ウッディの保安官バッジが、ボニーの遊びではジェシーの胸に付いています。主役だったおもちゃが、遊び相手として選ばれるのを待つ側へ。あの小さなバッジの移動から、もう胸がきゅっとするんですよね。
結末とエンドクレジットのネタバレがあります。
『トイ・ストーリー4』は2019年の長編アニメーション映画です。ラストでウッディが選ぶのは、ボー・ピープと生きる道です。子どもを守ることに一生懸命だった彼が、どうしてその決断にたどり着いたのでしょうか。
9年前の別れと、ボニーが作ったフォーキー
ディズニー・スタジオ公式による、2019年の映画『トイ・ストーリー4』のMovieNEX予告編(30秒)です。
ボーに誘われても、ウッディはアンディを選んだ
物語の始まりは、9年前の雨の夜。外に置き去りになったラジコンカーのRCが、雨水に流されそうになっています。ウッディはスリンキーやボーたちの助けを借り、RCを救い上げました。
そのさなか、アンディの妹モリーの部屋にあったボーのランプが、羊やボーごと別の家へ譲られます。ウッディは彼女を引き留めようとしますが、ボーは次の子のもとへ行くことを受け入れているんです。
ボーはウッディも一緒に来るよう誘います。彼の足を止めたのは、ウッディを捜すアンディの声でした。ウッディは家に残り、ボーを乗せた車を見送りました。
一緒に行きたい相手がいる。それでも、自分を呼ぶ子を置いていけない。冒頭のウッディは、その思いで動いています。
新しいお気に入りは、ゴミ箱へ帰りたがる
時が流れ、アンディからおもちゃを譲り受けたボニーが持ち主になりました。彼女の部屋にはドーリーというまとめ役もいて、ウッディは以前のように皆を仕切れず、遊ばれる機会も減っています。
それでも、幼稚園の体験入園を怖がるボニーが気がかりです。ウッディはリュックに忍び込み、工作の材料が足りず困っている彼女のために、ゴミ箱から材料を集めて机に届けました。
ボニーが作ったのは、先割れスプーンのフォーキー。自分で作れたことが嬉しくて、彼女はすぐに夢中になります。リュックの中でフォーキーが動き出し、ウッディは新入りのおもちゃを仲間に紹介するんです。
ところが本人は、自分をゴミだと思っています。目を離すとゴミ箱へ一直線! 子どもが宝物にした工作を、大人がうっかり片付けそうになることはありますよね。フォーキーは、自分から片付けられに行くという困った新入りでした。
ボニーにとってフォーキーは、慣れない幼稚園で笑顔になれた大切な存在です。ウッディは何度も彼を引き戻し、ボニーの手元に戻し続けます。
車から飛び出したフォーキーと、骨董品店の声の装置
ボニーが感じる安心を、フォーキーが理解する
入園前の家族旅行にも、おもちゃたちは同行しました。キャンピングカーの中でもフォーキーの脱走は続き、とうとう窓から飛び出します。ウッディもあとを追って車を離れました。
二人は、家族が向かう宿泊地を目指して道路を歩きます。ウッディは子どもに遊んでもらう喜びを話しながら、アンディとの日々を思い出し、今の自分が役に立てていない寂しさもこぼすんです。
一方のフォーキーにとって、ゴミ箱は暖かくて安心できる場所でした。その話を聞いたウッディは、ボニーもフォーキーと一緒にいると同じように安心するのだと説明します。
自分がそばにいると、ボニーはほっとする。そこまで分かると、フォーキーは彼女のもとへ急ぎ始めました。ウッディが引っ張っていた相手が、今度は前を走っていくんですよね。
ボーのランプを見つけた寄り道が、救出劇に変わる
あと少しでボニーに会えるところで、ウッディは骨董品店の窓に、ボーが立っていたランプを見つけます。彼女が中にいるかもしれないと考え、フォーキーと店へ入りました。
出会ったのは人形のギャビー・ギャビーと、腹話術の人形ベンソンたち。ギャビーの体には、背中のひもを引くと決まった音声が出るボイス・ボックスが入っています。製造時の不具合で、その音声がうまく出ません。
彼女は、装置さえ直れば子どもに選んでもらえると信じていました。そこで欲しがったのが、ウッディの正常に動くボイス・ボックスです。
ウッディたちは逃げようとしますが、フォーキーが捕まります。店主の孫ハーモニーに拾われたウッディは店の外へ運ばれ、二人は離れ離れになりました。友達のランプを見つけたと思ったら、体の部品を狙われる。ずいぶん物騒な寄り道です。
ボーとの再会と、失敗するフォーキー救出作戦

持ち主がいなくても、ボーは子どもと遊んでいる
ハーモニーがウッディを持っていった先は公園でした。そこでウッディは、ついにボーと再会します。彼女は骨董品店で長く買い手を待ったあと、自分から外へ出て暮らしていたんです。
ボーは羊たちや小さな警察官のおもちゃ、ギグル・マクディンプルズと行動しています。特定の子の部屋に住む暮らしから離れ、公園などで子どもに遊んでもらう機会を自分で探していました。
ウッディにとって、持ち主を失うことは怖いことです。目の前のボーは行きたい場所を選び、仲間と楽しそうに暮らしています。彼が知っていたおもちゃの世界が、急に広がりました。
フォーキーが店に残されていると聞き、ボーも救出に協力します。ウッディは、彼女が子どもを支えてきた思い出を話し、ボニーのために力を貸してほしいと頼みました。
バズと景品のコンビ、デューク・カブーンも加わる
車に残ったバズは、帰ってこないウッディたちを捜しに出ます。ウッディから聞いた「内なる声」を、自分の音声ボタンから出る言葉だと受け取り、その言葉を頼りに進むんです。自分の胸のボタンに人生相談。バズ、その使い方で合っていますか?
