プロポーズの席で、家事のお給料がなくなる話をされたら、喜ぶ前に聞き返したくなりますよね。
最終回までのネタバレがあります。『逃げるは恥だが役に立つ』は、2016年にTBSで放送された全11話の連続ドラマです。
みくりと平匡の両思いに胸をなで下ろしたところへ、毎月の生活費と家事の負担がやってきました。恋愛ドラマでこんなに家計が気になるとは!
逃げ恥の結末は、雇用関係から「共同経営責任者」へ

みくりと平匡は、夫が雇用主、妻が従業員という契約を白紙に戻し、家庭の「共同経営責任者」として暮らす道を選びます。
最終回時点の二人は事実婚の関係です。
家事のお給料から始まった二人が、本当の恋人になるまで
仕事を失ったみくりが、平匡の家で働き始める
森山みくりは大学院を出ても就職が決まらず、派遣の仕事も失ってしまいます。父の紹介で得たのが、独身の会社員・津崎平匡の家事代行の仕事でした。
掃除や料理への気配りを、平匡は仕事として評価してくれました。誰かに自分の働きを認めてもらえることが、みくりにはうれしいんです。
仕事を続けるため、みくりは結婚という形で住み込みの主婦になる案を持ちかけます。平匡も条件を検討して同意し、周囲には夫婦として振る舞う生活が始まりました。お給料を払う夫と、家事を仕事にする妻。新婚生活の始まりが、なかなかしっかりした雇用の話です。
風見の登場で揺れ、火曜日にハグをする約束へ
契約結婚を知った平匡の同僚・風見涼太は、その関係に興味を持ち、自宅にも週1回、家事代行に来てほしいと申し出ます。みくりが引き受けると、平匡は風見と自分を比べ、彼女への態度をよそよそしくしてしまいました。
みくりは、ぎくしゃくする生活を変えようと恋人になることを提案。周囲に新婚らしい親密さを示すため、二人は火曜日を「ハグの日」に決めます。
平匡にとって、抱きしめることさえ大仕事。曜日まで決まっているのが妙におかしくて、その慎重さがかわいくもありました。約束を重ねるうちに、二人の気持ちも近づいていくんです。
温泉旅行のキスと、実家へのすれ違い
みくりの伯母・土屋百合に温泉旅行を贈られ、二人は「社員旅行」のつもりで出かけます。その帰りの電車で、平匡がみくりにキスをしました。
ところが、その後の平匡は、みくりとの距離をまた取ってしまいます。みくりがさらに親密な関係を求めたときも、平匡は拒絶。傷ついたみくりは、けがをした母を手伝うため実家へ向かいました。
平匡を縛っていたのは、恋愛経験の乏しさと、失敗することへの怖さです。電話でその不安を打ち明け、みくりを傷つけたことを謝りました。
会うために動いても行き違ってしまう二人ですが、やがて素直な好意を交わすようになります。第9話から第10話にかけて、恋人として抱きしめ合い、一夜を共にするところまで進みました。
平匡のプロポーズを、みくりが「好きの搾取」と拒んだ理由
第10話で、平匡は会社のリストラ候補になります。転職後の収入も考え始めた彼は、みくりをレストランへ誘い、正式な結婚を申し込みました。
みくりも初めはうれしそうでした。ところが平匡が説明したのは、結婚すれば家事への給与の支払いがなくなり、そのお金を生活費や貯蓄に回せるという利点だったんです。
みくりが反発したのは、恋愛感情を理由に、これまで対価のあった家事が無償になる提案です。彼女はそれを「好きの搾取」と受け止め、プロポーズを拒みました。
好きな人との将来を考える話が、自分の労働の値引き交渉になってしまった。みくりの落胆は、ここが大きかったと私は思います。家事にかかる手間は、恋人になっても同じですから。
平匡には、一緒に暮らし続けたい気持ちがあります。その思いと、みくりが自分の仕事をどう感じているかとの間に、ずれが生まれた場面でした。
最終回の家事分担は、ごはんの炊き忘れで行き詰まる

