カメリアで食事を出した相手の咳に、ドンベクは聞き覚えがありました。
※犯人の正体と、最終回までの結末ネタバレがあります。『椿の花咲く頃』は、2019年に韓国KBS2で放送された完結ドラマです。
連続殺人犯ジョーカーの正体は、金物店の息子パク・フンシクです。父親が自白して一度は事件が片づいたように見えますが、最終回で、息子の罪をかぶっていたことが判明します。
しかもドンベクは、ヒャンミのビールジョッキでフンシクを殴り、町の女性たちとともに彼を取り押さえるんです。いつも遠慮していたあの人が、自分の足で犯人を追いかける。ここは胸がすく場面ですね。
恋と家族にも決着がつき、ヨンシクとは夫婦に。母ジョンスクは腎臓移植で助かり、息子ピルグは後年、メジャーリーグへ進みます。ただ、そこへ着くまでには、友人を失う痛みも、親子のすれ違いもありました。
椿の花咲く頃の犯人はフンシク!父親の自白が覆る理由

ジョーカーは、カブリとも呼ばれる連続殺人犯です。その顔は、ドンベクたちのすぐそばにありました。フンシクは金物店で働き、カメリアの防犯カメラを設置した人物でもあります。
店の安全を任せた相手が、自分を脅していた犯人だった。防犯カメラを付けてもらえば少し安心する、という普通の感覚までひっくり返されるのが怖いですよね。
父親に疑いが向いたのは、ヒャンミの爪に残ったDNA
ヨンシクはフンシクを疑いますが、ヒャンミの爪から見つかったDNAは父親のものと一致します。父が歩けることも分かり、捜査は父親へ向かいました。
逮捕された父は、犯行を自白。ヒャンミをドンベクと取り違えたと語り、息子は殺人犯の子として町で冷たい目を向けられます。ここまで来れば、父が犯人だと思いますよね。ヨンシクの勘より鑑定結果のほうが強く見える場面です。
ヒャンミの爪に残ったDNAは、遺体の処理に加わった父親のものです。息子をかばう父の自白が重なり、真犯人フンシクへ迫っていた捜査が、父へ向かってしまいました。
黄色い耳栓が、父の話を崩す
ヒャンミの口から出てきた黄色い物が、最後の手がかりになります。これは、フンシクの耳栓でした。
父が求めた眼鏡のケースにも、同じ黄色い耳栓が入っていました。ヨンシクはそれを見てフンシクへ疑いを戻し、父に真相を迫ります。息子が殺し、父が遺体の始末を助けたことが、ここでつながるんです。
フンシクは犯行時に父の靴も履いていました。父の持ち物と父の供述が重なって、疑いをそちらへ向けていたわけですね。父は、幼い息子を十分に見てやれなかったと後悔し、その罪まで引き受けようとしていました。
父の役割は隠蔽への加担と、息子をかばう自白。実行犯はフンシクです。親子のどちらにも事件への関わりがあるからこそ、この反転はややこしく、後味も重く残ります。
ドンベクが狙われた発端は、エステサロンの殺人事件
ドンベクは息子ピルグを連れてオンサンへ移り、居酒屋カメリアを営んでいました。子育てをしながら店を回し、客の相手も近所の噂も引き受ける毎日です。注文を取っているだけなのに、周囲は勝手に恋愛話を始める。店主としては、まずお会計の話をしたいところでしょう。
そんな彼女に一目ぼれしたのが、町へ戻ってきた警察官ヨンシクでした。好意をまっすぐ口にし、ドンベクの力を信じて応援します。初めは戸惑っていたドンベクも、彼と過ごすうちに自信を取り戻していきました。
その恋と並んで続くのが、ジョーカーの脅迫です。ドンベクは以前、エステサロンでグモクが殺された際、その場にいて生き延びた目撃者でした。
