原作の結末までのネタバレがあります。
タキシード姿の乱馬と、ウエディングドレス姿のあかね。『らんま1/2』の漫画最終回は、この晴れ姿から大乱闘になるんです。
最後の2人は許嫁同士で、乱馬の変身体質も続きます。ただ、その前には、あかねを救おうと必死になる乱馬の姿がありました。
高橋留美子の原作漫画『らんま1/2』は、通常版・新装版とも全38巻で完結しています。
始まりは、水で変わる体と親が決めた許嫁
乱馬とあかねの出会いを映した、2024年アニメ第1弾PVです。
中国で父・早乙女玄馬と修行していた乱馬は、呪いの泉が集まる呪泉郷で、娘溺泉に落ちます。それ以来、水をかぶると女の子になり、お湯で男の姿に戻る体です。玄馬のほうは、水でパンダに変わるようになりました。
帰国した親子が身を寄せるのは、玄馬の修行仲間・天道早雲の家。父親たちは、子ども同士を結婚させて道場を継がせる約束をしており、天道家の三女・あかねが乱馬の許嫁になります。本人たちの相談より、親の段取りが先なんですよね。
同じ風林館高校に通う2人は、口を開けばけんかです。それでも、乱馬と良牙の戦いに巻き込まれてあかねの長い髪が切れると、乱馬は彼女を気にかけます。あかねが東風先生への片思いに区切りをつけたあと、短い髪を褒める言葉も出ました。
恋敵が増え、けんかと助け合いが重なっていく
乱馬を追って現れる良牙は、水で黒い子豚になる少年です。あかねにPちゃんと名付けられて可愛がられ、彼女へ思いを寄せます。さらに中国の女傑族の少女・シャンプーは、自分を倒した男と結婚する掟から、乱馬を追うようになりました。
シャンプーを慕う幼なじみのムース、乱馬と幼いころに婚約の約束をされた久遠寺右京、乱馬に恋する九能小太刀も加わります。右京との約束をしたのも玄馬でした。お好み焼きの屋台を受け取って、息子との縁談だけ置き去りにした父親ですから、乱馬にもたまったものではないでしょう。
そんな相手との勝負は、新体操やスケートにまで広がります。乱馬はあかねと組んで戦い、危険が迫れば彼女をかばう。その積み重ねの中で、親が決めた関係に2人自身の気持ちが育っていくんです。
ハーブ戦・流幻沢・母との再会で変わった関係
ハーブ戦では良牙とムースが助け、あかねが帰りを待つ
24〜25巻のハーブ戦で、乱馬は止水桶という道具の水を浴び、女の姿に固定されます。これを解くため、良牙・ムースとともに、秘宝の開水壺を探す旅に出ました。普段は恋敵でも、変身体質の悩みとなれば共闘する3人です。
良牙たちの助けを受けた乱馬は男の姿を取り戻し、ハーブとの勝負に勝ちます。天道家へ帰ると、心配していたあかねが涙を流して抱きつきました。いつもの言い合いから、この抱擁へ変わるところがいいんですよね。
流幻沢では、乱馬もあかねを失う怖さを味わう
25巻末から26巻にかけて、あかねは森の流幻沢で、幼い自分を助けた真之介と再会します。彼はそのときの傷を抱え、生命の水で命をつないでいる少年でした。事情を知ったあかねは、真之介を助けるために残ります。
あかねを追ってきた乱馬は、2人の親しさにやきもちを焼きました。やがて怪物ヤマタノオロチとの戦いになり、あかねは真之介の傷を治す生命の苔を手に入れます。乱馬と良牙も救出に加わり、真之介は回復。あかねは乱馬と一緒に帰ることを選びます。
36巻では、変身体質の乱馬を母・のどかが受け止める
家族の問題にも決着がつきました。玄馬は、乱馬を男の中の男に育てると母・のどかに約束し、果たせなければ親子で切腹すると誓っていたのです。乱馬はそれを恐れ、母の前では女の姿の「乱子」として過ごしていました。
36巻で海へ落ちそうになったのどかを助けた乱馬は、母と再会します。その後、親子で海に落ち、のどかは乱馬と玄馬の変身体質を知ることに。彼女は乱馬の頼もしい振る舞いを認め、息子を受け入れました。
鳳凰山編であかねが小さな人形になるまで

プラムが持ってきたのは、呪泉郷が枯れる知らせ
37巻で乱馬のもとを訪れるプラムは、呪泉郷の案内人の娘です。彼女を追う鳳凰山の鳥人たちは、泉の水源へ通じる地図を狙っていました。水を奪われれば、乱馬たちが体質を治す望みも危うくなります。
鳥人のキーマは、孵化したとき最初に見た相手に従わせる「すりこみタマゴ」でシャンプーを操ります。シャンプーは地図を奪って中国へ渡り、乱馬・玄馬・良牙・ムースたちも追いかけました。
