『アベンジャーズ/エンドゲーム』の結末のネタバレがあります。2019年公開の映画です。
トニー・スタークはサノスと敵軍を消滅させた代償に命を落とし、スティーブ・ロジャースはペギー・カーターと人生を過ごして、年老いた姿でサムに盾を託します。キャップは最終決戦で死亡していません。
ただ、ベンチの老人を見た瞬間は「いつの間に?」となりますよね。勝った喜びと別れの悲しさに、時間移動の疑問まで重なる結末。ナターシャの犠牲や、ハルクとトニーの指パッチンの違いから追うと、それぞれが何を守ったのかがよく分かるんです。
サノスを倒しても、消えた人々は戻らない
物語の出発点は、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で全宇宙の生命の半数が消えた直後。自宅で娘に弓を教えていたクリント・バートンも、ほんの少し目を離した間に妻と子どもたちを失います。さっきまで家族がいた場所に誰もいない、という始まりがつらいですね。
宇宙を漂流していたトニーとネビュラは、キャプテン・マーベルに救助されて地球へ帰還します。生き残った仲間たちはサノスを見つけ、6個のインフィニティ・ストーンを奪って消失を取り消そうとするものの、石はすでに破壊されていました。
サノスは、目的を達したあとでストーン自体を消したのです。怒ったソーが彼の首を切り落としても、家族や仲間を呼び戻す手段は失われたまま。そこで映画は5年後へ進みます。
家族を失ったクリント、家族を得たトニー
ナターシャは残ったアベンジャーズの活動を支え、スティーブは喪失を抱えた人々の集まりに参加しています。一方、クリントは犯罪者を殺して回るようになり、ソーはニューアスガルドで酒に逃げ、閉じこもる生活。サノスを倒しただけでは、残された人の毎日は立て直せないんですよね。
トニーはペッパーと娘モーガンと暮らし、家庭を築いていました。ブルース・バナーも研究を経て、ハルクの体と自分の知性を両立する姿に変わっています。5年間には悲しみと、新しく生まれた生活があるわけです。
スコットの帰還がタイム泥棒作戦につながる
突破口を運んでくるのは、アントマンことスコット・ラング。倉庫に保管された車の装置をネズミが偶然作動させ、彼は量子世界から戻ってきます。宇宙の命運に、ネズミが参加しているんです。本人はたぶん、何も知りません。
外では5年が過ぎ、娘キャシーは成長していました。量子世界での時間の進み方が違うと気づいたスコットは、過去に行って破壊前のストーンを集める作戦を提案します。これが「タイム泥棒作戦」です。
協力を求められたトニーは、今の家族を失う危険を恐れて最初は断ります。それでも、消えたピーター・パーカーへの思いを抱えたまま研究を進め、時間移動を可能にする方法を完成させました。ペッパーと話し、仲間のもとへ戻って参加を決めます。
作戦の目的は、過去から石を集め、消された人々を5年後の現在へ戻すことです。トニーは、この5年間にできた家族や生活を残すことを条件にします。
過去のストーン回収は、2012年・2013年・2014年へ

時間移動に必要なピム粒子には限りがあり、失敗できる回数も限られます。ナターシャがクリントを呼び戻し、バナーとロケットがソーを迎えに行って、チームは石のある時代と場所へ分かれて向かいます。
2012年のニューヨークでは、ロキが石を持って逃げる
トニー、スティーブ、スコット、バナーの4人は、ニューヨークにストーンが3個集まる2012年へ。スティーブはヒドラの構成員から、マインド・ストーンが入った杖を奪います。そのあと当時の自分に出くわし、偽物と疑われて戦うことに。世界を救う途中で、自分との乱闘まであるのが忙しいですね。
バナーはエンシェント・ワンにタイム・ストーンを求めますが、石を失った時代が危険にさらされるとして拒まれます。そこで、用事が済んだら取り出した瞬間へ返すと約束し、ドクター・ストレンジが自ら石をサノスに渡したことも話して、協力を得ました。
スペース・ストーンの回収は失敗します。トニーたちの計画が崩れ、ロキが石を収めた四次元キューブを拾って逃走。スコットは手に入った杖を現在へ運び、トニーとスティーブは別の時代からスペース・ストーンを調達することになります。
