ハーヴィーとドナの長い遠回りは、最後にどんな形で報われるのでしょうか。仕事の話なら即答できる男が、恋愛の話になると急に時間をかけるんですよね。
※シーズン9最終話までの結末ネタバレがあります。米国版『SUITS/スーツ』は2011〜2019年放送のドラマで、シーズン9第10話「クローザーの条件」で完結します。
結末は、ハーヴィーとドナが結婚し、マイクとレイチェルのいるシアトルへ移るというもの。ニューヨークの事務所は、ルイスたちが引き継ぎました。
ただ、ハーヴィーが辞める直前には、仲間同士で争う裁判も、証人を巻き込む大芝居もあります。フェイを退かせるために何を差し出したのか。そして、勝つことに執着してきた男が、なぜマイクと働く道を選んだのか。結婚の喜びと職場を去る寂しさが、同じ最終回に詰まっているんです。
無資格のマイクは、シアトルで仲間を待つ弁護士になる

第1話の採用が、事務所の大きな秘密になった
出発点は、敏腕弁護士ハーヴィー・スペクターと、抜群の記憶力を持つマイク・ロスの出会いです。ハーヴィーはマイクの能力を買って採用しますが、マイクには法学位も弁護士資格もありませんでした。
マイクはハーバード卒の弁護士を装い、案件を担当するようになります。依頼人の役に立つほど仕事は増え、秘密を知る仲間も増える。ところが、実績を重ねても経歴の嘘は消えません。事務所全体が、その秘密を抱えていくことになります。
服役、資格取得、レイチェルとの結婚を経てシアトルへ
シーズン5で秘密が露見し、マイクは逮捕されました。仲間への訴追を避けるため、陪審の評決が出る前に有罪を認める司法取引を選び、2年の刑を受けて収監されます。
その後、シーズン6では捜査への協力を経て早期釈放。資格審査にはジェシカも力を貸し、マイクは正式な弁護士として認められました。最終回の彼を理解するうえで、この変化は大きいですよね。
シーズン7の終わりには、レイチェル・ゼインと結婚します。2人が選んだのは、シアトルで大企業を相手に、立場の弱い人たちを支える仕事でした。シーズン9で戻ってくるマイクは、その仕事を続けている弁護士です。
シーズン9の危機は、フェイの監督とサマンサの解雇から
ロバートの資格剥奪が、外部の監督を招く
シーズン8の終盤、ロバート・ゼインはハーヴィーをかばって責任を引き受け、弁護士資格を失いました。同じシーズンの最後に、ハーヴィーとドナは互いの気持ちを認め、恋人になります。
ようやく2人の関係が進んだところで、職場には別の問題が降ってきます。法曹協会が送り込んだフェイ・リチャードソンは、事務所の不正を正すため、業務や人事を監督する立場に就きました。
フェイは看板からゼインの名を外させ、ルイスを事務所のトップから降ろします。仲間を守るためなら危ない手も使うハーヴィーたちと、規則を厳格に守らせるフェイ。衝突は続き、次にはサマンサの職まで失われるんです。
マイクとの対決で、サマンサが証拠を捏造する
第5話でマイクが担当するのは、労働環境を問題視し、スポーツ用品会社との契約を解消したいバスケットボール選手の案件です。相手方は、サマンサ・ウィーラーがハーヴィーから引き継いだ依頼人でした。
ハーヴィーも加わり、元相棒同士が案件で対立します。マイクの戦略に負けたサマンサは、証拠を捏造して結果を覆しました。その行為を疑ったフェイが、サマンサを解雇します。
サマンサには、仲間のために闘う強さと、勝つために一線を越える危うさがあります。ハーヴィーも捏造に怒りましたが、彼女の解雇を受け入れ、平穏に仕事へ戻る気にはなれませんでした。
マリクの追及と、ハーヴィーの母の死
第8話では、かつてのマイクの早期釈放を巡り、検事アンドリュー・マリクがショーン・ケイヒルとハーヴィーを追い詰めます。2人は逮捕されますが、アレックスが証拠の捏造を突き止め、形勢が逆転。逮捕されるのはマリクとなりました。
危機を脱したハーヴィーに、今度は母リリーが心臓発作で亡くなったという知らせが届きます。第9話の葬儀にはマイクも駆けつけました。母を失った痛みと、再会した友人の支えが、最終回直前のハーヴィーのそばにあります。
最終回でフェイを退かせた代償は、ハーヴィーの退職

マイクがサマンサを、ハーヴィーとルイスがフェイを弁護する
サマンサは不当解雇を理由にフェイを訴え、マイクが代理人になります。するとフェイは、ハーヴィーとルイスに自分の弁護を命じました。
2人が勝てばフェイは事務所を去る。ただし、相手側のマイクとサマンサに取引を明かせば、法曹協会に事務所の解体を求めるとフェイは告げました。サマンサを取り戻したい2人が、そのサマンサを裁判で負かす側に回るんです。