鳳凰山の王子サフランが水源を求めるのは、湯を浴びて成長し、一族に光と熱を与えるためです。乱馬たちと争う途中、敵はあかねをさらって中国へ連れてきます。あかねの姿に変身する泉を作り、それを使ったキーマは、乱馬から水源の鍵となる武器・金蛇環を取り戻しました。
乱馬を助けようとしたあかねが、金蛇環に触れる
呪泉郷へ水を送る呪泉洞には、竜と鳳凰をかたどった2つの水口があります。鳳凰側で金蛇環を働かせると、サフランの成長に使う湯が流れ出します。乱馬はサフランに飛びかかり、その成長の養分にされかけました。
あかねは乱馬を救おうと、湯を止めるために金蛇環をつかみます。すると体内の水分を奪われ、服の中に収まるほど小さく縮んでしまったのです。残った服を抱え、乱馬は放心状態になりました。
退却後、案内人が服の中からあかねを見つけます。縮んだあかねは、目を閉じきるまでに呪泉の水を浴びせないと命が尽きる状態です。乱馬は、冷気を操る武器・月渦蛇を手に、水を取り戻す戦いに戻ります。
サフランを倒した乱馬は、あかねを救える?
成長の途中で湯を止められたサフランは、不完全な成体として目覚めます。激しい熱を放ち、傷ついた翼も再生させる相手でした。乱馬は月渦蛇の冷気と、温度差で竜巻を起こす飛竜昇天破を組み合わせて対抗します。
小さなあかねも、身を投げ出して乱馬を炎から守ります。最後にはサフランの強烈な熱の中へ飛び込み、乱馬が攻撃する道を作りました。助けを待つあかね自身が、命懸けで乱馬を支えるんです。
乱馬は自らの体を凍らせ、冷気を打ち込む飛竜氷突破でサフランを打ち破ります。戦いを終えたあかねは、乱馬に微笑んで目を閉じました。
水で体が戻ったあと、乱馬が本音をこぼす
乱馬は残った熱気を利用し、竜の水口から水を噴き上げさせます。水を浴びたあかねは元の大きさに戻りました。しかし、腕の中のあかねは息をせず、乱馬は間に合わなかったと思い込みます。
そこで出てくるのが、素直になれず、あかねを怒らせたり困らせたりしてきたことへの後悔です。乱馬は涙を流し、あかねに本当の気持ちを言えなかったことを詫びます。いつもの強がりが崩れる場面でした。
やがてあかねが動き、乱馬に触れます。体が動くまで時間がかかっていただけで、彼の声は聞こえていたのです。安堵した乱馬は、今度は自分の言葉を聞かれた恥ずかしさで慌てます。やっと助かった直後に照れてしまう、この忙しさも2人らしいですね。
サフランは赤ん坊に戻り、水源の争いも終わる
敗れたサフランは卵となり、赤ん坊の姿で生まれ直します。さらに戦いで鳳凰山の地下の水路が変わり、一族のための泉が生まれました。鳥人たちは自分たちの水源を得て、乱馬たちとの争いを終えます。
一方、呪泉郷は増水で各泉の水が混ざった状態でした。乱馬たちはそこでの治療を断念し、日本へ帰ります。乱馬自身、この戦いの最中は自分の体質より、あかねを助けることだけを考えていました。
結婚式を壊したのは、男溺泉の樽と恋敵たち

あかねが祝言を受け入れた理由
日本へ戻ると、早雲と玄馬は乱馬を気絶させ、タキシードに着替えさせます。目を覚まして怒った乱馬も、ウエディングドレス姿のあかねを見た途端に言葉を失い、その姿を褒めました。
あかねが祝言を承諾したのは、呪泉洞で乱馬の気持ちを感じ取ったからです。ところが乱馬は、「好き」と言ったかどうかをめぐって、あかねと言い合います。
あかねに好きだと言わせてほしい、という言葉は乱馬の心の声です。あかねには呼びかけと後悔の言葉が届き、彼の思いが伝わっていました。口にした言葉にこだわる乱馬とのずれが、こんなところでけんかの種になるんですよね。
治療の水を、八宝斎が祝い酒と間違える
そんな天道家に届いていたのが、案内人からのお礼の男溺泉の水です。呪泉郷の水量が戻り、1人分が樽に入れて送られていました。早雲はそれを祝言の鏡割りに使い、乱馬に渡すつもりだったのです。
ところが樽を狙う玄馬・良牙・ムースが加わり、争奪戦になります。なびきの招待状で集まったシャンプー、右京、九能兄妹らも乱入。会場のあちこちで騒ぎが起こりました。
その騒動の中、八宝斎が樽の水を祝い酒と思い込み、全部飲んでしまいます。飲むにしても、せめて一口にしてほしかった! 乱馬たちが待ち望んだ治療の水は、こうして失われます。
早雲が延期を決め、最後は学校へ
早雲は、2人の周囲が落ち着いてから祝言を挙げようと、式を先延ばしにします。水の取り合いと恋敵の妨害が重なった結婚騒動でした。
最後は、乱馬とあかねが言い合いながら学校へ向かう後ろ姿です。あれだけの死闘から無事に帰ってきたんだ、とほっとしました。
シャンプー・ムース・良牙・右京の恋はどう着地する?

