ここからは、犯人の正体、登場人物の生死、2つのエンディングの最後の場面までネタバレを含みます。対象は2015年に海外発売された、DONTNOD制作の第1作『ライフ イズ ストレンジ』(日本発売は2016年)の本編全5エピソード。前日譚、続編、リマスター、コミックの物語とは分けて扱います。
クロエを助けたい。でも、町の人たちも助けたい。『ライフ イズ ストレンジ』の最後まで来ると、コントローラーを持ったまま、どちらも選べずに止まりたくなりますよね。
第1作の結末は、クロエを犠牲にしてアルカディア・ベイを救うか、町を犠牲にしてクロエと生きるかの2つです。何度も時間を戻せたマックスにも、最後に全員を救う選択肢はありません。
第1〜3話:クロエを救った日から、やり直しが重くなる

第1話:トイレの銃撃を巻き戻し、親友と再会する
主人公のマックスは、故郷のアルカディア・ベイに戻り、ブラックウェル高校で写真を学ぶ少女です。冒頭で町を襲う巨大な竜巻の幻を見たあと、写真の授業中に意識を取り戻します。
その後、校内の女子トイレで、同級生のネイサンが青い髪の少女を撃つ場面に遭遇。マックスはとっさに時間を巻き戻し、発報装置を鳴らして銃撃を防ぎました。救った少女は、5年ぶりに会う幼なじみのクロエなんです。
クロエは、失踪した親友レイチェル・アンバーを捜していました。父を亡くし、マックスとも離れていた間、クロエの支えになったのがレイチェル。再会した2人は、時間を戻す力を頼りに彼女の行方を追います。
言い損ねたひと言を直せるくらいなら、私もこの能力が欲しいです。ところがマックスの一週間、そんな小さな用事では済みません!
第2話:ケイトの命は、屋上での言葉にかかっている
同級生のケイトは、パーティーで薬を盛られ、意識がもうろうとした状態の動画を広められてしまいます。周囲からの中傷に追い詰められた彼女は、寮の屋上から飛び降りようとするんです。
マックスは時間を止めるようにして屋上へたどり着きますが、そこで能力の限界を迎えます。会話を何度もやり直す余裕はありません。ケイトの話を聞き、つながりを思い出してもらえるかが、生死を分ける場面です。
説得に成功するとケイトは生き残り、失敗すると転落して亡くなります。この分岐は、最終章でクロエか町かを選ぶ分岐とは別です。「クロエを救うためにはケイトを失う」といった条件にはなっていません。
第3話:クロエの父を救うと、別の悲劇が起きる
マックスは、古い写真に意識を集中させると、その写真が撮られた過去へ移動できることを知ります。短い巻き戻しより、ずっと遠くへ戻れる力ですね。
幼いころの写真を使い、クロエの父ウィリアムが交通事故で亡くなる日へ。マックスは車の鍵を隠し、ウィリアムが車で出かけるのを防ぎます。父を救えたのだから、今度こそクロエは幸せなはず。そう期待したくなるでしょう。
しかし、戻った現在では、クロエが別の交通事故で首から下を動かせなくなっていました。ウィリアムは生きていますが、マックスが知るクロエの暮らしは大きく変わっているんです。
第4話:レイチェルの遺体と、暗室の正体が見つかる
別の時間軸のクロエを前に、父の死を元に戻す
第4話の冒頭では、事故後のクロエと過ごします。容体が悪化している彼女は、マックスにモルヒネを多く投与し、自分の命を終わらせてほしいと頼むんです。
その願いを受け入れるか、拒むかはプレイヤーの選択。どちらの場合も、マックスは再び写真の過去へ戻り、ウィリアムが車で出かけるのを防いだ行動を取り消します。父が亡くなった元の時間軸へ戻ることで、青い髪のクロエとの捜索が続く仕組みです。
ここは、障害のある暮らしそのものを不幸と決める場面ではありません。クロエが置かれた切迫した状況と本人の願いを前に、マックスが何を選ぶか。父を救った喜びだけでは済まなかったことが、痛いですね。
地下の暗室から、レイチェルの埋葬場所へ
捜索を続けた2人は、ネイサンの一族であるプレスコット家の納屋を調べ、地下に隠された撮影室を発見します。通称「暗室」。そこには、薬で意識を奪われた女性たちの写真があり、ケイトとレイチェルの写真も含まれていました。
レイチェルの写真から手がかりを得た2人は、廃車置き場へ向かいます。土を掘ると、見つかったのは彼女の遺体でした。レイチェルは、生きてどこかへ逃げていたわけではありません。クロエが願っていた再会は、もうかなわないのです。