事情を知らないマイクとサマンサからすれば、仲間がフェイに協力しているように見えます。ハーヴィーはマイクと飲んだ席で、証人として出廷させる召喚状まで渡しました。仕事の話を持ち込まれるだけでも疲れるのに、出てくるのが召喚状。さすがに飲み物の味も変わりそうです。
その間、カトリーナ・ベネットはサマンサを助けようと、マイクに情報を渡していました。ハーヴィーは激怒しますが、彼女もフェイとの約束を知りません。カトリーナは自分の行動をフェイに明かし、解雇されてしまいます。
偽証寸前のハーヴィーを止め、全員で最後の芝居を打つ
最終話の裁判で、ハーヴィーは証言台のマイクを追及します。サマンサを解雇したフェイの判断を正当化しようとしました。
しかしフェイは、それでもハーヴィー自身を証言台に立たせようとします。サマンサの捏造を認めれば仲間を傷つけ、否定すれば偽証になる。追い詰められたハーヴィーは、マイクに本当の事情を打ち明けました。
マイクは、ハーヴィーが嘘の証言をするのを止めます。代わりに選ぶのが、仲間全員を巻き込む最後の仕掛けでした。アレックスはカトリーナに、ルイスは秘書グレッチェンに協力を頼みます。
まずカトリーナがフェイに、自分を証人として呼ぶ予定だと告げます。さらに、フェイの命令を拒んだため解雇されたと証言すると揺さぶりました。この告発は、フェイを動かすための芝居です。フェイはハーヴィーに、カトリーナの証言を止めるよう命じます。
ハーヴィーは、フェイとの取引を書面にするよう求めました。署名の場へマイクとサマンサが乗り込み、ハーヴィーがカトリーナを脅して証言を妨害した、と騒ぎ立てます。全員の目が激しい口論へ向いた隙に、グレッチェンが書類をすり替えました。
フェイが署名したのは、ハーヴィーに証言妨害を命じる内容の書類です。規則を盾に事務所を締めつけていた本人が、不正を命じた証拠を握られる。
書類の罠のあと、ハーヴィーが自分の退職を差し出す
それでもフェイは、簡単には引き下がりませんでした。ハーヴィーは全員を部屋から出し、フェイと2人で最後の交渉をします。
成立したのは、ハーヴィーが事務所を去ることと引き換えに、フェイも退く取引です。フェイは去り、サマンサは復帰。事務所は存続できました。
この時点で、ハーヴィーは退職という条件を仲間に明かしません。詳細が分かるのは、結婚式と出産を経たあと、ルイスにシアトル行きを告げる場面です。仲間が勝利を喜んでいる間に、彼は自分が去ることを決めていたんですね。
ルイスの結婚式が、ハーヴィーとドナの結婚へつながる

ルイスとシーラは夫婦になり、病院へ向かう
事務所の危機が片づくと、ルイス・リットとシーラ・サズの結婚式です。式を執り行うのは、ルイスが頼りにしてきたセラピストのスタン・リプシッツ。ルイスは、今度は友人として式に参加してほしいと頼みました。
ハーヴィーとドナが付き添うなか、誓いの途中でシーラが破水します。2人は急いで結婚の誓いを交わし、病院へ向かいました。招待客は会場に残され、式の主役がいったん不在になります。
シーラは帝王切開となり、ルイスは母子の安否に気をもみますが、シーラも生まれた娘ルーシーも無事でした。仕事では感情が先走りがちだったルイスが、小さな娘に愛情を注ぐ父親になる。彼にも、うれしい着地点が用意されています。
母の指輪を持つハーヴィーが、その場でプロポーズ
会場に残ったハーヴィーは、ドナにプロポーズします。持っていたのは、母が彼に贈ろうとしていた、家族に受け継がれてきた指輪でした。
母を許すまでにも、ドナへの気持ちを認めるまでにも、長い時間を使ってきたハーヴィー。母を失ったいま、これ以上ドナとの時間を先延ばしにしたくないと告げます。ドナは受け入れ、2人はその会場で結婚しました。
ようやく結婚です! 契約交渉ならあんなに判断が速い人が、ここまで遠回りしました。職場では相手の気持ちを読むのに、自分の気持ちになると手が止まる。妙に人間くさいところが、私は好きなんです。
誓いの言葉では、ハーヴィーは悪いときも良いときもドナを必要としている気持ちを、賭け事にたとえます。ドナは、笑わせ、泣かせ、腹も立たせる彼が、自分を幸せにすると応えました。長年の相棒が、今度は夫婦として互いを選びます。
ニューヨークには、ルイスたち4人の名前が残る

ハーヴィーとドナは病院へ向かい、ルーシーの誕生を喜んだあと、ルイスに退職と移住を告げます。行き先は、マイクとレイチェルが働くシアトルでした。
ハーヴィーは、駆け引きも際どい勝負も好きな自分を認めたうえで、今度は人を助ける側でその力を使いたいと話します。マイクの仕事ぶりが、彼の進む方向を変えたんです。
