職場のWindows PCを、自宅から操作する
NTT東日本とIPAの「シン・テレワークシステム」は、職場のWindows PCを自宅から遠隔操作するためのシステムです。利用は無料で、申込みや契約、メールアドレスの登録も要りません。
「無料」と聞くとうれしい反面、仕事で使うとなると慎重になりますよね。費用の話と、利用に伴う責任は分けて考えたいところです。
このシステムは無保証の実証実験で、商用サービスと同じ保証や個別サポートはありません。職場のPCへのインストールには、事前に管理者の承諾が必要なんです。
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提供の経緯と、実証実験の継続期間

2020年4月に始まった無償提供
NTT東日本とIPAは、2020年4月21日に実証実験として無償提供を始めました。感染拡大防止と事業継続の支援が目的です。2020年4月7日の緊急事態宣言と、4月12日の出勤者7割削減の社会的要請を受けたものです。
企画が始まったのは同年4月7日ごろ。約2週間での構築には、筑波大学、ソフトイーサ、KADOKAWA Connectedも協力しています。
終了する場合は6か月前までに告知
当初の実験期間は2020年10月31日まででした。中継システムなどを支える組織とは、開始からおおむね半年間の無償協力で協議が整っていたんです。
2026年10月28日の取得時点では、終了の予定はありません。終了する場合は、6か月前までに公式ページで案内する扱いです。
ずっと無料で使えるのかは気になるところですよね。提供期間のお知らせは、シン・テレワークシステムの公式ページにあります。
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無料で使える理由と、通信の保護

感染拡大防止と事業継続のための無償開放
無償開放は、感染拡大防止と事業継続を支援するために始まりました。2020年5月14日の中間報告に基づく運用コストは、1ユーザーあたり月額5〜15円です。当時の中継システムの運用費の話で、利用者に請求する月額料金ではありません。
2021年8月5日のWeb版公開時点では、数百台の中継ゲートウェイは大量のRaspberry Piで構成されていました。当時は、機材を追加せず、ソフトウェアの更新だけでWeb版のセッションを分散処理できるようになったんです。
利用する設備には、IPAの調査分析用ネットワーク設備や、筑波大学OPENプロジェクトによる東京都内の電話局間の光ファイバ網があります。IPAからJGNを経由し、国立情報学研究所のSINETを利用する構成なんです。
無料の裏に高い壺が出てくるのでは、と身構える気持ちは分かります。ここで気にしたいのは、無償提供と無保証が一緒になっていることなんですね。
暗号化にも、動作モードによる条件がある
プログラム本体の通信にはTLS 1.3が使われ、一部はTLS 1.2です。中継システムの認証では、RSA 4096 bit鍵で署名されたRSA 2048 bitのサーバー証明書を確認します。
システムモードでは、中継システムとのTLS通信に加えて、Windows標準のRDPによるエンドツーエンド暗号化があります。この内側の暗号方式や強度は、Windowsのバージョンによって変わるんです。
通信の暗号化と、PCにログインするときの認証。どちらの設定も気になるところです。
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VPN装置や、外からのポート開放が要らない仕組み

職場のPCから中継システムへ接続する
シン・テレワークシステムは、インターネット上の中継サーバーを経由して、NATやファイアウォールの内側のPCへ接続します。インターネット側から着信するためのTCP・UDPポートの開放や、グローバルIPアドレスでの利用は不要です。
HTTPS(TCPポート443)で外向きに通信できる環境に対応しています。NTT東日本の回線だけに限らず、一般的なインターネット回線で利用できるんです。
プロキシがある職場では設定の確認が必要
Web閲覧にプロキシを使う環境では、シン・テレワークシステム側にもプロキシ設定が必要になる場合があります。Webサイト向けのSSL証明書を要求するファイアウォールやプロキシでは、接続に制約があります。
ポート開放が不要でも、職場のルールまで省略できるわけではないんですね。インストール前の管理者の承諾は必要です。
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職場と自宅、それぞれのPCで行う設定