外の仕事が増え、家の仕事が追いつかなくなる
最終回では、みくりが親友の安恵、通称やっさんに誘われ、商店街の青空市の運営に関わります。タウン誌のライターの仕事も始め、準備や作業に追われるようになりました。
そこで二人は、生活費と家事の担当を会議で決めていきます。平匡もみくりの仕事を一緒に支えるつもりで、家事を分担することにしました。
けれど、担当を決めると、今度は相手がやってくれるという期待が生まれます。忙しさで部屋も片づかず、みくりの言葉にはとげが増えていくんです。
決定的だったのが、みくりに頼まれていた炊飯を平匡が忘れたこと。平匡は外食などで済ませようとしますが、疲れて帰ったみくりは冷たく応じ、自分でごはんを買いに出ました。
夕飯そのものは買えば用意できます。でも、相手を頼りにしていた日にこの行き違いはつらいですよね。分担を決めた安心感より、互いの失敗への不満が大きくなっていました。
浴室に閉じこもったみくりに、平匡が語りかける
みくりは、自分のひどい態度を振り返って落ち込みます。過去に言われた「小賢しい」という言葉も浮かび、家事ができて優しい自分だから好かれたのだと、平匡との関係まで疑うようになりました。
浴槽にパソコンを持ち込んで仕事をし、平匡を遠ざけるみくり。関係をやめるなら今だとまで言って、浴室の扉を閉めてしまいます。
その姿に、平匡は以前の自分を重ねました。彼女が少しずつ近づいてくれた日々を思い返し、扉をノックして、外から静かに話しかけるんです。
平匡は、一人にも二人にもそれぞれ面倒があるのなら、話し合ったり時間を置いたりしながら、一緒にやっていこうと呼びかけます。みくりの不器用さも受け入れたうえで、青空市を楽しみにしていると告げました。
前半では自分を守るために距離を取っていた人が、今度は相手のペースを待っている。私はこの平匡にぐっときました。扉一枚の距離で、ずいぶん大きな変化です。
青空市で仲直りした二人は、ハグの約束を取り戻す
青空市の当日、みくりは運営の仕事で走り回り、平匡も会場へやってきます。二人はそこで、胸につかえていた思いを言葉にしました。
平匡は、みくりを小賢しいと思ったことは一度もなく、相手を見下すような見方をしてこなかったと伝えます。みくりは、自分の意見を言うたびに嫌われるという思いから、ようやく離れられたんですね。
気持ちを確かめた二人は、人のいる会場でハグをします。みくりが力を注いだ青空市も成功しました。
その後、二人は今後の就職や住まいについて相談します。平匡は、忙しい日やけんかをした日にも触れ合うきっかけになるよう、火曜日のハグを復活させたいと提案しました。
みくりも寝る前のハグを望み、寝床は別のほうがよく眠れるという希望を口にします。平匡は朝のキスをおねだり。ずいぶん積極的になりましたね!
同じ家でも、眠りやすい環境は人それぞれ。そこまで話せるようになった二人の会話には、甘さと暮らしの実感が両方ありました。
百合と風見、沼田と梅原にも、それぞれの結末がある

百合は17歳差へのためらいを越え、風見と結ばれる
風見から告白された百合は、17歳の年齢差を気にして踏み出せずにいました。若い風見の将来まで考え、自分から距離を取ろうとするんです。
そんな百合に、風見へ好意を寄せる五十嵐杏奈が、年齢を理由に恋を諦めさせるような言葉をぶつけます。
百合が返したのは、若さだけに価値を置けば、いずれ年を取る自分自身を苦しめることになる、という言葉でした。そのやり取りは、百合自身のためらいともつながっています。
青空市で風見と再会した百合は、彼への気持ちを素直に認めました。百合と風見は互いの好意を伝え合い、恋人同士になります。風見が百合の額にキスをする、初々しい場面です。
アプリでやり取りしていた沼田の相手は梅原
平匡の同僚・沼田頼綱がアプリで親しくなっていた相手は、百合の部下・梅原ナツキでした。梅原は、アプリでは百合の名前を借りてやり取りをしていたんです。
梅原は会いたがっていた一方、沼田は会うことをためらっていました。百合と沼田がそれぞれ好きな人へ連絡しようと決めたことで、こちらの二人にも対面の機会が訪れます。
やっさんは商店街で働き、日野も家族で会場へ
やっさんは離婚を経て、子どもを育てながら実家の八百屋や商店街の活動に取り組んでいます。青空市では、みくりと一緒に仕事の成果を喜ぶ姿がありました。
子どもの事情でたびたび約束に来られなかった平匡の同僚・日野秀司も、家族と青空市へ駆けつけます。みくりとようやく顔を合わせられた喜びに、こちらも笑ってしまいました。
ダーツの妄想から、引っ越しの日のハグへ

終盤には『東京フレンドパーク』のダーツをまねた、将来についての妄想場面があります。みくりと平匡が矢を投げる的には、挙式や子だくさん、別離、逃亡などの選択肢があります。
みくりの語りは、思いどおりの道を選べる日も、そうできない日もあり、逃げたり戻ったりしながら日々が続くという内容です。
ダーツの妄想のあと、引っ越しの日を迎えた二人は、火曜日のハグを交わします。
結末の解釈として、私は、未来を一つに決めきる怖さから二人が自由になったラストだと感じました。あれだけ慎重に条件を考えてきた二人が、ダーツで将来を試しているのもいいんですよね。肩の力が抜けた感じがします。
もう一度あの空気を味わうなら、主題歌「恋」も
星野源が歌う主題歌「恋」は、ドラマのエンディングのダンスでもおなじみです。
星野源の公式チャンネルによる「恋」のミュージックビデオです。
TBSの公式サイトには、連続ドラマ各話のあらすじがあります。再視聴する話を探すときにも便利です。
FAQ
最終回のサブタイトルは?
「夫婦を超えてゆけ」です。みくりと平匡に加え、周囲の人たちの生き方まで響く言葉ですね。
みくり役と平匡役は誰ですか?
みくりを新垣結衣、平匡を星野源が演じています。原作は海野つなみの同名漫画、ドラマの脚本は野木亜紀子です。
青空市で登場する日野の妻役は誰ですか?
乙葉です。日野役の藤井隆とは実生活でも夫婦で、最終回での共演になりました。
まとめ
みくりと平匡は契約を白紙に戻し、家庭の共同経営責任者として暮らす道を選びます。洗濯物も弱音もたまる暮らしの中で、あの不器用な二人がちゃんと愛おしくなる最終回でした。