『時のオカリナ』という題名の、あの小さな楽器。ラストで胸に残るのは、剣の強さより、オカリナを手渡す時間かもしれません。
派手な決着から、あの静けさへ持っていくのがずるい。
結末までのネタバレがあります。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は1998年のNINTENDO64用ゲームで、2011年にはニンテンドー3DS版『時のオカリナ3D』が発売されました。
最後の中庭にいるゼルダは、子ども時代の姫
最後にリンクと向き合うのは、彼が帰還した子ども時代のハイラルにいる、幼いゼルダ姫です。
決戦を共にした大人の姫との別れが、この再会につながるのです。
この距離が生まれた発端は、子どもの二人が立てた計画でした。ガノンドロフを止めようとして、かえって彼の野望を助けてしまった。そこからリンクの長い戦いが始まります。
三つの精霊石を集めた少年は、七年後の世界で目覚める

デクの樹の死と、ゼルダが考えた先回り
コキリの森で暮らしていたリンクのもとへ、妖精ナビィがやってきます。彼女に導かれて向かった先は、森を守るデクの樹サマでした。
デクの樹は、ガノンドロフの呪いを受けていました。リンクが樹の中の魔物を倒しても、その命は尽きてしまいます。樹は森の精霊石を託し、ハイラル城のゼルダ姫に会うよう少年を送り出すのです。
城の中庭で会ったゼルダは、ゲルド族のガノンドロフがトライフォースを狙っていると考えていました。トライフォースは、願いをかなえる力を持つ聖地の秘宝です。
彼より先に聖地へ入って秘宝を確保するため、ゼルダはリンクに残りの精霊石集めを頼みます。子ども二人の作戦会議が、国の命運を背負うことになりました。放課後の相談にしては荷が重すぎます!
ダルニアとの兄弟の絆と、ルト姫の婚約の石
山のゴロン族は、食べ物にしている岩を採れるドドンゴの洞窟の入口を大岩で塞がれ、困っていました。リンクは洞窟の魔物を倒し、族長ダルニアから炎の精霊石を受け取ります。
ダルニアは少年を兄弟分として認めました。大人になってからも続く、頼もしい縁の始まりです。
次の石を持つのは、ゾーラ族のルト姫。リンクはジャブジャブ様のお腹から彼女を救い、水の精霊石を譲り受けます。ところがルトにとって、その石は将来の夫へ渡す婚約のしるしでした。
石を三つ集める任務の途中で、人生の大きな約束まで背負ってしまう。リンクもなかなか忙しいです。
マスターソードを抜いた瞬間、計画が裏返る
石をそろえて城へ戻ると、ゼルダはインパと馬で逃げていました。姫はリンクへ時のオカリナを投げて去ります。
リンクは三つの精霊石とオカリナで時の神殿の奥へ進み、台座からマスターソードを抜きました。ところが、聖剣を振るうにはまだ幼く、彼の魂は七年間眠りにつくことになります。
リンクが聖地への道を開いた隙に、ガノンドロフが侵入し、トライフォースに触れてしまったのです。
目覚めたリンクは青年の姿で、光の賢者ラウルの前にいました。眠っていた七年の間に、ハイラルは魔王の支配下に落ちています。勇者になるための成長と、故郷の崩壊が同時に進んでいたのが痛いところです。
五つの神殿で、知っている人たちが賢者になる
ガノンドロフを封印するには、ラウルに加えて五人の賢者の力がそろうことが条件です。リンクはシークと名乗る人物に導かれ、各地の神殿へ向かいます。
旅の相手がみんな新しい顔ぶれなら、まだ気持ちも軽いでしょう。ところが、そこで待っているのは幼い頃からつながりのある人たちでした。