そこで警報を鳴らし、犯人を退散させたのが母ジョンスクだったんです。娘に会おうとして近くにいた母が、危険を察して動いていました。ドンベクは、長く離れていた母に命を守られていたことを、後になって知ります。
やがてカメリアの壁にも、ドンベクを見張っているという脅しの落書きが現れました。店は生活の拠点で、ピルグを育てる場所でもあります。そこへ犯人が出入りしている恐怖に、ヨンシクは捜査と見守りを続けるんですね。
ヒャンミはドンベクの代わりに配達へ出て、殺される

カメリアで働くヒャンミは、ドンベクのお金を持ち出し、弟に送っていました。弟の暮らしを支えながら、自分も一緒に暮らしたいと願うのですが、弟は一緒に住むことを拒みます。
ヒャンミのしてきたことにドンベクは傷つきます。それでも、ヒャンミを受け入れ、帰れる場所を残そうとしました。ヒャンミも、ドンベクに自分を覚えていてほしいと頼みます。ようやく誰かのそばで暮らせそうになったところだったんです。
その夜、ドンベクが行く予定だった配達をヒャンミが引き受けました。ヒャンミは配達先へたどり着きます。
ヒャンミを殺したのは、フンシクでした。彼女の口には黄色い耳栓が残り、父親が遺体の処理を助けています。のちに遺体は湖から見つかりました。
ドンベクは、自分の代わりに配達へ行った友人を失い、泣き崩れます。ヒャンミの死を受けて、町の女性たちもドンベクを守るために集まりました。噂をしていた人たちが、今度は彼女を一人にしないために動き始める。その変化も、最終回の反撃につながっています。
フンシクの動機は?食事の善意を「見下された」と受け取る
フンシクは、自分が軽く扱われたり、馬鹿にされたりすることに強い怒りを抱きます。同情も、相手が自分より上に立っているように受け取るんです。
最終回、その態度がはっきり出るのがカメリアでの食事でした。父が殺人犯として捕まり、町の人に厳しく接されるフンシクを見て、ドンベクは店へ招きます。身内のことで周りに傷つけられる姿に、自分を重ねたからでした。
ところが食事を出されたフンシクは、ドンベクが自分を哀れんでいるのか、自分を下に見ているのかと詰め寄ります。親切を受け取る場面が、そのまま威圧に変わってしまう。ドンベクの善意に、フンシクが勝手な上下関係を持ち込んでいるんですね。
このときのフンシクの咳を聞き、ドンベクは以前の犯人の咳と同じだと気づきました。ヨンシクは耳栓から、ドンベクは咳から、同じフンシクの正体にたどり着きます。
父の回想では、フンシクは幼いころから猫を殺していました。父は最初のころへ戻れたらと悔やみます。父自身の後悔と、今も人を威圧する息子の姿が重なる、苦い場面ですね。
電話とメッセージが届き、ドンベクが自分で追いかける
フンシクがドンベクに迫る最中、店の電話が鳴り、町の女性たちから、これからカメリアへ行くという連絡が次々届きます。人が来ると分かったフンシクは手を離し、同情するなと警告して店を去りました。
そこでドンベクは、外へ出たフンシクを追いかけます。手にしたのは、亡きヒャンミのビールジョッキ。それで頭を殴り、ジョーカーだと問い詰めるんです。
駆けつけた女性たちも、フンシクが犯人だと知って加勢。警察は彼の身柄を確保し、署へ連れていきます。ドンベクは生き延び、自分と町の人たちの力でジョーカーの脅威に決着をつけました。
私は、このジョッキがヒャンミの物なのがたまりません。友人を奪われたドンベクが、その友人の使っていた物を握って立ち向かう。ヨンシクも、彼女が自分を守る姿を見つめます。もう、あの遠慮がちな店主は下を向いていません!
