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落下の解剖学ネタバレ|無罪でも犯人は謎?息子の証言とあの結末

落下の解剖学ネタバレ|無罪でも犯人は謎?息子の証言とあの結末

殺人容疑をかけられたサンドラは、どんな顔で話せば信じてもらえるのでしょう。落ち着いた受け答えに冷たさを感じる人も、反論する姿に強さを感じる人もいるはずです。『落下の解剖学』は、人の態度からつい事情を想像してしまう自分にも、ちょっと痛い映画なんですよね。

『落下の解剖学』は、ジュスティーヌ・トリエ監督の2023年のフランス映画です。

結末のネタバレがあります。夫の死をめぐる疑いは、やがて息子の記憶と、母を信じる気持ちにまで及ぶんです。

結末でサンドラは無罪に。転落の真相は未確定

無罪判決と未確定の転落の真相

サンドラには無罪判決が出ます。サミュエルの転落が殺人、自殺、事故のどれだったかは、最後まで未確定です。

雪山の山荘で起きた転落と、食い違う息子の証言

雪山の家と法廷の空気を映した、ギャガ公式の日本語予告です。

大音量の音楽で取材が中断される

作家のサンドラは、山荘で女性の学生から取材を受けています。ところが、夫サミュエルが上の階で音楽を大音量でかけ始め、会話を続けにくくなりました。サンドラは取材を切り上げ、学生を帰らせます。

11歳の息子ダニエルは、視覚に障害があります。愛犬スヌープと散歩に出て、戻ったときに見つけたのが、家の外で倒れている父の遺体でした。サンドラは、当時は昼寝をしていたと説明します。

サンドラは当初、夫は事故で落ちたと考えています。旧知の弁護士ヴァンサンは、弁護のために自殺の可能性を探りました。

頭の傷、血痕、どこから聞いたか

捜査で焦点になるのは、サミュエルの頭の傷と、小屋に残った血痕です。検察側は、サンドラが夫を殴り、バルコニーから落としたと主張します。弁護側が示したのは、屋根裏の窓から落ちた際に、下の小屋に頭をぶつけたという説明でした。

同じ傷と血痕について、専門家の説明も対立します。傷の存在は共通していても、それができた経緯については意見が割れるんです。

ダニエルは、散歩に出る前に両親の会話を聞いたと話しました。現場再現では、会話を聞いた場所について説明が食い違います。

父が亡くなった日のことを、立っていた場所まで繰り返し問われる子ども。私には、この段階でもう十分きついです。こうした証言の食い違いや傷の状況、前日の録音を経て、サンドラは殺人で起訴されました。

法廷で明らかになる、息子の事故と夫婦の不満

夫婦の仕事と育児、執筆時間への不満

サミュエルが抱えていた事故への罪悪感

ダニエルの視覚障害は、幼いころの事故によるものです。父が迎えを任せたベビーシッターと帰る途中、ダニエルは事故に遭いました。

サミュエルは、自分が迎えに行かなかったことを悔やんでいました。サンドラにも夫を責めた気持ちがあり、息子の事故は二人の間に長く残った傷だったんです。

サンドラは、夫が抗うつ薬の服用をやめ、その後、死の約半年前にアスピリンを大量に飲んだことがあると話します。精神科医が語る夫婦の関係は、サンドラの説明と食い違っていました。

夫が欲しかったのは、自分の小説を書く時間

法廷では、サミュエルが録音していた死亡前日の口論が再生されます。そこで噴き出すのが、仕事と育児、執筆時間、そして小説のアイデアへの不満でした。

サミュエルは教師として働き、息子の世話や勉強も担っていました。自分も小説を書きたいのに、家族のために時間を使ってばかりだと妻を責めます。サンドラは、書く時間をどう作るかは夫自身の問題だと反論するんです。

「時間がない」と「時間の使い方が悪い」がぶつかると、話が進まなくなるんですよね。家事も仕事も、手帳に書いた予定どおりには終わってくれません。

さらに夫は、自分のアイデアをサンドラが小説に使い、成功したことへの不満もぶつけます。妻は作品を完成させた側、夫は書き上げられずにいる側でした。夫婦であり、同じ仕事を志す二人でもある。その差が、口論をいっそう苦くしています。

サンドラの女性との不倫も、裁判で追及されました。

録音の暴力と、小説の殺意は誰のもの?

口論の録音には、打撃音も入っています。検察側は、サンドラが夫に暴力を振るったと主張しました。

サンドラは、夫を平手でたたいたことを認めます。録音に入った音には、サミュエルが自分を傷つけた音もあると説明するんです。

腕のあざも、彼女への疑いを強めました。家具にぶつけたという最初の説明から、口論中の出来事へと話が変わったためです。サンドラは、自分に不利なことを隠していた人物として見られていきます。

前日の口論で暴力があったことと、翌日に夫を殺したという検察の主張には、時間の隔たりがあります。検察は二つを続く出来事として論じ、サンドラは、激しい一度の口論だけで長い結婚生活を判断されることに反発しました。

さらに検事は、サンドラの小説にある、夫の殺害を考える人物の文章を持ち出します。実体験を小説に使う作家だから、登場人物の殺意も本人の気持ちに近いのではないか、という追及です。

作家にとっては、原稿まで証言台に呼ばれるような怖さがありますね!サンドラは登場人物の言葉と自分の考えを重ねる追及にも抗議します。家での言動から創作まで、どこまでも疑いの対象になる裁判でした。

