赤い服の少年が、暗い森を右へ走っていきます。追いかけてくる大人と犬。逃げ場所を探すだけで、こちらの手にも力が入りますよね。
通常エンド・隠しエンディングまでのネタバレがあります。『INSIDE』はPlaydeadが2016年に発売したパズルアドベンチャーゲームです。
結末では、少年は多数の人体が結合した肉塊「ハドル」に取り込まれ、ハドルとして施設を脱出します。行き着くのは、光が差す水辺。一方、隠しエンディングでは少年が地下の装置の電源を抜き、その場で動かなくなります。
あれだけ逃げ回ったのに、最後は肉塊か、電源を抜かれたような少年。コントローラーを置いても、気分はなかなか片付きません。とくに気になるのは「自由に動かしていた少年も、誰かの操り人形だったの?」という疑問でしょう。
森から農場、工場へ――逃げる少年が人を操るまで
Playdeadの公式予告編「INSIDE Trailer 2016」です。
物語は、少年が森の斜面を滑り降りるところから始まります。大人たちは懐中電灯や車のライトで周囲を探り、犬も少年を追跡。少年は物陰に身を隠し、水に潜って光を避けながら農場へたどり着きます。
このゲームは、人の動きや周囲の様子で物語を進める作りです。追われる赤い服の子を助けたくなる。その気持ちで右へ進んでいると、逃走の途中でずいぶん不気味なことをさせられるんです。
豚から寄生虫を抜くと、暴れていた身体がおとなしくなる
農場では、小さなひよこが少年の後ろをついてきます。少年はひよこを機械に吸い込ませ、吹き出す勢いで上の荷物を落として足場にします。かわいい行列だと思ったら、機械に投入! ほっとする暇が短いんですよね。
さらに先では、豚が少年めがけて突進してきます。少年は攻撃をかわし、豚を壁にぶつけて倒したあと、尻から突き出た寄生虫を引き抜きます。すると豚はおとなしくなり、少年が押して動かせる状態に。
少年はその豚を足場にして、天井からぶら下がる頭部用の装置へ飛びつきます。接続すると、離れた場所にいる人々が少年の操作に合わせて動き始めるのです。
人々を一緒に動かすと、少年一人では動かせない柵や足場にも手が届きます。寄生虫を抜いた豚と、装置で動く人々。身体を外から操る仕組みが、農場で続けて登場するんですね。
工場の列に紛れ、命令どおりの動きをまねる
街を抜けた少年は、工場で人々の列に紛れ込みます。監視装置の光に照らされながら、周りと同じ歩調で歩き、指定された場所で跳び、向きを変えます。少しでも動きがずれると監視に引っかかる、嫌な行進です。
やがて犬に気づかれ、少年は列から逃走。窓を突き破って次の建物へ飛び移り、再び操作装置を使って人を動かし、道を作っていきます。
工場では、操った人を別の操作装置に接続させ、さらに別の人を動かす仕掛けも登場します。少年が操る人、その人が操る人。人間が延長コードのようにつながってしまうのが、何とも落ち着かないんです。
地下の水中施設で、少年の身体にも変化が起きる
地下へ進むと、少年は小型の潜水艇に乗り込み、浸水した区画を探索します。艇の突進で壁を壊し、狭い場所は艇から降りて泳ぐ。陸上の工場から、巨大な水中施設へと移っていきます。
そこで現れるのが、長い髪をなびかせる人型の生き物です。水中から近づいてくるため、少年は潜水艇のライトを向けたり、水から上がったりして距離を取ります。
潜水艇を離れたあとも、人々を集めて重い物を動かす場面が続きます。さらに、一定の間隔で強烈な衝撃波が通る区画へ。少年は壁や動く遮蔽物の陰を渡り歩いて突破します。移動したいのに、身をさらすだけで危険。指が忙しい場所ですね。
水に引きずり込まれたあと、長く潜れるようになる
浸水区画では長髪の生き物が再び少年を追います。少年は扉や足場を利用して逃げ続けますが、鎖を登った先で足場が崩れ、水中へ落下。生き物につかまり、深い場所まで引きずり込まれます。
生き物が少年の身体に取り付けたのは、小さな装置です。その後、少年は再び動き出し、水中に長時間とどまって泳げる身体になります。息継ぎを急ぎながら逃げていた子が、そのまま水の底を進めるようになるんです。
奥の実験区画には、上方にたまった水の中へ吊られた人体があります。少年は水位を変えて進み、頭に操作装置を着けずに人々を動かせるようにもなるんです。最後の水槽へ向かう間に、少年自身の力も変わっていきます。
ハドルの正体は結合した人体――少年は肉塊の一部になる

施設の奥で大勢の職員が集まっているのは、大きなガラスの前です。少年は上部の通路や配管を通り、観察されている水槽の内部へ入り込みます。
