クレイトスが抱えて運ぶのは、妻フェイの遺灰です。山の頂でそれを風に返すまでに、父も息子も、自分の家族について驚くほど多くのことを知ります。
本編の結末と隠しエンディングのネタバレがあります。『ゴッド・オブ・ウォー』は、2018年にPS4で発売された北欧編の第1作です。
終盤の答えは、フェイは巨人の一族で、アトレウスは母から「ロキ」という名を与えられた息子だった、ということ。父子はヨトゥンヘイムの最高峰で遺灰をまき、母の願いをかなえました。
ただ、そこへ着く直前にクレイトスはバルドルを殺し、味方だったフレイヤから復讐を誓われます。帰宅後には、息子がトールの来訪を夢に見る。家族でようやくひと息つけると思ったところへ、この夢です。寝床まで落ち着かせてくれませんね。
遺灰を抱えた父子は、なぜ別世界の山へ向かったのか
父子の距離感と北欧の旅を映した、PlayStation Japanの公式ストーリートレーラーです。
フェイの葬儀と、家まで来たバルドル
物語はフェイの葬儀から始まります。残された夫クレイトスと息子アトレウスの約束は、遺灰を九界で最も高い山の頂からまくこと。九界は、ミズガルズやヨトゥンヘイムなど、北欧の神々や人々が暮らす世界の総称です。
クレイトスは息子に厳しく、アトレウスは病弱だった自分の力を父に認めてほしがっています。母を失ったばかりなのに、父の言葉は短く、指示は容赦がない。励ましのひと言くらい足してほしくなる距離感ですよね。
旅立つ前、自宅に現れた男がクレイトスを挑発します。この男がバルドルでした。父は激闘の末に彼を退けますが、自宅まで敵が来たことで、息子を連れて出発を急ぐことになります。
アルフヘイムの光を持ち帰り、最初の山頂へ
父子はミズガルズの山を目指し、小人の鍛冶屋ブロックとシンドリ、森の魔女に出会います。兄弟はフェイのために斧リヴァイアサンを作った職人で、父の武器を鍛え直してくれる仲間です。森の魔女も、異なる世界を行き来する方法を教えてくれました。
山への道を塞ぐ黒い霧を消すため、二人はエルフの国アルフヘイムへ渡り、光を手に入れます。その光を使ってミズガルズの山を登り切ると、頂上にはバルドルと、トールの息子マグニ、モージがいました。彼らが尋問していたのは、木に囚われた知恵者ミーミルです。
神々が去ったあと、ミーミルは最高峰の場所を教えます。九界で最も高い山は、巨人の国ヨトゥンヘイムにあるんです。登山を終えたところで、目的地が別世界だと判明。これは膝にも気持ちにもこたえそうです。
巨人たちはヨトゥンヘイムへ通じる道を閉ざしていました。そこでミーミルは、別の道を案内する代わりに、自分を木から解放するよう頼みます。クレイトスが首を切り落とし、森の魔女がその頭を蘇生させる、という大胆な方法でした。
蘇ったミーミルによって、魔女の正体が女神フレイヤだと分かります。神々を嫌うクレイトスは警戒を強めましたが、ミーミルの頭は旅の道案内役になります。頼れる相談相手が生首。荷物の中でも、ずいぶん存在感があります。
息子の病を治すため、父は隠していた武器と秘密を取り出す
マグニの死と、モージの再襲撃
ヨトゥンヘイムへ渡るには、道を刻む魔法のノミと、行き先を示すルーンが必要でした。父子は巨人サムールの亡骸でノミを探しますが、その行く手にマグニとモージが現れます。
クレイトスはマグニを殺し、モージは逃走しました。ノミの一部を手に入れ、ルーンを求めて神殿へ向かった二人を、モージが再び襲います。雷の力で押さえ込まれた父を助けようとしたアトレウスは、激しい怒りと力に呑まれ、意識を失ってしまうんです。
フレイヤが指摘した病の原因は、神の血を引くアトレウスが、自分を普通の人間だと信じていることによる内面の衝突でした。父が隠し続けた素性が、息子自身を苦しめていたわけです。
ブレイズ・オブ・カオスを、今度は息子を救うために
治療には、凍てつく死者の国ヘルヘイムにいる番人の心臓が必要です。冷気を使う斧ではその国の敵に対処できず、クレイトスは自宅へ戻りました。そこで取り出すのは、隠していた炎の双剣ブレイズ・オブ・カオス。
