ドロシーの水で、エルファバは本当に死んだのでしょうか?
映画2部作の結末と、主要人物の正体のネタバレがあります。
答えは、エルファバは生きています! ただ、そこへたどり着くまでに、妹の死、フィエロの変身、グリンダとの別れが重なるんです。床に残る黒い帽子が、どうにも胸に引っかかりますよね。
『ウィキッド ふたりの魔女』(2024年)と『ウィキッド 永遠の約束』(2025年)は、ひとつの物語を描く映画2部作です。
第1部のネタバレ|黒い帽子が変えた、ふたりの関係

エルファバとガリンダは、最悪の同室生活から始まる
緑色の肌を持つエルファバは、幼いころから周囲に疎まれてきました。妹ネッサローズのシズ大学への入学に付き添った日、妹への扱いに怒って魔力を爆発させ、その才能をマダム・モリブルに見いだされます。こうしてエルファバ自身も入学し、魔法を学ぶことになったのです。
同室になったのは、人気者のガリンダ。人に好かれることに熱心な彼女と、納得できないことには黙っていられないエルファバは、さっそく衝突しました。寮の部屋割り担当、なかなかの強心臓です。
ガリンダはモリブルの授業を受けたがっていますが、特別に教わるのはエルファバのほう。嫉妬もあって、二人の距離はなかなか縮まりません。
意地悪な贈り物が、友情のきっかけになる
転校生のフィエロが学生たちを誘い、オズダスト・ボールルームでのパーティーが開かれます。フィエロと出かけたいガリンダは、自分に好意を寄せるボックに、ネッサローズを誘うよう勧めました。ネッサローズは大喜びで、エルファバも妹に優しくしてくれたガリンダに感謝します。
そこでエルファバは、モリブルにガリンダも魔法を学べるよう頼みます。一方のガリンダは、エルファバを笑いものにしようと、黒い三角帽子を渡していました。お礼と意地悪がすれ違うなんて、贈り物のやり取りとしては難易度が高すぎますね。
帽子をかぶったエルファバは、会場で嘲笑を浴びても一人で踊り始めます。自分のしたことを恥じたガリンダは、その隣で同じ踊りを踊りました。人目を気にする彼女が、笑われている子の隣に立つんです。
この夜から、二人は秘密を話し合える親友になっていきます。ガリンダはエルファバに髪型や靴の選び方を教え、人気者にしようと張り切りました。エルファバにとって、誰かが自分と一緒にいたがること自体が大きな変化です。
言葉を奪われる動物たちと、救い出した子ライオン
大学の歴史教師ディラモンド教授は、言葉を話すヤギです。オズでは、そうした動物たちへの差別が強まり、話す力まで失う者が出ています。エルファバは教授を慕い、オズの魔法使いなら助けてくれると信じていました。
ところが教授は教室から連れ去られ、代わりの教師が、子ライオンを閉じ込めた檻を持ち込みます。幼いうちから閉じ込めて言葉を覚えさせないという実験に、エルファバは激怒しました。魔力で周囲の学生を眠らせ、眠らずにいたフィエロと子ライオンを救い出します。
森での救出を通して、エルファバはフィエロに心を寄せます。彼はガリンダと付き合っていて、エルファバはその恋心を胸にしまうのでした。
第1部のラスト|魔法使いへの憧れが、反逆に変わる
モリブルを通じて、エルファバに魔法使いからの招待が届きます。彼女は親友を誘い、二人でエメラルド・シティへ向かいました。ガリンダはこのころ、ディラモンド教授の呼び方に合わせて、自分の名前をグリンダに変えています。
魔法使いはエルファバを歓迎し、古い魔術書グリムリーの呪文を唱えさせます。すると猿たちの背中に翼が生え、激しく苦しみ始めました。魔法使いとモリブルが喜んだのは、空から動物を監視するスパイが手に入ったからです。
動物への弾圧を進めていたのは、エルファバが頼ろうとしていた魔法使いでした。 彼は共通の敵を作ることで、人々を自分のもとにまとめようとしています。しかも本人には魔力がなく、グリムリーも読めません。