1970年への追加移動で、トニーは父と話す
2人が選ぶのは、四次元キューブとピム粒子の両方がある1970年のキャンプ・リーハイ。トニーはスペース・ストーンを回収し、スティーブは帰還に必要な粒子を補充します。予定外の寄り道ですが、この場所は2人の結末にもつながるんです。
トニーは父ハワードに遭遇し、正体を隠したまま、子どもを迎える父親の不安を聞きます。自分も父になった今なら、その気持ちが分かるんですよね。スティーブは勤務中のペギーをガラス越しに見つめますが、このときは声をかけずに立ち去ります。
2013年のアスガルドで、ソーは母に励まされる
ソーとロケットが向かうのは2013年のアスガルド。ロケットがジェーンの体内にあるリアリティ・ストーンを取り出す間、ソーは母フリッガと再会します。母は未来から来た息子の苦しみを察し、失敗を抱えた彼を励ましてくれました。
ソーが呼ぶと、ハンマーのムジョルニアが手元へ飛んできます。自分にはまだそれを扱う資格があると分かり、彼は石とハンマーを伴って帰還。私は、この再会でほっとします。ずっと自分を責めていた人が、やっと少し息をつける場面ですね。
ナターシャの犠牲と、2014年のサノスに知られた作戦

ヴォーミアでは、2人とも相手を生かそうとする
2014年には、ローディとネビュラがモラグでパワー・ストーンを回収し、ナターシャとクリントがヴォーミアでソウル・ストーンを探します。そこにいるレッドスカルが告げる入手条件は、愛する者の命を差し出すことでした。
ナターシャもクリントも自分が犠牲になると言い、相手を止めようと争います。クリントには、戻したい家族がいます。ナターシャは彼を生かそうとするんです。
飛び降りたクリントをナターシャが救い、今度は彼女が崖から落ちる形になります。クリントは彼女の手をつかみますが、ナターシャはその手を離し、命を落としました。ソウル・ストーンを得たクリントだけが現在へ戻ります。
ナターシャはソウル・ストーンの代償として死亡し、この本編の最後まで復活しません。全員で戻るはずの作戦が、この時点で一人を欠いてしまうわけです。
2人のネビュラが同期し、サノスが未来を知る
モラグでは石を確保できたものの、ネビュラに問題が起きます。未来から来たネビュラと、まだサノスに仕える2014年のネビュラの機械部分がつながり、記憶を共有してしまったのです。
2014年のサノスは、その記録から自分の勝利と最期、アベンジャーズの作戦を知ります。現在のネビュラを捕らえ、忠実な2014年のネビュラを入れ替わらせて未来へ送り込みました。基地に帰ってきた一人が、敵の手先なんですね。
未来に来たサノスは、半数を消しても生き残った人々が元に戻そうとすると知り、今度は宇宙を丸ごと破壊して作り直す方針に変えます。
ハルクの指パッチンは成功するが、基地が襲われる
現在に集まった仲間はナターシャを悼み、回収した6個の石をガントレットという手袋型の装備に取り付けます。力を使う役を引き受けるのはバナー。石から出る放射線に、ハルクの体なら比較的耐えられると判断したためです。
トニーが念を押すのは、消えた人々を今この時点に戻し、5年間の出来事を変えないこと。バナーは激痛に耐えて指を鳴らし、腕に大きな損傷を負います。ほどなくクリントの電話に妻ローラから着信があり、復活の成功が分かるんです。
しかし、2014年のネビュラが装置を使い、サノスとその戦艦を現在へ呼び寄せていました。基地は砲撃で崩壊し、仲間たちは瓦礫の中へ。家族からの電話を喜ぶ間もほとんどありません。
捕らわれていた現在のネビュラは、2014年のガモーラを説得してサノスに反旗を翻させます。2人は2014年のネビュラも止めようとしますが、彼女は父への忠誠を捨てません。現在のネビュラが過去の自分を撃ち殺し、石を敵に渡すのを防ぎます。
最終決戦で、トニーがストーンを奪って命を使う

キャップがムジョルニアを使い、復活した仲間が集まる
トニー、ソー、スティーブがサノスを迎え撃ち、危機に陥ったソーをスティーブがムジョルニアで救います。キャップは雷の力も使って戦いますが、サノスは盾を砕き、さらに大軍を展開。傷だらけのスティーブが、一人で敵のほうへ歩き出します。