この武器は、父が埋めてしまいたかった過去と結びついています。自宅への帰路と武器を身に着ける場面では、女神アテナの幻影がその過去を突きつけました。クレイトスはそれを受け止め、息子のために剣を握り直します。
ヘルヘイムで番人を倒して心臓を持ち帰ると、フレイヤの治療でアトレウスは回復しました。父はようやく、自分が神であり、息子もその血を受け継いでいると打ち明けます。大事な話ほど口が重い父ですが、ここからは親子の会話が変わっていくんですね。
神だと知った息子が、弱ったモージを殺す
秘密を知ったアトレウスは、自分の強さを過信し、人への態度も傲慢になります。再び出会ったモージは、マグニの死と逃走を父トールに責められ、ひどく殴られた状態でした。
そのモージがフェイを侮辱すると、アトレウスは父の制止を振り切って刺し殺してしまいます。クレイトスは、弱った相手を怒りで殺した息子を叱りました。力を持つと分かった途端に、他人の命まで軽く扱い始めたことが問題なんです。
ルーンを得た二人がミズガルズの山頂へ戻ると、バルドルが襲来します。アトレウスは父の指示より自分の力を信じて戦おうとし、衝突のなかでヨトゥンヘイムへの門が壊れました。さらに息子を捕らえたバルドルを父が追い、争いは世界を移動する神殿へ続きます。
バルドルが一行をアースガルズへ連れ去ろうとしたところで、クレイトスが行き先をヘルヘイムに変えました。父子は再び死者の国へ。そこで息子は自分の振る舞いを反省し、父と協力して帰還するようになります。
壊れた門の代わりに、神殿と大蛇の腹から道をつなぐ

ヘルヘイムでは、バルドルの過去の幻影から、フレイヤが彼の母であることも分かります。母が息子を守るためにかけた魔法が、長年の憎しみを生んでいました。父子はその親子関係を知って、ミズガルズへ帰ります。
ヨトゥンヘイムへ向かう新たな手がかりは、巨人たちと関わりの深い神テュールの神殿でした。ブロックとシンドリも再び協力し、父子の旅を助けます。クレイトスは神殿の仕掛けを解除して内部をひっくり返し、世界の狭間を渡れる「調和の宝玉」を手に入れました。
宝玉に守られて狭間へ飛び込むと、消えていたヨトゥンヘイムの塔にたどり着きます。塔を元の場所へ戻したあと、移動を成立させるために必要になったのが、ミーミルの両目でした。
失われた片目は、大蛇ヨルムンガンドが飲み込んだトール像の中にありました。父子は小舟で蛇の体内へ入り、目を回収します。山を越え、冥界を渡り、今度は蛇の胃袋。散骨の旅程としては、相当な難コースですね。
ところが、外へ出ようとする一行をバルドルが蛇への攻撃で追い立てます。父子は吐き出され、サムールの亡骸の近くで彼と向き合うことになりました。フレイヤも駆けつけ、親子二組の最後の衝突が始まります。
クレイトスはなぜバルドルを殺したのか

不死身の代償は、触れても味わっても何も感じないこと
フレイヤは、息子が殺されるという予言を恐れ、バルドルをあらゆる危害から守る魔法をかけていました。その代償として、彼は痛みも喜びも、身体の感覚も失います。
息子は魔法を解くよう母に頼み続け、母は死なせたくないという思いから拒みました。守られる側の苦痛が、守る側の願いに押しつぶされていたんです。バルドルが求めていたのは、身体でもう一度世界を感じることでした。
ヤドリギの矢じりが、フレイヤの魔法を破る
魔法の弱点はヤドリギです。最終戦でフレイヤがクレイトスの動きを封じ、バルドルが攻撃しようとすると、アトレウスが父をかばって間に入ります。
バルドルがアトレウスを殴った際、矢筒の留め具に使われていたヤドリギの矢じりが手に刺さり、不死身の魔法が解けました。父をかばった息子の身体に、決着を変える小さな破片が残っていたんです。
身体の感覚を取り戻したバルドルは、傷の痛みまで喜びます。興奮したまま、父子への攻撃を再開。クレイトスとアトレウスは、今度こそ二人で息を合わせて彼を倒しました。
一度助けた相手が母を絞めようとし、父が止める
