娘の誕生日を祝った夜から、いきなり刑務所の朝へ。『被告人』のパク・ジョンウは、妻と娘を殺したとされる死刑囚として目を覚まします。その落差だけで、胸がぎゅっとなる始まりです。
『被告人』は、2017年にSBSで放送された全18話の韓国ドラマです。
最終回までのネタバレあり。娘ハヨンはどうなるのか、友人の検事ジュニョクはなぜ裏切ったのか。そして、金と権力で逃げ続けるチャ・ミノに、誰が最後の一撃を与えるのでしょう?
事件の始まりは、ミノが双子の兄ソノを殺したこと
自分の死を偽装し、兄の名前で生き始める
チャミョングループの次男ミノは、殺人未遂の疑いでジョンウに追われ、双子の兄ソノを殺害します。兄の死を弟ミノの自殺に見せかけ、自分はソノとして会社と家庭に戻ったのです。
ジョンウは、この入れ替わりに疑いを持って捜査を続けます。ミノにとって彼は、せっかく奪った人生を壊す存在でした。顔が同じだからといって、戸籍も罪も着替えるとは。悪知恵の使い道がひどすぎます。
ソノの妻ナ・ヨニも、帰ってきた夫の正体を見抜いていました。ミノへの思いを抱く彼女は、入れ替わりを知りながら、彼を夫として受け入れたんです。
ジョンウの自白は、娘を守るためのものだった
ミノはジョンウの妻ユン・ジスを殺し、その罪を夫に着せます。娘ハヨンはイ・ソンギュに連れ去られ、ジョンウは娘の命と引き換えに、妻を殺したと自白するよう脅されました。
刑務所で目を覚ましたジョンウには、事件前後の4か月間の記憶が抜け落ちています。自分の供述まで証拠として突きつけられ、弁護士ソ・ウネとともに、失った記憶の断片をたどることになります。
ハヨンは生きていて、ソンギュがかくまっていました。彼は妹の手術費を工面するために誘拐を引き受けた人物です。ところが、幼いハヨンを殺すよう命じられると、彼女を守る側に回りました。
ジョンウは、娘との電話やソンギュの声を思い出し、ハヨンの生存にたどり着きます。記憶が戻るにつれ、自分を陥れた相手の顔もはっきりする。そこから彼の目的は、刑務所の外にいる娘を救うことへ絞られるんです。
脱獄からハヨン救出へ。再会には二度の危機がある

病院で会えても、父娘は再び引き離される
ジョンウは肺炎で入院したハヨンと病院で再会します。ソンギュから誘拐の事情を聞き、3人で逃げようとしました。追っ手が迫ると、ジョンウは自分が囮になり、娘をソンギュに託して先に逃がします。
捕まって刑務所に戻った彼を支えるのが、同室の仲間たちでした。ジョンウがかつて逮捕したシン・チョルシクも、脱獄に協力します。検事と元容疑者が同じ目標に向かう、この組み合わせが頼もしいんですよね。
ジスの弟で刑務官のテスは、姉を殺したと信じていた義兄に怒りを向けていました。ハヨンが生きていると知ると、今度はジョンウを助ける決断をします。最後の扉や監視塔でのテスの援護を受け、ジョンウ、チョルシク、ムンチの3人は刑務所を脱出しました。
あの雑居房、口げんかは多いのに、土壇場の連携は妙にいいんです。外ではウネが合流し、ジョンウの逃走と捜索を支えました。
凶器の包丁を守り、ミノの家族を使った駆け引きで娘を取り戻す
ジョンウがソンギュと連絡を取ったあと、ミノの部下ソクがソンギュを刺し、ハヨンを連れ去ります。駆けつけた父親が見つけたのは、重傷を負ったソンギュでした。ミノは娘を人質にして、ジス殺害の凶器である包丁を渡すよう迫ります。
ジョンウは、事件後に包丁を隠したムナン休憩所へ向かいました。そこには凶器を回収しようとするジュニョクも現れます。チョルシクの助けで包丁を手に入れ、ミノとの交換に臨みますが、ミノはハヨンを車に押し込んで逃げ去りました。
ジョンウは信頼するチェ部長を頼り、取調室でミノに揺さぶりをかけます。ヨニと息子ウンスの声を聞かせ、チョルシクがミノの家にいることも示して、今度は相手に家族の危険を感じさせたのです。
自分の息子が関わると、ミノも取り乱します。ジョンウはその動揺を利用して、ハヨンを解放させました。ウネとテスが公園で娘を保護し、ジョンウはようやくその小さな体を抱きしめます。ここまで来て、やっと父親の腕の中です!
