結末のネタバレ注意
『ラ・ラ・ランド』は2016年製作の映画です。日本では2017年2月24日に公開されました。
あれだけ幸せな二人の映像を見せて、最後は別々の人生へ。けれど、ミアとセバスチャンが最後に交わす笑顔には、恋の終わりと、互いを支えた時間の両方が残っています。
結末は別々の成功。幻想のあと、ミアは夫と帰る

ミアは女優になり、セバスチャンは自分のジャズクラブを持ちます。ただし、二人は結婚しません。5年後のミアには別の夫と子どもがいて、夫婦で偶然訪れた店が、セバスチャンの「セブズ」だったんです。
セバスチャン、愛称セブが思い出の曲を弾くと、ミアとセブが一緒に暮らし、結婚して子どもを育てる映像が続きます。これは、二人の関係が続いた「もしも」の人生。演奏が終わると、ミアの隣にいるのは現実の夫です。
帰り際、ミアは振り返り、セブと目を合わせて微笑みます。そのまま夫と去り、セブは店に残って演奏を続ける。
私はあの笑顔を、相手の成功を喜び、自分たちの恋が大切だったことも受け止めた表情だと読んでいます。失ったものは大きい。二人の夢が叶ったうれしさに、恋が終わった寂しさも重なるんですよね。
冬・春・夏:最悪の出会いから、夢を支え合う恋へ

季節は冬、春、夏、秋と進み、最後に5年後の冬が来ます。
渋滞のクラクションと、レストランでの冷たい態度
舞台はロサンゼルス。ミアは映画スタジオ内のカフェで働きながら、女優になるためにオーディションを受けています。挑戦を重ねても、なかなか役は得られません。
冬の渋滞で、台詞の練習に気を取られたミアは、後ろの車のセブにクラクションを鳴らされます。ミアも腹を立て、出会いの印象は最悪。恋の始まりにしては、ずいぶん騒がしいですね。
パーティーからの帰り、車をレッカー移動されたミアは歩いて帰ることに。途中で聞こえたピアノに引かれて、レストランへ立ち寄ります。演奏していたのは、あの嫌な男でした。
セブには、本格的なジャズを自由に演奏できる自分の店を持つ夢があります。しかし、レストランでは指定されたクリスマスの曲を弾く仕事。自分の音楽に没頭した結果、店主に解雇されてしまいます。
感動したミアが声をかけようとしても、セブは彼女を押しのけるように通り過ぎます。ミアを惹きつけた音楽と、本人の愛想の悪さ。この組み合わせから二人の恋が始まるのですから、先は読めません。
ジャズの話と映画館の約束が、二人を近づける
春、ミアは別のパーティーでセブに再会します。彼は今度は1980年代のポップスを演奏するバンドの一員。ミアは曲をリクエストしてからかい、二人は言い合いながらも親しくなっていきます。
セブはミアの働くカフェを訪れ、ミアは撮影所を案内して、芝居への思いを話します。一方、ジャズが好きではなかったミアを、セブはジャズクラブへ連れていき、自分が愛する音楽を熱く語るんです。相手の夢が、ただの肩書きよりずっと具体的になっていく時間ですね。
二人は『理由なき反抗』を映画館で観る約束をしますが、ミアには恋人グレッグとの食事の予定もありました。いったん食事へ行ったミアは、セブへの思いを抑えきれず、映画館へ駆けつけます。
上映が途中で中断されると、二人は映画に登場するグリフィス天文台へ。プラネタリウムの星空の中で浮かび上がって踊り、キスを交わします。上映中止からの天文台デート。予定が崩れても、ここではまだ二人の時間が続くんですよね。
一人芝居の脚本と、ミアが考えた店のロゴ
セブは、役をもらうのを待つミアに、自分で脚本を書いて演じる道を勧めます。ミアは一人芝居を作り始めました。夏には二人で出かける日々を重ねて、セブの家で一緒に暮らすようになります。
ミアも、セブの夢を応援します。彼がいつか持つ店のために「セブズ」という名前とロゴを考えたのです。まだ店がないころに、看板の姿だけはできている。この小さな共同作業が、5年後の再会につながります。
恋人になった二人は、相手が夢を仕事にするための挑戦を支え合っていました。二人はこのころから、ミアの芝居やセブの店について話していたんです。
バンドで増えた仕事、秋にすれ違った二人
安定した収入を選んだセブに、ミアが尋ねたこと
夏、旧友のキースが、自分のバンドに入らないかとセブを誘います。セブは音楽の方向性が合わず、最初は乗り気ではありません。けれど、ミアが母親に自分たちの仕事や収入について話すのを聞き、誘いを受けることにします。
バンドはセブの好きな伝統的なジャズとは違い、現代的な音楽で客を熱狂させます。仕事は成功し、ツアーで忙しくなっていく。その一方で、ミアはカフェを辞め、一人芝居の準備に力を注いでいます。
同じ家で暮らしていても、会える時間が減っていくんですね。一緒に夕食を食べるだけで日程調整が必要になる感じは、妙に身近です。
秋、ツアーの合間に戻ったセブは、ミアのために夕食を用意します。ところが、ツアーに同行してほしいというセブの誘いを、舞台が近いミアは断る。ツアーが終わっても録音や次のツアーが続くと分かり、話は仕事の中身に及びます。
ミアが知りたかったのは、セブが本当にその音楽を好きなのか、自分の店の夢をどうするのかでした。セブは、ミアが安定した仕事を望んだから参加したと反発し、さらに、自分が不遇なころのほうがミアには都合がよかったのだという趣旨の言葉をぶつけます。
