ドンフンとジアンの最後の握手。あの手を離したあと、二人はどんな明日を迎えるのでしょうか。
『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』は、2018年にtvNで放送された全16話の韓国ドラマです。最終回の祖母の死、ジュニョンの失脚、二人の再会までネタバレがあります。
見終わると、立派な励ましより「ご飯は食べた?」のひと言が欲しくなりますね。私には、夕食の茶碗を持つ手が少し止まるような作品でした。
二人の出会いは、商品券と社長の工作から始まった

ドンフンを追い落とすために雇われたジアン
建設会社で働くパク・ドンフンのもとに届いたのは、差出人不明の5000万ウォンの商品券です。それを契約社員のイ・ジアンが持ち去り、商品券はゴミ箱に捨てられました。監査で追い詰められたドンフンは、ジアンに自分が捨てたことにしてほしいと頼みます。
ジアンが出した条件は、1か月間、夕食をおごることでした。この妙な取り決めで、会社帰りに二人が食卓を挟む日々が始まるんです。
一方、社長ト・ジュニョンは、ドンフンの妻カン・ユニと不倫していました。大学の先輩でもあるドンフンを会社から排除しようと、ジアンに金を渡します。ジアンは彼の携帯電話に盗聴アプリを仕込み、会話や私生活を聞くようになりました。
社長が部下の家庭を壊し、その部下を追い出すために別の部下を買収する。会社の机の上で進める仕事が、ひどすぎますね。
借金の取り立てと祖母の介護に追われる毎日
ジアンは母が残した借金を背負い、耳の聞こえない祖母ボンエを養っていました。昼の会社勤めに加えて夜も働き、借金取りのイ・グァンイルから暴力を受けています。まとまった金を得られるジュニョンの依頼は、その苦境に入り込んできた話です。
グァンイルの父親は、幼いジアンと祖母を虐待した男でした。ジアンは祖母を守ろうとしてその男を刺し、死なせています。グァンイルは父を失った恨みを彼女にぶつけ続けていたのでした。
盗聴していたジアンが、ドンフンを守る側に回る
聞こえてくるドンフンの声には、家族への気遣いも、妻の不倫を知った苦しさもありました。ジアンは職場で見せる無口な顔の奥を知り、彼に心を寄せていきます。相手を陥れる道具だった携帯電話が、彼の孤独を知る道具へ変わったのです。
ドンフンはグァンイルを訪ね、ジアンがどれだけ借金を負っているのか尋ねます。争いの中で、彼女がグァンイルの父親を殺した過去を知らされました。それでも、家族を傷つけられた彼女の立場に寄り添う言葉を返すんです。盗聴越しにそれを聞いたジアンは、道端で泣き崩れます。
借金は、ジアンがジュニョンから得た金で全額返済しました。
施設に入る日には、ドンフンが祖母を背負ってタクシーに乗せ、一緒に施設まで送ります。ジアンはドンフンに、お礼のスリッパも贈りました。励ましのひと言から、移動の支えへ。生活がひとつ軽くなる助けでした。
ユニは、ジュニョンが自分との関係を都合よく考えていることや、夫がすでに不倫を知っていたことを知り、ジュニョンと別れます。昇進審査の面談で、ジアンはドンフンが自分を一人の人間として尊重してくれたと語りました。彼女が守ろうとしたのは、彼の仕事と、壊れかけた日常です。
姿を消したジアンを、ドンフンが捜し出す
ジアンは、友人ギボムとともに、ジュニョンの敵対側にいるパク・ドンウンを陥れる工作にも加わっていました。その件の調査が進むと、ギボムは警察に追われ、ジアンも会社から姿を消します。
常務に昇進したドンフンに、ジュニョンはジアンによる盗聴を明かしました。ドンフンは携帯電話に向かってジアンを呼び、連絡を求めます。