そのとき通信にサムの声が入り、魔術のポータルからブラックパンサー、スパイダーマン、ストレンジたちが現れました。ワカンダやアスガルドの戦士も加わり、スティーブの号令で総攻撃が始まります。この援軍は、バナーが先に消失を取り消していたからこそ間に合った仲間たちです。
人数の多さに目を奪われますが、私はトニーが戻ってきたピーターを抱きしめるところにも弱いです。失ったと思っていた相手が、ちゃんと目の前にいる! あの抱擁には、5年間の後悔も重なって感じられます。
石を運ぶリレーが止まり、サノスが装備を手にする
戦いと並行して、クリント、ブラックパンサー、スパイダーマンらがガントレットを運びます。目的はスコットの車にある量子トンネルへ石を届け、過去へ戻してサノスから遠ざけること。キャプテン・マーベルも到着して敵の戦艦を破壊し、ガントレットを引き継ぎました。
ところが、サノスが車を破壊し、石を返す道は断たれます。ガントレットを手にした彼をキャプテン・マーベルが抑えても、サノスはパワー・ストーンを直接使って彼女を吹き飛ばしました。全宇宙を消す指パッチンが、すぐそこまで迫ります。
ストレンジの指1本と、トニーの最後の決断
ストレンジはトニーに向けて指を1本立てます。勝てる未来は一つだけ、という合図を受けたトニーはサノスに接近し、揉み合う間に6個の石を自分のスーツへ移していました。
サノスが指を鳴らしても何も起こりません。石を手にしたトニーは「私はアイアンマンだ」と名乗って指を鳴らし、敵軍を消滅させます。部下が次々と灰になり、サノス自身も座り込んだまま崩れていきました。
ただ、トニーの体は6個の石の力に耐えられません。ローディ、ピーター、ペッパーがそばへ駆けつけ、ペッパーは自分たちは大丈夫だから休んでいいと語りかけます。トニーは彼女に見守られ、息を引き取るのです。
ハルクは消えた人々を取り戻し、トニーは迫ってきた敵を消しました。トニーの指パッチンで本人の命まで戻ることはありません。
トニーの葬儀のあと、仲間たちはそれぞれの生活へ
湖に浮かぶアーク・リアクターと、残されたモーガン
トニーが事前に残した映像では、ホログラムの彼が家族に愛情を伝えます。葬儀には仲間が集まり、ペッパーは花に囲まれたアーク・リアクターを湖へ流しました。飾りには、トニーにも心があることを示す言葉が添えられています。
参列者の中にいる青年はハーレー・キーナー。かつてトニーを助けた少年です。ハッピーはモーガンがチーズバーガーを食べたいと言うのを聞き、父親も好きだったと話して、欲しいだけ用意すると約束します。こういう小さな会話で、残された子のこれからが急に身近になるんですよね。
クリントは家族と再会し、ソーは王の役目を譲る
クリントは妻子と再会し、スコットはキャシー、ホープと一緒に過ごします。学校へ戻ったピーターもネッドと抱き合いました。一方、クリントとワンダは、ナターシャやヴィジョンを失った悲しみを分かち合います。復活した人の隣にも、戻ってこない人を思う時間があるんです。
ソーはニューアスガルドの王の役目をヴァルキリーに託し、ガーディアンズの船に乗ります。船内ではクイルと、どちらがリーダーなのかをめぐって妙な張り合い。宇宙を救った直後でも、船長の座は気になるんですね。
クイルは船の画面でガモーラを探しています。最終決戦にいた彼女は2014年から来たガモーラで、クイルとの恋を経験していない人物。
キャップはなぜ老人に? ペギーとの人生とサムへの盾

石とムジョルニアを返すため、スティーブは過去へ出発する
戦いが終わっても、過去から借りたストーンを返す仕事が残っています。スティーブは6個の石とムジョルニアを持ち、バナー、サム、バッキーに見送られて時間移動へ。石を元の時点に返すのは、回収先の時代を危険にさらさないためでした。
出発前、バナーはナターシャも取り戻そうとしたけれどできなかった、とスティーブに話します。ソウル・ストーンの犠牲は戻らないという結果が、この静かな会話でも残るんですね。
5秒で戻るはずが、ベンチに年老いたスティーブがいる
帰還の予定は、待っている側の時間で5秒後。それなのに装置へスティーブは現れず、バッキーが近くのベンチに座る老人に気づきます。サムが近づくと、その人は年老いたスティーブでした。