遊園地の係員に拾われ、景品として壁に付けられたバズは、ぬいぐるみのダッキーとバニーに出会いました。二人も子どもに選んでもらう日を待っています。壁から抜け出した三人は、ウッディとボーに合流しました。
救出には、カナダのバイクスタントのおもちゃ、デューク・カブーンも参加します。派手なポーズが得意な彼には、CMのようなジャンプができず、持ち主に失望された痛い過去がありました。
仲間たちはギャビーのいる棚へ近づき、フォーキーを連れ出そうとします。ところがデュークのジャンプや人形たちとの攻防で作戦が崩れ、店の猫に飲み込まれたギグルが吐き出される騒ぎまで起きました。全員が危険にさらされ、フォーキーは店に残ります。
ボーたちは再挑戦を止めますが、ウッディは譲れません。ボニーのためだと言い張る彼に、ボーは、ウッディ自身がボニーを求めているのだと指摘します。
ウッディは、持ち主のいないボーには分からないという趣旨の言葉を返し、彼女を傷つけました。ボーや仲間と別れ、一人で店へ戻ります。ここでの彼は、助けを借りる相手の気持ちまで置き去りにしてしまうんです。
ウッディが声の装置を渡しても、ギャビーの願いはすぐにかなわない

子どもに愛されたい願いを聞き、ウッディが決める
店へ戻ったウッディに、ギャビーは、子どもと遊ぶ幸せを一度でも経験したいと話します。彼女が憧れている相手はハーモニーでした。
ウッディはアンディに大切にされ、ボニーの家でも子どものそばにいる喜びを知っています。ギャビーは店の中で、その喜びに手が届く日を待ち続けていました。同じ装置を持つ二人の、過ごしてきた時間の差が切ないです。
ウッディはフォーキーの解放と引き換えに、自分のボイス・ボックスをギャビーへ渡します。彼女の願いを聞いたうえで、本人が決めたことでした。
憧れのハーモニーに、あっさり手放される
一方、先に車へ戻ったバズは、ボニーが店に置き忘れたリュックを思い出すよう働きかけます。ボニーと母親が取りに戻ってくるころ、声が出るようになったギャビーを、ハーモニーが手に取りました。
けれど、ハーモニーは人形を放り出します。ギャビーは打ちのめされました。
頑張って準備したぶん、あのあっけなさはつらいんですよね。
ウッディはフォーキーをリュックへ入れ、彼を見つけたボニーは大喜びです。ギャビーを気にかけるウッディは、そのまま店に残りました。
ウッディはギャビーを励まし、ボニーを紹介しようとします。一度は離れたボーたちも助けに戻り、ウッディと仲直りしました。今度の脱出では、ギャビーも一緒に店を出ることになります。
迷子の少女、回転木馬、ジェシーへ渡るバッジ

仲間との再会を目指し、車と遊園地から動き出す
フォーキーは車の仲間へ、回転木馬でウッディたちと落ち合うことを伝えます。ジェシーたちはキャンピングカーの進路を変えようと、ナビの声をまねたり、アクセルやハンドルに手を伸ばしたりしました。
一方、遊園地を進むウッディたちは、デュークの大きなジャンプに助けられます。過去の失敗を抱えていた彼が、今度は仲間の移動を支えました。派手にポーズを決めていたおもちゃの見せ場が、本当の救援になるんです!
