※最終第8話の結末までネタバレがあります。『マイネーム: 偽りと復讐』は2021年のNetflix韓国ドラマで、全8話です。
父を殺した犯人を探すため、名前まで変えて警察に入ったジウ。頼れるのは、戦い方を教え、危険な場面でも助けてくれたチェ・ムジンでした。ところが、その恩人こそ父の仇だったんです!
助けてくれたあの場面まで、全部疑いたくなりますよね。ソファで見ていたら、クッションを握る手にも力が入りそうです。
父ユン・ドンフンを殺した犯人は、麻薬組織のボス、チェ・ムジン本人です。最終話では相棒のチョン・ピルトもムジンに射殺され、ジウは単身で復讐を遂げます。ジウは生き残るものの、父も相棒も戻ってきません。
父を殺したのはムジン。警察官だったのは父の方です

ムジンは、父の親友であり、麻薬組織トンチョン派のボス。父を失ったジウを組織に迎え、警察へ潜り込ませた人物でもあります。ジウが信じていた「父を殺したのは警察の人間」という話は、ムジンが彼女を誘導するための嘘でした。
一方、父のユン・ドンフンにはソン・ジュンスという本名があります。警察官としてトンチョン派へ潜入し、ドンフンの名でムジンのそばにいたのです。父は最後まで警察への忠誠を保っていました。
ムジンが父の潜入に気づき、父の持っていた警察の拳銃を使って殺害。後にその銃をジウに渡して、警察内部へ目を向けさせます。犯人が手がかりまで渡していた、という厄介な仕掛けなんですよね。
| 人物 | 本名と別名 | 実際の立場 |
|---|---|---|
| 父 | ソン・ジュンス/ユン・ドンフン | 警察からトンチョン派に潜入した捜査官 |
| 娘 | ユン・ジウ/オ・ヘジン | トンチョン派の後ろ盾で警察に潜入した女性 |
| ムジン | チェ・ムジン | 父娘の潜入先に関わる麻薬組織のボスで、父殺しの実行者 |
父は警察から組織へ、娘は組織から警察へ。向きが逆なのに、二人とも名前を変え、身近な人に正体を隠して生きることになりました。この父娘の対照が、後半の真相を重くしています。
第1〜2話:父を失ったジウが、オ・ヘジンになるまで
17歳の誕生日、父はドアの外で殺される
物語の始まりで、ジウは父が犯罪組織に関わっているため、警察につきまとわれ、学校でもいじめられていました。孤立したまま迎えた17歳の誕生日。父への怒りを電話でぶつけたあと、ドンフンがアパートへ戻ってきます。
しかし、玄関の外で父は銃撃されました。ジウはドアののぞき穴からその光景を目撃します。父は最後までドアを押さえ、娘が外へ出て巻き込まれるのを防いでいたんです。
ジウには、父を失った悲しみに、自分が帰ってくるよう促してしまった後悔も重なります。捜査は進まず、彼女は父の親友だというムジンに犯人捜しを求めました。最初は追い返されても諦めず、街で情報を集めようとして、金目当ての男たちにさらわれてしまいます。
そこからジウを救ったのがムジンでした。復讐を諦めない彼女を、組員を育てるジムへ連れていきます。父殺しの犯人に命を助けられ、その人を頼りにする生活が始まるわけです。
ムジンの訓練と、警察の拳銃を使った誘導
ジムでジウは雑用をこなしながら鍛えられ、ムジンから相手の急所を狙う戦い方を教わります。彼が求めるのは、相手を殺せるだけの強さ。ここの師匠、教える内容が物騒すぎます!