肩書きは魔法使い、中身は仕掛けで人を信じ込ませる男。名刺を二度見したくなる落差です。エルファバの才能を欲しがったのも、自分にできない魔法を使わせるためでした。
協力を拒んだエルファバは、グリムリーを持って逃げます。モリブルは彼女を危険な魔女としてオズ全土に告げ、護衛隊に追わせました。弾圧に反対した本人が、今度は国民の敵にされるんです。
追い詰められたエルファバは、ほうきに浮遊の魔法をかけ、グリンダに一緒に来てほしいと誘います。グリンダはオズに残る道を選び、二人は別れました。「ディファイング・グラヴィティ」とともに飛び立つエルファバは、自分の力を信じて魔法使いと戦う決意を固めます。
一方、反逆の知らせを聞いた、姉妹を育てた父は倒れて命を落としました。エルファバの決断は、残された家族にも重くのしかかります。
『永遠の約束』のネタバレ|善い魔女と悪い魔女の、その後
グリンダは国の顔に、エルファバは追われる身に
第2部では、エルファバは森に身を隠し、動物を助けながら魔法使いと戦っています。対するグリンダは、「善い魔女」として人々の歓声を浴びる、魔法使い側の顔になりました。護衛隊長となったフィエロとの婚約も発表します。
エルファバが空に浮かべた告発の文字は、天候を操るモリブルに書き換えられ、国を脅す言葉として広まります。グリンダの華やかな立場の裏で、親友への憎しみが膨らんでいくのです。
フィエロはエルファバを捜し続けています。グリンダは彼と結ばれる未来を望んでいますが、彼の気持ちはエルファバに向いていました。皆に祝福される婚約の場で、肝心の相手の心が遠い。あの笑顔を保つのは、相当しんどいですよね。
助けたライオンからも、責められてしまう
エルファバはオズから逃げようとする動物たちの中に、幼い自分を育ててくれたクマのダルシーベアを見つけます。故郷を守るために一緒に戦おうと呼びかけました。
そこへ、大学で救った子ライオンが成長した姿で現れます。ライオンは、安心していた檻から連れ出されたことで苦しんだとエルファバを責め、猿に翼を生やしたのも彼女だと指摘するんです。動物たちは去っていき、彼女は再び孤立しました。
助けた相手から責められる、このつらさ。エルファバの善意と、相手が感じたことの食い違いが、後の絶望につながっています。
ネッサローズとボック|恋をつなぎ止める呪文が招いた悲劇

父の後を継いでマンチキン国の総督になったネッサローズは、ボックをそばに置いています。住民の移動を許可制にして、彼が自分のもとを去る自由まで奪っていました。姉が姿を消し、父も失った彼女は、ボックとの関係にしがみついています。
姉との再会でも、ネッサローズは置き去りにされた怒りをぶつけます。エルファバは妹の靴に魔法をかけ、宙に浮かべて喜ばせました。
しかしボックは、グリンダの結婚を知り、自分の気持ちを伝えに行こうとします。彼が好きなのは、学生時代からグリンダです。そばにいてくれることを恋の証しと思っていたネッサローズは、引き留めようと焦りました。
引き留めたいネッサローズは、グリムリーを使って恋の呪文を唱えます。ところが呪文を誤り、ボックの心臓が縮み始めました。命を救おうとしたエルファバの魔法によって、彼はブリキの男に変わります。
ボックは自分の姿への怒りをエルファバに向け、やがて魔女狩りに加わります。恋を守ろうとしたネッサローズは、大切な相手をいっそう遠ざけてしまうのでした。
フィエロはなぜかかしに?和解の崩壊から、命を守る魔法まで

魔法使いとの和解は、ディラモンド教授の姿で崩れる
エルファバはグリンダと再会し、もう一度、魔法使いと向き合います。グリンダも間に入り、魔法使いは仲間になれば皆から受け入れられると誘いました。エルファバは、翼のある猿たちの解放を条件に、協力へと気持ちを傾けます。
