剣と魔法の戦いが、どうして新宿のビル街へ飛んでくるのでしょう?
A〜Eの結末と主要人物の最期までネタバレがあります。『ドラッグ オン ドラグーン』は2003年発売のPS2用ゲームです。
有名な新宿エンドでは、カイムと赤い竜が巨大な母体を倒した直後、戦闘機のミサイルに撃墜されて死にます。やっと勝ったふたりに、現代の兵器が飛んでくる。お茶を飲む手も止まる結末ですよね。
ただ、初代には五つのエンディングがあり、妹フリアエを救おうとする戦いも、竜との絆も、それぞれ違う形で終わります。新宿に着くまでにも、恋人の復活、相棒との決闘、少年が引き受ける永遠という重い出来事が待っているんです。
初代のエンディングはA〜Eの五つ。何が起きて、誰を失う?

| エンド | 最後に起きること | カイムと赤い竜の着地 |
|---|---|---|
| A | 赤い竜が女神フリアエに代わる封印となり、世界を救う | カイムは涙を流し、竜はアンヘルという名を明かして去る |
| B | 再生の卵から復活したフリアエが怪物になり、同種の群れが空を埋めます | 怪物となった妹を倒したカイムが、その亡骸を抱える |
| C | 竜たちが人類の滅亡に向けて動き出す | カイムが赤い竜を殺し、残る竜たちとの戦いへ走る |
| D | セエレが母体と周囲の時間を止め、崩壊を食い止める | セエレを届けた竜に赤子たちが食らいつき、カイムの剣が落下します |
| E | 母体を追って2003年の新宿へ移り、音による戦いで勝利する | 戦闘機に撃墜され、アンヘルの亡骸が東京タワーに突き刺さる |
A〜Eは、物語が別々の方向へ進んだ結末です。ゲーム上では条件を満たして新たな分岐を解放していきますが、Aで封印になった竜が、その後B、C、Dの事件を順に経験するという時系列ではありません。
カイムはなぜ竜と契約した?妹を守る戦いが世界の危機へ
憎んでいた竜と命をつなぎ、声を失う
カイムは、帝国と戦う連合軍の側で剣を振るう青年です。両親を帝国の黒い竜に殺された過去があり、帝国にも竜にも強い憎しみを抱えています。
妹フリアエを守る戦いで重傷を負ったカイムは、敵に捕らわれて傷ついた赤い竜と出会います。互いに生き延びるために交わすのが、命と魂を結びつける「契約」。カイムはその代償として声を失い、竜とは思念で意思を通わせるようになります。
人間を見下す竜と、竜を憎む人間。出会いの相性だけなら、同じ部屋に通すのもためらうふたりですね。それでも一緒に戦ううちに、赤い竜はカイム個人へ心を寄せていきます。
フリアエは、世界を支える最後の封印
フリアエはカイムの妹であり、世界の秩序を保つ「女神」です。三つの封印と女神の命が、世界の崩壊を防ぐ役割を担っています。
女神になる前のフリアエには、イウヴァルトという婚約者がいました。女神の務めを負ったことで婚約は解消され、イウヴァルトは彼女をその宿命から解放したいと願います。カイムにとっては妹を守る戦い、イウヴァルトにとっては愛する相手を取り戻す戦いなんです。
イウヴァルトの変化と、空中要塞からの襲撃
帝国に捕らわれたイウヴァルトは、司教マナによる洗脳を受けます。黒い竜と契約して得た力の代償は、得意だった歌。やがてフリアエを連れ去り、カイムと敵対します。
一方、カイムたちの抵抗を振り切って三つの封印は破壊されます。連合軍が勝利へ近づいたかに見える局面で、空中要塞が襲来し、空からの攻撃が戦況をひっくり返す。倒れた帝国兵まで起き上がり、戦場は異様な姿へ変わっていきます。
フリアエを奪還するため、カイムは要塞へ向かいます。女神の死は最後の封印の消失につながるため、妹の救出には世界全体の命運もかかっているのです。
フリアエ、マナ、セエレの願いは、どう結末につながる?

