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エターナル・サンシャイン結末ネタバレ|最後の「OK」は何を受け入れた?

エターナル・サンシャイン結末ネタバレ|最後の「OK」は何を受け入れた?

恋人への不満を録音したテープなんて、引っ越しの荷物からも出てきてほしくないですよね。

『エターナル・サンシャイン』は、ミシェル・ゴンドリー監督による2004年の映画です(ネタバレあり)。

観終わると、あの短い返事が気になります。嫌なことを忘れられるなら、恋はもっと楽になるのでしょうか。ジョエルの必死な逃走と、ラクーナ社の人たちの失敗が、終盤の気まずい会話へつながっています。

冒頭のモントークは、記憶を消した二人の再会

初対面から記憶消去後の再会まで

バレンタインデーの朝、ジョエルは仕事へ向かう電車に乗るのをやめ、モントークへ出かけます。寒い浜辺で目に留まるのは、青い髪のクレメンタインです。帰りの電車で彼女から話しかけられ、戸惑いながらも距離が縮まりました。

このときの二人は、かつて恋人同士だった相手と、互いに記憶を消したあとで出会っています。

ジョエルの日記では、直近の約2年分のページが破られていました。本人が理由をつかめない空白と、ふと惹かれた女性。初めて観たときは風変わりな恋の始まりに感じる場面が、過去を知ると少し寂しくなるんですよね。

二人が別れ、ラクーナ社へ向かうまで

本当の出会いは浜辺のパーティー

最初の出会いもモントークですが、その日は友人たちとの浜辺のパーティーでした。クレメンタインはジョエルに近づき、二人は人のいない海辺の家へ入り込みます。自由に振る舞う彼女に惹かれたジョエルは、怖気づいて途中で帰ってしまいました。

やがて交際が始まります。思ったことをすぐ口にするクレメンタインと、日記には書けても相手には話せないジョエル。最初は魅力だった違いが、日々を重ねるうちに不満になっていくんです。

たとえば、フリーマーケットでクレメンタインが子どもを欲しがる場面。ジョエルは彼女が子育てをできるか疑うような言葉を返し、彼女を傷つけます。彼の慎重さは、彼女には自分を信用してくれない態度に感じられました。

クレメンタインはもっと本音を聞きたいのに、ジョエルは内側に閉じこもる。ジョエルは彼女の大胆さに振り回され、苛立ちをためていきます。会話が減った食卓って、食器の音だけやけに大きく感じますよね。

先に消したクレメンタインを、ジョエルが追いかける

決定的な口論は、クレメンタインが酒を飲んで帰宅し、ジョエルの車を傷つけた夜でした。ジョエルは彼女がほかの男性と関係を持ったのでは、と責めます。怒った彼女は出ていき、ラクーナ社でジョエルに関する記憶を消しました。

後日、ジョエルは仲直りの贈り物を持って、彼女の働く書店へ向かいます。ところが彼女は彼を知らない客として扱い、別の男性と親しくしている。贈り物を選んでいた側には、なかなか堪える状況です。

友人のロブとキャリーを通じて、ジョエルはラクーナ社の通知を知りました。クレメンタインが記憶消去を受けたことと、彼女に交際の話をしないよう求める内容です。自分だけが別れの痛みを抱えるジョエルも、同じ処置を申し込みます。

処置の準備では、彼女を思い出す品物を集め、交際への不満を録音しました。ラクーナ社は品物への脳の反応から、消す記憶の位置を調べます。後半に届くテープは、この事前面談で残された二人の声です。

ジョエルはなぜ、消去の途中で彼女を守ろうとした?

嫌な思い出の奥に、手放したくない時間があった

ジョエルが薬で眠った夜、技師のスタンとパトリックが自宅へ来て、記憶を消していきます。彼の意識では、別れ際の険悪な場面から、古い思い出へと時間が逆向きに進むんです。

口論ばかりが浮かぶうちは、彼も処置を受け入れていました。けれど、親密だった日の記憶まで失われ始めると、気持ちが変わります。二人で凍った川に寝転んだ時間も、互いの弱さを見せられた夜も、彼女と過ごした大切な日々でした。

ここでジョエルは、処置を止めてほしいと必死になります。申込書を書いたときの怒りと、幸せな記憶の中にいる気持ちは、ずいぶん違う。彼女への不満を消すつもりが、愛おしかった彼女まで失っていく。この実感が、逃走のきっかけです。

