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竜とそばかすの姫ネタバレ|結末でなぜ顔をさらす?竜の正体とすずの覚悟

竜とそばかすの姫ネタバレ|結末でなぜ顔をさらす?竜の正体とすずの覚悟

あれだけ華やかなステージを見せておいて、終盤は雨の住宅街。『竜とそばかすの姫』は、歌にうっとりしていたこちらを、ずいぶん切実な場所へ連れていきます。

『竜とそばかすの姫』は、細田守監督による2021年公開のアニメ映画です。

結末までのネタバレがあります。児童虐待と母親の事故死を描く作品です。

竜の正体は14歳の恵。背中のあざは現実の傷とつながっていた

竜の正体と恵・知の関係

竜は、父親の虐待から弟の知(とも)をかばっている少年・恵(けい)です。現実の恵は14歳で、家の中で父の暴力と言葉に押さえつけられていました。

弟への攻撃を自分が引き受けるうち、恵の体と心には傷が積み重なっていきます。その苦しみは、仮想世界にいる竜のあざだらけの姿にも反映されていたんです。

だから、あの大きな体と荒々しさの向こうには、誰かに助けてほしい子どもがいました。竜の正体が分かると、それまで強さに見えていたものが、痛々しく見え直してしまいます。

歌えないすずが、仮想世界でベルになるまで

高知の日常と仮想世界の華やかさが分かる、東宝MOVIEチャンネルの公式予告です。

母を失い、歌と父から遠ざかった日々

内藤鈴、すずは、高知で父と二人暮らしをする17歳の高校生。小さい頃は母と一緒に歌い、音楽を作るのが大好きでした。

ところが母は、増水した川に取り残された女の子を救って命を落とします。残されたすずには、自分より見知らぬ子を選んだ母への割り切れない思いがありました。

それから歌を歌えなくなり、父との会話もそっけなくなっていきます。同じ家で暮らしていても、声をかけるのが難しいことってあるんですよね。

ただ、すずは曲を作り続けていました。

ヒロちゃんの後押しで、歌声が世界へ広がる

親友のヒロちゃんこと別役弘香に誘われ、すずは世界中から人が集まる仮想世界「U(ユー)」へ参加します。利用者は、体の情報から作られる分身「As(アズ)」の姿で活動する仕組みです。

すずの分身は、そばかすのある美しい少女ベル。驚いたことに、その姿なら自然に歌えました!

最初の歌に批判も集まりますが、歌声や曲にひかれる人が増えていきます。ヒロちゃんもプロデュースを引き受け、ベルは一気に人気者になりました。

親友が歌えた喜びを、世界規模の活動にまで育てるヒロちゃん。仕事が早いです。

コンサートを壊した竜と、正体を暴こうとするジャスティン

大騒ぎの中で、ベルが気にしたのは竜の傷

大勢が集まったベルのコンサートに、竜が乱入します。追っていたのは、Uの秩序を守ると称する自警団「ジャスティス」で、リーダーはジャスティンでした。

彼が使う「アンベイル」は、アバターの持ち主の現実の姿をさらすもの。ジャスティンはそれを竜に向け、正体を暴いて追い詰めようとします。

騒動でコンサートは中断し、ネットでは竜探しが過熱しました。体の模様や普段の言動を手がかりに、芸術家やスポーツ選手まで疑われていきます。

すずもヒロちゃんと調べ始めますが、強く心を引かれるのは、竜が負っている大きな傷でした。あの傷は何なのか、どうしてあんなに怒っているのか。追い払われても、気になってしまうんです。

城でのダンスと、ベルにも向けられる脅し

ベルは、AIたちが守る竜の城へたどり着きます。竜は彼女を威嚇しますが、ベルは歌で気持ちを届けようとしました。

二人が広間で踊るうち、互いの距離が縮まっていきます。強引に正体を聞き出そうとする人々に囲まれていた竜にとって、傷を気遣ってくれるベルは特別な存在になったのでしょう。

