※結末のネタバレがあります。
最終回のディーンを倒すのは、納屋の柱から突き出た金属です。神との戦いを乗り越えた兄が、いつもの狩りで命を落とす。あの落差は、覚悟していてもつらいですよね。
米国実写ドラマ『スーパーナチュラル』は、2020年放送のシーズン15第20話で完結しました。
ディーンを失ったサムは、息子を育て、老いるまで生きます。そして、兄弟の最後は天国の橋での再会です。そこに着くまでには、神の支配が終わる第19話と、別々の時間を生きる第20話があります。
第19話「世界のゆくえ」――神との決着は最終話の一つ前

チャックは、兄弟の人生を自分の望む物語へ動かしてきた神です。シーズン15終盤では、その支配を止めようとするサム、ディーン、ジャック、カスティエルが追い詰められます。
第18話でカスティエルがディーンを救う
神を倒すために爆弾にされたジャックは、第18話で死神ビリーによって、死後の領域「エンプティ」へ送られ、そこで爆発しました。ジャックは生きて戻りますが、ビリーとも対立することになります。
ビリーに命を狙われたディーンを救うのが、カスティエルでした。彼は、真の幸福を感じた瞬間にエンプティへ連れ去られるという契約を結んでいたんです。
カスティエルはディーンへの愛を告げ、その幸福によって契約が発動。現れたエンプティは、カスティエルとビリーをのみ込みます。助かったディーンは、その場に一人取り残されました。
同じころ、チャックによって人々が次々と消え、サムとジャックの仲間たちも姿を失います。第19話は、人のいない世界でディーンが二人にカスティエルの犠牲を知らせるところから始まるのです。
ジャックがチャックの力を奪えた理由
サムとディーンは、消された人々を戻すため、チャックに屈服することまで申し出ます。しかしチャックが望んだのは、誰も救えない世界で三人を孤独に生きさせることでした。
一行は教会で大天使ミカエルに会い、神の死を記した本から突破口を探します。さらにルシファーも現れますが、彼はチャックに送り込まれた裏切り者。ミカエルがルシファーを殺した後、そのミカエルもチャックへ情報を流します。
兄弟はミカエルの裏切りを見越し、神を倒す呪文を見つけたふりをしてチャックを誘い出しました。チャックはミカエルを殺し、サムとディーンを殴り続けます。二人が何度も立ち上がる間に、ジャックは周囲で放たれる力を吸収していました。
爆弾に変えられたことで、ジャックには力を吸い込む性質が生まれていたのです。ミカエルとルシファーの戦い、そしてチャックが使う力を蓄え、最後にはチャック自身から神の力を奪います。兄弟が殴られ続けた時間まで、逆転のために必要だったんですね。
チャックは人間として残され、ジャックが新しい神になる
チャックの結末は、力を失った普通の人間として生かされることです。兄弟は彼を置いて去りました。チャックは、老いや病気、死を迎える人間として残されます。
新たな神となったジャックは、消えた人々を戻します。そして、人間が自分で生きていくことを信じ、兄弟のもとから去る。チャックが書く筋書きから、ようやく二人は自由になりました!
ここまでで世界を救う戦いは決着。第20話「キャリー・オン 前へ進め」には、その後の兄弟の暮らしが続きます。
最終話の吸血鬼事件――ディーンはどうして致命傷を負った?

第20話は、兄弟が朝食を取り、洗濯や銃の手入れをする日常から始まります。銃と洗濯物が同じ朝に収まるのが、この家の通常運転なんですよね。
ディーンが楽しみにしているのはパイ祭り。サムはカスティエルとジャックを思って沈みますが、ディーンは、自分たちが生き続けなければ二人の犠牲が無駄になると話します。その後サムが兄の顔にパイを押しつけ、久しぶりにふざけ合う時間が戻る。世界を救った人へのねぎらいが、顔面にパイ。この兄弟、最後まで遠慮がないですね。
やがて、仮面をつけた犯人による子どもの誘拐事件が発生。父親は殺され、母親は舌を切られています。兄弟は父ジョンの日記にある事件との共通点から吸血鬼を疑い、一人を捕らえて子どもたちの居場所を聞き出しました。
納屋へ踏み込んだ二人は、さらわれた子どもたちを助け、吸血鬼の一団と戦います。ディーンが以前会った吸血鬼ジェニーもいますが、サムが彼女を倒す。ところが、最後の敵との格闘中、ディーンが柱へ押しつけられてしまいます。
柱から突き出た金属がディーンの背中を貫き、その傷が死因になります。敵を倒したサムは、すぐには兄の重傷に気づきません。背中の血を確かめて助けを呼ぼうとしますが、ディーンは自分のそばにいてほしいと頼みました。
神との決戦を終えた後でも、目の前の子どもを救う狩りには命の危険がある。その現実が、最終話でディーンを襲います。
ディーンが蘇生を望まず、サムに託したこと
サムは、まだ兄を救う方法があるとすがりました。けれどディーンは、蘇らせようとすると悪い結果を招くから、自分を生き返らせないでほしいと頼みます。この別れでは、兄自身が死を受け入れているんです。
そのうえでディーンが口にするのは、サムへの誇りと尊敬でした。弟をずっと見上げていたこと、自分より強いと思っていたことを打ち明けます。いつも弟を引っ張ってきた兄が、最後に明かす本音。ここは、長く二人を見てきたほど胸にきますね。
さらに、大学にいるサムを迎えに行った夜の話もします。あのときディーンは、弟に拒まれるのが怖くて、寮の外で何時間も待っていました。旅の始まりにあった兄の不安が、最後の別れで言葉になるのです。
一人で生きたくないと涙を流すサムに、ディーンは、これからも弟の心の中にいると告げます。そして、自分が逝っても大丈夫だと言ってほしいと求める。サムは涙のまま兄を送り出し、ディーンはそのそばで息を引き取りました。
サムはハンターの葬儀として、兄の遺体を火葬します。物語は、兄の願いを受け止めた弟の暮らしへ移ります。
サムのその後――息子にディーンの名をつけ、生涯を終える
兄の電話を受け取り、一人で事件へ向かう
兄の死後、サムは犬とともに隠れ家で過ごします。いつもいた人がいない部屋、返事のない朝。葬儀の大きな別れが、毎日の小さな動作にも続いているんですよね。
転機になるのは、ディーンの携帯電話にかかってきた事件の相談です。助けを求める声を受けたサムは荷物をまとめ、隠れ家を出発しました。兄を失った後も、人を救うために動き始めます。
父として暮らし、老いた自分も息子に見送られる
やがてサムは家庭を持ち、息子を育てます。息子の名前は、亡き兄と同じディーン。親子でキャッチボールをする場面もあり、サムは子どもの成長とともに年齢を重ねていきました。
それでも兄への思いは残ります。白髪が増えたサムは、保管していたインパラの覆いを外し、運転席へ。ハンドルに手を置き、兄を思って涙を流します。家族と暮らした長い年月の先にも、兄と走った車があるのです。
さらに時が過ぎ、老いたサムがベッドに横たわる最期の場面へ。成長した息子がそばに座り、もう逝っても大丈夫だと父を送り出します。兄を見送ったサムが、今度は息子に見送られる。この言葉の重なりは、静かなのに痛いですね。
サムは息子に手を重ね、息を引き取りました。ディーンの死から橋での再会までには、弟が一人の人間として生き抜いた生涯が挟まっています。
天国の結末――ボビーが迎え、最後の橋に兄弟がそろう