ドンベクとヨンシクの結末は結婚。別れを越えた家族へ
二人は交際しますが、ピルグは母を取られるような寂しさを抱えていました。さらに、ヨンシクの母ドクスンが自分を負担のように言うのを聞き、母の結婚には自分が邪魔なのだと思ってしまいます。
ピルグは実の父ジョンニョルの家へ行くと決めます。母の前では平気な顔をしたのに、父の車に乗ると泣き出しました。新しい家でも、母とビデオ電話で話しています。強がって旅立った姿とあの涙の落差が、もうつらいんです。
息子がそんな暮らしをしていると知ったドンベクは、ピルグを迎えに行きました。そして、子どもが母を守ろうとして無理をしていたことを痛感し、ヨンシクに別れを告げます。自分が恋をする間に、幼い息子が大人の役を引き受けていたんです。
八歳で、母の将来まで気を回していたピルグ。お弁当の心配をされる年齢の子が、親の心配をしている。その背伸びが痛いですよね。
ドクスンが受け入れ、ピルグもヨンシクを家族と認める
転機は、母ジョンスクの容体が悪くなったときに訪れます。ジョンスクはあらかじめドクスンに、ドンベクの母になってほしいと頼んでいました。
ドクスンは病院でドンベクを支え、自分の人生を生きていい、ヨンシクと一緒になるなら大切に迎えると告げます。息子の交際に反対していた母が、ドンベク自身の幸せを認めるんですね。
ピルグも、母が泣いているときにヨンシクが駆けつけることを望み、それが家族だという気持ちを示しました。自分が母を独り占めする形から、ヨンシクも一緒に母を支える形へ、関係が変わっていきます。
二人は再び結ばれ、ヨンシクは結婚の準備を進めました。好きだとまっすぐ伝えてきた人が、ようやく夫になる。私も、この準備のそわそわには安心して笑えます。
ラストの未来では、ドンベクとヨンシクは夫婦として暮らしています。別れは、ピルグの不安に向き合うための痛い時間でした。その先に、母と息子とヨンシクが一緒に暮らす未来が待っていたわけです。
母ジョンスクは助かる。ドンベクからの腎臓移植が成功

ジョンスクは、幼いドンベクを施設に預けて去った母です。娘には、捨てられたという深い傷が残っていました。
再び現れた母は認知症を装い、娘のそばへ近づきます。その一方で重い腎臓病を抱え、ドンベクを生命保険の受取人にしていました。自分の死後、娘にお金を残すつもりだったんです。
ドンベクが望んだのは、母とこれから一緒に生きる時間でした。腎臓を提供すると繰り返し申し出ますが、ジョンスクは娘にも同じ病気の可能性があることを心配します。娘を守りたい母と、母を失いたくない娘。その気持ちがすれ違い、母は一人で去ってしまいました。
最終回、ジョンスクは危篤状態に陥ります。病院でドンベクが泣く一方、オンサンの人たちは救命のために動いていました。ギュテが搬送を手配し、警察が移動を支え、ジャヨンも医師へつながる人脈を使います。
検査を受けたドンベクは腎臓を提供できると分かり、大きな病院で母への移植が行われました。手術は成功し、ジョンスクは目を覚まします。隣のベッドには、腎臓を提供したドンベクがいました。
母は娘の体を心配して怒り、娘は母を抱きしめます。助かった直後に小言が始まる、その感じが実に母娘ですね。長く失われていた時間のあとに、また口げんかできる毎日が戻ってくるのがうれしいんです。
ジョーカーに向かった女性たちも、搬送を助けた人たちも、ドンベクの身近な住民でした。「奇跡」を一人ずつの行動の積み重ねと見るのが、私の解釈です。誰かが電話をし、誰かが運び、娘が腎臓を差し出す。その積み重ねが、母を家族のもとへ戻しました。
最終回のその後。ピルグの会見を二人で見守る

事件と手術を越えたカメリアでは、ドンベクが願っていた宅配の一時預かりが始まります。
同じ店でも、周囲との付き合い方がずいぶん変わりましたね。店を守り、息子を育て、困った人にも食事を出してきたドンベクが、町の人に助けてもらい、今度はまた町の人を助けています。
ジョンニョルとジェシカ、ギュテとジャヨンも関係を結び直す
ピルグの実父ジョンニョルは、妻ジェシカへの中傷に対し、記者会見で家族を守る姿勢を示しました。二人は夫婦として歩み寄り、ジョンニョルはピルグのための通帳も用意します。
