ハニャンの荷造りを見ると、出所の日を一緒に数えたくなります。あの部屋の口げんかに慣れてしまったせいで、誰かが荷物をまとめるだけで寂しいんですよね。
『刑務所のルールブック』は、2017~2018年に韓国で放送された全16話のドラマです。
最終回までのネタバレがあります。ジェヒョクの野球人生と、同じ房で暮らした仲間たちの運命は、出所が近づくにつれて大きく動きます。
ジェヒョクの懲役1年は、妹を守った事件から始まる
キム・ジェヒョクは、メジャーリーグ挑戦を目前にしたスター投手でした。妹ジェヒを襲った男を追いかけて重傷を負わせ、過剰な暴力と判断された結果、懲役1年の実刑を受けます。控訴後も判決は維持されました。
西部拘置所で再会するイ・ジュノは、高校時代に一緒に野球をしていた親友です。いまは刑務官として働き、ジェヒョクが西部刑務所へ移ると、自分も異動して彼を支えます。
左肩の負傷を経て、右投げで再出発する
拘置所では、暴力団の手下トルマニに左肩を刺されます。投球への影響は大きく、ジェヒョクはいったん引退を表明しました。野球一筋で生きてきた人が、これから何をすればいいのか立ち止まってしまうんです。
ジホとジュノは、同房の仲間も巻き込んで、眠っているジェヒョクに野球を続けるよう呼びかけます。夢だと思わせる作戦で、翌朝には練習を再開しました。大人が総出で夢の仕込み。本人は真剣なので、こちらも笑いながら応援してしまいます。
再起の転機は、もともとの利き手である右手で投げ直したことです。幼いころ父の方針で左投げになったジェヒョクは、右投げの投手として練習を積み重ねます。
tvN DRAMA公式の第14話先行映像です。
自分を襲ったトルマニを、捕手に迎える
トルマニは西部刑務所でもジェヒョクへの敵意を持ち続け、彼を狙って焼却炉に火をつけます。中にいたのはジェヒョクの上着を着た老人で、ジェヒョクが助けました。これが、最終回の対決につながる出来事です。
その後、ジェヒョクはトルマニを自分の投球練習の捕手に誘います。誰かの手下として暴力を振るっていた彼に、ボールを受ける役目を渡したんですね。トルマニは少しずつ心を許し、ジェヒョクを慕うようになります。
復帰する球団との契約では、妹について報道が過熱することを防ぐ条件を出しました。それを受け入れた古巣のヒーローズに戻ることが決まります。投げる場所が決まったあとは、残りの刑期を終える日を待つばかりでした。
ハニャンは第15話で再逮捕――出所直後に薬物へ戻る

房の中では断薬を続け、恋人との再会を待っていた
ユ・ハニャンは薬物の使用で服役していた受刑者です。ふにゃっとした話し方や遠慮のない言動で周囲を振り回し、ユ・ジョンウ大尉とはしょっちゅう口げんかをしていました。
彼は断薬を続け、恋人ジウォンとの待ち合わせ場所を決めて出所します。ジウォンと両親は、約束した店で再会を待っていました。
昔の知人に誘われた車内で再使用し、その場で捕まる
門の外で近づいてきたのは、薬物を使っていたころの知人でした。ハニャンはその車に乗り、差し出された薬物を自分で注射してしまいます。
出所直後の再使用で、ハニャンは警察に再逮捕されます。知人は警察と通じており、彼を薬物使用へ誘い込む罠になっていました。この出来事が起きるのは、韓国版の第15話です。
ここのつらさは、断薬を続けた時間も、再会への期待も知っているからこそでしょう。いつも笑わせてくれた人の顔が、急に遠く感じられます。
ヨムの脅迫を止めたのは、録音と焼却炉の老人
練習場を片づけても、仲間への嫌がらせが続く
終盤で戻ってくるヨム主任は、作業班長を務める受刑者です。ジェヒョクのために用意された練習場を、特別待遇として報道させると脅します。ジホに相談したジェヒョクは練習場を片づけ、写真に撮る証拠を消しました。
するとヨムは、ジェヒョクの周囲を狙います。ミンチョルの荷物にたばこを入れ、釈放を邪魔しようとしました。ユ大尉のために証言する兵士へは脅迫状が届き、トルマニは暴行されます。
自分が我慢している間に、仲間の人生まで潰されていく。ジェヒョクが出所を前にしても手を引けない理由は、この嫌がらせです。
送金を装ってヨムの裏切りを録音する