森のサリア、炎のダルニア
森の神殿では、リンクの幼なじみサリアが危機に陥っています。リンクがファントムガノンを倒すと、彼女は森の賢者として目覚めました。
森で一緒に暮らしていた友達が、世界を救うために別の場所へ進んでいく。嬉しさの中に寂しさが混ざる場面です。
炎の神殿では、ゴロン族が捕らえられ、竜ヴァルバジアに食べられる危険にさらされていました。
リンクは神殿の牢にいるゴロン族を解放し、ヴァルバジアを倒しました。ダルニアは炎の賢者となり、かつて兄弟と認めた勇者に力を託します。
水のルト、闇のインパ
ゾーラの里は凍りつき、ハイリア湖の水も減っています。シークに救われたルトは、水の神殿へ向かいました。
リンクが水の神殿のモーファを倒すと、ルトは水の賢者として目覚めました。湖には水が戻り、彼女はハイラルを守る役目を引き受けます。
カカリコ村では、井戸の底に封じられていた闇の魔物が逃げ出しました。シークは、封印を担っていたインパが再封印のため闇の神殿へ向かったと考えています。
リンクがボンゴボンゴを倒した後、インパは闇の賢者となりました。幼いゼルダを連れて逃げた守り手が、今度は封印の一角を支えることになります。
魂のナボールと、二つの時代にまたがる救出
砂漠の魂の神殿は、子どもと大人の両方の姿で攻略する場所です。子ども時代のリンクは、ゲルド族のナボールに頼まれて銀のグローブを手に入れます。直後、彼女は魔女コウメとコタケにさらわれました。
七年後の神殿では、魔女たちに操られたナボールが、鎧をまとったアイアンナックとしてリンクと戦います。
リンクは二人が合体したツインローバを倒しました。ナボールは魂の賢者として目覚め、魔王を倒すために力を貸します。
シークの正体はゼルダ。三人がトライフォースを宿していた

五つの神殿を越えたリンクの前で、シークが変装を解きます。旅を導いていたシークの正体は、ガノンドロフから身を隠していたゼルダ姫でした。
ゼルダは七年の間、リンクの帰還を待っていました。彼女は六賢者を率いる、七人目の賢者です。
さらに、ガノンドロフが手にしたトライフォースの事情も判明しました。力・知恵・勇気の釣り合いを欠いた彼が触れたため、秘宝は三つに分かれていたのです。
- 力のトライフォースは、ガノンドロフに残りました。
- 知恵のトライフォースは、ゼルダに宿っています。
- 勇気のトライフォースは、リンクに宿っていました。
ガノンドロフは完全な力を得ようと、残り二つの持ち主を狙います。ゼルダが光の矢をリンクへ授けた直後、彼女は魔王の魔術に捕らえられ、ガノン城へ運ばれました。
姫が姿を現すのを待っていた敵に、居場所をつかまれてしまった。再会の安堵から救出へ、息をつく暇もありません。
ガノンドロフ戦の後にも、最後のガノン戦がある
六賢者の橋を渡り、崩れる城から脱出する
ラウルと五人の賢者は、ガノン城へ渡るための橋をかけます。リンクは城の六つの結界を解除し、塔の頂上でガノンドロフと対決しました。
光の矢とマスターソードで魔王に挑む戦いです。捕らえられたゼルダがすぐ目の前にいるので、コントローラーを握る指にも、つい力が入ります。
ガノンドロフを倒すと、ゼルダの拘束が解けました。ところが城が崩れ始め、二人で脱出することになります。
姫と無事に外へ出られたところで、がれきの中からガノンドロフが再び現れました。力のトライフォースを使い、巨大な魔獣ガノンへ姿を変えます。勝利のひと息まで容赦なく取り上げる相手です!
