ギーグ戦で怖いのは、「次は何を選べばいいんだろう」とコントローラーを握った手が止まる瞬間です。町ではあんなに気の抜ける会話をしていたのに、最後の相手はこの迫力。夜中に一人で向き合うには、なかなかの圧ですよね。
『MOTHER2 ギーグの逆襲』は、1994年に発売された日本語のスーパーファミコン用RPGです。最終戦、4人の帰還、スタッフロール後の手紙までネタバレ注意。
ギーグ戦の最後に祈るのは、プレイヤー自身です

ポーキーが悪魔のマシンを止め、ギーグが解き放たれる
最後の戦場は「過去の最低国」。奥でネスたちを待つのはギーグと、重装備のポーキーです。オネットの隣家にいたあの子が、ここではギーグに加担する敵として立ちはだかります。
ギーグは強大すぎる自分の力によって人格を壊され、邪悪な力そのものになった存在でした。ポーキーは「悪魔のマシン」を使い、その力を制御しています。初めは装置の中にネスの顔が浮かび、ポーキーを追い詰めるとマシンのスイッチが切られる、という展開です。
すると画面を覆うのが、形を変え続ける赤いギーグ。さらに攻撃を重ねたあと、ポーキーの再登場を挟んで、決着をつける最後の段階へ進みます。ここで勝敗を動かすのが、ポーラの「いのる」でした。
旅で出会った人々から、画面のこちら側へ届く祈り
祈りを重ねると、場面が各地へ移ります。最初はサターンバレーのどせいさん、アンドーナッツ博士、アップルキッド。次にトンズラブラザーズ、ポーラの家族と幼稚園の子どもたち、トニーたち寄宿舎の友人、ランマの人々、フランク、ネスの母と妹が、4人の無事を祈るのです。
旅先で手を貸してくれた人も、最初に戦った相手も、同じ願いでつながる。私はフランクが出てくるところに弱いです。ゲームセンターで殴り合った仲が、こんな形で帰ってくるとは!
8回目には、呼びかけが闇に吸い込まれてしまいます。それでも続ける9回目の祈りで登場するのが、ゲーム中に入力したプレイヤー本人の名前です。トニーからの電話ではアルファベットで名乗り、グミ族の村では日本語の読み方を確認します。
そこでギーグは消滅し、ネスたちは勝利しました。ポーキーは逃走します。あれだけ大きな顔をしていたのに、逃げ足まで立派です。
急にコントローラーの重みが変わるような演出ですよね。私には、長い旅を見守ってきた時間まで戦いに参加したように感じられます。
隕石の夜から、ネス・ポーラ・ジェフが出会うまで
ブンブーンの予言と、ハッピーハッピー村の救出
旅の始まりは、オネットに隕石が落ちた夜でした。ネスはポーキーと一緒に、その弟ピッキーを捜しに行きます。隕石のそばで出会うブンブーンは未来から来た存在で、ギーグによって地球が危機に陥ることと、その未来を変えるネスたちの役目を告げるのです。
ブンブーンは死に際にネスへ「おとのいし」を託し、息を引き取ります。ネスは八つの「おまえのばしょ」を巡り、そこにあるメロディーを集める旅へ。まずシャーク団のフランクを倒し、最初の場所へ向かう道を確保しました。
ツーソンへ進むと、超能力を使う少女ポーラから助けを求められます。彼女を閉じ込めているのは、ハッピーハッピー村の教団です。村の指導者カーペインターは雷を使ってくるので、ポーラから受け取った「フランクリンバッジ」の雷を反射する働きが、救出に結びつきます。
村へ通じる道では、発明家アップルキッドの「タコけしマシン」で、通行の邪魔をするタコの像を消します。世界の危機に対して、まずタコをどうにかする。こういう妙な具体性、好きなんですよね。
スリークの牢から助け出すのは、遠いウィンターズの少年
ポーラを救出したあと、ネスたちはトンズラブラザーズの借金を清算する手助けをし、彼らのバスでスリークへ向かいます。ところが町はゾンビたちに支配され、2人はホテルでわなにはまって地下に閉じ込められました。
ポーラの呼びかけが届いた先は、ウィンターズの寄宿舎にいるジェフです。友人トニーの助けで寄宿舎を出たジェフは、父親のアンドーナッツ博士の研究所へたどり着きます。博士の飛行装置「スカイウォーカー」に乗り、スリークでネスたちを救出。ここから3人の旅になりました。
アップルキッドの「ゾンビホイホイ」で町のゾンビを集めると、北へ進めます。その先のサターンバレーにはどせいさんが暮らしていました。ネスたちは「はえみつ」に夢中になるゲップーを倒し、彼らを苦しめていた基地の脅威を取り除くのです。