ジェヒョクはジュノの協力を得て、金を振り込んだように見える偽の書類を用意します。さらに携帯電話で、ヨムが金を組織の親玉に渡さず、自分で独り占めするつもりだと話す声を録音しました。
ところがヨムは、妹ジェヒへの危害までほのめかします。ジェヒョクは激怒し、鉄アレイを持って焼却炉へ向かいました。妹を守ろうとして始まった服役が、また妹への脅しで取り返しのつかない方向へ進みかけるんです。
ヨムを背後から殴って止めたのは、以前ジェヒョクに命を救われた無期懲役の老人でした。老人は恩返しだと告げ、さらに殴ろうとする彼をジェヒョクが制止します。
ヨムは負傷して医務室へ運ばれました。ジェヒョクは録音を聞かせ、ペン部長に、その音声をヨムの親玉へ届けるよう頼みます。ヨム自身の発言が、脅していた相手から反撃される証拠になったのです。
ミンチョルは娘の元へ、ユ大尉は再審へ進む

取材に来ていた女子大生は、ミンチョルの娘だった
ミンチョルは、殺人の罪で22年間服役してきた長期受刑者です。仮釈放の審査に落ち、ひどく落ち込みました。その後、クリスマスの特赦で早期釈放が決まります。
もう一つの大きな出来事は、卒論の取材として面会に来ていた女子大生の正体です。彼女が首から下げていた指輪は、かつてミンチョルが恋人に贈ったものでした。その指輪から、自分の娘だと気づきます。娘に父として呼びかけられたミンチョルは、泣き崩れました。
外へ出たら何をするか、彼は仲間に事業の案を話します。車に厨房を載せて料理を売る案を出すと、それはもうあるフードトラックだと教えられるんです。思いついた本人の得意げな顔と、周囲の遠慮のない返事。食卓で父の思いつきに家族がつっこむ、あの感じですよね!
出所の朝、仲間やペン部長に挨拶をして門を出たミンチョルを、娘とジャンバルジャンことジュヒョンが迎えます。長い服役を終えて帰る先に、家族が待っていました。
ユ大尉の再審請求が認められ、兄も涙を流す
ユ・ジョンウ大尉は、部下を暴行して死なせたとされて服役していました。事件の真犯人はオ兵長です。兄ジョンミンは弟の再審に向けて、証言者の説得を続けます。
兄はその活動のために大学の仕事を失いました。ジョンウが兄の負担を気にして悩むと、ハニャンは本音を話すよう背中を押します。ジョンウは、いまは再審のために兄の力を借りたいと伝え、兄弟は気持ちを確かめ合いました。
最終回で届くのは、再審請求を認める決定です。封筒を手にしたジョンウと、外で知らせを受け取った兄は、どちらも声を上げて泣きます。周囲の受刑者と刑務官も一緒に喜びました。
亡くなった兵士の母は、息子の死によって受け取った金を、ジョンウの再審費用に使ってほしいと兄に渡します。終幕ではオ兵長に殺人罪で懲役35年の判決が下り、ジュノは刑務所にいるジョンウを励まします。
ジェヒョクは出所し、ジホとの再会から復帰登板へ

最後のインタビューで感謝を伝える相手は刑務官たち
出所を前に、ジェヒョクは刑務所のPR映像やインタビューの撮影に応じました。法務長官の名前を挙げるよう頼まれていた彼が、恩人として語るのは、日々自分を支えた刑務官たちでした。なかでもペン部長への感謝を、本人に向けて伝えます。
ここで名前が抜けるのが、親友ジュノです。これだけ世話を焼いた人が、感謝の名簿から漏れる。ジュノの顔を見ていると、会社の送別会で一人だけ呼び忘れられたときの気まずさまで想像してしまいます。
ジュノはジェヒと付き合っていると告白しますが、ジェヒョクはすでに妹から聞いていました。妹の相手がジュノだと知って安心していた兄は、そのあとで親友の告白を受け止めたんです。
トルマニと別れ、門の外でジホにキスする
最後の夜をジョンウとトルマニと過ごし、ジェヒョクは刑期を終えて出所します。別れ際、トルマニは、人に優しくしてもらったのは初めてだと礼を言いました。頭を下げていた彼は、感極まってジェヒョクに抱きつきます。
ペン部長とジュノにも別れを告げ、門の外へ出ると、母親や弁護士、記者たちが待っていました。そこにジホを見つけたジェヒョクは近づき、抱きしめてキスをします。カメラがずらりとある場所で、ようやく二人が顔を合わせるんです!