マスターソードを取り戻し、魔王を封印する
ガノンはリンクのマスターソードを弾き飛ばし、周囲を炎で囲みました。剣はゼルダのいる側へ飛び、リンクは手元の武器で戦うことになります。
ガノンの尻尾を攻撃してひるませると、炎の囲いが一度消えます。リンクはその間に聖剣を取り戻しました。
最後はゼルダがガノンを抑え、リンクがマスターソードでとどめを刺します。六賢者の力が集まり、魔王は聖地へ封印されました。
ガノンドロフは力のトライフォースを握ったまま、リンクとゼルダの一族への復讐を誓います。
ゼルダが返したかったのは、リンクの子ども時代

計画の責任を認め、オカリナを受け取る
戦いが終わると、ゼルダは自分の未熟な計画が悲劇を招き、リンクを巻き込んだことを謝りました。ここで姫が見つめているのは、国の平和に加えて、少年が奪われた時間です。
マスターソードを再び眠りにつかせ、時の扉を閉じれば、二つの時代をつなぐ道も閉ざされます。その前に、リンクを本来の時代へ送り帰すのがゼルダの選んだ最後の仕事でした。
リンクから時のオカリナを受け取り、姫は賢者の力で彼を過去へ送ります。ハイラルのために失った七年を、リンク自身の人生へ返そうとしたのです。
考察:ゼルダの優しさが切ない理由
大人のゼルダにとっては、大切な相手を自分のそばから送り出す選択です。助けてもらった後で、相手の幸せのために手を離す。その優しさが、どうにも切ない。
牧場の祝宴と、山に集まる賢者たち
スタッフロールでは、ロンロン牧場で人々が祝宴を楽しみます。種族を越えて集まり、タロンとインゴーは肩を組み、マロンは大工たちと歌っていました。
一方、ミドとキングゾーラは座っています。にぎやかな音のそばに、この静かな二人がいるのが印象的です。
五人の賢者は、光となってデスマウンテンの頂へ集まりました。ダルニアの頭にサリアが乗っている姿には、ようやく肩の力が抜けます。重い役目を背負った人たちにも、ああいう一瞬があってほしいんですよね。
ナビィが去り、リンクが中庭へ向かう
時の神殿へ戻ったリンクは、再び子どもの姿です。旅を共にしたナビィは高い窓の方へ飛び去りました。
冒険中は道案内も敵への助言もしてくれた相棒でした。ずっと隣から声がしていたぶん、この別れには、帰り道で急に一人になったような寂しさがあります。
その後、リンクはハイラル城の中庭へ。窓をのぞいていたゼルダと、リンクが再び向き合います。二人の再会を最後に、物語は終幕を迎えました。
初めて姫に会ったときと似た場所へ、冒険を経験したリンクが立っています。
結末の注意点:救われた大人の世界も続いている

リンクが帰還した子ども時代のハイラルと、ガノンの封印を果たした大人時代のハイラルには、それぞれ続く歴史があるのです。
勇者を送り出した側にも暮らしが残るので、祝宴の明るさに救われます。あのにぎやかさが、戦いを続けてきた人たちへのご褒美にも感じられるのです。
ナビィが去った理由には、謎が残ります。
もう一度冒険したくなったら、3DS版の映像も懐かしい
任天堂公式の『時のオカリナ3D』予告映像です。
3DS版では、本体を動かしてリンクの視点から周囲を見渡せます。あちこち歩き回る冒険を、手元の画面で遊べるのがうれしいところです。
結末を知った後だと、序盤の何げない時間も、少しゆっくり過ごしたくなります。森から旅立つまでの空気を味わってから出発する一周もいいですよね。
作品の紹介は『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』公式サイトにまとまっています。今度は世界を救う予定の前に、森でひと息つく時間があってもよさそうです。
FAQ
エンディングは三種類あるのですか?
本編クリア後のエンディングは一種類です。公式年表の三つの分岐は、「勇者敗北」「勇者勝利・子ども時代」「勇者勝利・大人時代」というシリーズ史の分類になります。
3DS版の「裏ゼルダ」は、どんな内容ですか?
世界の左右が反転し、ダンジョンの仕掛けも変わった冒険に挑むモードです。3DS版では本編をクリアすると遊べるようになります。道を覚えているつもりで歩くと、慣れた場所でも迷いそうですね。
まとめ
最後の中庭にいるゼルダは、子ども時代のハイラルへ帰還したリンクと再会する幼い姫です。
『時のオカリナ』を好きになる理由は、戦っている最中に加えて、遊び終えた後のあの静かな間にもあるんですよね。すぐに電源を切るのが惜しくなる、長い旅でした。