フォーサイドの事件と、プーが加わる長い旅
ポーラの再救出と、マニマニの像が作るムーンサイド
次の大きな町フォーサイドでは、デパートの停電に乗じてポーラが連れ去られます。捜索の途中でネスとジェフが迷い込むのは、ネオンに包まれた奇妙な町ムーンサイド。そこでは返事の「はい」と「いいえ」さえ逆になるのです。
その幻を生んでいたマニマニの像を破壊すると、2人は元のフォーサイドへ戻ります。さらにモノトリービルへ踏み込み、ポーラと再会しました。ポーキーは市長モノトリーの側に取り入り、最後は屋上のヘリコプターで逃げ去るという、相変わらずの立ち回りです。
一行はスリークに残っていたスカイウォーカーを修理してウィンターズへ戻り、その後サマーズへ飛びます。ここで加わるのが、ランマの王子プーでした。
サマーズでネスが特別なケーキを食べると、プーの修行へ場面が移ります。プーは「ムの修行」で身体や感覚を奪われる試練を乗り越え、老師から天のお告げを聞いてネスのもとへ。これで、地球を救う4人がそろいました。
ピラミッド、魔境、ストーンヘンジを経て地底へ
サマーズの博物館で得たヒエログリフの写しは、スカラビのピラミッドへ進む手掛かりです。その前後にフォーサイドの地下道とランマにも足を延ばし、メロディーを集めます。船旅ではクラーケンとも戦うので、観光気分もすっかり吹き飛びました。
ピラミッドで手に入る「タカのめ」は、魔境の闇を照らす道具です。プーは強力な超能力「PKスターストーム」を学ぶため、いったん仲間から離れます。残る3人はダンジョンおとこの内部にある潜水艦をジェフに修理してもらい、魔境へ渡りました。
そこで立ちはだかるのが、帰ってきたゲップー。戦闘の途中に修行を終えたプーが戻り、とどめを刺して合流します。再び4人になった一行が出会うグミ族は、とても無口でした。
彼らの悩みを解く「むくちをなおすほん」を探す過程で、アップルキッドたちの誘拐が発覚します。ネスたちはウィンターズのストーンヘンジ基地でDXスターマンを倒し、捕まった人々を救出。救われたアップルキッドから本の返却先を聞き、オネットの図書館で借りてグミ族に渡しました。
会話できるようになったグミ族が大岩を動かすと、ルミネホールへ進めます。光る壁に浮かぶのはネス自身の心の声でした。その先に広がる地底大陸を抜け、ファイアスプリングでカーボンドッグから変化するダイヤモンドドッグを倒すと、八つのメロディーがそろいます。
「おまえのばしょ」の名前と位置は、次のとおりです。
| 場所 | 位置 |
|---|---|
| ジャイアントステップ | オネットの北にある洞窟の先 |
| リリパットステップ | ハッピーハッピー村から入る洞窟の先 |
| ミルキーウェル | サターンバレーから続く洞窟の先 |
| レイニーサークル | ウィンターズの洞窟の先 |
| マグネットヒル | フォーサイドの地下道の先 |
| ピンククラウド | ランマの洞窟の先 |
| ルミネホール | グミ族の村から進む地下 |
| ファイアスプリング | 地底大陸から入る洞窟の先 |
マジカントで自分と戦い、ロボットの体で過去へ

心の世界で「ネスのあくま」を倒す
メロディーが完成したネスは、心の世界「マジカント」へ移ります。そこでは仲間と離れ、ネス一人で、自分の記憶や感情に向き合うのです。見知った人々や敵が現れるこの場所は、町を歩く冒険から、頭の中を歩く冒険へ変わったように感じられます。
最奥のエデンの海には、金色の像の姿をした「ネスのあくま」が待っていました。打ち勝つことでネスは自分の力を大きく解放し、サターンバレーへ戻ります。
世界を相手にする前に、自分の中の怖さとも戦う。私はこの展開に、ネスの成長の重みを感じます。ずっと敵の拠点を追ってきた旅が、最後に本人の内側へ潜るのがいいんですよね。
隕石のかけらを回収し、戻れる保証のない旅を選ぶ
アンドーナッツ博士たちは、ギーグのもとへ向かう装置「スペーストンネル2」を準備しています。完成に欠かせない材料が、最初の夜に落ちた隕石のかけらでした。ネスたちは再びオネットへ向かいますが、故郷はギーグの影響を受け、敵がうろつく危険な町に変わっています。