フリアエの恋と、マナが暴く胸の内
フリアエが恋愛の相手として思いを寄せているのは、兄のカイムです。妹として救いたい兄と、兄に愛されたい妹との間には、願いの食い違いがあります。
その思いをマナがカイムの前で暴く分岐の結末は、フリアエの自死です。彼女は短剣で自分の胸を刺し、命を絶ちます。女神の宿命から救い出そうと走ってきたカイムが、目の前で失ったのは妹と最後の封印でした。
イウヴァルトもフリアエを愛していますが、彼女の心はカイムへ向いています。その食い違いを抱えたまま、イウヴァルトは「蘇らせれば取り戻せる」と再生の卵へ望みを託すんです。
同じ母親に育てられた双子が、違う役割を負う
マナとセエレは双子のきょうだいです。母親はセエレをかわいがる一方、マナを虐待していました。愛されたいと願うマナは神の力に取り込まれ、帝国を動かす司教となります。
セエレは、妹だけが傷つけられていたことに罪悪感を抱えています。彼の契約相手はゴーレムで、差し出したものは自分の時間。成長が止まり、少年の姿のまま生きることになります。
この契約で蓄えられた時間が、Dエンドで母体を止める力となります。世界の危機を引き起こす妹と、世界を救う力を持つ兄。セエレの願いは、最後までマナへ向いているんですよね。
レオナールとアリオーシュも、傷を抱えた契約者
仲間になるレオナールは、幼い少年への欲望と、弟たちを失った罪悪感を抱えています。フェアリーとの契約で失うのは視力です。Dでは、セエレたちを逃がすために身を投じることになります。
アリオーシュは夫と子どもを帝国に殺され、精神を病んだ女性です。アリオーシュは子どもへの執着から子どもを食べるようになり、ウンディーネとサラマンダーとの契約では子宮を失います。彼女の執着も、Dの最期へつながっていきます。
Aエンド:アンヘルがカイムのために封印を引き受ける
Aでカイムが祭壇にたどり着くのは、フリアエが命を落とした後です。最後の封印が失われ、カイムと赤い竜は怪物たちや、神の力で巨大化したマナと戦います。
マナを倒すと、彼女は死を望みます。カイムたちはマナを生かし、犯した罪を背負わせますが、世界を支える封印は別に必要です。司祭ヴェルドレが途方に暮れる中、赤い竜が自らその役目を申し出ます。
赤い竜が封印になるのは、カイムを救うためです。人間を軽蔑していた竜が、ひとりの人間のために世界を支える。それまでのふたりを知っていると、この申し出が切ないですね。
ヴェルドレが儀式を進めると、カイムは涙を流します。それを見た赤い竜が、初めて告げる自分の名はアンヘルです。別れを交わした竜は、光の中へ消えていきます。
カイムは生き残り、世界は新たな封印によって救われます。ただし、妹を失ったうえに、共に戦ってきた相棒とも離れる。救出のために剣を振るい続けた青年に残るのが、この別れなのです。
Bエンド:蘇ったフリアエがイウヴァルトを殺す
Bへ進むイウヴァルトは、亡くなったフリアエを再生の卵へ運びます。女神として生きた彼女を蘇らせ、今度こそ自分と一緒に暮らそうとするのです。
卵から現れるのは、翼と異様な触手を持つ怪物となったフリアエ。復活を喜ぶイウヴァルトは、その触手に貫かれて死にます。取り戻したかった相手が、自分を殺す存在になるんです。
カイムと赤い竜は、怪物になったフリアエと戦い、倒します。妹を救おうとした兄が、その変わり果てた姿を討つ。カイムにとっては、残酷な戦いです。
一体を倒した後、別の再生の卵から同じ怪物たちが次々と孵化します。空を埋め尽くす群れの下で、カイムは最初に倒したフリアエの亡骸を抱えます。
イウヴァルトの望みは、彼自身の死と怪物の復活へ変わりました。カイムの手には再び妹の亡骸が残り、人類は増え続ける怪物たちに脅かされます。一度の勝利で片づく相手を期待すると、この光景はつらいですね。
Cエンド:カイムが相棒を斬り、竜たちとの戦いへ走る
Cでは、フリアエを蘇らせようとするイウヴァルトをカイムが倒し、正気を取り戻したイウヴァルトはフリアエに寄り添うようにして息絶えます。
そこへ、人類を滅ぼそうとする竜たちの動きが重なります。マナも竜たちに殺され、赤い竜もまた、竜に宿る「血の記憶」に従って人類へ刃を向けるようになるのです。
赤い竜はカイムとの契約を終わらせ、戦いを挑みます。カイムが剣を向ける相手は、命をつなぎ、共に戦ってきた相棒です。
決闘の末、カイムは赤い竜を殺します。さらに再生の卵を斬り壊すと、建物の外では人類を襲う竜の大群が咆哮しています。
最後のカイムの目に宿るのは、戦いへの喜びです。彼は光の中へ駆け出します。妹も、友も、契約相手も失った彼が、その先で選ぶのは竜たちとの戦いです。
両親を黒い竜に殺され、赤い竜と共に生き延び、最後はその赤い竜を斬る。カイムと竜との関わりを追うと、Cの決裂の重さがよくわかります。
Dエンド:セエレが時間を止めるまでに、仲間はどう死ぬ?