ヒーローズのマウンドに戻り、試合後はジホへ駆け寄る
その後、ジェヒョクはヒーローズの選手として、韓国シリーズ第1戦のマウンドに立ちます。彼を球場へ送る車を運転しているのは、出所後に雇われたポプチャことキム・ヨンチョルでした。
復帰したジェヒョクのチームは、この試合で敗れます。それでも大歓声の中で再び投げる姿には、ここまでの練習の日々を思い出してしまいますね。勝敗の数字とは別に、この登板自体がうれしいです。
試合を終えたジェヒョクは、ジホの元へ駆け寄りました。野球を優先して恋人との関係をこじらせていた彼が、今度は彼女を目指して走る。その小さな変化まで含めて、ジェヒョクの再起が着地します。
一方、ジュノは引き続き刑務官として働きます。ペン部長は娘の学校へ行き、子どもたちの前で刑務官の仕事を紹介しました。房では怒鳴ることの多い人が、娘のために話す姿もいいですね。
ハニャンの結末がつらく残る理由【感想・考察】
私には、ハニャンと同房の人たちがくだらないことで言い合う時間ほど、居心地よく感じられます。お菓子や寝る場所で揉める相手を、気づけば身近な人のように心配している。だからこそ、彼の最後は胸に残るんでしょう。
ハニャンにはまず、恋人たちのいる食卓までたどり着いてほしかったです。豪華な再会より、いつものようにご飯を食べる姿を見たくなるんですよね。あの荷物を持って帰るだけのことが、こんなに遠く感じるとは。
性暴力、暴行、薬物使用の場面があるドラマです。笑いの多い作品でも、こうした場面の負担は大きいと思います。視聴後にしんどさが残ったら、いったん離れて休むのも自然なことですよね。
終盤をもう一度観るなら、韓国版15・16話
BS11の日本語字幕版は全32話で、韓国版15・16話の終盤は第29~32話に対応します。
予告編と視聴の案内は、Netflixの『刑務所のルールブック』作品ページにあります。
FAQ
ハニャンを演じている俳優は?
イ・ギュヒョンです。笑わせる間の取り方がうまくて、ハニャンが口を挟むだけで、その場の空気が変わるんですよね。
ハニャンの薬物使用を通報したのは誰?
母親です。入所した時点では、ハニャン本人は恋人ジウォンに通報されたと思っていました。
ポプチャとジャンバルジャンは同じ人?
ポプチャはキム・ヨンチョルで、ジェヒョクに拘置所の暮らしを教えた人物です。ジャンバルジャンはイ・ジュヒョンで、ミンチョルが息子のように可愛がっていた受刑者でした。二人とも愛称で呼ばれるので、名前だけだとややこしいですよね。
『賢い監房生活』と『刑務所のルールブック』は同じドラマ?
同じドラマで、『賢い監房生活』は韓国での原題を日本語に訳した呼び方です。英語題は『Prison Playbook』。海外の作品紹介では、この英語題が使われます。
まとめ
最終回まで来ると、房の中の騒がしさにも妙な愛着が湧きます。うるさいと思っていたやり取りまで恋しくなるのですから、この面々にはすっかり負けました。
再スタートを切る人を応援しながら、つまずいた人のことも心に残る。『刑務所のルールブック』は、そんな後味を持つドラマでした。見終えたあとも誰かの名前を思い出してしまうのが、この最終回の強さだと思います。