格闘の試合でジウに敗れたト・ガンジェは、彼女に薬を盛り、仲間と性的暴行を加えようとしました。ジウは抵抗して逃れ、ムジンはガンジェの顔を切りつけて組織から追放します。この恨みが、後の抗争につながっていくのです。
ムジンはジウに、オ・ヘジンという身分と父を殺した拳銃を与えました。警察に支給される銃だと示し、犯人は警察官だと信じ込ませます。ジウはヘジンとして警察に入り、やがてチャ・ギホが率いる麻薬捜査隊へ異動。チョン・ピルトと組むことになります。
ピルトは、以前の潜入捜査をヘジンに台無しにされたため、最初は彼女を歓迎していません。売人マンゴーの捜査で彼女の戦闘能力を知り、少しずつ相棒として接するようになりました。
制服を着ても、ジウはムジンのために動き続けます。職場で上司が二人いるだけでも気を遣うのに、片方は麻薬組織のボス。胃薬で済む話じゃないんですよね。
第3〜5話:ムジンを守るほど、警察での居場所が危うくなる
船の捜査を妨害し、父の銃を鑑定させる
麻薬捜査隊の標的は、ジウが恩人と信じるムジンでした。第3話の船への突入では、事前にムジンへ警告できなかったジウが、父の事件の拳銃を発砲して混乱を起こします。その隙にムジンは逃げました。
ジウは同じ銃を現場に残し、警察に証拠として調べさせます。ムジンを助けながら、父の事件も追うつもりだったんです。鑑定から浮かんだのは、ギホの元部下ソン・ジュンスの名前でした。この時点のジウは、その警察官が自分の父だとは知りません。
ギホは捜査情報が漏れていると疑い、ピルトにヘジンを監視させました。さらに、ムジンの右腕チョン・テジュが警察に情報を渡しているように見せる罠を仕掛けます。ジウがその話をムジンへ流したため、組織の中でもテジュへの疑いが生まれることになりました。
ジウがムジンの役に立つほど、警察には内通者の痕跡が残ります。しかも、彼女が疑っているギホは父を潜入させた上司。真相を知らないジウは、父の事件を知る人を敵だと思い込んでしまうのです。
ガンジェの報復が、ジウとピルトを巻き込む
追放されたガンジェは別の麻薬組織を作り、トンチョン派のジムを襲撃します。彼はマンゴーを追っていたジウとピルトも捕らえ、二人を手錠で車につなぎ、車体をプレス機で潰そうとしました。
ムジンが駆けつけて機械を止めたことで、二人は助かります。危険を冒してまでジウを救うムジン。その行動だけを見れば、彼女が恩を感じるのも当然ですよね。だからこそ、後で父殺しが判明したとき、助けられた記憶まで苦しくなってしまいます。
命の危険を共にしたピルトは、ヘジンへの信頼を深めました。彼にも、妹を薬物で亡くした過去があります。麻薬を取り締まる仕事への思いを彼女に話し、捜査の相棒として距離を縮めていきます。
一方、ギホはヘジンの電話を監視し、テジュも彼女が警察の仲間と親しくなる姿を警戒していました。ムジンは海外へ逃れるよう勧めますが、ジウは拒否。父の犯人を見つけるまで引き返せなかったのです。
父の事件を担当したチョ・ジンセ刑事との再会も、疑念を強めました。ジンセはヘジンがジウだと気づき、ギホが父の捜査を握り潰したと話します。ところが彼自身もムジンとつながっており、その後、口封じのために殺されました。
ジウは正体を守るため、ガンジェを射殺する
ガンジェは自分を見逃してもらう代わりに、ムジンを捕まえさせる取引をギホに持ちかけました。ガンジェとムジンの組織が衝突したところへ、警察が踏み込みます。
ムジンがガンジェに刺されると、ジウは彼を助けるために銃を構えました。ピルトも追いつきますが、ガンジェがジウの正体を話そうとした瞬間、彼女は引き金を引きます。ガンジェは死亡し、ムジンは逃走しました。
ジウは父の仇を探す途中で、組織との関係を隠すために人を殺してしまいます。後には悪夢に苦しみ、ピルトが彼女の部屋を訪れて気遣いました。復讐のために身につけた強さが、彼女自身を追い詰めています。
第6〜7話:父の写真と手紙で、ムジンの嘘が崩れる

ガンジェから届いた写真に、警察官姿の父が写っていた
ガンジェの死後、ジウに彼が送った郵便が届きます。中に入っていたのは、警察官たちの集合写真。そこには父がいて、ソン・ジュンスという名前を使っていました。
ジウがムジンを問い詰めると、彼は父が潜入捜査官だったことを認めます。ただし、父は組織へ寝返り、それを許せなかったギホに殺されたという嘘を重ねました。正体を明かしながら、犯人だけは警察側へ向ける。ここまで来ても、まだジウを操ろうとするんです。
ジウはギホの家へ向かいました。しかしムジンは先に、テジュにギホを殺すよう命じていました。到着したジウが見つけたのは、刺されて倒れているギホです。