ニューヨークの事務所は、「リット・ウィーラー・ウィリアムズ・ベネット」へ改名します。ルイス、サマンサ、アレックス、カトリーナの4人が、この看板を背負っていくんです。
| 人物 | 最終回の着地 |
|---|---|
| ルイス・リット | 事務所を率いる立場を担い、シーラの夫、ルーシーの父となりました。 |
| サマンサ・ウィーラー | 事務所へ復帰し、看板に名前が残るパートナーとして仕事を続けます。 |
| アレックス・ウィリアムズ | 仲間とフェイへの対処をやり遂げ、ニューヨークに残るパートナーです。 |
| カトリーナ・ベネット | 名前を事務所名に掲げるネームパートナーへ昇進しました。 |
カトリーナは、一度は解雇された身で仲間を助けました。去るハーヴィーの名前に代わって、事務所を救うために動いたカトリーナの名前が加わるわけです。
ルイスにとっては、娘が生まれた喜びと、長年の仲間が去る寂しさが重なる日になりました。それでもハーヴィーたちの決断を受け入れます。あれだけ言い合ってきた2人の別れですから、普通の異動の挨拶よりずっと胸にきますね。
マイクが面接する側に回り、ハーヴィーはオフィスを去る
終盤、マイクはハーヴィーのオフィスで、シアトルの仕事に迎える彼を「面接」します。第1話でハーヴィーがマイクを採用した場面を、役割を入れ替えてなぞるやり取りです。
かつて経歴を偽って職を得た青年が、いまは恩人を迎える側に立つ。2人の軽口には、出会いから積み重ねた時間が感じられます。最後まで、この2人は口が達者ですよね。
その面接のあと、ドナは先にオフィスを出て、エレベーター前のルイスと合流します。ハーヴィーには、マイクやドナ、仲間たちとの過去の場面が重なりました。最後は、彼も思い出の詰まったオフィスを去ります。
考察:マイクに仕事を教えた男が、マイクから進む道をもらう
私は、役割が入れ替わる面接が、この結末によく似合っていると思います。最初にマイクの才能を見抜いたのはハーヴィーでした。そのマイクが選んだ、人を助ける仕事へ、今度はハーヴィーが加わります。
後輩に教えたつもりが、気づけば自分の進路を変えてもらっている。働いていると、ときどきそういうことがありますよね。看板からスペクターの名が消えても、彼の力を必要とする仕事と仲間は、シアトルに待っています。
マイクの資格とレイチェルの登場
「クローザーの条件」は、ハーヴィーやマイクが登場する米国版の最終話です。
マイクの刑は2年でしたが、シーズン6で早期に釈放されています。「2年間の刑期を終えて戻った」「最後まで無資格だった」は、どちらも誤りです。正式な弁護士になり、シアトルを仕事の拠点にしたうえで、シーズン9に再登場しました。
レイチェルはシアトルでマイクと暮らし、働いています。最終話の終盤で流れるレイチェルの映像は、過去の場面を振り返るものです。
最終話の公式映像で、ハーヴィーの別れをもう一度
Peacock公式チャンネルによる、シーズン9第10話のハーヴィーの別れの映像です。
第1話の採用面接と最終話の面接は、2人の立場が逆になっています。懐かしい掛け合いに会いたいときは、この2つの場面がうれしいですね。仕事内容も住む街も変わって、なお会話の調子はいつもの2人です。
よくある質問(FAQ)
ハーヴィーは弁護士を辞めてしまうのですか?
辞めるのはニューヨークの事務所です。フェイとの取引で退職を選び、シアトルではマイクとレイチェルとともに弁護士の仕事を続ける道へ進みます。
マイクがシーズン9に出るのは何話ですか?
第5話、第9話、第10話に登場します。依頼人の代理人としてハーヴィーと争い、母を失った友人を支え、最後には事務所を救うための仕掛けに加わりました。
最終回はハッピーエンドですか?
ハーヴィーとドナ、ルイスとシーラは夫婦になり、娘も無事に生まれます。仲間の職場も存続しました。私は、別れの寂しさを残しながら、それぞれに仕事と家族がある、温かい結末だと感じます。
まとめ
フェイとの対立を終わらせるため、ハーヴィーは自分の退職を交換条件にしました。その選択に、ドナとの結婚と、マイクたちの仕事へ加わる決意が続きます。
ルイスは父となり、サマンサは職場へ戻り、カトリーナには看板に名前を掲げる責任が託されました。長年の仲間は、別々の街へ歩き出します。
採用した側と採用された側が、最後には席を入れ替えて軽口を交わす。あの終盤の面接が好きです。ハーヴィーが思い出のオフィスを離れても、マイクと続ける仕事がある。寂しいけれど、ちゃんと明日が楽しみになる終わり方ですよね。