雷が鳴るプライドランドで、幼いキアラが両親の帰りを待っています。シンバとナラは新しい子の出産のために出かけ、娘の子守りをティモンとプンバァに頼んだところです。その二頭への信頼、なかなか大胆ですよね。
そこへやってきたラフィキが、キアラの祖父ムファサの昔話を始めました。立派な王として知られる彼にも、家族を捜し、兄弟とじゃれ合っていた日々があったんです。
『ライオン・キング:ムファサ』は2024年公開の超実写映画です。ここから結末までのネタバレがあります。
洪水で離れた家族と、王子タカとの出会い

ムファサを迎えるため、タカはかけっこの勝ちを譲る
幼いムファサは、父マセゴ、母アフィアと乾いた土地で暮らしていました。母が語るミレーレは、水と緑に恵まれた憧れの場所です。ところが大雨で洪水が起こり、ムファサは濁流にのまれて両親と離れ離れになります。
流れ着いた先で出会ったのが、王子のタカでした。ワニに襲われかけたムファサを、タカが水辺から助けます。ふたりの兄弟の絆は、タカがムファサに命と居場所を与えたことから始まるんです。
タカの母エシェはムファサを受け入れますが、父である王オバシは、よそ者を嫌っていました。オバシが出した条件は、タカとのかけっこに勝つこと。そこでタカはわざと負け、ムファサを群れに残せるようにします。
王子の立場を振りかざすより、一緒に育つ兄弟が欲しい。そんな幼いタカの人懐っこさに、こちらまでうれしくなる場面です。
ムファサは狩りを学び、タカは王の後継者として育つ
成長しても、ふたりは遊び、寄り添って暮らします。ただ、群れの中で与えられた役割には差がありました。オバシはタカを王位の後継者としてそばに置き、ムファサはエシェたち雌ライオンと過ごすんです。
エシェから狩りを教わったムファサは、優れた嗅覚や観察力を磨いていきます。一方、タカはオバシたち雄ライオンと、眠って過ごすことが多かったのでした。昼寝にそこまで威厳を持たせる王様、なかなかのものです。
キロスの復讐で故郷を失い、ミレーレへの旅が始まる
エシェを守った戦いが、白いライオンの王を呼び寄せる
ある日、エシェが白いライオンに襲われます。ムファサは彼女を守るために戦い、襲撃者の一頭を倒しました。そのライオン、シャジュの父親が、はぐれ者の群れを率いるキロスです。
このときタカは、恐怖から逃げ帰ってしまいます。母を助けたムファサと、逃げた自分。その違いをタカ自身も痛いほど意識することになりました。
息子を殺されたキロスは、復讐のためにオバシの群れへ迫ります。相手の数と力を知ったオバシとエシェは、王家の血筋を残すため、タカをムファサとともに逃がすと決めたんです。
ふたりを送り出した群れはキロスたちに襲われ、オバシとエシェも命を落としました。追っ手に追い詰められたムファサとタカは、滝から飛び降りて逃れます。ムファサは、ようやく得た家族のもとを、また離れることになるのです。
サラビ、ザズー、若いラフィキが仲間になる
旅先で出会うサラビも、キロスの群れに故郷を奪われた雌ライオンでした。彼女と行動しているサイチョウのザズーは、空から周囲を調べる偵察役です。さらに、夢や幻視を信じるため仲間の群れから追われた、若いラフィキが加わります。
ラフィキは夢で見たミレーレへの道を知っており、そこで兄弟に会えると信じていました。ムファサにとっても、母の語っていた場所を目指せる旅になったんです。
道中では、ムファサが風に乗った敵のにおいを読み、谷底へ降りて追跡をかわしていきます。仲間たちは、彼の感覚と判断を頼るようになりました。
サラビへの恋が、タカを裏切りへ向かわせる

ゾウの暴走からサラビを守ったムファサ
タカはサラビに恋をして、ムファサに相談します。ムファサは、彼女から漂う故郷の花の香りを話題にするよう助言するんです。命がけの逃避行に恋の相談まで乗っていて、兄弟もなかなか忙しいですね。