最初に、職場の管理者の承諾を得る
職場のPCへのインストールは、管理者の承諾を得てから行います。一般ユーザー権限でもインストールできますが、一部の機能は制限されます。
「入れられる」と「会社で使ってよい」は別の話。ここは勢いで進めたくないところです。
職場のPCでは、サーバー側を設定する
会社の規定でファイルの持ち出しが禁止されている場合は、「共有機能無効版」を使います。この版は共有機能が常時無効で、設定画面から有効にすることはできません。共有機能には、クリップボードやローカルドライブの共有もあります。
- 公式ダウンロードページのWindows用インストーラで、「シン・テレワークシステム サーバー」をインストールします。
- リモートアクセス用には、十分複雑なパスワードの設定が必要です。
- 職場のPCを識別するコンピュータIDを決めます。たとえば
suzuki-shinjuku-pc01のようなIDです。
職場のPCがスリープやスタンバイ状態になると、接続要求に応答できません。画面の向こうのPCも、起きていてもらわないと困るんです。
自宅のWindows PCでは、クライアント側を設定する
自宅側もWindows用インストーラを使い、「シン・テレワークシステム クライアント」をインストールします。職場で決めたコンピュータIDを入力して「接続」を押すと、ユーザー認証の画面です。自宅側も、一部の機能が制限されるものの、一般ユーザー権限でインストールできます。
職場のPCに設定したパスワードで認証し、接続します。システムモードの場合は、さらにWindowsのユーザー認証も必要なんです。
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MacやChromebookからは、HTML5版Webクライアント

自宅のMacやChromebookのWebブラウザからも、職場のWindows PCを遠隔操作できます。HTML5版Webクライアントなら、自宅側へのクライアントアプリのインストールは不要なんです。
利用するのは、HTML5版Webクライアントです。Chrome、Safari、Firefox、Edgeなどに対応しています。
Web版を使うには、職場側のサーバーをBeta 7以降に更新する必要があります。自宅側のブラウザだけでなく、職場側にも条件がある点は見落としたくないですね。
全画面表示のほか、IMEの切り替えやWindowsキー、Ctrl+Alt+Delなどの特殊キーの入力にも対応しています。「Macしかないから無理かな」と思っていたときには、うれしい選択肢ですよね。
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画面を広く使う機能と、離れたPCの電源管理

仮想マルチディスプレイの条件
職場のPCのディスプレイが1枚でも、自宅側に2枚以上あれば、仮想マルチディスプレイを使えます。職場と自宅の両方がWindows 7以降で、職場側のサーバーをシステムモードでインストールしていることが条件です。Windows 7の場合は、UltimateまたはEnterpriseエディションである必要があります。
クライアント側はBeta 3以降が必要で、オプション設定で機能の有効・無効を切り替えられます。職場側は1枚でも、自宅側の広い画面を使えるのはうれしいですね。
Wake on LANには、常時起動するトリガーPCが必要
Wake on LAN機能を使うと、自宅から職場のPCの電源を入れられます。ただし、起動対象と同じLAN内に、常時電源を入れておくトリガーPCが少なくとも1台必要なんです。
起動対象のBIOSやLANカード側でも、Wake on LANを有効にする設定が必要になる場合があります。自宅側では、トリガーPCと起動対象の両方のコンピュータIDを指定します。
電源を全部切ってから「起こす係がいない」と気づくのは避けたいところ。Wake on LANの公式手順には、PC側の条件や確認方法があります。
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会社で利用者や共有機能を管理する