息子の野球を支えるお金を、使った分も補充すると約束しました。ドンベクの家族にはヨンシクが加わり、実父ジョンニョルはピルグの父として支え続けます。
一度離婚したギュテとジャヨンも、付き合い始めたころを振り返り、よりを戻しました。町の人たちそれぞれが、大切な相手との暮らしを立て直す終幕です。
大人になったピルグは、メジャーリーグへ
最後は未来の場面です。野球をしていたピルグが成長し、メジャーリーグへ進む選手として記者会見に臨みました。
その会見を、ドンベクとヨンシクがテレビの前で並んで見ています。母を守ることに必死だった少年が、自分の夢を追い、母とヨンシクがその姿を見守る側になるんですね。
ドンベクは、これまでの人生を振り返り、奇跡のようだったとヨンシクに話します。ヒャンミの死を経験し、母を失いかけ、恋人とも別れた人が、家族と暮らす今をそう受け止める。私は、この穏やかなテレビの時間までたどり着くのが、このドラマの幸せだと思います。
最終回の話数と、フンシクが面会で話したこと
本編は、韓国放送の短い単位では全40話、それを二つずつまとめた表記では全20話です。最終回の第39・40話と第20話は、同じ本編の終幕に当たります。
20話表記では、第18話で父が捕まり、第19話でその自白が続き、第20話でフンシク本人の犯行が明らかになります。途中で父の逮捕に納得した人が、最終回でもう一度驚く構成なんですね。
フンシクは逮捕後の面会で、中華料理店の配達員を殺したのは自分ではないとヨンシクに主張します。さらに、ジョーカーのような人間はどこにでも現れると、ヨンシクを挑発しました。
ヨンシクは、それ以上に善い人たちがいると返します。ドンベクへ連絡を送り、フンシクに向かい、ジョンスクの搬送を助けた住民たちがいたから、この言葉にも実感があるんです。最後まで、ヨンシクは人を信じる側に立っています。
もう一度カメリアへ。公式予告と終盤の場面
Netflix公式の『椿の花咲く頃』予告編です。
作品ページはNetflixの『椿の花咲く頃』です。
結末を知ってからの再視聴では、第18話のピルグの涙、第19話の父の自白、第20話の食事中の咳が、特に気になります。父が捕まったあと、ドンベクが食事を出すと、フンシクは同情されたと受け取って怒ります。あの変化を演じる顔つきも怖いですね。
そして第20話のジョッキの反撃から、病院、ピルグの会見まで。犯人が分かったあとも、家族がどう生きるかという話が続きます。私は、最後の二人がテレビを見ている時間を、もう少し眺めていたくなります。
FAQ
ジョーカー役を演じている俳優は誰ですか?
フンシクを演じるのはイ・ギュソンです。町の身近な青年として登場し、終盤に威圧的な顔を見せます。
父親も事件に関わっていたのですか?
はい。息子の犯行を隠すため、ヒャンミの遺体の後始末に加わっていました。逮捕後には息子を守ろうと、自分の犯行として話しています。
ドンベクとヒャンミは、それぞれどうなりますか?
ヒャンミは命を奪われ、ドンベクはフンシクに反撃して生き残ります。友人を失ったドンベクは、ヒャンミのジョッキを握って犯人に立ち向かいました。
ヨンシクとの恋は、ピルグのために終わるのですか?
別れを挟んで、二人は結婚へ進みます。ピルグもヨンシクを家族として受け入れ、大人になった息子を二人で応援する未来につながります。
ドンベクの母は亡くなりますか?
ジョンスクは娘の腎臓を受け取り、回復しました。娘と孫のそばで生きる結末です。
まとめ
ジョーカーはパク・フンシクで、父の告白は息子をかばうためのものでした。父のDNA、黄色い耳栓、聞き覚えのある咳がつながり、親子の役割が明らかになります。
ドンベクは友人の喪失を抱えながら、フンシクに立ち向かいました。町の人の助けで母と再び暮らせるようになり、ヨンシクとの家庭を築きます。母を守ろうとして背伸びしたピルグも、自分の夢をかなえました。
最後にあるのは、息子の会見を夫婦で見る時間です。カメリアの店主が安心して笑える暮らしまで続くからこそ、犯人の反転を越えて心に残るんですね。