取り込みを境に、操作する身体が少年からハドルへ変わる
水槽に収容されているのは、腕や脚がいくつも突き出た巨大な肉塊、ハドルです。多数の人体が一つに結合した姿で、装置につながれています。
少年が接続されている装置を外していくと、ハドルは少年を引き寄せて取り込みます。ここで操作する身体まで交代! 赤い服の少年を動かしていた同じ操作で、今度は肉塊全体を動かすんです。
少年の通常ルートでの行き着く先は、ハドルへの取り込みです。助けたいと思っていた小さな身体が、巨大な身体の一部になる。この急な変化は、やはりきついですね。
ハドルは大勢の手足で重い物を持ち上げ、身体を押しつぶすようにして狭い所も通ります。農場や地下で複数の人にさせていた動作を、今度は一つの肉塊で行う。その姿に、集団操作の不気味さが凝縮されています。
職員の協力、再収容、最後の壁――水辺までの脱出
水槽のガラスを破ったハドルは、扉も壁も押し壊して施設内へ。職員たちは逃げ惑い、途中ではハドルに押しつぶされる人もいます。少年のときは物陰を探していたのに、今は壁ごと突破できる身体。力関係がすっかり逆転します。
ただ、脱出中の職員の中には、ハドルのために扉を通してくれる人もいるんです。扉のそばからハドルが離れると、職員が操作して通れる状態にします。
ハドルは燃やした箱を運び、散水を避けて投げ渡す仕掛けも突破します。暴れて全部壊せるようになったつもりでも、箱の火を消さないように受け止める作業がある。あの身体で、なかなか細かい仕事です。
さらに先では、ハドルが上へ投げた箱を職員が作動させて返し、ハドルはその箱を使って高い位置のボタンを押します。見物する人々の前で、逃げる側と施設側が共同作業をしてしまうんですね。
ところが、人々が見守る部屋の中央へ進むと床が落ち、ハドルは再び水槽の中へ収容されます。それでも底の壁材と格子を引きはがし、水中の通路から脱出。最後に木の壁を突き破り、外の斜面を転がり落ちます。
通常エンドは、光の差す水辺でハドルが動きを止める結末です。追跡も破壊も止まり、巨大な身体だけがそこに残ります。私はこの静けさに、休息と疲れ果てた感じの両方を覚えます。せっかく外へ出たのに、すぐ「よかった!」とはしゃぐ気分にはなれません。
隠しエンディングは、トウモロコシ畑の地下で電源を抜く結末

隠しエンディングは、序盤にある地下施設で起きます。通常エンドと比べると、場所も少年の姿も大きく違うんです。
収集条件を満たし、少年の姿でトウモロコシ畑へ戻ると到達できます。
条件は球体14個の停止と、地下扉の音の入力
各地に隠れている球体状の装置は、合計14個。球体に付いた部品を引き抜くと停止します。道中の13個を止めると入れるようになるのが、研究施設の奥にある最後の大きな球体です。その内部で14個目を停止させます。
最後の球体を停止したあと、背後の表示板には2番目に対応する灯りが残ります。その場所が、トウモロコシ畑の地下です。戻った少年がはしごを降りて右へ進むと、丸い扉と音を鳴らすレバーがあります。
扉を通過できる入力は、次の並びです。レバーを引く操作と方向入力を組み合わせます。
上 → 上 → 右 → 左 → 右 → 右 → 右 → 上 → 上 → 上 → 右 → 左 → 左 → 左
上・左・右で音が変わり、この並びを奏でると扉が通れる状態になります。球体を止めただけで終わりだと思うと、扉の前で立ち往生。最後まで音のパズルが待っているんですね。
コンピューターと操作装置が止まると、少年も崩れる
長い地下通路の先には、コンピューター群と、人を操るための装置がある部屋があります。少年が奥で引き抜くのは、壁につながった電源ケーブルです。
機器が停止すると、少年は肩と頭を落とし、その場で動かなくなります。少年の最後の姿勢は、操作を失った人々とよく似た形です。そして画面が暗くなり、隠しエンディングが終わります。
これが、少年も何かに動かされていたのでは、と考えたくなる直接の理由です。機械の電源を抜く行為と、自分の身体の停止が続いて起こる。装置を外したら自由になると思っていたので、この止まり方にはぞっとします。
少年は誰に操られていた? 結末から考えられる3つの解釈
少年の目的と、ハドルの脱出の意味を考えるときに気になるのは、操作がどこからどこへ伝わっているかです。少年が人を動かし、最後には少年を取り込んだ肉塊が動く。隠しエンディングでは、電源を抜いた少年自身が止まります。
