ポップコーンを作る夜、知らない相手との電話が、家の外からの脅迫に変わります。『スクリーム』の怖さは、あの白い仮面が出てくる前から始まっているんですよね。
『スクリーム』は、ウェス・クレイヴン監督による1996年公開のシリーズ第1作です。
ここから犯人の正体、母親の事件の真相、最後の生死までネタバレがあります。
ゴーストフェイスの正体は、シドニーの恋人ビリー・ルーミスと、友人のスチュアート・マーカーの二人です。スチュアートは通称スチュー(Stu Macher)。二人で同じ殺人者を演じていました。
ビリーが逮捕されている間にも電話が来る。目の前でビリーが刺される。シドニーが恋人を信じ直しかける出来事まで、共犯者がいると意味が変わります。二人がかりとは、推理する側も忙しい!
ケイシーの電話から始まる事件と、ビリーの逮捕

ホラークイズのあと、ケイシーと恋人が殺される
舞台はカリフォルニアの町ウッズボロー。高校生のケイシー・ベッカーは、一人で家にいる夜、電話の相手と好きなホラー映画の話を始めます。軽いやり取りだったはずが、相手は彼女を見ているとほのめかし、庭に拘束した恋人スティーヴを見せつけました。
スティーヴの命を賭けたクイズで、ケイシーは『13日の金曜日』の犯人をジェイソンと答えます。第1作の犯人はジェイソンの母親。誤答を口実にスティーヴは殺害され、逃げようとしたケイシーも、仮面の男に刺されて命を落としました。
帰宅した両親が見つけるのは、木につるされた娘の遺体です。電話越しの雑談から、家の中まで逃げ場を奪われる。その近さが、まずきついですね。
ビリーの逮捕中にかかってきた電話が、疑いを弱める
同じ高校に通うシドニー・プレスコットは、約1年前に母モーリーンを殺されています。母の事件で有罪になったのは、コットン・ウェアリー。シドニー自身の証言が、その有罪判断に関わっていました。
父ニールは出張を予定しており、自宅にいるシドニーにも脅迫電話がかかって、ゴーストフェイスが襲いかかります。彼女は自分の部屋へ逃げ込み、危機を切り抜けた直後、窓から入ってきたビリーと出会いました。
そこでビリーのポケットから携帯電話が落ちます。電話で脅されたばかりのシドニーには、恋人を疑う十分なきっかけです。警察はビリーを逮捕しました。
ところが、シドニーが親友テイタムの家に泊まると、また殺人者から電話が来ます。ビリーは拘束中。恋人が警察にいるのに同じ声が聞こえたら、疑いが揺れますよね。
翌日、ビリーは釈放されます。電話はニールの携帯から発信されており、父とは連絡が取れなくなっていました。捜査の疑いは、行方の分からない父へも向かうことに。
ビリーの逮捕中にもゴーストフェイスが電話できたのは、二人で犯行を進めていたからです。一人の犯人を想定したアリバイが、共犯者の存在によって崩れます。
スチューの家のパーティーで、ビリーが正体を現す
テイタムの死と、ホラー映画の「生存ルール」
学校が休校になり、校長ヒンブリーも校内で殺されます。一方、スチューは自宅でパーティーを始めました。シドニーとテイタムも参加し、テイタムの兄で保安官代理のデューイ、記者のゲイル・ウェザーズが周囲を見張ります。
殺人事件のさなかにパーティーですか。私なら、玄関の鍵をもう一度確かめたいところです。
テイタムはガレージへビールを取りに行き、ゴーストフェイスと遭遇します。最初は友人のいたずらだと思っていた彼女も、刃物で傷つけられて危険を察しました。逃げようとガレージ扉のペット用出入り口をくぐりかけたところで身動きが取れなくなり、上昇する扉に挟まれて死亡します。
家の中では『ハロウィン』のビデオが流れ、映画好きのランディ・ミークスが、生き残るための決まりを語っていました。セックスをしない、酒やドラッグに手を出さない、すぐ戻ると言って一人で出ていかない。
そこへ校長の殺害を知らせる電話が入り、多くの参加者が現場へ向かいます。にぎやかだった家から人が減り、シドニーたちのそばに危険が迫っていました。