幼少期に隠れた二人を、ハワード博士が追う

ジョエルは、彼女を連れて逃げ始めました。彼女と交際する前の子ども時代なら、ラクーナ社が調べた記憶から外れています。小さな自分が恥ずかしかった場面や、傷ついた思い出にまで彼女を連れていくんです。

幼いジョエルのそばに大人のクレメンタインがいる、妙な光景が生まれます。彼が普段は人に話せない自分を、彼女には見せている。逃げる先が格好悪い記憶なのが、私は好きでした。

しかし、機械がジョエルの位置を見失うと、スタンはハワード博士を呼びます。博士が処置を立て直し、消去が進みました。せっかくの隠れ場所にも、仕事の上手な責任者が来てしまいます。

最後に残るのは、最初に出会った日の海辺の家です。家が崩れ、景色が失われていく中で、ジョエルはあの日帰ってしまったことを悔やみます。今度は彼女と一緒に残り、別れの時間を過ごしました。

クレメンタインは、去り際に「モントークで会おう」とささやきます。ジョエルの抵抗を経ても、彼女に関する記憶の消去は完了します。処置を受けた身体は眠ったままで、記憶の中の二人に別れが来るんです。

パトリックの盗用と、メアリーの消された不倫

盗用、不倫、記録の郵送の人物関係

パトリックは恋人の思い出を盗んでいた

書店でクレメンタインのそばにいた男性は、ラクーナ社の技師パトリックでした。彼は彼女の処置を担当した際に惹かれ、交際を始めています。

しかも、パトリックはジョエルの私的な記録を持ち出して言葉や愛称をまねし、彼が用意した贈り物まで使っていました。相手に喜んでもらう工夫としては、ずいぶん卑怯ですよね。

それでもクレメンタインの不安は強まり、パトリックは彼女を落ち着かせられません。凍った川でのデートでも、借り物の言葉が彼女の気持ちに届かないんです。恋文を丸写ししても、その二人が過ごした時間までは借りられない。そんなふうに感じました。

メアリーも、同じ相手を再び好きになっていた

一方、ジョエルの部屋には受付のメアリーも来ていました。スタンと酒を飲み、浮かれている二人のそばで患者は眠っています。自分の処置中だったら、あとで料金明細まで疑いたくなる夜です!

メアリーはハワード博士を尊敬し、恋心を抱いていました。駆けつけた博士とキスをすると、博士の妻が現れます。そこで明らかになるのが、メアリーと博士が以前にも不倫関係にあったことでした。

メアリーはその関係を終わらせるため、記憶消去を受けていたんです。博士は事情を知り、彼女は自分の過去を忘れたまま、再び同じ男性を慕っていました。スタンはメアリーへの好意を打ち明けます。

自分のファイルと録音で過去を知ったメアリーは、ラクーナ社を辞めました。そして患者たちへ、それぞれの記録を郵送します。ジョエルとクレメンタインに真実が届くのは、この行動によるものです。

記憶を消す会社で働く人たちが、患者の秘密を利用し、同僚の秘密も抱えている。私はこのあたりで、博士の穏やかな顔を見る目がかなり厳しくなりました。

二つのテープを聴いたあと、最後の「OK」が生まれる

二つの録音から関係を始め直すまで

相手の悪口を、自分の声で聞かされる

再会した二人は、凍った川で一緒に過ごします。その後、クレメンタインが歯ブラシを取りに自宅へ戻ると、メアリーの送った郵便物が届いていました。車でテープを再生すると、流れてくるのはクレメンタイン自身の声です。

録音の中の彼女は、ジョエルは退屈だと語っています。親しくなったばかりの彼には、突然ひどいことを言われたように響きました。ジョエルは彼女を車から降ろします。帰宅したクレメンタインは、待っていたパトリックを追い返しました。

その後、クレメンタインはジョエルの部屋へ来ました。今度はジョエルのテープが流れ、誰かに好かれたくて男性と関係を持つ、と彼女を決めつける言葉が聞こえます。

付き合い直す前に、うまくいかない理由まで知った

傷ついたクレメンタインが帰ろうとすると、ジョエルは待ってほしいと声をかけます。廊下で足を止めた彼女は、自分も悩みを抱え、自分の心の平穏を探している一人の人間だと話しました。

彼女の勢いのよさを、落ち込んだ自分を救う役目にしていたジョエルにも、向き合う言葉です。それでも彼は、今の彼女の好きになれないところが思いつかない、と答えます。

クレメンタインの返事は現実的です。いずれ彼は自分の嫌なところを見つけるし、自分も彼に飽き、息苦しくなるだろう。恋の始まりにする会話としては、かなり厳しいですよね。