「ハドルが少年を操った」「脱出も実験だった」「電源を抜いてプレイヤーの支配を断った」は、いずれも結末の考察です。
ハドルが、自分を解放するために少年を呼び寄せたという説
ハドルが少年を操り、自分につながる装置を外させた、と解釈すると、少年が危険を越えて水槽へ向かう行動に目的が生まれます。小さな身体なら施設内を移動しやすく、水中へ入る能力も途中で得ています。ハドルにとって、外から来る少年は拘束を解く役になれるんですね。
この説での少年は、救助に向かう英雄というより、脱出を実現するために動かされた存在です。操作装置を使っていた子も操られる側だった、と考えると、農場から繰り返される身体の支配が少年までつながります。
施設の人々が、脱出そのものを試していたという説
施設内の模型は、最後の水辺と似た地形です。さらに職員がハドルの移動を助け、別の場所では人々が脱出の様子を見守っています。
この模型と職員たちの行動から、ハドルの逃走全体が実験の一部だった、と考えることもできます。壁を壊す力や、箱を使う能力、障害を越える様子を観察していたという読みです。自由を求めて暴れていたつもりが、施設側の想定した道を進んでいたかもしれない。模型を思い出すと、水辺で静止するハドルの姿も少し怖くなります。
一方、職員が扉を通してくれる行動は、暴れる肉塊を遠ざけるための対応とも解釈できます。誰が何のために手助けしたのかによって、同じ脱出の意味が変わるんです。
電源を抜く少年が、プレイヤーの操作を終わらせたという解釈
私たちも、コントローラーで少年の身体を動かしています。工場の人々に命令する少年を、さらに外から操っているわけですね。
そこで隠しエンディングの電源ケーブルを、プレイヤーから少年へ続く操作のつながりと考えると、引き抜く動作はそのつながりを断つ行為になります。少年は動けなくなるけれど、こちらも少年を走らせられなくなる。
私はこの読みがいちばん居心地悪いです。犬から助けたいと思いながら、危険な道へ進ませたのも自分。そのことまで考えさせる終わり方なんですよね。
もう一度プレイするなら、収集の再開位置とリセットに注意

球体の取り逃しは、到達済みのチェックポイントを選んで戻ると回収できます。球体の近くへ戻って停止させ、別の地点へ移ることも可能です。
球体の位置で迷う場合は、球体14個の場所を載せた攻略ページに、森・農場・地下・研究施設それぞれの位置があります。地下扉の入力だけでは到達できず、先に収集条件を満たす仕組みです。
隠しエンディングを実行すると、球体の停止状態はリセットされます。二度目も、球体14個の停止が到達条件です。到達済みのチェックポイントは残るので、必要な場所へ戻って回収できます。
通常ルートを再プレイすると、農場の豚、工場の操作装置、上方の水中に吊られた人体が、最後の取り込みとつながって感じられるんです。初回は犬から逃げることで頭がいっぱいだった場所にも、身体を操る仕掛けがあちこちにあります。
FAQ:INSIDEの結末で気になること
ハドルは何ですか?
研究施設の水槽に収容されている、複数の人の身体が合わさった生き物です。少年を吸収すると操作対象になり、多数の手足と大きな身体で障害物を突破していきます。
少年の目的はハドルの救出ですか?
少年は追跡をかわして施設の内部へ進み、最終的にハドルの接続装置を外します。「最初から救うつもりだった」は、その行動に目的を与える解釈です。ハドルに導かれたという考察も、同じ行動から生まれます。
最後に少年やハドルは死んだのですか?
通常ルートの少年は肉塊と一体になり、肉塊は施設の外で静止します。地下でケーブルを抜く結末に残るのは、うつむいて止まった少年です。その停止を死や支配の終了と読むかは、結末の解釈になります。
隠しエンディングは、通常エンドのあとに自動で流れますか?
到達には球体の収集と、農場の地下施設への移動が必要です。最後の水辺とは異なる場所で、少年の姿のまま迎える結末になります。
まとめ
『INSIDE』の旅は、追われる少年が他人の身体を操り、自分も大きな身体へ吸収されるところまで進みます。施設の外へたどり着く通常エンドと、地下の電源を断って停止する隠しエンディング。脱出と停止という二つの終わり方が、自由の意味を揺さぶるんですね。
私はハドルが水辺にいる光景より、ケーブルを抜いた少年の肩が落ちる瞬間のほうが怖いです。あの動きをプレイヤーの操作を断つ合図だと読むと、助けていたつもりの自分まで、操る側だったんだと感じてしまう。あの肩の落ち方が、クリアしてからも頭に残ります。