キロスたちが追いついたとき、サラビは蜂の巣を落としてゾウの群れを暴走させ、敵を遠ざけます。しかし自身も倒れ、踏みつぶされそうになりました。そこへ駆け寄り、体を張って彼女を守ったのがムファサです。
サラビが目を覚ますと、ムファサは救った手柄をタカに譲ります。タカが彼女を好きだと知っていたからでした。
雪山を進むうち、サラビは本当に助けてくれた相手に気づきます。彼女はムファサへの思いを打ち明け、ふたりは互いの気持ちを受け入れました。
嫉妬したタカは、キロスと手を組んで道を教える
その様子を見たタカは、ムファサに裏切られたと感じます。タカの中では、両親の愛情も、王になる未来も、サラビも、自分から兄弟へ移っていくように思えたんです。
タカはキロスのもとへ行き、ムファサを倒すための協力を申し出ました。自分の両親を殺した相手と手を組むところまで、怒りが膨らんでしまいます。
タカは父を失った原因までムファサに押しつけます。仲間の行き先がミレーレだと明かし、戻った後も岩に爪痕を残して、追っ手を誘導するのでした。
タカが抱く「奪われた」という感情は、サラビ自身の選択までムファサのせいにしています。私はこのあたり、幼いころの無邪気な顔を思い出すほど、苦しくなりました。
ミレーレの決戦で、タカは傷を負い、キロスは死ぬ
ムファサの呼び掛けで、動物たちが共に戦う
一行はついに、水と緑に満ちたミレーレへ到着します。ラフィキは夢で見た木にたどり着き、夢の中の兄弟がムファサだったと悟りました。家族のように思える友と出会う旅でもあったんです。
そこへ、タカの残した爪痕を追ったキロスたちが現れます。ムファサはキロスの口から裏切りを知らされ、タカの怒りを直接ぶつけられました。
ミレーレの動物たちは、敵を連れてきたムファサたちに警戒しています。ムファサは、このままキロスを放置すれば次は皆が狙われると訴え、共に土地を守ろうと呼び掛けるんです。
サラビも、逃げてきた雌ライオンたちに協力を求めます。種族ごとにおびえていた動物たちが、同じ土地を守る仲間として立ち上がりました。ここは、ムファサの声に王としての力を感じる場面です!
タカがムファサをかばい、キロスの爪が顔を裂く
戦いの中でムファサは洞窟へ落ち、キロスに追い詰められます。タカもその場にいましたが、初めは戦いを見つめているだけでした。
キロスがとどめを刺そうとした瞬間、タカはムファサの前へ飛び込みます。タカの目元に傷を付けたのは、ムファサを狙って振るわれたキロスの爪です。
エシェが襲われたときには逃げたタカが、今度は命の危険に身を投じました。ムファサを死の危険にさらしたタカは、決戦では彼をかばって傷を負いました。
落石を使ってキロスを倒し、タカが水から引き上げる
激闘の最中に大地が揺れ、岩場が崩れます。キロスの群れが崩落に巻き込まれ、ムファサとキロスも地下の深い水へ落ちました。
キロスは水中でもムファサへ襲い掛かります。ムファサは落ちてくる大岩を利用して反撃し、岩の下敷きになったキロスは水底へ沈んで死ぬのです。
水面へ戻ってきたムファサの前脚を、タカがつかみます。一瞬ためらった後、タカは兄弟を引き上げました。幼いころと同じように、水辺で差し出された前脚です。
ここはもう、引き上げて、早く!と息を詰めてしまうところ。サラビがムファサを洞窟の外へ連れ出し、戦いは終わります。
結末:王に迎えられるムファサと、スカーの名を選ぶタカ

王位の決め手は、ミレーレの動物たちをまとめたこと
戦いを終えた動物たちは、ムファサを王として迎えようとします。彼は自分が王の血筋ではないことから、最初は戸惑っていました。
ラフィキが評価したのは、ムファサが皆を一つにしたことです。生まれや過去より、これから何者になるかを示した彼を、動物たちも認めます。ムファサはミレーレを守った者として選ばれ、新しい王になるんです。