スティーブは、トニーに勧められていた自分の人生を生きてみた、と話します。キャップが老いたのは、過去でペギーと長い人生を過ごすことを選んだからです。戦場の傷で急に老化したわけではありません。
彼が盾を渡す相手は、サム。バッキーもそばで、サムが盾を受け取る様子を見守っています。キャプテン・アメリカの役目は、次の仲間へ託されるのです。
サムが指輪を見つけて結婚相手について尋ねると、スティーブは詳しく話さず、笑って秘密にします。長い任務を終えた人にも、自分だけの思い出があっていい。私は、ここの少しいたずらっぽい表情が好きですね。
最後の場面は、スティーブとペギーのダンス
映画が最後に映すのは、過去の家で一緒に踊るスティーブとペギー。盾の継承のあとにこの場面が来るので、スティーブが選んだ人生を、言葉と映像で確かめられます。
サムに任せた未来と、ペギーと過ごす日々。戦い続けていたキャップが、ようやく踊る時間を取り戻す終わり方です。大軍が並ぶ戦場から、最後は2人だけの部屋になるんですよね。
考察:家族を守ったトニーと、自分の暮らしを選んだスティーブ
私は、トニーとスティーブの結末には、ヒーローとしての責任と家で暮らす一人の人間の両方があると感じます。トニーはモーガンがいる現在を守り、スティーブは役目を次へ渡してペギーとの時間を選びました。勝ったあともずっと戦い続けなくていい、というスティーブの決断にはほっとします。
ペギーとの人生を選び、サムに盾を託すキャップ
2019年の劇場公開本編は、スティーブとペギーのダンスで終わります。ベンチのスティーブは、自分の人生を生きてみたとサムに話しました。
バナーは、過去を変えても出発した現在がそのまま書き換わるわけではないと説明しています。年老いたスティーブは、サムに盾を手渡します。
映画が映しているのは、年老いたスティーブが生きてサムと話し、盾を手渡す姿です。老人になった姿を見て「キャップも死んだ」と思ってしまうと、彼の選んだ生活が抜けてしまうんですよね。
1970年の再会と最後の会話に表れる、家族への思い
Marvel Entertainmentの2019年公式予告です(英語音声)。
トニーが作戦参加の条件を話す場面と、1970年に父ハワードと会う場面には、今の家族を守りたいという思いが表れています。今の家族を手放したくない気持ちがあるから、最後に自分の命を使う決断がいっそう重く感じられます。
スティーブについては、1970年にペギーをガラス越しに見つめる場面と、ベンチでの穏やかな表情を比べると、その間に過ごした人生も気になりますよね。再鑑賞用の映像商品・デジタル配信の案内は、作品公式ページにあります。
FAQ
キャップの最後は死亡ですか?
いいえ。スティーブは老人になってサムと会い、笑顔で会話しています。最後には、過去のスティーブとペギーが踊る姿が映ります。
ナターシャはストーンを返せば復活しますか?
ナターシャはソウル・ストーンの代償として命を落とし、バナーによる復活の試みも失敗します。スティーブは石を返しに出発し、クリントとワンダは失った仲間を悼みます。
消えた人々は、5年前の世界へ戻ったのですか?
復帰先は作戦を実行した現在です。生き残った人々の5年間は続いているので、キャシーの成長やモーガンの誕生も取り消されません。
バッキーに盾を渡さなかった理由は?
スティーブはサムを後継者に選び、盾を持つ姿がふさわしいと認めます。バッキーは、サムが盾を受け取る様子を見守っています。
エンドロールのあとに追加の場面はありますか?
2019年の劇場公開版は、スティーブとペギーのダンスからクレジットへ進みます。クレジットの最後に入るのは、金属を打つ音です。アイアンマンが最初のスーツを作るときの音です。
まとめ
『エンドゲーム』は、過去から集めた石による人々の救出と、未来へ攻めてきたサノスとの決着を経て、仲間たちが日々の暮らしへ戻る物語です。その勝利を支えたナターシャとトニーへの別れも、終幕に残ります。
キャップのベンチでの笑顔は、ペギーと過ごした長い時間のあと。サムへ渡す盾、そして最後のダンスまで続けて眺めると、戦いを終えたスティーブの穏やかさがうれしくなるんですよね。