ギャビーが選んだのは、泣いている少女のそば
回転木馬へ向かう途中、ギャビーは親とはぐれて泣いている少女を見つけます。その子のそばに行きたいと、自分から仲間に伝えました。
ウッディたちの助けで少女に見つけてもらったギャビーは、背中のひもを引かれ、声を出します。少女は人形を抱くことで勇気を出し、係員に助けを求めました。
少女は親と再会したあともギャビーを抱いて、家へ連れて帰ります。ハーモニーに憧れていた彼女が、自分を頼ってくれる子と出会った結末でした。
私は、少女がおもちゃを見つけた喜びと、人形がようやく子どもに寄り添えた喜びが重なる、この場面が好きです。
バズが背中を押し、ウッディが仲間へ別れを告げる
キャンピングカーが回転木馬のそばに止まり、仲間同士が会えるようになりました。ウッディは車へ戻ろうとしますが、ボーとの別れに足が止まります。
その迷いに気づいたバズは、ボニーは大丈夫だとウッディを安心させます。家で彼女を支える仲間がいる。そのことを、長年一緒に過ごしてきた相棒が引き受けてくれるんです。
ウッディはボーのもとへ駆け戻り、抱き合います。そして胸から保安官バッジを外し、ジェシーへ渡しました。冒頭ではボニーの遊びで動いたバッジを、今度はウッディ自身の手で託します。
バズとの抱擁に続き、ウッディは仲間たちと別れの挨拶を交わしました。バズやジェシー、フォーキーたちは車へ戻り、ボニーの家族と出発します。
レックスは、ウッディも持ち主のいないおもちゃになったのかと尋ねます。バズの返事は、ウッディはもう迷っていない、というものでした。帰る家を失ったと心配する仲間に、彼が自分の居場所を見つけたことを知らせる、優しい返事だと感じます。
エンドクレジットで続く、それぞれの暮らし

ウッディたちは、景品のおもちゃと子どもを引き合わせる
別れのあとのウッディとボーは、ダッキーやバニーたちと遊園地の景品のおもちゃを助けます。射的の的を倒して、遊ぶ子が景品を手にできるようにするんです。
子どもが景品を連れていき、ブースに並んでいたおもちゃたちが減っていきます。部屋で自分の出番を待っていたウッディは、子どもとおもちゃの出会いを作る側へ進みました。
ダッキーとバニーは、巨大化して目から光線を出す派手な空想も繰り広げます。あのふわふわの見た目で、発想はなかなか物騒です。子どもに抱かれたいという願いと、好き勝手な空想が同居しているのが、二人の可笑しさですね。
ボニーの部屋には、ナイフの新しい仲間が来る
ボニーの側にも後日談があります。ジェシーがリュックから紹介するのは、ボニーが新しく作った、プラスチックのナイフのおもちゃでした。
フォーキーは新入りに心を奪われ、おもちゃとしての暮らしを教えようとします。以前はウッディに世話をされていた彼が、今度は世話をする立場になるんです。
ただ、新入りに生きている理由を聞かれると、フォーキーも答えに詰まります。先割れスプーンに、そこまでの難問は酷ですよね。
クレジット後のピクサーのロゴでは、デュークがランプの代わりに登場します。挨拶のハイタッチを受け損ねていたコンバット・カールにも、ようやく手が差し出されました。
ウッディはボニーを見捨てた? 別れの受け止め方
子どもへの忠実さを大事にしてきたウッディだから、最後の選択に引っかかる気持ちは分かります。ボニーのためなら戻ってほしい。ずっと一緒だった仲間と暮らしてほしい。そう願って観ていた人には、寂しい結末でしょう。
私には、ウッディの救出へのこだわりに、子どもを助けたい思いと、自分が役に立つおもちゃでいたい思いの両方が感じられます。頼りにされると嬉しいです。でも、頼られることに自分の価値を全部預けると、出番が減った日に苦しくなる。そこは、おもちゃの悩みなのに妙に身に覚えがあるんですよね。
一方、ボニーを約束破りの悪い子と評すると、幼い子がその日に遊びたいものを選ぶ様子まで責めることになります。昔のおもちゃを覚えている側と、新しい工作に夢中になる子。その気持ちのずれが、私はいちばんつらく感じました。
「見捨てた」と腹が立つ人も、「ようやく自分の幸せを選べた」とほっとする人もいるでしょう。長くウッディを応援してきたぶん、あの一歩に求めるものも違うんですよね。
『トイ・ストーリー4』をもう一度観たいときは
ディズニー公式の『トイ・ストーリー4』作品ページに、ブルーレイ・DVDとデジタル配信の購入・レンタルの案内があります。手元で繰り返し観たいか、まず一度レンタルしたいかで選べますね。
FAQ
ボイス・ボックスを渡したウッディは、普通に話せますか?
おもちゃ同士の会話は続いています。車を見送るときも、バズの呼びかけにウッディが自分の声で言葉を返しました。ひもで再生する録音の機能と、おもちゃ自身の会話は、作中で別々に働いているんです。
ウッディとボーの日本語吹き替えは誰ですか?
ウッディは唐沢寿明さん、ボー・ピープは戸田恵子さんが担当しています。バズ役は所ジョージさんです。英語版では、ウッディがトム・ハンクス、ボーがアニー・ポッツ、バズがティム・アレンでした。
まとめ
『トイ・ストーリー4』の別れは、笑って送り出すには胸が詰まります。それでも、バッジを受け取るジェシーの表情に、私は少し救われました。寂しさと応援したい気持ちが一緒に残る。だから、あのラストを何度も考えてしまうんです。