隕石のかけらを届けて一晩過ごすと、4人はスペーストンネル2で現在の最低国へ移動しました。続いて博士たちがスペーストンネル3を運び込み、過去への移動を可能にします。ギーグが潜む時代へ進むための、最後の準備です。
スペーストンネル3では、生きた体のまま過去へ移動できません。博士が提案したのは、4人の頭脳プログラムをロボットに移す方法でした。移植に伴って、心や魂にあたるスピリットもロボットへ移ります。元の体へ帰れるかも、旅から戻れるかも保証できない計画でした。
それでも4人は引き受け、金属の体で過去へ進みます。ポーキーは先にスペーストンネル1を奪い、同じ時代へ逃げ込んでいました。
4人の帰路と、スタッフロール後に届く手紙

プーはランマへ、ジェフは父のもとへ
戦いのあと、ロボットから抜け出した4人のスピリットは、サターンバレーに残された自分たちの体へ帰りました。
プーは旅の経験を故郷のために生かそうと、ランマへ帰ります。別れ際の「PKサヨナラ」という言い方まで、しっかりプーらしいですよね。あの短いひと言に、寂しさと照れが一緒にある気がします。
ジェフはアンドーナッツ博士のそばに残り、父から学ぶことを選びました。ネスとポーラが将来結婚するなら、壊れた電化製品は自分が修理する、とまで話します。世界を救った直後に家電のアフターサービスを約束するの、頼もしすぎませんか?
「アンドーナッツ博士」と言いかけて「パパ」と呼び直すのも、この別れの大事なところだと思います。ジェフの言葉は少し遠慮がちで、その照れがいいんですよね。
ポーラを送り、ネスは家のアルバムへ帰る
ネスとポーラは、2人で各地を歩けるようになります。町の人々と話してから、ポーラの家があるツーソンへ。送り届けると、ポーラはまた会うことを約束して別れます。
ここで恋の答えを待ちたくなる気持ち、分かります。ジェフがあんな話までしたあとですからね。私は、この少しもじもじした会話に、年相応の2人が戻ってきた感じがします。
オネットの自宅へ帰ったネスに、母は届いた写真のことを話します。もう一度話しかけ、アルバムを見る誘いに応じると、登場人物とスタッフの紹介、旅で撮った写真が流れるエンディングです。
私はここで、ほっと息が抜けます。長い旅行から帰って、座り慣れた場所に腰を下ろしたときの安心感に近いんですよね。
真夜中の訪問者はピッキー。手紙を書いたのはポーキー
スタッフロールのあと、夜のネスの家でノックが鳴ります。訪ねてきたのはポーキーの弟ピッキーでした。彼が届ける兄の手紙には、ネスを呼び寄せ、おしりペンペーンとからかう挑発が書かれています。
最後に現れる文字は「TO BE CONTINUED…」、つまり「つづく」です。最初の夜と同じように、ポーキーの家からまた騒ぎがやってきます。平和に眠るまでが、ずいぶん遠い!
ギーグの恐怖演出と考察で気をつけたいこと
最終戦の背景は、やがて砂嵐のように崩れていきます。ギーグがネスの名前を繰り返し呼ぶ言葉も、不気味さを強める演出です。血の気が引く感じは、あの画面と声にならない呼びかけの組み合わせから来るのだと思います。
「胎児説」は、ギーグの形を胎児に重ね、過去への旅を出生前の殺害に結びつけたファンの考察です。画面から何を連想するかは、遊ぶ人によって変わります。
町の空気を思い出せる任天堂の公式映像
短い映像でも、あののんびりした景色は懐かしいですね。
2022年2月のNintendo Directで公開された、『MOTHER』と『MOTHER2 ギーグの逆襲』の配信告知映像です。
FAQ
最終戦でポーラが気絶したら、どうなりますか?
ポーラの復帰を優先する戦いになります。「いのちのうどん」などで生き返らせると、再び祈れる状態です。ほかの3人が回復や防御を担い、彼女の行動を支える形になります。
ポーラを家へ送らず、ネスの自宅へ帰ってもいいですか?
ポーラと一緒にネスの家へ帰ることもできます。その場合、ネスの母とポーラのやり取りが加わるのです。
ギーグを倒したあとの状態を、ゲーム内でセーブできますか?
日本語SFC版では、撃破後の状態を父への電話でセーブできません。帰宅までの散歩をひと続きで味わう、という作りでした。
まとめ
ギーグ戦はプレイヤー自身の祈りで決着し、4人は元の体へ戻り、ネスの帰宅後にはポーキーの手紙が届きます。私は、あの4人に対して「よく頑張ったね」と「また会いたいな」が一緒に湧いてくるんです。