その直後、隠し部屋に捕らえられた動物たちを発見します。中には、話す力を失ったディラモンド教授もいました。あの教室で歴史を教えていた先生が、檻の中にいるのです。
エルファバは動物たちを解放し、騒動はグリンダとフィエロの結婚式にまで及びます。フィエロはエルファバの逃亡を助け、彼女とともに去りました。二人は愛を確かめ合います。エルファバは、フィエロゆかりのキアモ・コ城に身を隠すことになるんです。
モリブルの竜巻がネッサローズを殺す
傷ついたグリンダは、妹が危険だという噂を流せばエルファバをおびき出せると口にします。モリブルは噂より確実な方法を選び、竜巻を起こしました。
ネッサローズは、その竜巻で飛来したドロシーの家の下敷きになり、死亡します。 妹を餌にする言葉が、実際の殺害へと使われたのです。グリンダの嫉妬から出た提案と、モリブルの行動が、取り返しのつかない形でつながります。
先に現場へ来たグリンダは、ドロシーにネッサローズの靴を渡し、帰宅の助けを求めて魔法使いを訪ねるよう案内します。そこへエルファバが現れ、妹の形見まで渡したグリンダに怒りをぶつけました。グリンダもフィエロを奪われた思いをぶつけ、二人は取っ組み合いになります。
フィエロの体を守る呪文が、かかしへの変身を起こす
護衛隊がエルファバを捕らえようとすると、フィエロはグリンダを人質にして兵士たちを足止めします。エルファバは猿たちと逃げ、フィエロはその場に残って捕まりました。グリンダも、彼が本気でエルファバを愛していることを受け止めます。
畑へ連れていかれたフィエロは、兵士たちから暴行を受けます。キアモ・コ城に逃れたエルファバは、彼の体が傷つかず、死なずに済むよう必死に呪文を唱えました。
この呪文によってフィエロはかかしになり、命をつなぎます。 エルファバはこの時点では魔法の結果が分からず、助けようとするたびに大切なものを失ってきたと絶望しました。「ノー・グッド・ディード」では、周囲が呼ぶ「悪い魔女」を自ら引き受けるほど追い詰められます。
結末のネタバレ|死の偽装と、魔法使いが実父だった真相

グリンダは魔女狩りから親友を救おうとする
ドロシーはブリキの男、ライオン、かかしと魔法使いを訪ねます。魔法使いはエルファバを殺し、ほうきを持ってくるよう命じました。ブリキの男になったボックも、民衆を魔女狩りへと駆り立てます。
エルファバは妹の靴を取り戻すため、ドロシーを城に捕らえています。グリンダは、ネッサローズの死にモリブルが関わったことを悟り、彼女に抗議しました。人気と名声を得た立場に黙って収まるよう求められ、グリンダは城を飛び出して親友に危険を知らせに向かいます。
キアモ・コ城では、猿のチステリーがエルファバにフィエロの制服の切れ端を渡します。そこには彼からの連絡があり、エルファバは生存と合流の見込みを知りました。グリンダは、エルファバの言葉からフィエロが死んだと受け止めています。
「フォー・グッド」で交わす、最後の約束
エルファバはグリンダに、自分の名誉を回復しようとすれば、彼女も攻撃されると話します。自分をかばうことより、オズの人々を助ける役目を託すのでした。魔術書グリムリーも、グリンダの手へ渡します。
二人は「フォー・グッド」を歌い、出会ったことで互いが変わったと認め合います。人気を求めていたグリンダにとって、エルファバは自分の見たくない現実と向き合うきっかけになりました。エルファバには、自分を受け入れてくれた親友との日々があります。
怒りも失敗も知ったうえで、友達だったことを大切にして別れるんです。大人になるほど、仲直りのあとも同じ道を歩けるとは限らない。その寂しさが、二人の歌に重なります。
ドロシーの水と、城の床下に隠れる計画
エルファバはグリンダを隠れさせ、ドロシーと向き合います。水を浴びて溶けたように見せ、その隙に城の床下へ身を隠しました。「悪い魔女は水で溶ける」という噂を利用した、死の偽装です。