刺されたビリーが戻り、ランディを撃つ
パーティーに来たビリーは、二階でシドニーと話し、二人は性関係を持ちます。直後にゴーストフェイスが現れ、彼女の目の前でビリーを刺しました。恋人まで襲われたことで、シドニーは逃走に追い込まれます。
ゲイルのカメラマンのケニーは殺され、デューイも背中を刺されました。ゲイルは中継車で事故を起こして気を失います。シドニーは助けを求める相手を、次々に失っていくんです。
家へ戻ったシドニーの前に、ランディとスチューが現れ、互いを犯人だと訴えます。彼女は二人とも締め出しました。そこへ血まみれのビリーが二階から下りてきます。
ビリーは家に入ったランディを撃ち、ついに本性を現しました。さらにスチューも、共犯者として姿を見せます。二階でビリーが刺されたように見えた出来事は、偽物の血を使った芝居です。
拘束中の電話に続き、刺傷まで偽装していたんですね。恋人を信じたい気持ちを利用する手際が、嫌になるほど悪質です。
二人の動機は?母モーリーンの殺害とコットンへの濡れ衣

ビリーは、母親が家を出た原因をモーリーンに押しつける
ビリーは、モーリーンが自分の父と不倫していたことを明かします。その不倫を知ったビリーの母は、家族のもとを去りました。ビリーは家庭が壊れた恨みをモーリーンに向け、スチューと一緒に彼女を殺していたんです。
さらに二人はコットンに罪を着せます。コットンもモーリーンと関係があり、シドニーは母の事件の夜に見た人物をコットンだと信じ、裁判で証言していました。その判断を、犯人たちは濡れ衣に利用したのです。
ゲイルはモーリーンの事件を本にし、コットンの無実を主張していました。母の事件で名を上げた記者を、シドニーは嫌っており、警察署の前で殴るほど反発します。けれど終盤、ビリーたちの告白によって、ゲイルの疑いが正しかったと分かりました。
シドニーにとっては、母を殺した相手と交際していたうえ、別の人の有罪を信じていたという二重の痛みです。
スチューが挙げるのは「仲間からの圧力」
スチューは参加した理由を問われ、仲間からの圧力を挙げます。ビリーが家庭の事情を持ち出すのに対し、スチューの返答はずいぶん軽いものでした。
ただ、スチュー自身も母の殺害と今回の連続殺人に加担しています。友人と同じ白い仮面の役を演じ、シドニーの逃げ道を奪っていた共犯者です。
この返答への私の感想は、責任まで友人に預ける気なのか、というもの。動機の軽さと、やっていることの重さが釣り合わず、そこがぞっとします。
父ニールを犯人にして、二人だけが生き残る計画
ビリーとスチューは、拘束していたニールをシドニーの前へ連れてきます。行方が分からなかった父は、二人に誘拐されていました。
二人の計画では、シドニーが殺され、連続殺人の罪はニールに押しつけられます。ビリーとスチューは、襲撃を生き延びた被害者として発見されるつもりでした。
そのために二人は、ナイフで互いを刺して傷を作ります。自分たちのけがを、犯人に襲われた証拠にする作戦です。ニールの携帯からの電話も、父が犯人という筋書きにつながっていました。
ただし、刺し合った傷は本物。スチューは出血で弱り、余裕を失っていきます。偽物の血で恋人をだましたビリーが、今度は共犯者に本当に傷を負わせる。お互い殺人犯なのに、傷の加減だけは信用するんですね。
結末ネタバレ:シドニーが仮面と電話で反撃する

ゲイルが割って入り、シドニーが姿を消す
事故から意識を取り戻したゲイルが、銃を持って現れます。犯人たちがゲイルに気を取られた隙に、シドニーは逃れました。ゲイルはビリーに倒されますが、この割り込みが二人の計画を崩し始めます。
すると、今度はビリーたちのところへ電話がかかります。相手はシドニー。声を変える装置を使い、警察への通報を済ませたと告げました。
さっきまで電話で相手を脅していた二人が、電話を受けて追い詰められます。家のどこにシドニーがいるのか分からず、ビリーは怒りながら捜し回ることに。怖い電話をかける側にも、ちゃんと着信が来るんです!