タカには父から継ぐはずの王位がありました。対するムファサには、旅と戦いの中で築いた仲間たちの信頼がある。その差が、ふたりの立場を変える結末でした。
母アフィアと再会し、父マセゴの死を知る
ミレーレでムファサを待っていたのは、生き別れた母アフィアとの再会です。
アフィアから、父マセゴが洪水で亡くなったと知らされます。長く胸に抱いてきた両親への思いが、喜びと悲しみの両方に変わる場面でした。
タカは王国に残り、自らスカーと呼ぶよう求める
タカはムファサに許しを求めます。ムファサが認めたのは、タカがこの地に残ることでした。
ただし、ムファサは「タカ」という名前を二度と呼ばないと告げます。それを受けて、タカ自身が、傷を意味する「スカー」と呼ぶように求めたんです。
傷を負う場面と、スカーという名を選ぶ場面の間には、裏切りに対するムファサの決断があります。新しい名は、顔の傷と自分の過ちを忘れないためのものになりました。
命を助けられた恩も、受けた裏切りも抱えたまま、ムファサは兄弟との距離を決めます。
キアラが、今度は生まれた弟へ祖父の物語を語る
ムファサは、地割れによって生まれたプライド・ロックに立ち、王としてほえます。家を失った子が、自分と仲間の暮らす場所を得た瞬間でした。
物語はラフィキの昔話を聞くキアラへ戻ります。キアラも空へ向かって声を上げ、祖父ムファサが見守る姿と呼応するんです。
やがてシンバとナラが戻り、キアラに生まれたばかりの弟を紹介します。キアラは弟へ、偉大な王だった祖父の話をしてあげようとするのでした。
怖がりながら話を聞いていた子が、家族へ物語を渡す側になる。ラフィキの長い昔話が、この小さな姉弟の出会いへつながる締めくくりです。
タカへの同情が強いほど、裏切りの代償も重い【考察】
タカのつらさを思うと、私も気の毒だと感じます。生まれたときから約束されていた未来が揺らぐ怖さは、想像できるんですよね。でも、サラビを含め、周囲にもそれぞれ自分で選ぶ人生があるはずです。
タカは、愛されることや認められることを、誰かと競って手に入れるものとして考えてしまった。そう受け取ると、彼の怒りが身近で、同時にぞっとします。相手を支えたい気持ちが、自分を一番に選んでほしい気持ちへ変わる危うさも感じました。
ムファサの名前への態度には、私は信頼を壊された側の痛みを感じます。身近な相手ほど、仲直りの一言では戻れない距離ができるんです。タカを救いたいと思う気持ちと、ムファサの苦しさが、どちらも残りました。
公式予告と「裏切りの兄弟」で、声と歌も楽しめる
兄弟や旅の景色を映した、Walt Disney Studios Canadaの公式予告です(英語音声)。
日本語版で成長後のムファサを演じるのは尾上右近さん、タカは松田元太さんです。松田さんが歌う「裏切りの兄弟」には、嫉妬に傾くタカの感情が詰まっています。
サウンドトラックの「ブラザー/君みたいな兄弟」では、幼少期と成長後のムファサとタカの声優が一緒に歌っています。明るい歌声を結末の後で聴くと、冒頭の兄弟への愛着が増してしまうんですよね。
ディズニー公式の吹替キャスト紹介と、日本語歌を収録したサウンドトラックの曲目もあります。
よくある質問(FAQ)
映画の上映時間はどのくらい?
上映時間は118分、約2時間です。監督はバリー・ジェンキンスが務めています。
幼少期と成長後で、ムファサとタカの声優は変わる?
年齢に合わせてキャストが替わり、幼いムファサ役は平賀晴さん、幼いタカ役は竹下天馬さんが担当しました。
「超実写」は、本物のライオンを撮影した映画?
動物たちを本物のように表現する、高精細なCGを使った映画です。実写映画の撮影技術と組み合わせ、動物の毛並みや自然の風景を作り上げています。
まとめ
『ムファサ』は、王の誕生を祝う高揚感に、兄弟が失った時間への寂しさが混ざる映画でした。悪役を昔から知っていたつもりでも、隣で笑っていた幼い顔を知ると、同じ名前がずっと重く聞こえるんです。