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君の膵臓をたべたい・小説のネタバレ!結末で桜良に何が起きた?

君の膵臓をたべたい・小説のネタバレ!結末で桜良に何が起きた?

桜良を待つ喫茶店で、「僕」は彼女に一通のメールを送ります。会ったときには、どんな顔をされるでしょうか。そんな返事を楽しみにできる時間が、この小説では突然途切れるんです。

『君の膵臓をたべたい』は、住野よるが2015年に刊行した小説です。

結末までのネタバレがあります。膵臓の病気、刺殺、親しい人との死別を含む物語です。

共病文庫を拾った「僕」に、桜良が求めたもの

共病文庫と二人のいつもどおりの日常

二人のきっかけは、病院に置き忘れられた一冊の本でした。「共病文庫」と手書きされたその本には、同級生の山内桜良が、膵臓の病気とともに過ごす日々を綴っています。

内容を読んだ「僕」は、彼女の余命が限られていると知ります。桜良は病気を周囲に秘密にしており、家族以外で事情を知る相手が、この「僕」になったんです。

桜良は明るく、人との付き合いも多い少女。「僕」は本を読むのが好きで、人と関わることを避けていました。休日に一冊あれば満足する人と、あちこち出かけたい人。予定を相談するだけでも大変そうですよね。

桜良は「僕」と同じ図書委員になり、休日の焼き肉や放課後のスイーツにも誘います。学校では二人の仲が噂になり、親友の恭子は「僕」を警戒するようになりました。クラスの噂って、こういうときは連絡網より速いんですよね。

恭子にも秘密を守る桜良は、病気を知られたことで普段の付き合いが変わるのを嫌がっています。一方の「僕」は、病気を知ったあとも、冗談や皮肉を返すいつもの態度です。

桜良が「僕」に求めたのは、病気の話もできる、いつもどおりの日常でした。その相手を彼女自身が選んだところに、二人の親しさの始まりがあります。

一泊旅行の「真実か挑戦」で、桜良の怖さが顔を出す

リュックの中身で、病気の重さを実感する

テスト休み、桜良は「僕」を新幹線での一泊旅行に連れ出します。「僕」が想像していたのは日帰りのお出かけでした。駅に着いてから宿泊まで判明するのですから、歯ブラシの用意より先に心の準備が追いつきません!

二人は観光や食事を楽しんだあと、ホテルの手違いで同じ部屋に泊まります。桜良に洗顔クリームを取ってほしいと頼まれ、「僕」は彼女のリュックの中を探しました。

そこにあったのは、注射器、大量の錠剤、検査機器のようなものです。目の前で元気に笑っている桜良が、治療を受けながら生きている。その事実に、「僕」は強い恐怖を覚えます。

最後の質問に、「僕」は答えられない

夜、桜良の提案で始まるのが「真実か挑戦」というゲームでした。勝った側の質問に本当のことを答えるか、要求されたことに挑戦するかを選びます。

好きなタイプや、桜良をどれくらい可愛いと思うか。照れるような質問を交わし、挑戦では「僕」が桜良をベッドまで抱えて運ぶ場面もあるんです。

ところが最後に、桜良は、自分が本当は死ぬのをひどく怖がっていたらどうするのか、と問いかけました。「僕」は返答できず、挑戦として彼女と同じベッドで眠ります。にぎやかな旅行の夜に、彼女の恐怖が差し込む場面です。

翌朝には、恭子から怒りの電話がかかってきます。桜良は両親に、恭子と旅行へ行くと話していたのでした。「僕」が一緒だと分かった恭子の警戒は、さらに強くなりました。

すれ違いと入院。「僕」は桜良に生きていてほしくなる

家での悪ふざけは、二人を傷つける

旅行のあと、二人の距離は一度大きくこじれます。「僕」が『星の王子さま』を借りに桜良の家へ行くと、彼女は親密な行為をほのめかして抱きつき、すぐに冗談だと笑いました。

からかわれたと感じた「僕」は怒り、桜良をベッドに押し倒します。彼女の涙を見て我に返り、家を出ました。読んでいて、こちらも笑えなくなる場面です。

帰り道では、同級生の学級委員に殴られます。彼は桜良の元恋人・タカヒロで、「僕」に嫉妬していました。追いかけてきた桜良はタカヒロに近づかないよう告げ、「僕」を家に連れ戻します。

二人は互いに謝って仲直りしました。それでも「僕」は、もっと桜良を想ってくれる相手と過ごしたほうがいい、と自分を遠ざけようとします。

桜良の答えは、これまで二人が重ねてきた選択によって出会った、というものでした。病院で偶然会ったという「僕」の捉え方に対して、彼女は一緒にいる自分の意思を示すんです。「僕」は、彼女が死ぬまで仲良くすることを約束します。