一方、ジャスティンはベルも捕らえ、城の場所を話すよう迫ります。彼女にもアンベイルを突きつけますが、城のAIたちが助け、ベルはその場を逃れました。

正義を名乗る人が、助けに来た相手まで脅す。ジャスティンへの嫌な感じが、ここでぐっと強くなります。

ルカが好きなのはカミシン。すずの思い込みも変わっていく

すずとルカが思いを寄せる相手

現実のすずは、幼なじみの久武忍に思いを寄せています。母を失ってから何かと心配してくれる忍は、学校でも女子に人気がある男子でした。

すずは、明るくて人望のあるルカこと渡辺瑠果と忍がお似合いに見えて、二人が両思いだと思い込みます。ルカから恋の相談を受けるのもつらい状態です。

ところが、ルカの好きな相手はカヌー部のカミシンこと千頭慎次郎。恋心を知ったすずは、駅で二人の会話を手助けすることになりました。

ルカの好意に気づいて慌てるカミシンが、なんともおかしいんです。さっきまで自分の恋に落ち込んでいたすずが、今度は恋の助っ人。忙しい放課後ですね。

その後、忍はすずがベルだと気づいていることを告げます。すずは動揺して逃げ出しましたが、ほどなくヒロちゃんから、竜の城が危ないと連絡を受けます。

ジャスティンたちは城を見つけ、火を放っていました。駆けつけたベルも竜を見失い、すずたちは現実の彼を探そうとします。

結末ですずが顔をさらした理由は、恵に信じてもらうため

素顔で歌うすずと兄弟からの再連絡

知の歌声が、兄弟へたどり着く手がかりになる

竜に関する動画を調べていたすずは、知の配信に気づきます。知が口ずさんでいたのは、ベルが城で竜に歌った曲でした。

その配信に父親の暴力が入り込み、すずは兄弟の切迫した状況を知ります。ベルだと名乗って連絡を取り、助けたいと申し出ました。

しかし恵は、画面にいるすずを信用できません。それまでにも助けると言う人はいて、結局、暮らしは変わらなかった。そうした失望が、恵の拒絶にはこもっているんです。

こちらはベルと竜が心を通わせる場面を見ているので、つい「ベルだよ、あのベル!」と言いたくなります。でも恵にとって、初めて見る少女の顔と大切な歌声は、まだつながっていませんでした。

美しい分身を手放し、すず自身の姿で歌う

駆けつけた忍は、すずの姿でベルの歌を歌い、同じ人物だと示すことを提案します。ヒロちゃんは、築いてきたベルのイメージと、すずの心が傷つくことを心配して反対しました。