ムースは、シャンプーを操れる機会に鏡を差し出す
鳳凰山での戦いでは、乱馬がシャンプーを再びすりこみタマゴに閉じ込めます。ムースは、孵化した彼女に最初に自分を見せれば、思いをかなえられる状況に立ちました。
迷った末、ムースが差し出したのは鏡です。シャンプー自身の姿を見せ、誰かに従う暗示から解放しました。乱馬に勝つためなら強引な手も使ってきた彼が、彼女の自由を選ぶ。この場面には、ちゃんと胸を張れる格好よさがあります。
帰国後も、ムースの恋はシャンプーへの片思いのままでした。
良牙にはあかりがいて、右京は最後まで乱馬を追う
良牙は、あかねとの結婚を控えた乱馬の知らせを受け、あかねへ別れを告げる気持ちと、恋人の雲竜あかりへの思いを抱きます。それでも男溺泉の水を狙って天道家へやって来ました。恋と体質の悩みを両方抱えた良牙も、騒動の当事者です。
シャンプーが肉まんを投げる横で、右京もお好み焼きを投げつけ、祝言を妨害します。お祝いの席でも、乱馬を譲る気はさらさらないんですね。小太刀も含め、強気な恋敵たちの勢いは最終回まで健在でした。
私がこの終わり方で好きなのは、ムースのように相手への向き合い方が変わった人も、右京のように恋心を抱え続ける人もいるところ。登場人物を急いで全員カップルにすると、あのにぎやかさまで片づいてしまいそうです。
原作の最終巻は38巻と20巻がある
単行本は装丁によって収録量が違い、最終巻の番号も変わります。
| 単行本の版 | 最終巻 |
|---|---|
| 通常版・新装版 | 38巻 |
| 少年サンデーコミックススペシャル | 20巻 |
鳳凰山をめぐる最終章を収録しているのは、新装版37・38巻です。
『らんま1/2〔新装版〕』37巻と38巻には、試し読みがあります。大きい判型の完結巻は、少年サンデーコミックススペシャル20巻です。
FAQ
なびきは、なぜ大勢に結婚式の招待状を配ったの?
ご祝儀を集めるためです。2人の恋を知る顔ぶれまで招き寄せてしまうところに、なびきの商魂が出ています。招かれた側にもそれぞれの思惑があり、天道家は一気に人でいっぱいになりました。
良牙の恋人・あかりは、どんな女の子?
ブタ相撲のブタを育てる家の少女で、大のブタ好きです。30巻で良牙がカツ錦という大きなブタを倒したことから、彼に好意を寄せます。良牙がPちゃんに変わる体質を知ったときも、喜んで受け止めました。良牙には深刻な悩みでも、彼女には大歓迎なんですね。
まとめ
乱馬の格闘の強さと、恋の不器用さが一緒に詰まった最終回でした。あかねを抱いて泣くところにはぐっときますし、花嫁を前にまた意地を張るところでは、つい笑ってしまいます。
あれほど大騒ぎした人たちと、明日も顔を合わせる。きれいにかしこまって終えるより、そんな毎日が似合う2人だと思います。