シドニーはゴーストフェイスの衣装と仮面を身につけ、ビリーに傘で反撃します。犯人の道具を奪い、その油断を突きました。
スチューはテレビで死亡し、ビリーは頭を撃たれる
続いてスチューがシドニーと格闘します。出血で弱った彼を押し返し、シドニーはテレビを頭に落としました。スチューはこの攻撃で死亡します。
ビリーは再びシドニーを襲おうとしますが、ゲイルが銃で撃って止めました。ランディも生きており、倒れたビリーのそばで、ホラー映画の殺人者は最後にもう一度襲ってくると警告します。
その言葉どおり、ビリーが最後の襲撃を仕掛けます。とどめを刺したのはシドニーで、ビリーの頭を撃ち抜きました。二人の犯人が用意した結末を、彼女が反撃によって終わらせたのです。
ビリーは偽の刺傷で一度、ゲイルの銃撃のあとにも一度、再び動き出しています。
ラストの生存者は?デューイとランディも助かる

夜明けには警察と救急隊が到着します。ニールは救出され、刺されたデューイも生存していました。デューイが救急車で運ばれるなか、ゲイルは事件の報道を始めます。
| 人物 | 1996年作のラスト |
|---|---|
| シドニー・プレスコット | ビリーを倒し、一夜の襲撃を生き延びる |
| ゲイル・ウェザーズ | 反撃を助け、夜明けの現場で取材する |
| ランディ・ミークス | ビリーに撃たれた傷を負いながら生還した |
| ニール・プレスコット | 誘拐から救出され、殺人者の濡れ衣を免れる |
| デューイ・ライリー | 刺傷から生存し、救急車で搬送される |
一方、ケイシー、スティーヴ、ヒンブリー校長、テイタム、ケニーは亡くなっています。シドニーたちの生還は、その犠牲のあとにようやく届いた朝でした。
考察:ホラーの生存ルールを破ったシドニーが生き残る
ランディのホラー談義と、シドニーの反撃を重ねると、最後の銃撃がさらに痛快です。シドニーはビリーと性関係を持ち、ランディが語った死亡につながる行動を取ります。それでも、仮面と電話を奪い、相手の手口で反撃して生き残りました。
私にはこの結末が、母を殺した男に自分の最期まで決めさせない、という抵抗に見えます。ビリーが映画をまねて用意した死を、シドニーが自分の判断で跳ね返すんですね。
そして、序盤には殴るほど嫌っていたゲイルが、最後にはシドニーを助けます。恋人の言葉を信じ直した結果は裏切りで、反発していた記者とは協力して生還する。シドニーが誰を信じるか、という話もここで大きく変わりました。
電話の脅迫と、刃物の襲撃が続く
冒頭から刺殺や血、遺体の描写があり、緊張の強い場面が続きます。ホラー映画について笑い交じりに話す場面もありますが、襲撃は容赦のないものです。
特に怖いのは、電話の相手が家のすぐそばにいて、こちらの様子を知っていること。白い仮面を想像して身構えていると、声だけの脅迫から息が詰まります。家で観ると、ふだんは聞き流す着信音まで気になるんですよね。
1996年作をもう一度観たくなったら、公式予告編も
犯人を知って再び観ると、ビリーの拘束中の電話と、二階の刺傷偽装が気になります。シドニーが恋人を信じ直しかける場面に、二人の仕掛けが入り込んでいるんです。
Paramount Moviesによる、1996年作の4Kリマスター版公式予告編です。
FAQ:『スクリーム』(1996)の犯人と結末
犯人はビリーだけですか?
ビリーに加え、スチューも犯行に加担しています。同じ衣装の殺人者を二人で演じ、ビリーに疑いが集中したあとも襲撃を続けていました。
シドニーの母を殺したのは誰ですか?
モーリーン殺害の実行犯も、ビリーとスチュー。コットンが有罪になった事件の真相は、終盤の告白でひっくり返ります。
シドニーの父ニールは死にますか?
ニールは助かります。二人に拘束された状態から救出され、父を犯人に仕立てる計画も失敗しました。
スチューはテレビの攻撃で死んだのですか?
スチューの最期は、シドニーに頭へテレビを落とされての死亡です。ビリーは、その後の銃撃で倒れます。
ゲイルとシドニー、どちらがビリーを殺しましたか?
最初の銃撃で襲撃を止めるのがゲイル、最後に頭部を撃つのがシドニーです。二人の反撃と、ランディの警告が重なって決着しました。
まとめ
1996年の『スクリーム』では、恋人ビリーと友人スチューが、同じ仮面の下で殺人を重ねていました。母モーリーンへの復讐、コットンへの濡れ衣、ニールを犯人にする計画が、シドニーの身近な人間関係につながっています。
最後にシドニーは、電話と仮面を奪って戦い、テレビでスチューを倒し、ビリーへの銃撃で生き残ります。見慣れたホラー映画の決まりを語る友人たちの夜が、彼女自身の反撃で終わる。その結末まで届くから、白い仮面の怖さと一緒に、シドニーの強さも残るんですよね。