それでもすずは決意します。Uの大勢の観客の前へ戻り、ジャスティンのアンベイルを自分から受け入れるんです。

すずが素顔をさらすのは、恵を助けたいという言葉に、自分の行動で応えるためでした。ベルの華やかな姿が消え、そばかすのある少女が残ります。

戸惑う観客の前で歌い始めるすず。声は震えますが、彼女は歌い切り、観客の共感も広がっていきました。

この歌を受け止めた知と恵は、すずへ再び連絡します。恵が住所を知らせようとしたところで、父親が通信を切ってしまいました。

居場所を探し当て、雨の中で兄弟をかばう

ルカの耳と、カミシンの遠征経験が役立つ

頼りになったのは、配信に残っていた音と景色です。ルカは二つの時報の曲に気づき、カミシンは窓の外に見える建物を遠征で見たことがありました。

仲間たちがそれぞれの記憶を持ち寄り、兄弟の居場所を絞り込みます。恋の相談をしていた二人が、今度はすずを支える側に回るんですね。

合唱隊の大人たちも加わり、児童相談所へ連絡します。すずは兄弟の危機に自分も駆けつけようと決め、高知から一人で向かいました。

頬に傷を負っても、すずは父親の前から退かない

雨の住宅街を探した末、すずは恵と知に会います。そこへ二人の父親が追ってきて、恵に暴力を振るいました。

すずは兄弟をかばい、引き離そうとする父親に頬を傷つけられます。それでも立ち上がって、父親をまっすぐ見つめました。

父親は殴ろうとした手を止め、すずの視線にひるんで逃げていきます。Uで歌っていた少女は、現実でも兄弟の前に立ったんです。

恵は、来てくれたすずに勇気をもらい、自分もこれから戦うと決意します。すずも、竜との出会いで自分が変われたことを恵に伝えました。

二人の間にあるのは、相手の苦しみを知り、実際に会えた喜びです。恋の告白を期待していた気分が、ここでは相手の無事を喜ぶ気持ちへ変わります。

高知へ帰ったすずは、父と話し、現実でも歌う

帰郷したすずと父・忍、日常の歌

夕飯の話に、素直な返事が戻る

地元の駅で迎えた父に、すずは素直に言葉を返します。一緒に夕飯を食べる約束ができる、穏やかな再会でした。

世界中が注目した出来事のあとに、家で何を食べるかという話。その小ささが、妙にうれしいんです。

忍は、すずを見守ってきた関係から踏み出す

仲間たちもすずを迎え、忍は彼女の行動をたたえます。そして、これからは見守る立場を離れ、普通に付き合える気がすると話しました。

忍の言葉を聞くと、心配してくれる幼なじみを前に、すずが息苦しくなっていた場面まで思い出します。対等に話せる相手として向き合えるようになった、と受け取れる結末です。

合唱隊からリードを頼まれると、すずは笑顔で引き受けました。歌う場所は、ようやく彼女の日常にも戻ってきます。

ラストが胸に引っかかる理由と、母の行動への考察

すずの勇気を喜ぶほど、兄弟のこれからが気になる

救出に向かう高校生の安全まで、見ているこちらが心配するラストです。周りの大人にも一緒に来てほしい、と感じた人はいるでしょう。

私も、恵の力強い言葉をうれしく感じながら、子どもが背負うものの重さに引っかかります。兄弟が頼れる大人とつながり、安全に暮らせる未来を願いたくなるんです。

母が見知らぬ子を救った気持ちに、近づけたのかもしれない

すずの変化を母との関係から考えると、長く抱えていた「なぜ自分を置いていったのか」という思いにも、少し違う感情が加わったように感じます。

目の前に苦しむ子がいたとき、助けたい気持ちが体を動かす。その切実さを自分でも知ったことで、母が救おうとした命にも思いを向けられたのかもしれません。

私は、母を好きだった頃の記憶を、すずがもう一度抱きしめられるようになった、と受け取りました。悲しみを抱えた人が、歌いたい気持ちに戻れたことがうれしいです。

歌をもう一度聴くなら、城と素顔のステージの二曲

城で流れるのは「心のそばに」、終盤の歌は「はなればなれの君へ」です。前者は静かな伴奏と二人の距離、後者は次第に重なる歌声の広がりが印象に残ります。

音楽だけでも楽しみたいときは、映画公式サイトのサウンドトラック案内があります。本編を観直したいときのBlu-ray・DVDは本編121分。歌の前後の息遣いや沈黙にも、耳を澄ませたくなる作品でした。

FAQ

ベルという名前は、すずの本名と関係がありますか?

はい。「鈴」を英語にした「Bell」が始まりです。人気が広がるにつれ、美しいという意味のフランス語「Belle」のつづりで呼ばれるようになりました。

すずとベルの声、劇中の歌も同じ人ですか?

すずとベルの声も歌も、ミュージシャンの中村佳穂が担当しています。竜と恵を演じるのは佐藤健です。

まとめ

『竜とそばかすの姫』の結末には、誰かに届いた喜びと、届いたあとを案じる気持ちが残ります。すずの歌を聴き終えたとき、画面の向こうにいる人の暮らしまで気になってしまう。その後味ごと、強く覚えている映画です。

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