ギホは目の前のヘジンがジュンスの娘だと知り、父は最後まで刑事だったと話します。父が残した手紙と、警察側にいたことを示す資料もジウへ渡しました。父が組織に寝返ったというムジンの説明は、ここで崩れます。
父はジウを裏切っていたのでも、ムジンの仲間になるために警察を捨てたのでもありません。組織の中で捜査を続け、娘を思う手紙を残していました。ジウが悪人だと思っていた父の人生が、一変する場面ですね。
ムジンが父の潜入を見破った理由
ムジンが父の正体を知るきっかけになったのは、ライターに隠されていた追跡装置でした。それを発見し、父が潜入捜査官だと気づきます。親友として信頼した相手が、自分を捜査する警察官だったのです。
第8話の回想では、ムジンが父の拳銃で父を撃った経緯が示されます。ジウに渡した銃は、警察官が父を殺した証拠ではなく、ムジンが父の命を奪った凶器でした。
真相を知ったジウは、胸にあるトンチョン派の印を焼き、組織との決別を示します。ムジンを信じて過ごした年月も、彼のために殺した事実も消えません。父の手紙を読んだ彼女の苦しさは、犯人名がわかっただけでは収まらないんですよね。
テジュを倒したあと、なぜムジンを警察から逃がすのか
ギホは一命を取り留めますが、意識が戻らない状態でした。第7話ではテジュたちがジウを襲い、彼女は反撃してテジュを殺します。ムジンは後にテジュの遺体を目にし、ジウが自分へ敵意を向けていると知りました。
その間、ムジンは自ら警察へ出頭していました。ジウは署に現れ、ムジンに不利な証拠のナイフを持ち出し、彼の釈放につながる行動を取ります。もう一度ムジンを信じたのか、と思う場面ですが、彼女の目的は自分の手で彼を殺すことでした。
警察はヘジンとムジンのつながりを突き止めます。ジウは署を逃げ出しても、最後にはピルトに見つかり、拘束されました。復讐へ走る彼女と、内通者として捕まえる相棒。二人の関係はいったん壊れてしまいます。
最終第8話:ピルトと生きる道を選んだ直後、復讐に引き戻される

ピルトが真実を知り、ジウを殺人の復讐から止める
拘束されたジウは、ギホを刺した疑いまでかけられていました。ムジンは弁護士を使い、彼女を治療のため病院へ移させます。そこでジウは、以前自分が救った女性の看護師に助けられ、病院を抜け出しました。
同じ頃、意識を取り戻したギホが、ピルトに事情を話します。ジウは殺された潜入捜査官の娘で、ムジンに騙されていたこと。ようやくピルトも、彼女が抱えてきたものを知るのです。
ジウに追いついたピルトは、自分と彼女を手錠でつなぎます。ムジンを殺しに行かせないためでした。二人はムジンの手下から逃れ、海辺の家へ身を寄せます。
ピルトはジウの傷を手当てし、二人はキスを交わして一夜を共にしました。父の願いに沿ってムジンを逮捕し、法で裁こうと、ピルトはジウを説得します。ジウもその道を選ぶ決意を固めたのです。
翌朝、二人は一緒に警察へ向かいました。
ずっと自分一人で殺すことを考えていたジウが、誰かに傷を見せて、支えてもらう。やっと肩の力を抜けそうな時間ですよね。ピルトとの関係は、恋愛と同時に、ジウが復讐以外の生活を選ぶきっかけになっています。
ピルトを撃ったのも、ムジン本人だった
その時間は続きませんでした。警察へ向かう車の横に、ヘルメットをかぶったバイクの男が現れます。男は運転席のピルトを撃ち、彼はジウの目の前で命を落としました。射殺したのはムジンです。
ピルトは最終話でムジンに射殺され、ジウの目の前で亡くなります。ジウが法で裁く決意をした直後に、その道を支えた人が殺されてしまう。ここはさすがに、声が出そうになります。
ジウはピルトの銃を持ち、ムジンのいるホテルへ向かいます。父の事件から始まった復讐に、今度はピルトを奪われた怒りが加わりました。
ジウはムジンを刺し殺し、重傷のまま生き残る
ホテルでは組員たちが待ち受けていました。ジウは銃と刃物で彼らを倒し、上階にいるムジンのもとへたどり着きます。父の死からずっと彼女を動かしてきた男と、ようやく向き合ったのです。
ムジンは父を弱い人間だったかのように語ります。二人はナイフを手に、命を奪い合う戦いに入りました。
ジウも傷を負い、追い詰められます。それでも最後にはムジンを刺し、彼を殺害。警察が迫る中、ふらつきながら現場を離れました。
ムジンは死亡し、ジウは生存したまま復讐を終えます。ただ、勝ったから晴れやか、という気分にはとてもなれません。ピルトと警察へ戻るはずだった朝を思うと、こちらまで黙り込んでしまいますね。
最後の墓参りで、父の名前とジウ自身の名前が戻る
後日のジウは、両親の墓を訪れます。そこには警察官姿の父と自分の写真を飾り、花を供えました。父を犯罪者としてしか知らなかった娘が、父の本当の人生を知って弔えるようになったのです。