敗れたバルドルを、クレイトスはいったん見逃します。フレイヤが息子を助けてほしいと懇願し、父もその願いを受け入れました。
しかしバルドルは、長年の苦しみへの復讐として母の首を絞め始めます。フレイヤは、それで息子が安らげるならと、自分の死を受け入れようとしました。クレイトスは間に入り、バルドルの首を折って殺し、フレイヤを救います。
彼が止めたのは、子が親を殺す悲劇の繰り返しです。母を殺そうとするバルドルの姿は、自分の父を殺したクレイトスの過去に重なります。
フレイヤは生き残りましたが、息子を奪ったクレイトスへの復讐を誓います。命を救われた母と、子を失った母が、同じ人の中にいる。礼を言って終われる場面なら、こんなに苦しくはならないですよね。
その後、クレイトスはアトレウスに、自分が多くの命を奪い、自分の父も殺した過去を打ち明けます。息子は神々の親子が殺し合うことを嘆き、父は、自分たちはこれまでの神々より良くなれると語りました。失敗を隠していた父が、息子と一緒に変わろうとするところまで来たんです。
フェイの正体とアトレウス=ロキが、壁画でつながる

巨人の母は、父子の旅を知っていた
ミーミルの目によって、父子はついにヨトゥンヘイムへ渡ります。神殿で見つけた壁画には、自分たちが経験してきた旅とバルドルとの戦いがありました。二人がここへ来るまでの出来事を、巨人たちは予見していたんです。
そしてフェイも、その巨人の一族でした。夫と息子が知らなかった母の素性が、遺灰を運び終える直前に明らかになります。アトレウスは父から受け継いだ神の血に加え、母から巨人の血も受け継いでいました。
バルドルがオーディンの命令で探していたのも、巨人であるフェイでした。父子を追い続けた敵と、亡くなった母が、ここでつながります。家まで来た男の挑発を思い返すと、ずいぶん違って聞こえますね。
妻が願った散骨の場所は、自分の一族の国だったわけです。父子はそこで家族の真実に出会います。母の最後の願いが、残された二人をここまで連れてきた。本人に聞きたいことが増えたところで、遺灰をまく時間が来るんですね。
ロキは、フェイが息子に与えたもう一つの名前
壁画でアトレウスを指す名は「ロキ」でした。クレイトスは、フェイが息子にその名を付けたがっていたと話します。母と巨人たちがロキと呼んでいた少年が、ずっと隣を歩いてきたアトレウスなんです!
父が付けたアトレウスは、昔のスパルタの戦友の名です。母が与えたロキと合わせて、二つの名前は同じ息子を指しています。母の側から見た名前と血筋が、ヨトゥンヘイムでようやく分かる結末でした。
小さな少年と「巨人」という言葉の組み合わせに驚きますが、フェイの正体も息子の名前も、ここまでの父子の関係に重なります。どれほど大きな素性が分かっても、クレイトスにとってアトレウスは、一緒に母を見送る息子です。
父は腕の布を外し、息子と一緒に遺灰をまく
ヨトゥンヘイムでクレイトスは、腕の傷を覆っていた布を外します。息子に秘密を告白した父が、身体に残る過去も隠すのをやめる場面です。言葉の少ない人だからこそ、この動作には重さがあります。
最高峰でアトレウスが遺灰を差し出すと、クレイトスは二人で行うことを選びます。父が息子に触れ、一緒にフェイの遺灰を風へ放ちました。葬儀から続いてきた約束は、ここで果たされます。
私は、このとき父が息子の肩に手を置く動きがいちばん好きです。旅の初めは父の命令についていこうとしていた息子が、最後には同じ役目を分かち合っている。戦いを重ねた物語が、母を見送る静かな時間に戻ってくるんですね。
帰路にはフィンブルの冬が始まり、夢にはトールが現れる
ミズガルズへ戻ると、ミーミルはバルドルの死がラグナロクの到来を告げる出来事だと話します。フィンブルの冬という厳しい冬が始まり、故郷を雪と冷たい風が包んでいきました。
ラグナロクは、九界を巻き込む大きな破滅の戦いを指す言葉です。母の願いをかなえた父子の周りで、神々の予言が動き出しています。家族の旅が終わる一方で、世界の状況は大きく変わる。後味が静かに冷える終幕です。