それに対してジョエルは「OK」と答えます。彼女も同じ言葉を返し、二人は笑いました。また傷つく可能性を知ったうえで、二人は関係を始め直すことを選びます。

私は、この返事を「不満を一度も持たずに付き合う」という約束よりも、ずっと正直だと感じます。相手の欠点を先に突きつけられた場所で、それでも一緒にいたいと答えている。短いのに、軽く言えない返事です。

終幕は、雪の浜辺を走る二人へ移ります。気まずかった廊下の会話のあとに、無邪気に遊ぶ姿が来る。その切り替わりに、少し息をつけました。

記憶の回復と、雪の浜辺の反復をどう考える?

テープが与えるのは、過去の交際についての知識

「昔の自分たちは付き合っていて、相手を嫌になった」という情報は、録音から知ることができます。抱きしめた感触や、その夜に何を感じたかという体験の記憶とは、性質が違うんです。恋の勢いに、昔の自分の声が口を挟んでくるのが厄介ですよね。

消去中のクレメンタインは、ジョエルの記憶の中にいる彼女です。その夜、現実のクレメンタインはパトリックと会っていました。意識の中ではジョエルを助ける彼女が、現実では不安を抱えて別の男性のそばにいる。同時に進む二つの時間が切ないんです。

モントークへのささやきと、翌朝のジョエルの衝動を、消去を越えた感情のつながりと受け取るのは考察です。理由を言葉にできずに誰かへ惹かれる感覚が、あの海辺にはよく似合います。

繰り返される映像は、未来への想像を揺らす

最後の雪の浜辺の映像は、同じ動きが反復されます。この反復を、同じ恋愛や記憶消去を何度も繰り返すことの暗示と読むのは、一つの解釈です。

過去の失敗を踏まえた二人に希望を感じる見方も、同じ性格同士の恋に不安を感じる見方もできます。ここで意見が割れるのは、あの笑顔の先を想像するからですよね。私は、親しい相手の嫌なところを知っていることと、その相手と笑えることが、同時にある終わり方として受け取りました。

もう一度観ると気になる、髪色と記憶の逃走

クレメンタインの髪色は時期の手掛かり

時間が行き来する映画ですが、クレメンタインの髪色は時期によって変わります。場面を思い出すとき、服装以上に目に残る色です。

髪色対応する時期
緑最初に知り合った頃
赤親密だった交際中の思い出
オレンジ関係が悪化し、別れへ向かう頃
青記憶消去後、冒頭で再会する頃

色の変化が、同じ人物の別々の時期を結びつけています。初見では髪色をころころ変える元気な人だと思っていたので、映画の時間まで背負っていたことに驚きました!

消えていく空間を追う公式映像

記憶の中の書店では、本の見た目が少しずつ失われていきます。話していたクレメンタインも姿を消しました。普段は何気なく見ている背景まで、彼女と同じように大事な思い出だったんですよね。

Focus Features公開の、ジョエルが記憶消去に抵抗する公式映像です。

FAQ

『エターナル・サンシャイン』という題名は何から来た?

アレクサンダー・ポープの詩『エロイーザからアベラールへ』の一節から来ています。メアリーがハワード博士に詩の言葉を引用する場面もありました。

つらいことを忘れた心の平穏を思わせる言葉が、メアリー自身の事情と重なってくるのが苦いところです。響きの明るい題名なのに、観終わると少し違って聞こえますよね。

ジョエルとクレメンタインを演じているのは誰?

ジョエルはジム・キャリー、クレメンタインはケイト・ウィンスレットです。派手な表情の印象が強いジム・キャリーが、口ごもったり目を伏せたりするジョエルを演じています。大声で言えない後悔が顔に残る演技が、私は印象に残りました。

モントークの浜辺と、凍った川は同じ場所?

モントークはニューヨーク州ロングアイランド東端の町です。二人が寝転ぶ凍った川は、ボストンのチャールズ川でした。物語では、海辺への旅とボストンでのデートがそれぞれ登場します。

まとめ

好きだった人のことを全部忘れられたら、と考える夜は、たぶん珍しくないですよね。この映画のあとだと、何気なく笑った日まで手放すのが惜しくなります。

私は観終わって、自分の失敗した言い方をいくつか思い出しました。返事を飲み込んだり、変に強がったり。そういう記憶まで抱えて誰かと話すことが、少し大切に思える映画です。

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