ポリシー規制サーバーで、組織内の設定を制御する
社内のHTTPSサーバーを使ったポリシー規制により、OTPやMACアドレス認証、検疫の強制、ファイル共有機能の無効化などを設定できます。端末ごとに異なるポリシーを指定することも可能です。管理者が社内のHTTPSサーバーに、ポリシーを記述したテキストファイルを置く方式です。
Beta 5以降のサーバーは、起動時に社内LANのポリシー規制サーバーを探します。DNSを使う方法では、PCのDNSサフィックスにthin-telework-policy-server.を前置した名前のAレコードを調べ、プライベートIPv4アドレスならHTTPS接続を試みます。固定のプライベートIPv4アドレス10.255.255.127への接続も並行して試し、探索は5分ごとに繰り返す仕組みです。
動作ログは、管理者が用意したsyslogサーバーへの送付を強制し、一元管理する設定も可能です。送付先のホスト名とUDPポート番号を指定し、ホスト名を省略すると送付しません。ポート番号の省略時はUDP 514になります。
無料だからといって、利用者ごとに全部お任せにしたいわけではありませんよね。組織で設定をそろえるための機能もあるんです。
検疫や認証で、接続できる端末と人を絞る
クライアント検疫では、ウイルス対策ソフトの導入・動作とパターンファイルの更新、最近のWindows Updateの適用を検査し、不合格なら接続を拒否します。MACアドレス認証では、登録したMACアドレスを持つPCだけに接続を限定する設定が可能です。
OTPを有効にすると、接続時に設定済みのメールアドレスへワンタイムパスワードが届きます。これが一致しないとログインできません。
マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書を使う認証もあります。カードリーダーと、Windows版の利用者クライアントソフトが必要です。最初に職場側で証明書をユーザーに登録し、自宅側では接続のたびにカードを使います。
企業向けの設定や認証方法には、ポリシー規制サーバーの公式説明から各機能の手順へのリンクがあります。
企業利用時のセキュリティポリシーには、2020年4月28日にコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)が策定・公開した「NTT東日本 - IPA『シン・テレワークシステム』向けセキュリティポリシー Ver.1」もあるんです。
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接続できないときに関わる、電源と動作モード

スリープ・スタンバイ状態では接続できない
職場のPCがスリープやスタンバイ状態になると、接続要求へ応答できません。帰宅後に画面の前で待っても、相手が眠っていては始まらないんですよね。
ユーザーモードでは、ロックやログアウトも影響する
一般ユーザー権限でインストールしたユーザーモードでは、そのユーザーがログアウトすると接続できなくなります。ログイン中でも、PCがロックされていると接続できません。
電源が入っているだけで接続できるとは限らないんです。接続先の状態と、インストール時に選んだモードの両方が関わります。
プロキシのエラーは、認証失敗以外でも起きる
「プロキシーサーバーのユーザー認証に失敗しました」という表示は、認証の失敗だけでなく、プロキシのポリシーに違反した接続でも出る場合があります。パスワードだけを何度も入れ直してしまいそうな表示ですよね。
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利用料と、保証・サポートの条件を分ける

利用料は無料ですが、完成した商用サービスとしての提供ではありません。品質・機能・性能・セキュリティレベルは実験段階です。
不具合によるデータの滅失や改変、機器の故障などの可能性があり、個別のユーザーサポートも提供されません。「無料だからリスクもほぼゼロ」とは受け取れない条件なんです。
費用がかからないのは助かります。それでも、仕事が止まったときの対応まで無料で付いてくる、と期待すると困ってしまいますよね。
利用に伴う責任や問い合わせの扱いは、シン・テレワークシステムの使用条件にあります。
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よくある質問
NTT東日本の回線を契約していないと使えませんか?
回線はNTT東日本のものに限らず、一般的なインターネット回線で利用できます。接続には、HTTPSで外向きに通信できる環境が必要です。
今後のオープンソース化は決まっていますか?
全ソースコードのApache 2.0ライセンスでの公開は予定段階です(2026年10月28日時点)。
使い方で困ったとき、個別に対応してもらえますか?
提供元による個別サポートはありません。公式FAQや利用者向けフォーラムはありますが、商用サービスと同じ対応を約束するものではないんです。
まとめ
シン・テレワークシステムは、職場のWindows PCを遠隔操作するための無償の実証実験です。職場の管理者の承諾を得て、接続先のコンピュータIDと認証を設定して使います。
MacやChromebookからもWeb版を利用できますが、職場側のバージョンに条件があります。便利さに目が向くぶん、接続条件や無保証という扱いも一緒に気にしておきたいですね。