ダニエルが犬に薬を飲ませた理由と、父の言葉

母と離れた週末の犬の不調と息子の証言

母と離れた週末、スヌープの不調を確かめる

両親についての話を聞き続けたダニエルは、もう一度法廷で証言したいと申し出ます。その前の週末、母には家を離れてもらい、裁判所の付き添い役マージとスヌープと過ごしました。

母の影響から離れて考える時間に、彼が試したのは、犬への投薬です。ダニエルはスヌープにアスピリンを与え、以前の不調と似た状態になることを確かめます。スヌープはぐったりし、マージも助けて、回復に至りました。

ダニエルは、父が薬を大量に飲んだという時期に、スヌープも具合を悪くしていたことを覚えています。当時、犬から吐しゃ物のにおいがした記憶もありました。

ダニエルが考えたのは、スヌープが父の薬を含んだ吐しゃ物を食べた、という可能性です。実験で起きた犬の反応が、母の語る過去の出来事を信じる理由になっていきます。

それでもダニエルは、何を信じたらよいのか悩んでいます。マージは、確かさを得られないときには、自分で決めることもあると話しました。父の死に向き合う息子にとって、証言はとても重い選択なんです。

犬の死への備えを、父自身の言葉として受け止め直す

週明けの証言で、ダニエルは犬に薬を与えたことと、そこから考えたことを語ります。さらに思い出したのが、具合の悪いスヌープを父と獣医へ連れて行ったときの会話でした。

その車中でサミュエルは、愛する相手が死ぬこともある、と話していました。当時のダニエルは犬についての話だと思って聞いています。裁判を経た今は、父が自分自身の死を意識していた言葉として受け止めるんです。

ダニエルは、母が父を殺したという説明よりも、父が自ら命を絶ったという説明を受け入れます。父の気持ちについて、息子が法廷に届けた言葉でした。

裁判のあと、母と息子は帰宅を怖がっていた

裁判後の食事と帰宅、母子の抱擁と犬

祝杯の席でも、夫を失った実感が残る

裁判を終えたサンドラは、弁護士ヴァンサンらと食事をします。勝った実感よりも、何も得られなかったという感覚を口にするんです。

刑務所へ行く恐れは去りました。夫を亡くした喪失感は、食事の席にもついてきます。周囲と祝う場にいるのに、サンドラの気持ちは晴れきらない。その温度差が寂しいですね。

ダニエルが母を抱きとめ、最後は犬と休む

サンドラが家に戻ると、二人は帰宅への怖さを互いに打ち明けます。そして母と息子は抱き合いました。

父を失ったうえ、母を疑う話まで聞いてしまった息子。サンドラも、息子が自分をどう思っているのかを抱えて帰ってきたのでしょう。あの抱擁には、お互いに会えた安堵と、簡単には消えない怖さが混じっているように感じます。

最後にサンドラは横になり、そばへ来たスヌープと一緒に休みます。その前には、サミュエルの写真に目を留めていました。

私には、裁判で答え続けた人が、ようやく言葉を使わずに誰かのそばにいられる場面に見えます。犬は問い詰めてきません。今はそれがありがたいんですよね。

息子の嘘という説と、鑑賞前に気になる場面

ダニエルは母を救うために話を作った?

母との生活を守るため、ダニエルが証言を作ったという読みは可能です。記憶をたどるうちに、父の言葉の意味を本気で理解し直した、という読みも成り立ちます。証言の真偽は曖昧です。

私は、子どもにそこまで決めさせるのか、という苦しさを強く感じます。親のことを分かっているつもりだった子が、親について知らなかった話を聞く。その痛さも、あの証言にあると思うんです。

犬への投薬は危険。まねはしないでください

自殺の疑い、夫婦間の暴力、犬が苦しむ描写がある作品です。動物の危機が苦手な人には、緊張の強い場面が続きます。

人間用の薬は犬に害を与えることがあります。獣医師の指示なしに与えないでください。薬を誤って飲んだ疑いがあるときは、すぐ獣医師へ連絡し、自己判断で吐かせることも避けてください。

薬の事故については、ペットに危険なものの案内と、動物が有害なものを飲んだときの対応が参考になります。

もう一度観るなら、国内ソフトには字幕と吹替の両方がある

国内のBlu-ray・DVDは、日本語字幕でも日本語吹替でも鑑賞できる仕様です。ギャガのBlu-ray・DVD案内に、それぞれの音声・字幕仕様があります。

再鑑賞で気になるのは、検事の質問の仕方です。相手の答えを待っているのか、自分の筋書きへ押し込もうとしているのか。声の強さや間にも、法廷でサンドラが受ける圧力を感じます。

FAQ:『落下の解剖学』のよくある質問

なぜ夫婦の会話に英語が使われているのですか?

サンドラはドイツ人、サミュエルはフランス人で、二人は共通の言葉として英語で会話します。フランスの法廷では、サンドラが母語以外で細かな気持ちを説明する難しさもあるんです。

スヌープを演じた犬の名前は?

ボーダーコリーのメッシです。カンヌでは犬の演技をたたえるパルムドッグ賞を受賞しました。人間たちの議論で疲れた気持ちを、犬に預けたくなりますね。

上映時間はどれくらいですか?

152分、2時間32分です。家で観るときも、途中で家事を挟むには惜しい長さですね。サンドラの返答を聞きながら、こちらまで次の質問を待ってしまいます。

まとめ

『落下の解剖学』という題名は、ひとつの家庭をばらばらにして調べる怖さにも重なると感じます。事件の結末を待つ間に、他人の暮らしを裁く居心地の悪さまで味わうんです。

観た人と話したら、同じ人物の印象が食い違うかもしれませんね。意見を聞いたあとにもう一度観たくなる、厄介で面白い映画です!

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