベインを倒します。目が見えなくなったあとも機械の存在を感知できる力が、マシン・シティへの旅を支えるんです。(参考:This Is Barryのベインとの戦いの説明)
雲の上の空を見てから、トリニティは命を落とす
機械の都市への接近は、ネオの力があっても厳しいものでした。激しい攻撃を避けるため、二人はロゴス号を雲の上へ上昇させます。そこでトリニティが目にするのは、本物の空と太陽です。
戦いの続く旅で、ほんの短い間だけ空が見える。あの一息があるぶん、その後の墜落はつらいですよね。船はマシン・シティに突っ込み、トリニティの体を金属の破片が貫きました。
トリニティは現実世界で致命傷を負い、ネオのそばで亡くなります。この場面では、ネオの力でも彼女を救えません。彼を駅から連れ戻し、都市まで運んだトリニティの旅は、ここで終わってしまうんです。(参考:シネマヒッツのトリニティの最後についての記述)
ネオはその場にとどまれず、一人で機械の中枢へ進みます。二人で来たのに、最後の交渉には一人で向かう。救世主という呼び名が、こんなに重く感じる場面もありません。
ザイオンでは、仲間が時間を稼いでいた
ミフネからキッドへ、ゲートを開ける役目が渡る
ネオたちの旅と並行して、ザイオンでは機械の兵器・センティネルとの防衛戦が続きます。人間側は、人が乗り込む戦闘兵器で迎え撃ちました。しかし大群を止めきれず、ドックは追い詰められていくんです。
そこへナイオビの操縦するハンマー号が近づきますが、ゲートの操作装置は壊れていました。このままでは船を中に入れられません。瀕死のミフネが役目を託したのは、キッドです。
キッドは戦闘兵器を動かし、ゲートを固定する仕組みを破壊して船を迎え入れます。ミフネは亡くなりますが、キッドがその指示をつないだんですね。ネオの仲間たちにも、街を残すための戦いがありました。(参考:映画ウォッチのミフネとキッドの場面、ミツカル!のゲート開放の説明)
ハンマー号の電磁パルスは、勝利を決めた一撃ではない
到着したハンマー号は、電子機器を止める電磁パルスを放ち、侵入したセンティネルを一掃します。ただし、ザイオン側の防衛設備も止まってしまいました。敵を倒した代わりに、次の攻撃を防ぐ手段まで失うんです。
ハンマー号が稼いだ時間を、ネオが停戦へとつなげます。機械の後続部隊はまだ迫っており、ドックを救っただけでは戦争は終わりません。船が間に合った瞬間にほっとすると、すぐ次の危機。こちらも肩の力を抜く暇がないですね。(参考:This Is Barryのザイオン防衛戦の説明)
結末のネタバレ:ネオとスミスの決着
スミスを倒す代わりに、平和を求める
ネオが会った機械側の中枢は、デウス・エクス・マキナです。ネオは、制御不能になったスミスが機械の世界にも危険をもたらすと告げ、自分なら止められると申し出ます。その代わりに求めたのが、人間との戦争を終わらせることでした。
機械側は取引を受け入れ、ザイオンへの攻撃をいったん止めます。ネオは機械につながれ、スミスの待つマトリックスへ入りました。ネオは人間と機械に共通する敵を倒すことで、ザイオンを守る約束を取りつけたんです。
だから、街の防衛戦とネオの最終決戦はつながっています。スミスを消すことが、ザイオンへの攻撃を止めさせる条件なんです。(参考:TheWrapのネオと機械の交渉についての記事)
殴り勝つことをやめ、自分を取り込ませる
マトリックスでは、街がスミスのコピーで埋め尽くされています。右も左もスミス。顔を覚える努力だけは要らない街です。その中からネオに挑むのは、オラクルを取り込んだスミスでした。
オラクルの能力を得たスミスは、自分が勝つと確信しています。実際、激しい戦いでもネオは次第に押されていきました。力で相手をねじ伏せる決着には、たどり着けません。
ところが、勝利を目前にしたスミスは、始まったものには終わりがあるという趣旨の言葉を口にします。これは、オラクルが先にネオへ伝えていた言葉でした。ネオはそこにオラクルの存在を感じ取り、抵抗をやめました。そして、自分の体をスミスに同化させるんです。(参考:This Is Barryのスミスの発言とネオの選択、SparkNotesの最終決戦のあらすじ)
ここは、ただ負けて取り込まれた場面とは違います。機械と接続したネオをスミスが取り込んだことで、機械側はネオを通じてスミスを消去できます。ネオに重なったスミスが内側から崩壊すると、ほかのコピーも次々に消滅しました。
身を差し出す選択が、最後の逆転につながります! 機械側からネオへ送られた力で、スミスのコピー群は消滅しました。勝って帰るための戦いとして観ていると、ここで置いていかれるんですよね。(参考:TheWrapの同化と機械からの力の説明、This Is Barryの同化後の仕組みについての説明)
機械がネオを運び去り、ザイオンは残る
現実世界では、戦闘後に横たわるネオを機械が運んでいきます。そのあとのネオは映らず、ザイオンで仲間と再会する場面もありません。(参考:TheWrapのネオの搬送についての記述、SparkNotesの決戦後のあらすじ)