ネイサンを追った2人は、証拠を消すというメッセージに誘われ、再び廃車置き場へ。そこでマックスは薬を打たれ、クロエは頭を撃たれてしまいます。襲ったのは、マックスが憧れていた写真の教師、マーク・ジェファソンでした。
第5話:犯人を止めても、竜巻は消えない

レイチェルを死なせたネイサンと、事件を主導したジェファソン
マックスは暗室に拘束された状態で目覚めます。ジェファソンは、若い女性たちに薬を使い、無防備な姿を撮影していた張本人です。ネイサンは、彼の協力者だったんです。
レイチェルに致死量の薬を与えたのは、ジェファソンの撮影をまねようとしたネイサン。彼女を死なせたあと、ネイサン自身もジェファソンに殺されていたんです。第4話で届いたメッセージも、2人を罠に誘い出すためのものだったと分かります。
レイチェルの死にはネイサンが関わり、暗室の犯罪を主導しクロエを撃ったのはジェファソンです。ネイサンだけを捕まえれば終わる事件ではなかった、というのが大きな反転ですね。
写真コンテストの未来も、救出された未来もやり直す
マックスは写真を使って最初の授業へ戻り、学校の警備員でクロエの継父でもあるデイビッドに、暗室のことを知らせます。この時間軸ではジェファソンとネイサンが逮捕され、クロエの銃撃死も回避。マックスは写真コンテストで選ばれ、サンフランシスコの展示会へ行ける未来を得ます。
犯人も捕まり、写真も評価された。ここで一息つきたいですよね。ところがクロエとの電話で、アルカディア・ベイに竜巻が迫っていると分かります。事件の解決だけでは、町を襲う嵐は止まらないのです。
マックスは展示された写真から寮の部屋にいた過去へ戻り、コンテストへの応募写真を破って、サンフランシスコへ行く未来を取り消します。ところが戻った先は、また暗室。今度は駆けつけたデイビッドに救出されますが、クロエが殺された事実を話すと、デイビッドはジェファソンを射殺します。隠すとジェファソンは生きたまま捕まるんです。
マックスは嵐の町で、友人のウォーレンから2人が写った写真を受け取り、パーティーの夜へ移動します。クロエにジェファソンの正体を知らせ、廃車置き場での襲撃を回避。このやり直しでは、2人の情報を得たデイビッドと警察が暗室へ向かい、ジェファソンを逮捕するんです。
崩れていく時間軸と悪夢を経て、マックスとクロエは灯台にたどり着きます。目の前には、町をのみ込もうとする竜巻。何度も救い直してきた2人が、ようやく一緒に立てた場所で、最後の選択を迫られるんです。
なぜクロエの命と、町の命が引き換えになるのか
灯台でマックスは、最初にクロエを救ったことから始まる時間の改変が、嵐につながったと考えます。クロエも、トイレで死ぬはずだった自分を救ったことを取り消せば、母や町の人たちを助けられると受け止めるんです。
クロエが差し出すのは、第1話の女子トイレでマックスが撮った蝶の写真。それを使えば、銃撃前へ戻れます。「自分を犠牲にして町を救ってほしい」と願うクロエを前に、決めるのはマックス、つまりプレイヤーです。
ただし、竜巻の細かな仕組みや、マックスが能力を得た理由まで判明するわけではありません。最初の巻き戻しより前にも竜巻の幻を見ています。結末が示す結果と、超常現象のすべてを説明することは、分けて考えたいところですね。
2つのエンディング:最後に残るのは、葬儀か2人の旅立ちか

クロエを犠牲にする:町は助かり、マックスは葬儀へ
「クロエを犠牲にする」を選ぶと、マックスは蝶の写真を使って最初の女子トイレへ戻ります。今度は銃撃を止めず、物陰でクロエの死を受け入れるんです。救えることを知っているのに、手を出せない。最初の場面と同じ場所だから、余計につらいですね。
クロエはネイサンに撃たれて亡くなります。その後、ネイサンとジェファソンは逮捕され、竜巻による町の破壊は起きません。アルカディア・ベイは救われますが、クロエとやり直した一週間は取り消されます。
最後にマックスが向かうのは、クロエの葬儀です。母ジョイスや町の人たちが集まり、棺に青い蝶が止まると、マックスはわずかに笑みを浮かべます。
考察としては、この笑みを「悲しみが消えた」と読むのは、私にはしっくりきません。失った相手を思い出して、ほんの少し顔を上げられた。あの小さな表情には、そんな別れの余韻を感じます。蝶がクロエの魂だと確定する描写ではありません。