彼女は逃亡先で体調を崩していましたが、以前から助けていたチュンデの協力で、ドンフンが居場所を見つけます。チュンデのもとで再会したドンフンは、自分の苦しい暮らしを知っても味方でいてくれたジアンに感謝を伝えました。ドンフンはジアンを病院へ連れていき、その後は後渓(フゲ)で店を営むジョンヒが彼女を受け入れます。
ユニも弁護士としてジアンを助けることを申し出ます。夫との家庭を守ろうとしてくれた彼女に、ユニ自身が向き合う場面です。ジアンは、ひとりで逃げ続ける生活から、周囲と一緒に事実を話す方向へ進みました。
最終回でジアンが出頭――ジュニョンは責任を押しつける
最終回でジアンは警察に出頭し、盗聴と工作を話します。ユニが法的な支えになりました。ところがジュニョンは、ジアンが勝手に動き、自分を脅していたという筋書きで責任を逃れようとします。
ジアン側では録音が削除されており、指示を証明する音声が大きな問題になりました。口裏を合わせて事実をねじ曲げるジュニョンを追い詰めるのは、彼自身の声です。
祖母の死と葬儀――ジアンを囲む後渓の人たち
最終回では、ジアンの祖母が亡くなります。知らせを受けたジアンにドンフンが付き添い、二人は祖母のもとへ向かいました。介護の負担が軽くなったあとにも、大切な人を失う悲しみは訪れるんですね。
葬儀を支えるのは、ドンフンの兄サンフンです。こっそり貯めていたお金を使い、花を用意し、地元のサッカー仲間にも声をかけました。後渓の人々や会社の仲間、ユニたちが集まり、祖母を送り出します。
サンフンはドンフンからの返済の申し出を断り、人のためにお金を使えたことに満足していました。仕事で失敗を重ね、弟に心配されてきた兄が、この場では頼れる人になるんです。
祖母は、生まれた縁を大切にし、幸せに生きることで恩を返せばいいという思いを残しました。その言葉が、ジアンの旅立ちを支えます。
葬儀のあと、グァンイルの録音で社内抗争が決着する

グァンイルは、ギボムから奪ったデータの中に盗聴の録音を持っていました。それを聞くうちに、ジアンが置かれた苦しさと、ドンフンが彼女を支えてきたことを知ります。
ジュニョン側は録音を奪おうと人を差し向けますが、グァンイルは逃げ、USBをドンフンの会社へ匿名で送りました。葬儀を終えたドンフンに荷物が届き、音声は警察に渡ってジュニョンの言い逃れを崩す証拠になります。
ジュニョンは社長職を失い、パク・ドンウンは復職します。ジュニョン側のユン常務も会社を去りました。ドンフンを排除するために続いていた工作は、ここで決着したのです。
釜山へ旅立つジアンと、自分の暮らしを選ぶドンフン

互いに救われたことを伝え、別々の場所へ
会社の会長の紹介で、ジアンは釜山の会社に就職することになりました。彼女が望むのは、自分の過去を知る人がいない土地での再出発です。
旅立ち前の食事で、ドンフンは、自分が壊れそうだったときにジアンが救ってくれたと伝えます。ジアンも、ドンフンと出会ってから生きられるようになったと感謝を返しました。二人は互いの幸せを願って乾杯するんです。
後渓の仲間との別れの夜、ジアンはドンフンを抱きしめてもいいかと尋ね、二人は抱き合います。最後は互いに「ファイティン」と声をかけて別れました。守られる立場だったジアンが、相手の明日も応援する。その変化がうれしい場面です。
ひとりの部屋で泣いたドンフンが、会社を立ち上げる
ユニは息子の留学先へ行き、ドンフンは韓国で暮らします。ドンフンは、自宅でひとり泣き崩れました。
私は、この涙にほっとしました。職場でも家でも踏ん張ってきた人が、ようやく苦しさを外へ出せたように感じたんです。背負った荷物を置くときには、荷物の重さが急に分かることがありますね。
その後のドンフンは、勤めていた会社を辞め、自分の会社の社長になっています。机には、兄弟3人がサングラスをかけた写真も置かれていました。