花に添えたメッセージにも、ジウ自身の名を残します。ムジンから与えられたオ・ヘジンという身分で戦ってきた彼女が、父の娘ジウとして墓前に立つ。私はここに、題名『マイネーム』の痛いほど静かな意味を感じます。
終幕ではピルトも弔いました。復讐は終わり、父の真実も取り戻したけれど、生き残ったジウは大切な人を失ったままです。
| 人物 | 結末 |
|---|---|
| ユン・ジウ/オ・ヘジン | ムジンを殺して生還。後日、両親とピルトを弔う |
| チェ・ムジン | 父とピルトを殺害し、最後はジウとのナイフ戦で死亡 |
| チョン・ピルト | ジウを支えて警察へ戻ろうとする途中、ムジンに撃たれて死亡 |
| ソン・ジュンス/ユン・ドンフン | 潜入捜査中にムジンに殺される。手紙を通して娘へ真実が届く |
| チャ・ギホ | テジュの襲撃から生き延び、ピルトに父とジウの事情を話す |
| ト・ガンジェ | 第5話でジウに射殺される。送っておいた父の写真が死後に届く |
| チョン・テジュ | 第7話でジウを襲い、反撃を受けて死亡 |
考察:ムジンはジウを救いたかったのか、支配したかったのか
ムジンは父を殺したうえで、娘を育て、何度も救っています。この矛盾をどう受け取るかで、彼の印象はかなり変わりますよね。ここからは、その行動についての私の考察です。
私は、ジウへの情がありながら、彼女の生き方を自分で決めようとした人だと感じます。ガンジェに捕まったジウを助けた行動には、実際に危険が伴っていました。父との親しさや、ジウへの思いがあった、と読む余地はあります。
それでも、父が寝返ったという嘘を使い、ジウを警察への復讐に向かわせたことは変わりません。ジウが警察の仲間を信じ、ピルトと生きる方へ進んだところで、そのピルトを撃ちました。ムジンはジウを助ける一方で、彼女が自分の人生を選ぶことは許しませんでした。
ピルト殺害には、ジウを自分との対決へ引き戻そうとした、という読み方ができます。実際、その死の直後にジウはムジンを殺しに向かいました。彼がジウに殺されることを望んでいた、という解釈もありますが、最後の戦いではジウも死にかねない傷を負わせています。
「ジウを愛していたから」「死にたかったから」という動機は、ムジンの行動から考える解釈です。私は、助けることと支配することが彼の中で混ざってしまった怖さを強く感じました。
そしてジウの最後も、復讐を果たしてすべて解決、とはなりません。父とピルトを失ったまま、彼女だけが生きていく終幕なんです。
父の銃と手紙を確かめるなら、第2・6・8話
真相を知ってから見返すと、ムジンが拳銃を渡す場面の意味が変わります。Netflixの『マイネーム: 偽りと復讐』作品ページから、父の事件に関わる場面を確かめられます。
- 第2話:ムジンがヘジンの身分と拳銃を与え、警察へ向かわせる場面
- 第6話:父の警察官姿の写真、ムジンの説明、ギホから渡される手紙
- 第8話:父殺しの回想、ピルトとの海辺の時間、最後の対決と墓参り
作品の緊迫した雰囲気を短く見られる、Netflix Japanの公式ティーザー予告編です。
よくある質問
ジウの父を殺したのは、ムジンですか?
はい。チェ・ムジンが父の拳銃を使って、直接射殺しました。父の警察官としての正体が見破られたことが、殺害につながります。
ムジンの正体は潜入捜査官ですか?
ムジンはトンチョン派を率いる犯罪組織のボスです。警察から送り込まれていた人物は、ジウの父ソン・ジュンスでした。
父は本当に警察を裏切っていたのですか?
組織への寝返りはムジンの作り話でした。ギホが持っていた資料と父の手紙から、父が警察側にとどまっていたことをジウは知ります。
ピルトは助かりますか?
助かりません。第8話でムジンに頭を撃たれ、ジウのそばで亡くなりました。ムジンを法で裁くためにジウを支えていた相棒は、戻ってきません。
ジウも最終話で死んでしまいますか?
ジウはムジンとの戦いを生き延びました。重傷を負ってホテルを去ったあと、墓前に立つ姿が描かれます。
ジウは最後、誰の墓を訪れますか?
両親を弔い、ピルトの墓にも足を運びます。父の本名と自分の名を取り戻しても、失った人たちとはそこで向き合うしかないんですよね。
まとめ
『マイネーム: 偽りと復讐』でジウを導いたムジンは、父の命を奪った張本人でした。父は潜入捜査を続けていた警察官で、娘は真相を知らず、父の仇のために警察を裏切ってしまいます。
ピルトと共にムジンの逮捕を目指したジウは、彼の死をきっかけに再び殺すための復讐へ。ムジンを倒して命はつなぎましたが、最後に会いに行けるのは大切な人たちの墓でした。
父の誇りとジウという名前が戻るラストには、少しだけ救いを感じます。それでも、ピルトが隣にいる朝が続いてほしかった。あの海辺の時間を思い出すと、簡単には席を立てない結末です。