ミアはその言葉に傷つき、家を出てしまいます。仕事の先行きを話していた二人の会話が、相手を疑う口論になってしまったんです。
舞台を観た少数の客の中に、次の仕事につながる人がいた
一人芝居の当日、客席はまばらです。セブもバンドの写真撮影に拘束され、公演に間に合いません。ミアは上演後に客の否定的な感想を耳にし、遅れて駆けつけたセブの謝罪も受け入れられず、故郷のボールダーシティへ帰ります。
落選が続くオーディションから、自分で舞台を作るところまで頑張ったのに、この結果。しかも、来てほしかった人の席まで空いている。落選に公演の失敗も重なり、ミアは挑戦を続ける気力を失ったんです。
しかし、その芝居を観てミアを気に入ったキャスティング担当者がいました。映画のオーディションに呼びたいという連絡が、セブに届きます。ミアが失敗だと思った公演が、女優になるための次の機会を生んでいたのです。
セブはミアの故郷へ車で向かい、以前聞いた「図書館の前」という話を頼りに実家を探します。今度のクラクションは、彼女にチャンスを届けに来た合図。冒頭と同じ音なのに、用件はずいぶん変わりましたね。
オーディションの歌と、二人が別々の道を選ぶまで
ミアが歌うのは、芝居に憧れた自分の原点
ミアは、また落ちて傷つくのが怖くて、最初はオーディションを拒みます。セブは彼女の才能を信じ、受けるように説得する。翌日、ミアはオーディションを受けるため、セブの車でロサンゼルスへ戻ります。
パリは、ミアが応募する映画の撮影地です。オーディションでは、決まった台詞を演じる代わりに、話をするよう求められます。ミアはかつてパリに暮らした叔母の思い出を語り、歌い始めます。
曲は「オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)」。ミアが女優に憧れた原点を、自分の声で差し出す場面ですね。私には、上手に選ばれようとしていたミアが、自分の夢を言葉にできた瞬間に見えます。
公演を見逃したセブが、ここでは彼女を選考の場まで連れてきています。彼はミアの挑戦をもう一度支えるんです。
気持ちを残したまま、ミアは映画へ、セブは自分の夢へ
オーディション後、二人は自分たちの関係をどうするか話します。この時点では、まだ合否は出ていません。セブは、役を得たらミアが夢に全力を注ぐべきだと背中を押し、自分はロサンゼルスで自分の道を進むと話します。
二人は互いへの愛情を伝え、それぞれの道を進むことを決めたんです。
5年後:店のロゴから始まる再会と「もしも」の人生

憧れの女優になったミアが、セブズを訪れる夜
5年後のミアは、女優として成功しています。かつて働いた撮影所のカフェを、今度は周囲の視線を集めるスターとして訪れる。以前のミアが憧れた姿に、自分自身がなったんです。
家庭には夫のデヴィッドと娘がいます。ある夜、娘を預けて夫婦で出かけたミアは、渋滞を避けて食事をし、その後、聞こえてきたジャズに誘われて店へ立ち寄ります。
看板には「セブズ」。かつてミアが考えたロゴでした。二人の交際は終わっても、ミアと一緒に考えた店の名前とロゴは、セブが叶えた夢の中に残っています。
客席のミアに気づいたセブは、ピアノの前に座り、「ミアとセバスチャンのテーマ」を弾き始めます。レストランで初めてミアを惹きつけた、あの旋律です。
幻想は出会いから変わり、結婚と子育てまで続く
映像は最初のレストランへ戻ります。ただし、セブはミアを無視して去らず、彼女にキスをする。ここから、実際の出来事とは違う二人の人生が続いていきます。
セブはキースの誘いを受けず、ミアの一人芝居には満員の客席で拍手を送ります。オーディションを経たミアと一緒にパリへ行き、彼女が撮影する間、セブもジャズを演奏する。結婚し、子どもが生まれ、家族として過ごす日々まで描かれるんです。
さらに二人は、デートでジャズクラブに入ります。そこではミアとセブが隣り合って客席に座り、演奏を聴いています。
現実の再会と似た夜なのに、二人のいる場所が違う。幻想では隣の席、現実では客席とステージです。曲が流れるうちに、そこまでの人生ごと変わってしまうんですね。
| 場面 | 実際の本編 | 最後の幻想 |
|---|---|---|
| レストラン | セブはミアの声かけに応じず去る | セブがミアにキスする |
| バンドの誘い | セブはキースのバンドに参加する | 誘いを受けず、ミアとの時間が続く |
| 一人芝居 | 客は少なく、セブも来られない | 満員の客席でセブが拍手する |
| パリとその後 | 二人は別々の道へ。5年後のミアには別の夫がいる | セブが同行し、二人が結婚して子どもを育てる |
| ジャズクラブの夜 | ミアは夫と客席にいて、セブが演奏する | ミアとセブが一緒に客として演奏を聴く |
演奏が終わると、ミアの隣には現実の夫がいる
結婚や子育ての映像は、二人の関係が続いた「もしも」の人生を描く幻想です。ピアノが終わると、映像はセブズの客席に戻ります。
ミアは夫と席を立ち、去る直前にセブを振り返ります。二人は視線と微笑みで応じる。ミアは夫と帰り、セブは演奏へ戻ります。
あの幸せな映像を全部見せたあとで、この距離に戻すんですよね。結婚まで見届けたこちらの気持ちだけが、まだ追いつかない。切なさが強いのは、この戻り方にもあると思います。
ラストの意味を考察:最後の笑顔は何を受け止めた?