サンフン、ギフン、ジョンヒにも、それぞれの着地点がある
サンフンは妻との関係を取り戻し、再び一緒に過ごすようになりました。
弟ギフンと女優ユラは別れます。その後、ギフンは再び脚本に向かいました。書き始める作品の題は『フゲ・ヒル』です。
ギフン、その題で勝負するんですね! 私は、彼がまた作る側に戻ろうとする、この小さな再起が好きです。
ジョンヒのもとには、かつての恋人で、今は僧侶となったサンウォンが訪れます。ドンフンが用意した花を持ってきた彼に、ジョンヒは自分の空しさを打ち明けました。彼は彼女の平穏を願い、去っていきます。
ジアンとジョンヒは、休みの時期に会う約束も交わしていました。ドンフンとのつながりから始まった後渓での暮らしは、ジアン自身の人間関係になっています。
ラストのカフェで再会――ジアンがおごる側になる

時がたち、ジアンはソウルへ異動していました。職場の仲間とカフェにいると、聞き覚えのある声が耳に入ります。仕事の話をしていたドンフンの声でした。
かつて携帯電話から聞いていた声を、今度は日常の中で直接聞く。再会に気づいた二人は笑顔になり、近況を話します。ドンフンは自分の会社へ遊びに来るよう誘いました。
二人は握手し、ジアンが食事をおごる約束をします。彼女は呼びかける同僚たちのもとへ戻りました。ドンフンは、同僚たちと去るジアンを見送ります。
最後に重なるのは、ドンフンがジアンに安らぎにたどり着いたかを問い、彼女が肯定する声です。あの返事に、私は救われました。ジアンは働き、同僚と笑い合い、ドンフンと食事の約束を交わします。それが、彼女の手に戻ってきた幸せなんですね。
暴力の場面がつらいときは、ひと息ついても大丈夫
ジアンへの殴打や、幼いころの虐待を振り返る場面があります。借金を使った支配も続くので、疲れた日に見ると胸が苦しくなることもありそうです。途中で休むのも、誰かと一緒に見るのも、自然な付き合い方でしょう。
グァンイルの録音提供をどう受け止めるかは、考察の分かれるところですね。私は、ジアンを助けるために選んだ行動として受け止めています。同時に、彼の暴力はジアンを傷つけた加害として重く残ると感じました。
公式動画で、再会した二人の声と表情に触れる
長い物語を見終えたあと、言葉より先に顔が思い浮かぶことがあります。私はこの作品だと、ジアンの柔らかくなった表情です。韓国語のやり取りと二人の間合いを味わうにも、このラスト映像はいいですね。
tvN DRAMAが公開した、最終話の再会からラストまでの映像です(韓国語)。
FAQ
ジアンの名前には、どんな意味がありますか?
漢字表記は「至安」です。「至る」と「安らぎ」という名前の意味が、終幕の問いかけとつながっています。
ドンフンが独立した会社には、誰がいますか?
以前の会社でドンフンの部下だった仲間も、一緒に働いています。仕事を共にしてきた仲間との関係が、新しい職場にも続いた形です。
ジアンは、新しい職場でどんなふうに過ごしていますか?
同僚に手話を教え、笑ってやり取りする姿があります。祖母と話すための手話が、今度は仲間との会話を豊かにする。私はここにも、彼女が人と関わる楽しさを得たことを感じました。
まとめ
ジアンは新しい職場で仲間と笑い合い、ドンフンは自分の会社を立ち上げ、二人は再会して握手と食事の約束を交わします。あの街の賑やかさが、静かな部屋で見る私のところまで届いた気がするんです。
久しぶりの連絡は、話題を考えているうちに後回しになりがちです。でも今は、立派な近況がひとつもなくても、友人と今日の話をしたくなりますね。見終わったあとに誰かの顔が浮かぶ、そんな余韻を残す最終回でした。