病室で問い直した「生きること」

ほどなく桜良は入院し、「僕」は見舞いに通うようになりました。学校の勉強を教えたり、彼女の手品を見たりと、病室でも二人のやり取りが続きます。

桜良は、人と関わろうとしない「僕」に、周りともっと付き合うよう促しました。「僕」は自分がどう思われているかを先回りして決めつけています。相手と話す前に、もう答えを出してしまうんですね。

ある見舞いの日、ぎこちない笑顔の桜良が、もう一度「真実か挑戦」を持ちかけます。勝った「僕」が尋ねたのは、彼女にとって生きるとはどういうことか、という問いでした。

桜良は、人と心を通わせることだと答えます。誰かを好きになったり、嫌いになったり、一緒にいて楽しかったり、うっとうしく思ったりすること。彼女にとっては、そうした関わりの中に自分の存在があるんです。

その後、入院は予定より二週間延びました。「僕」は彼女を失う不安に向き合い、生きていてほしいという気持ちを素直に示します。桜良はそれを喜びます。今度は「僕」のほうから彼女を抱きしめたのでした。

二人は退院後に海へ行く約束をします。人との関わりを避けてきた「僕」に、桜良と一緒に過ごしたい未来ができたのでした。

退院の日の待ち合わせ。桜良を奪ったのは通り魔だった

退院日の待ち合わせから死の知らせまで

最後のメールは、彼女への憧れを込めた言葉

桜良の退院当日、「僕」は約束の時刻より早く着き、駅前の喫茶店で待ちます。桜良からは、いったん家で着替えてから向かうというメールが届きました。

やり取りをしながら「僕」は、桜良のように人を認め、愛し、他人とつながれる人間になりたかったのだと気づきます。彼女を褒める言葉を考え、送ったのが「君の膵臓を食べたい」でした。

二人の会話で使ってきた言葉を、今度は自分の気持ちとして選んだんです。「僕」は、その一文に満足して返事を待ちます。

四時間待ったあと、テレビで死を知る

四時間が過ぎても桜良は来ず、「僕」は帰宅しました。夕食時に見たテレビのニュースで、ようやく彼女に何が起きたかを知ります。

桜良の死因は、通り魔に刺されたことによる刺殺です。待ち合わせの日、彼女は事件に巻き込まれ、命を落としていました。

借りた本を桜良に返す機会も、突然奪われました。この残酷さには、読んでいる側も言葉を失います。

共病文庫の遺書で分かる、桜良が「僕」に憧れた理由

メールと遺書が表した互いへの憧れ

桜良の母親が待っていた相手

桜良の死後、「僕」は十日間、自室で本を読んで過ごしました。葬儀の日も部屋にこもったままです。やがて共病文庫を思い出し、彼女が何を考えていたかを知ろうと、家を訪ねます。

『星の王子さま』を返し、病気のことを知っていたと話すと、桜良の母親は共病文庫を渡してくれました。桜良は生前、病気とこの日記の名前を知る人が受け取りに来たら渡してほしい、と母親に頼んでいたのです。

共病文庫には、日々の記録に加えて、大切な人たちへの遺書が残っていました。家族や恭子への思い、そして「僕」への言葉を、彼は読み進めます。

日記には、「僕」と恭子を仲良くさせようと、桜良が二人の見舞いの時間を重ねていたことも綴られていました。

助けられていたのは、桜良も同じだった

「僕」は桜良の社交性に惹かれていましたが、桜良は、他人に頼らず一人で生きていける「僕」の強さに憧れていました。自分にはないものを、彼の中に見つけていたんです。

誰とも深く関わろうとしなかった彼が、自分に生きていてほしいと願ってくれた。そのことを桜良は喜んでいました。彼のそばにいる時間は、桜良にとっても自分が大切な存在だと実感できる時間だったのです。

遺書には、何度も彼に恋をしていると感じたことも綴られています。同時に桜良は、二人の関係を、誰もが使うありふれた呼び名に収めたくないと思っていました。友情、恋心、人としての憧れが、彼女の中で重なっているんですね。

そして遺書の最後に、桜良も彼の膵臓をたべたいという言葉を選んでいました。爪の垢を煎じて飲みたいという慣用句では、自分たちの親しさを表すには物足りなかったからです。「僕」の最後のメールと桜良の遺書は、互いへの憧れを同じ言葉で表していました。

携帯電話の開封済みメールを見て、涙があふれる

遺書を読んだ「僕」は、母親に桜良の携帯電話を見せてもらいます。最後に送ったメールは開封済みでした。会って返事を聞く機会は失われても、その言葉は彼女の目に届いていたんです。