ハヨンと一緒に報道陣の前へ出たジョンウは、娘の生存を示して自首します。殺されたとされた子が、自分の足で父親の隣に立っている。それは捜査の前提を覆す光景でした。
再審の無罪と、真犯人を裁く戦いは続いていく
ソンギュに罪が集まり、ジョンウは苦しい選択をする
娘を保護して凶器も確保したジョンウを、証拠の改ざんが待っています。包丁の鑑定結果が書き換えられ、ミノを追い詰めるはずの証拠が潰されました。
ソンギュは自首し、ハヨンの誘拐と、ジスを殺した別の男の存在を供述します。ところが、拘束中に殺され、その死は自殺として処理されました。娘を守ってくれた青年に、ジョンウは感謝を返す機会さえ奪われます。
再審でウネが勧めたのは、まずジョンウ自身の無罪を得ることでした。ジョンウは、ソンギュの単独犯行という説明を受け入れて無罪になります。無罪という言葉が出たのに、こんなに苦い場面なんですね。
検事に復帰し、ジェニファー殺害と双子の正体を追う
一方、ミノの父チャ・ヨンウンは、息子の入れ替わりを知っていました。父が倒れて助けを求めても、ミノは見捨てます。父の死後は会社の不正を父に押しつけ、チャミョングループの会長に就きました。
検事に復帰したジョンウは、ミノを公に追える立場に戻ります。
ソンギュを救えなかった思いを抱え、ジョンウはジスとソンギュをしのび、ミノの罪を明らかにすると誓います。仕事に戻った喜びに、申し訳なさが重なる場面でした。
捜査は、ソノの元恋人ジェニファー・リーの殺害にも及びました。彼女は目の前の男が以前の恋人と違うと気づき、ミノに殺された人物です。
別荘で血痕が見つかると、ソクはジョンウと協力し、ジェニファー殺害を自分がしたといったん認めて、ミノから凶器を引き出そうとします。ミノの返答をソクが録音し、その録音をジョンウに渡しました。部下が主の身代わりを申し出る形を使った駆け引きです。
ジョンウはヨニにも、夫の正体について証言を求めます。ミノが家族で海外へ逃げようとすると、ヨニは出発をジョンウに知らせました。空港で逮捕されたミノは、ついに法廷へ送られます。
最終裁判でミノを崩すのは、ジュニョク・ソク・ヨニの証言

ジュニョクが差し出すぬいぐるみと録音
カン・ジュニョクはジョンウの友人であり、妻子殺害事件を担当した検事です。事件当夜、ジョンウの家を訪れていました。事件後の捜査で自分の訪問が知られることを恐れ、防犯カメラの映像とぬいぐるみを隠します。国連への派遣という出世を望み、ミノと手を組んだのです。
親友の人生より、自分の椅子を選んだわけです。検事という肩書が、急に冷たく感じられますよね。
最終盤でジュニョクは、魚のぬいぐるみとペン型の録音機をジョンウに渡します。ぬいぐるみに残っていたのはジスの声でした。録音には、ミノが凶器に自分の血も付いていると話し、ジュニョクに捜索を求めたやり取りが残っています。
法廷では、自分も証拠を隠したと認め、ミノとの関係を証言しました。友人を裏切った検事が、自分の責任を引き受ける側に立つ。遅すぎる一歩でも、裁判には大きな意味があるんです。
ソクが、誰がジスを刺したかを具体的に話す
続いてソクは、事件の手順を明かします。自分がジョンウを麻酔で眠らせたあと、ミノがジョンウ宅の台所から包丁を取り、ジスを2度刺したという証言です。
ソンギュを殺したことについても、ソクはミノから指示を受けたと認めました。ミノが部下に押しつけようとした罪が、具体的な行動と命令の証言になって返ってきます。
証拠を消す側だった人間が、今度は証人席に座っている。ミノにとって、自分の言い分を通すための逃げ道が一つずつ塞がっていく場面でした。
ヨニが明かすウンスの父親に、ミノが自分で正体を漏らす
ミノは弁護士の助言で、精神的な病気を装い、刑事責任を逃れようとします。法廷でも話をかみ合わせずに演技を続けました。その彼を揺さぶるのが、証人として現れたヨニです。
ヨニは、夫として帰ってきた男がミノだと最初から分かっていたと証言します。彼への愛情と憐れみも認めたうえで、罪を償うよう求めました。さらに、ウンスの父親はミノだと明かします。