パリ行きの前から積み重なった二人のすれ違い
二人のすれ違いは、ミアの映画の話が来る前から始まっています。セブのツアー、ミアの舞台準備、夕食での口論、そして公演に来られなかった夜。相手を応援したい気持ちがあっても、一緒に過ごす時間と必要な支えが足りなくなっていったんです。
セブは収入のある仕事を選び、ミアは彼が望んでいた店を気にかけています。二人とも相手のためを思っていたのに、何を望まれているかが食い違う。私は、この期待の食い違いが別れにつながったと思います。
パリの映画は、傷ついた関係のまま同じ生活を続けるより、ミアの大きな機会を尊重する選択につながるんですね。
幻想では、失敗した公演まで満員に変わります。二人が一緒にいられる願いに、仕事もうまくいく願いが重なった映像だと私は感じるんです。
最後の笑顔に感じる、相手への敬意
ミアは女優になり、セブは客が集まる自分の店で演奏しています。二人が互いに信じた夢は、それぞれ形になった。その姿を目の前で知る再会でもあるんです。
しかも、セブが使っているのはミアのロゴです。セブも、諦めかけたミアを最後のオーディションへ連れていきました。私はあの微笑みに、相手が自分の人生を支えてくれたことへの感謝も感じます。
「二人とも成功、おめでとう!」と思う一方で、こちらは恋人だった二人に肩入れしすぎましたね。もう少し一緒にいてほしかった。その気持ちと、現在の二人を喜ぶ気持ちを、同時に抱えるラストだと思います。
幻想を思い描くのは、ミアなのか、セブなのか
私は、演奏するセブの後悔にも、曲を聴くミアの想像にも重なる場面だと感じます。セブが音を鳴らし、ミアがそれを受け止め、その間に二人の別の人生が映る。曲のあとに戻るのは、別々に生きている二人の夜です。
選考はロサンゼルス、撮影はパリ

最初のレストランと最後のセブズでは同じ曲が流れる
2016年の映画『ラ・ラ・ランド』の歌やダンスを紹介する、ギャガ公式チャンネルの本予告です。
最初のレストランと最後のセブズでは、同じ「ミアとセバスチャンのテーマ」が流れます。最初は話しかけるミアをセブが通り過ぎ、最後は離れた場所から互いに微笑みます。
よくある質問(FAQ)
ラストでミアとセブが結婚した映像は、実際の出来事ですか?
あの夫婦の生活は、「一緒にいられたら」という幻想です。現実のミアは別の男性と家庭を築いていて、演奏後もその夫と帰ります。
ミアの夫は、最初に付き合っていたグレッグですか?
5年後の夫はデヴィッドで、グレッグとは別人です。グレッグは、春にミアが食事の席を離れてセブの待つ映画館へ向かったときの恋人でした。
最後にセブが弾く曲は「シティ・オブ・スターズ」ですか?
店でセブが弾き始める旋律は「ミアとセバスチャンのテーマ」です。幻想へ広がる一連の音楽は、サウンドトラックでは「エピローグ」として収録されています。
なぜミアはオーディション前に故郷へ帰ったのですか?
一人芝居の客が少なく、観客の厳しい言葉も聞き、女優への自信を失ったためです。セブが公演に間に合わなかったことも重なり、ロサンゼルスで挑戦を続ける気力が折れてしまいました。
まとめ
『ラ・ラ・ランド』の最後の幻想は、ミアとセブが恋も家庭も一緒に育てた、実現しなかった人生を描きます。曲のあとには、女優になったミアと、ジャズクラブの主人になったセブが、再び離れた場所にいるんです。
私は最後の笑顔に、一緒に過ごした日々への愛着と、相手が叶えた夢への敬意を感じます。恋人としての時間は終わっても、ミアを選考へ連れていったセブと、彼の店を名づけたミアの支えは、それぞれの人生に残りました。だから、あの別れは寂しくて、同時に少しうれしいんですよね。