マナを殺した後、世界の崩壊が始まる
Dへ進む分岐では、セエレがゴーレムに助けを求め、ゴーレムがマナを押しつぶして殺します。その直後に始まるのが、空中要塞の崩壊です。イウヴァルトはフリアエを抱え、ふたりは要塞の崩壊と閃光にのみ込まれます。
外へ逃れたカイムたちを待ち受けるのは、巨大な赤子たちと「母体」です。人を食らう赤子たちがあふれ、母体の力によって時間と世界そのものが崩れていきます。
アリオーシュは食われ、レオナールはセエレを逃がす
アリオーシュは巨大な赤子たちへ、愛する子どもに接するように近づきます。そこで待つのは、彼らに食べられる最期です。子どもを食べてきた彼女が、最後には食われる側になるのです。
レオナールはセエレを先へ進ませるためにその場に残り、フェアリーと共に爆発して赤子たちを巻き込みます。セエレを守る行動が、仲間の脱出を可能にしますが、レオナール自身は犠牲になります。
頼れる仲間が増えれば安心できる、という気持ちを容赦なく削ってくる展開ですね。それでもレオナールが少年を逃がしたことで、母体へ向かう道はつながります。
カイムと竜がセエレを届け、少年は永遠を引き受ける
成長を止めたセエレには、ゴーレムとの契約によって蓄えられた時間があります。彼が自ら提案するのは、その時間を解放して母体の時間を止める方法です。
母体へ向かうセエレを乗せて飛ぶのは、アンヘルとカイムです。少年が母体の腹にたどり着くと、巨大な赤子たちがふたりへ襲いかかり、竜に食らいつきます。その最中、カイムの剣が地上へ落下するのです。
セエレが最後に許しを求める相手は、マナです。彼の力が時間を止めると、母体と周囲の都市は黒い塊に覆われ、巨大な山のような姿になって固定されます。
世界の崩壊を食い止めたセエレが引き受ける代償は、止まった時間の中で過ごす永遠です。レオナールの犠牲と、カイムと竜の飛行が、彼をその場所まで届けます。
Eエンド:新宿で勝ったふたりが、なぜ撃墜される?

母体を追って、2003年6月12日の新宿へ
Eでは、巨大な母体が時空の裂け目へ移ります。カイムとアンヘルがその後を追って飛び込むと、行き先は2003年6月12日の東京・新宿です。
母体が現れた先には高層ビルが並び、カイムたちの世界から続いていた剣と魔法の戦いが現代の街へ持ち込まれます。竜の向こうに見慣れたビル街があると、妙な現実味が出ますよね。
最後の戦いは、母体の歌に対抗するリズムゲーム
母体は「滅びの歌」を発し、カイムとアンヘルはそれに音で対抗します。最終戦は、相手の音に合わせて応じるリズムゲームへ切り替わります。
空中戦を積み重ねてきた最後に、求められるのがリズムの正確さ。コントローラーを握る指まで急に別の仕事を振られるんです。ここまで来て音楽の試験とは!