さらに父子が自宅で眠ると、隠しエンディングが流れます。「数年後」の光景に移り、激しい雷のなか、自宅の前にフードをかぶった男が立っていました。腰にある槌はミョルニルで、その男は雷神トールです。
映像のあと、時間は父子が休んでいた現在へ戻ります。目を覚ましたアトレウスは、トールが来る夢を見たと父に話しました。隠しエンディングは、アトレウスが見た未来の夢です。来訪を予感させる光景を見たところで、父子は日常の探索へ戻れます。
壁画の不穏な人物と、父子が生きて帰る結末
最後の壁画を「父の死の予言」と読む考察
ヨトゥンヘイムでは、クレイトスだけが布に隠れた壁画の一部を見ます。そこには、アトレウスが倒れた人物を抱えるような姿がありました。父はそれを息子に話さず、山頂へ向かいます。
この人物をクレイトスと考え、父の死を予告する絵と読むのは壁画についての解釈です。息子が父を腕に抱えるように見える構図は、それまで二人が築いてきた関係と重なり、不穏さを残します。
2018年作の終幕で、クレイトスはアトレウスとともに山から帰還し、自宅で眠ります。壁画は将来を思わせる絵で、父子が生きて帰る結末は、旅を終えた時点の出来事です。未来への不安を抱えたまま、父は目の前の息子と母を見送ったんですね。
母の導きを、父子の選択から考える
壁画に旅の出来事があるため、フェイが残した願いには、家族を真実へ導く意味も感じられます。ここは私の考察ですが、散骨という具体的な約束があったから、二人は途中でぶつかっても一緒に歩き続けられたのだと思います。
息子が病に倒れたときに剣を取りに帰ったこと、暴走した息子を叱ったこと、最後に自分の過去を打ち明けたこと。どれも、その場のクレイトスが息子のために選んだ行動です。家族の素性が分かった喜びと、父子が変わった手応えが、同じ山頂で重なります。
隠しエンディングは、自宅の寝床で始まる

遺灰をまいたあとに続く短い場面の条件は、父子の帰宅と休息です。操作は次の流れになります。
- ヨトゥンヘイムでフェイの遺灰をまいたあと、ミズガルズへ帰還します。
- 次の目的地は、父子が旅立った森の自宅です。
- 家の寝床で休むと、雷と来訪者の場面が始まります。
スタッフロールのあとも、父子で探索を続けられます。山頂に着いた達成感でそのまま終了すると、自宅での夢の場面が残るんです。長い散骨の旅の締めが「家に帰って寝る」なのは、妙にしっくり来ますね。
FAQ
アトレウスがロキになったのは、いつですか?
ロキは生前のフェイが息子に与えた名で、終盤にその事実が判明します。父と息子が、母と巨人たちの呼び名を知る場面です。
バルドルを倒したのは、アトレウスですか?
息子に残っていたヤドリギが無敵の魔法を破り、父子の協力で勝利しました。最終的にバルドルの命を奪った人物はクレイトスです。母を絞め殺そうとした彼を止めるためでした。
フレイヤは最後にどうなりますか?
バルドルの攻撃から救われたあと、亡くなった息子を抱えて去ります。旅を支えてくれた女神は、クレイトスを憎む相手へ変わってしまいました。
クレイトスはエンディングで死にますか?
父は生存し、散骨を済ませて息子と家で休みます。倒れた人物を息子が抱える壁画は、未来の予言を思わせる場面です。
最後に家へ来る男は誰ですか?
ミョルニルを携えた雷神トールです。眠っていた少年が見た来訪の夢で、目覚めたアトレウスが父にその内容を話します。
まとめ
『ゴッド・オブ・ウォー』2018年作は、フェイを見送る父子が、神々との衝突を経て家族の秘密にたどり着く物語です。母は巨人で、息子にはアトレウスとロキという二つの名がありました。散骨の約束は果たされ、父は自分の過去を息子に話せる人になっています。
バルドルの死はフレイヤの憎しみと厳しい冬を残し、家での眠りにはトールの影が差します。それでも最後の山頂で二人が共有したのは、母を風へ返す時間でした。あの無口な父が、息子の肩へ手を伸ばす。名前の大きな驚きと同じくらい、その小さな変化が胸に残ります。