それまでウンスは、兄ソノの息子として育てられていました。父親として息子を大切にしてきたミノは、この告白に動揺します。ヨニに反発するうちに、ウンスの父親であるソノを自分が殺した、と口走ってしまうのです。
病気のふりを続けていた男から、兄殺害を認める言葉が出る。私はこのやり取りに、息子の記憶の中で父親を犯罪者にしたくない、というミノの執着を感じます。金で片づけてきた彼の防御が、家族の話で崩れるんです。
ミノは死刑囚となり、ジュニョクも刑務所へ
ジョンウはミノに死刑を求刑します。その後、ミノは死刑囚として刑務所に収監されました。
横柄に振る舞っても、刑務官の扱いは厳しく、懲罰房へ送られました。独房では亡くなった父の姿を幻覚として見て、恐怖に襲われます。父に求めていた承認も、会長としての威勢も、独房の中では彼を助けてくれません。
ミノはヨニとウンスの名前を呼びます。ジョンウから2人が国外へ去ることを告げられ、さらに取り乱しました。かつてジョンウを苦しめた場所が、今度は自分の居場所になります。
ジュニョクも、自分の犯した罪で刑務所に入ります。証言した後に待っていたのは、責任を負う生活でした。面会に来たジョンウは、彼を待つ意思を伝えます。友情には、裏切りの重さと、それでも残るつながりの両方があるんですよね。
ジョンウとハヨン、ウネ、刑務所仲間たちのその後

ジスを思いながら、父と娘の日常が始まる
ジョンウはハヨンを迎えに行き、一緒に暮らす日常を取り戻します。2人はジスをしのび、彼女が歌っていた子守歌を歌いました。家の中で聞いていた歌が、今度は母を思う歌になるんです。
迎えの時間を気にして、子どもの話を聞いて、手をつないで帰る。そんな普段の用事が、ジョンウには取り戻したかった暮らしそのものです。父娘の場面でほっとするほど、ジスを失った痛みも残ります。
ウネは父の再審へ、仲間たちは刑務所の外へ
ウネは、同室の受刑者ミリャンの再審を担当し、無罪を勝ち取ります。彼女自身の父も無実の罪で苦しんだ人物でした。今度は父の再審に向けて、弁護士として動き始めます。
組長殺害の疑いが晴れたチョルシクは、ダンプトラックを買って働く道を選びました。房長は刑期を終えて出所し、ムンチは洋服店を始めます。ムンチと医師キム・ソンファの関係も進展しました。
雑居房で顔を突き合わせていた面々が、仕事や家族との暮らしに戻っていく。あのにぎやかさを洋服店に持ち込んだら、接客中も静かにはならなそうです。こういう着地には、つい頬が緩みます。
最後のジョンウは、権力者の前で検事の身分証を出す
終幕では、ジョンウが再び検事として捜査に向かいます。相手は影響力のある人物で、上司からも捜査を控えるよう圧力がかかりました。それでも彼は現場へ行き、身分証を示して、堂々と名乗ります。
最後には、あの不敵なウインクです! 私には、自分と同じように権力で押し潰される人を、今度は検事として守るという宣言に感じられます。
最終回の話数が違うのは、日本向けの区切りがあるため
日本の放送では全21話の区切りがあり、DVDは全26話です。テレビ愛知の第18話と、テレQの第21話が最終裁判に当たります。数字だけ並ぶと、ミノより先に話数に振り回されそうですよね。
日本版DVDは、BOX1が第1〜12話、BOX2が第13〜26話の構成です。商品情報は『被告人』日本公式サイトにまとまっています。
PLAN Kエンタテインメントによる、日本公式の予告編です。
FAQ
ミノとソノは、同じ俳優が演じていますか?
オム・ギジュンが双子の2役を演じています。ジョンウ役はチソンです。
ウネを演じているのは誰ですか?
少女時代のユリです。法律を武器にジョンウを支える、新人弁護士ソ・ウネを演じました。
韓国で最終回が放送されたのはいつですか?
2017年3月21日です。
まとめ
この結末で私が好きなのは、人に頼ることをジョンウの強さとして受け取れるところです。自分で証拠を追う力に、弁護士や家族、雑居房の仲間の力が加わる。頼れる相手がいることは、人生がひっくり返ったときほど切実ですよね。
誰の言葉を信じるかで、一人の人生が大きく変わるドラマでもあります。立派な肩書より、その人が何を知り、何を隠しているか。そんなところまで気になってくる、後味のある最終回です。