この結末を、TheWrapやNerdistはネオの死亡と説明しています。一方、SparkNotesは、生きているか死んでいるかは明らかにされないと記しました。搬送される姿は描かれるものの、それを死亡の確定と見るかには解説間の違いがあるんです。オラクルの再会への言葉も、ネオがその場で生還した証拠にはなりません。(参考:TheWrapの死亡とする説明、Nerdistの死亡とする説明、SparkNotesの生死についての記述)
一方、センティネルはザイオンから撤退し、人々は戦争が終わったことを喜びます。街にはモーフィアスとナイオビたちが残りました。仲間が防ぎ、ネオが交渉と決戦を引き受けたことで、人間の街は滅亡を免れます。(参考:映画ウォッチのザイオンからの撤退についての記述)
最後の朝日と、マトリックスに残った約束
スミスの消滅後、マトリックスの街は修復されます。スミスに取り込まれたオラクルも戻り、公園でアーキテクトと話していました。アーキテクトは、マトリックスの設計者です。

そこで交わされるのが、解放を望む人をマトリックスから出すという約束。仮想世界は残りますが、人間にはそこを離れる道が開かれるんですね。平和がいつまで続くかという問いも出ており、永久に争いがなくなる保証まで手にしたわけではありません。
サティが作った朝日は、ネオのためのものでした。ネオにまた会えるかと聞かれたオラクルは、いつか会えると思うと答えます。ただ、ここでネオ本人が帰ってくる場面はありません。再会への希望を残して、三部作は幕を閉じます。(参考:映画ウォッチのネオに捧げた朝日の記述、Nerdistの公園と朝日の場面についての記事、TheWrapの最後の会話の説明)
オラクルは、この結果を最初から知っていたという問いにも、信じていたのだと答えました。私には、未来を全部知る人の答えより、こちらのほうが沁みます。結果を保証できなくても、ネオに賭けていたんですね。
結末で混同しやすい、現実の空と仮想世界の朝日
最後の公園の朝日は、現実世界の空を覆う雲が消えた場面ではありません。トリニティが旅の途中で見た空は現実世界。サティが最後に作った朝日は、マトリックス内の風景です。明るい空が二度出るので、うっかり一つの出来事につなげたくなりますよね。(参考:シネマヒッツの二つの太陽についての記述)
もう一つ、解放の約束にも条件があります。外へ出たい人を出すという合意であって、その場で全人類が一斉に目覚める描写はありません。終わったのはザイオンを襲う戦争で、仮想世界の仕組みそのものは存続しています。(参考:SparkNotesのマトリックスが残る結末についての説明)
ネオの生死を考えるときも、オラクルの再会への期待と、戦闘後の搬送は別の場面です。『マトリックス レザレクションズ』は別の作品なので、その内容をこの映画のラストに重ねると、三部作で何が終わったのかが曖昧になってしまいます。
もう一度観るなら、交渉から公園までを続けて
結末が気になって見返すなら、デウス・エクス・マキナとの会話でネオが何を求めたかを聞き、そのままスミスとの決戦へ進んでみてください。最後の公園では、約束のどこまでが守られたかを確かめます。戦いの勝ち負けだけを追うと、ネオが得たものを見逃してしまうんです。
作品の映像を振り返れる公式予告です。英語版で、Rotten Tomatoes Classic Trailersが公開しています。
よくある質問
結末のネオは、死亡したと受け止めてよい?
死亡と読む解説はありますが、生死が明示されないとする資料もあり、確定事項としては言い切れません。本作にはネオの帰還場面がなく、オラクルの再会への言葉も未来への希望です。スミスとの決着はついても、ネオの生存が確認される結末にはなっていないんですね。(参考:TheWrapの結末の解釈、SparkNotesの生死についての記述)
トリニティはスミスとの最終決戦に参加する?
彼女は機械の都市に着いた際の墜落で命を落としており、最後の対決の場には立ちません。ただ、駅での救出も船の操縦も彼女が担いました。ネオがそこまで進めたのは、トリニティが行動したからなんですね。
スミスが消えたあと、マトリックスもなくなる?
仮想世界は修復されて続きます。変わるのは、人間が離脱を望んだときの扱いです。全員が外へ出た大団円を想像すると、最後の会話とのずれが出てしまいます。
まとめ
『マトリックス レボリューションズ』でネオが成し遂げたのは、スミスの増殖を終わらせ、機械にザイオンを攻撃させない約束を守らせることでした。トリニティの助けと仲間の防衛が、その決着を支えています。
その先には、戦争の止まったザイオンと、修復された仮想世界が残ります。最後の朝日は明るいのに、手放しで喜べないんですよね。私はその寂しさごと、ネオが残した平和を受け止めたくなる結末だと思います。