アルカディア・ベイを犠牲にする:クロエと生き、町を去る
「アルカディア・ベイを犠牲にする」を選ぶと、マックスは蝶の写真を破り、最初の銃撃をやり直しません。クロエは生きたまま、2人で嵐を見届けます。
翌朝、2人が車で通る町は、建物が壊れ、瓦礫が散らばる惨状です。町の人々にも犠牲が出ます。クロエを救った喜びだけで終わる映像ではない、と痛感するでしょう。
最後は、マックスとクロエが車でアルカディア・ベイを離れる場面です。2人は生き残りますが、町は竜巻に襲われ、大きな被害を受けます。ただし、第1作のラストだけでは、全住民の死亡や、ジョイス、ケイト、ウォーレンそれぞれの生死まで確定しません。
こちらの結末の解釈では、私は「クロエさえいれば何も気にしなくていい」とは受け取れません。2人が壊れた町を通って去る場面には、選んだ相手と生きる決意と、残された人たちへの重さが同居しているように感じます。
| 最後に選ぶもの | クロエ | アルカディア・ベイ | 締めくくり |
|---|---|---|---|
| クロエを犠牲にする | 第1話の銃撃で死亡 | 竜巻の破壊を回避 | 葬儀と、棺に止まる青い蝶 |
| アルカディア・ベイを犠牲にする | マックスと生存 | 嵐で甚大な被害 | 翌朝、車で町を離れる2人 |
注意:正解の結末と、別作品のその後を混ぜない
対象はあくまで、第1作の第5話で終わる物語です。『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』は前日譚で、『ライフ イズ ストレンジ 2』『トゥルー カラーズ』『ダブルエクスポージャー』、リマスター版、コミックも別に扱います。それらの描写を足して、第1作で映らない人物の末路を埋めることはできません。
また、本編の最終選択には「クロエも町も救う」という第3の結末は用意されていません。ケイトを救えたか、別の時間軸でクロエの願いを聞いたかで、最後の2択が3択になる仕組みでもないのです。
どちらを選ぶかは、最後までプレイヤーに委ねられます。町を選んでもクロエを選んでも、助かる命と失うものがある。ゲームを終えたあとに「でも、あっちを選んでいたら」と考えてしまうのも、このラストらしさでしょう。
別の結末を確かめるなら、蝶の写真と最後の表情に注目
プレイ済みなら、第5話の最終選択で、まだ選んでいない方の結末も確かめてみてください。比べたいのは、マックスが蝶の写真を使うか破るか、そして葬儀での表情と、壊れた町を去る車内の2人です。
「助かった人数」で考えたときと、クロエの声を聞いたときでは、自分の選びたい答えが変わるかもしれません。時間は戻せても、悩む時間はしっかり増えますね。
初代のマックスとクロエを描いた、スクウェア・エニックスの日本語シネマティックトレーラーです。
FAQ
ケイトを救えなかったら、クロエを救う結末は選べませんか?
選べます。屋上での説得の成否にかかわらず、第5話の灯台では2つの結末を選択できるんです。ケイトの分岐と、町の運命を決める選択は連動していません。
レイチェルは最後までに助けられますか?
第1作本編に、レイチェルを救い出して再会する展開はありません。捜索の結果、2人が見つけるのは埋められた遺体です。彼女が薬の過剰投与で亡くなった経緯は、暗室で明らかになります。
竜巻はジェファソンが起こしたのですか?
ジェファソンが竜巻を起こす描写はありません。彼を逮捕させた未来でも、町には嵐が迫ります。灯台でマックスたちが結びつけるのは、クロエを助けたことから続く時間の改変なんです。
クロエを救うと、町の人は全員死ぬのですか?
ラストには町の破壊と犠牲が描かれますが、全員の死亡確認までは描かれません。マックスとクロエの生存は分かる一方、住民ごとの結末には映像で示されない部分が残ります。
まとめ
第1作のラストで問われるのは、最初の銃撃を受け入れて町を守るか、クロエとの未来を選んで嵐を見届けるかです。結末の大きな分岐を決めるのは、灯台で下す最後の判断。ケイトの事件やレイチェルの死、暗室からの脱出を経てきたからこそ、簡単には答えを出せませんよね。
葬儀に立つマックスと、クロエと車で去るマックス。どちらにも、救ったものと取り戻せないものが残ります。もう一方の結末まで確かめると、自分があの場面で何を守りたかったのか、また考えたくなるはずです。