グリンダは、残された黒い帽子を抱いて親友の死を悲しみます。死を信じる彼女と、床下で逃げる時を待つエルファバ。互いを思っている二人の間に、この秘密が残るのでした。
緑の薬瓶が、実父の正体を暴く
チステリーはグリンダに、エルファバの母が持っていた緑の薬瓶を渡します。グリンダは魔法使いも同じ瓶を持っていたことから、彼がエルファバの実父だと気づきました。母のもとを訪れ、緑の薬を飲ませた男が、魔法使いだったのです。
魔法使いは、自分が追い詰め、殺害を命じた相手が娘だったと知ります。エルファバの強い魔力は、オズの母と、異なる世界から来た父の間に生まれたことに結びつくのでした。
グリンダは彼にオズから去るよう命じ、魔法使いは気球で出発します。続いてモリブルを猿たちに逮捕させ、動物たちが戻って暮らせる国へと変え始めました。ディラモンド教授も教室へ戻ります。
魔女の死を祝うマンチキン国の人々の前で、グリンダは善いことをする指導者になると誓います。この演説が、第1部の冒頭につながるんです。あの華やかな登場には、親友を失ったと思っている彼女の悲しみが重なっていたのでした。
エルファバとフィエロは、砂漠へ旅立つ
城に戻ったかかし姿のフィエロが、床下のエルファバを迎えます。彼は救われた命を喜び、エルファバも変わった姿の彼を受け入れました。二人はオズを離れ、国の外に広がる砂漠を歩いていきます。
エルファバは故郷への思いと親友を残して旅立ちます。愛する人と生きる喜びと、そこまでしてオズを去る痛みが、一緒にある結末です。万歳と拍手をしながら、途中で手が止まるような気持ちになりますね。
最後の魔術書は何を意味する?グリンダの変化を考察
エメラルド・シティに残ったグリンダの前で、グリムリーのページがひとりでに動き、光を放ちます。遠くのエルファバもオズのほうへ顔を向け、二人の歌が響き合いました。
私の考察では、この魔術書の反応は、グリンダが自分の意思で「善い魔女」になろうとしたことを祝う場面に思えます。 魔力を贈られたようにも、自分の力が目覚めたようにも感じるんです。エルファバへの思いと、オズで果たす役目を抱えた彼女に、これからの可能性が差し出されたように受け止めました。
私には、あの本の光よりも、猿たちにモリブルの逮捕を命じるグリンダの強さのほうが頼もしく感じられました。
そして最後に戻るのは、学生時代の野原です。グリンダがエルファバの耳元でささやく姿が、舞台の有名なポスターと同じ構図になります。未来の再会を願いたくなる気持ちを、二人が一緒に笑えた日の記憶が包んでくれるんですよね。
ふたりの歌声を、公式予告でもう一度
『ウィキッド 永遠の約束』の日本向け本予告です。
第1部の軽やかな「ポピュラー」と、別れを歌う第2部の「フォー・グッド」。私はこの二曲を聴き比べたくなります。友達を自分好みに変えようと張り切る明るさと、友達から受け取ったものを認める静けさで、歌声の温度が変わるんです。
よくある質問(FAQ)
エルファバ、グリンダ、フィエロを演じているのは誰ですか?
エルファバ役はシンシア・エリヴォ、グリンダ役はアリアナ・グランデ、フィエロ役はジョナサン・ベイリーです。三人とも、両方の映画に出演しています。
日本では、それぞれいつ公開されましたか?
『ふたりの魔女』は2025年3月7日、『永遠の約束』は2026年3月6日に日本公開されました。作品情報の2024年・2025年という表記は製作年で、日本での公開年とは一年ずつずれています。
まとめ
『ウィキッド』の結末に残るのは、誰かを悪者と決めて安心する国の怖さと、それでも人を愛した二人の強さです。私は、皆に好かれることと、誰かのために動くことの違いを、グリンダの選択から突きつけられた気がします。
華やかな魔法の物語なのに、友達の言葉を聞く耳や、周囲の拍手に流される自分の心まで気になってしまう。黒い三角帽子が、ずいぶん身近な問いを残してくれる映画ですね。