「僕」は母親の前で、大声を上げて泣きます。彼女の気持ちを知り、自分の思いも受け取ってもらえたと分かった瞬間でした。文章を追う目が止まるのは、私はこの場面だと思います。

母親も、桜良が「僕」と出会って幸せだったことに感謝していました。悲しい家を訪ねたはずの彼が、自分の存在を喜んでもらえる。そこにも胸をつかまれます。

志賀春樹は恭子に会い、一年後に桜良の墓へ行く

春樹と恭子の交流から墓参り、その後へ

恭子の怒りを受け止め、自分から友達になろうとする

桜良の母親に名前を尋ねられ、「僕」は志賀春樹と名乗ります。このとき、語り手の本名が明かされました。母親とは、いつか恭子も交えて家族と食事をしようと約束します。

春樹は自分から恭子に連絡し、カフェで共病文庫を見せました。読み進めた恭子は涙を流し、なぜ病気のことを教えてくれなかったのかと怒ります。知っていたら、もっと桜良と過ごせたはずだという悔しさです。

桜良との秘密を守った春樹と、最後まで秘密を知らなかった親友。恭子の怒りにも胸が痛みます。春樹はそれを受け止めながら、友達になってほしいと伝えました。

恭子はその場では受け入れず、帰ってしまいます。それでも春樹は、彼女と仲良くなりたいという自分の意思を示しました。桜良の願いを聞いた彼が、自分で相手に近づこうとする場面です。

最後は、桜良の家族との食事へ向かう二人

エピローグは一年後です。春樹と恭子は友人になり、一緒に桜良の墓参りをしています。石段を上がるあいだには、以前の春樹と桜良のような、くだらなくて楽しいやり取りが交わされました。

春樹は、人と関わる生き方を選んでいました。墓前では、自分の思いを桜良に語りかけます。

墓参りのあと、二人は一年越しの食事の約束を果たすため、桜良の家へ向かいます。春樹は恭子と冗談を交わしながら、長い階段を下りるのでした。

私は、最後に家族との食事が待っていることに、ほっとします。

題名の考察で気をつけたい、桜良の冗談と恋心

序盤、桜良は、昔の人が体の悪い部分と同じ部位を動物から食べた、という話をしていました。焼き肉の場面では、誰かに食べられた人の魂が、その人の中で生き続けるという信仰の話もします。

私は、この題名には、相手の生き方を自分の中にも持ちたいという願いが込められていると受け止めます。体の一部という強い表現だからこそ、ただ上手に褒める言葉より、切実に感じるんです。

恋の告白として響く人も、喪失した相手の思いを受け継ぐ言葉として響く人もいるでしょう。二人にとっての特別な一言が、読む人自身の大切な相手とも重なる。そこに、この題名の忘れにくさがあると思います。

桜良と「僕」の会話を、自分のペースで読むなら

原作の魅力は、言い返したくなるような冗談と、ふいに真剣になる会話の近さにもあります。電車で数ページ読むつもりが、降りる駅に着いてもしおりを挟みたくなくなる。そういう掛け合いが好きな人には、書籍で味わう楽しさもありそうです。

双葉社『君の膵臓をたべたい』作品紹介・購入案内

声と表情を重ねる、劇場アニメの本予告

2018年劇場アニメ版の本予告です(アニプレックス チャンネル)。

FAQ

「僕」が変わった呼び名で呼ばれるのは、どういう仕掛けですか?

【地味なクラスメイト】や【仲良し】など、呼び名が相手や場面ごとに変わります。それは、相手にどう見られているかを「僕」が想像した言葉です。途中の【?????】には、桜良の思いを測れなくなった彼の戸惑いが表れているんですね。

桜良の遺書は、書き終えたものですか?

共病文庫に残った遺書は下書きです。桜良は書き直すつもりでいた文章を、そのまま残すことになりました。推敲の途中でも、宛てた相手それぞれへの思いが詰まっています。

春樹が話した、中学時代の好きな人は実在しますか?

何にでも「さん」をつける少女の話は、春樹の作り話でした。墓前で、春樹は自分も桜良に秘密を明かそうと、その嘘を打ち明けます。

まとめ

知りたいことが残ったまま、大切な人との会話が終わってしまう。それを想像すると、私は喫茶店の待ち合わせがいっそうつらく感じます。

それでも読後には、少し照れながら誰かと話す日のことまで思い浮かびます。気持ちを言葉にするのは、春樹ほど不器用でなくても難しいですよね。上手な一言を探しているあいだにも、一緒に笑える時間は過ぎていく。その身近なもどかしさが、長く心に残る小説です。

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