この戦いに勝ち、ふたりは巨大な母体を倒します。勝利の直後、ふたりへ飛んでくるのが戦闘機のミサイルです。
現代の空では、竜は正体不明の飛行物体になる
Eのカイムとアンヘルは、母体との戦いに勝った直後に撃墜されて死にます。戦闘機の側が攻撃するのは、都市上空へ現れた正体不明の飛行物体です。
スタッフロールを経た後には、アンヘルの亡骸が東京タワーに突き刺さった姿が残ります。新宿での異様な戦闘から、最後は東京タワーへ。街の象徴に竜の死が重なるところまでが、新宿エンドの結末です。
『ニーア』につながるのは、Eエンドから続く世界
『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』へつながるのは、Eエンドで母体とカイム、アンヘルが東京へ来た後の世界です。その歴史は、さらに『ニーア オートマタ』へと続きます。
東京での一件は、ふたりの旅の終着点であると同時に、別の作品の世界へつながる出来事でもあります。カイムとアンヘルの死を知ってからこの接続を思うと、竜が東京へ来た光景の重みが変わりますね。
五つの分岐で、フリアエやマナの運命も変わる
イウヴァルトの最期は、Bでは怪物となったフリアエに殺される死、Cではカイムに敗れて彼女に寄り添う死です。Dへ続く分岐では、フリアエを抱いたまま要塞の崩壊に巻き込まれます。
マナも、Aでは生きて罪を背負い、Cでは竜たちに殺され、Dではセエレのゴーレムに殺されます。そのマナを倒した先で待つ危機も、巨大な赤子たちの襲来や竜による人類への攻撃と、分岐によって違うのです。
考察:AとDに救いを感じても、別れの重さは残る
私は、世界が救われるAには、五つの中でも比較的救いを感じます。人を憎んでいた竜がカイムを思い、そのカイムが涙を流す。ふたりの気持ちが届いたことが、うれしいんですよね。
Dにも、セエレを送り届けるための行動が世界を救うという救いがあります。ただ、食卓に戻って全員の無事を喜べるような結末を想像すると、置いていかれた命の多さがこたえるんですよね。
Aでは相棒との別れ、Dでは仲間の死と少年の永遠が、その救いと引き換えになります。「世界が助かった」という結果にほっとしながら、ひとりずつの最期には胸が痛む。その感情が同時に残る作品だと思います。
各エンドをゲームで確かめるなら、追加の章と武器収集が鍵
電撃オンライン公式番組「全EDでクリアするまでぶっ通し生放送#01」は、2018年3月11日に配信された初代の実機プレイ動画です。
最初のAをクリアした後、追加の章や分岐へ進むことで別のエンディングを目指せます。Dへの進行には、レオナール、アリオーシュ、セエレそれぞれの固有章のクリアが必要です。
Eを目指す過程では、追加の章を進めながら全65種類の武器を集めます。全武器の入手がEの解放条件で、その先が第十三章の新宿の戦いです。
新宿の異様な光景に至るまでに、仲間の事情を知り、各分岐を進め、武器を集める時間がかかります。最後の場面だけなら短く感じても、そこへたどり着くまでに積み重なる別れがあるんです。
FAQ
カイムとアンヘルは、すべてのエンドで死ぬ?
Eでは戦闘機のミサイルによって、ふたりとも命を落とします。Aではカイムが生き残り、竜が世界の封印になるのです。Dでは竜が赤子たちに襲われ、カイムの剣が落下します。Cでは竜がカイムに殺され、カイムは竜の群れへ向かいます。Bの終幕は、カイムが異形のフリアエの遺体を抱えた状態です。
Bでフリアエは人間として蘇る?
再生の卵から出てくるフリアエは、翼と触手を備えた怪物です。彼女を蘇らせたイウヴァルトはその触手で殺され、カイムが倒した後にも、同じ姿の怪物が空へ増えていきます。
Dでセエレが母体を止められる理由は?
ゴーレムとの契約でセエレ自身の成長が止まり、時間が蓄えられているためです。その時間を解放することで母体を封じ、セエレ自身も永遠に固定された時間へとどまります。
新宿エンドは、カイムたちが母体に負けた結末?
母体との音の戦いは、カイムとアンヘルの勝利です。その後に飛来する戦闘機のミサイルが、ふたりの命を奪います。巨大な敵を倒す勝利と、現代での撃墜が続けて起きる結末ですね。
まとめ
初代『ドラッグ オン ドラグーン』は、妹を助けようとしたカイムと赤い竜の旅を、五つの異なる結末へ分岐させます。新たな封印、怪物の増殖、相棒との決闘、セエレによる時間停止、そして東京での撃墜。救いたかった相手と世界の運命が、それぞれ変わっていきます。
新宿エンドの衝撃は、現代へ飛んだ奇抜さに加えて、共に生き延びてきたふたりが勝利直後に死ぬところにあります。母体を追い、歌に打ち勝ち、最後はミサイルに命を奪われる。その終わりから『ニーア』の世界へと歴史が続くと知ると、東京タワーに残るアンヘルの姿が、いっそう切なく感じられます。