地上でサムが生きていく一方、天国に着いたディーンを迎えるのはボビー・シンガーです。ボビーは、ジャックが天国を作り替え、カスティエルも手伝ったと話します。
かつての天国は、人がそれぞれの思い出を繰り返す場所でした。新しい天国では仕切りが取り払われ、愛する人々と一緒に過ごせるようになっています。父ジョンと母メアリーも近くに暮らしていると、ディーンは聞きました。
ただ、ディーンにはまだサムがいない。ボビーは、天国では時間の流れが違い、弟もやがて来ると話します。それを聞いたディーンは、天国のインパラに乗ってドライブへ出かけました。
天国に着いても、やっぱり車! あのインパラがあるだけで、ディーンがディーンのままでいる感じがします。
ディーンのドライブと、地上で年を重ねるサムの姿が交互に映ります。弟の死後、ディーンは橋に車を止め、気配を感じて笑顔になる。振り返った先には、若い姿のサムがいました。
二人は抱き合い、並んで橋から景色を眺めます。最終場面は、死後の世界で兄弟が一緒にいる姿です。
考察:あの終わりをハッピーエンドと呼べる?
私は、最後の再会には救いを感じます。ただ、ディーンの早すぎる死まで晴れやかに受け止めるのは難しい。パイを食べて笑っていた二人に、もっとそんな日が続いてほしかったですよね。
第19話では兄弟が自分たちの人生を取り戻し、第20話では、その人生に別れも訪れます。ディーンは人を救う途中で死に、サムは喪失を抱えながら家族と生きる。二人の異なる生涯が、最後に同じ橋へ着く。私はそこに、この最終回の救いがあると感じました。
サムの家族と、カスティエルが手伝った天国の再建
サムは妻と家庭を築き、息子ディーンを育てました。
また、息子ディーンの腕には、悪魔の憑依を防ぐタトゥーがあります。
カスティエルについては、ボビーの言葉で天国の再建への協力が分かります。エンプティに連れ去られたカスティエルは、ジャックと共に天国の再建を手伝ったのです。名前を聞けてほっとする一方、顔を合わせるところまで観たかった、という気持ちは残りますね。
サムは息子が大人に成長したあと、老いて生涯を終えます。天国でのドライブ中に地上の長い年月が描かれますが、ボビーの説明は、二つの場所では時間の流れが違うというものです。
第18〜20話を見返すと、別れの言葉がつながる
ワーナー ブラザース公式の、ファイナル・シーズン日本語予告です。
終盤をもう一度観るなら、第18話のカスティエルの告白、第19話の兄弟がチャックを残して去る場面、第20話の二度の看取りが心に残ります。とくに最後の別れは、兄を助けたい思いと、本人の願いを受け止めることの間でサムが揺れる場面です。
第20話では、サムが兄にかけた言葉が、息子からサムへ返されます。さらに、地上でサムが触れるインパラと、天国でディーンが走らせるインパラ。二人が離れて生きる時間にも、同じ車があるんです。
日本語の各話タイトルは、第18話「消える仲間」、第19話「世界のゆくえ」、第20話「キャリー・オン 前へ進め」です。ファイナル・シーズンの公式作品ページには、エピソード一覧とブルーレイ・DVDの商品情報があります。
FAQ:スーパーナチュラルの最終回で気になること
ディーンは最後に生き返りますか?
ディーンは納屋でサムに別れを告げて命を落とし、ボビーに迎えられた天国で過ごします。
チャックを倒すのは第20話ですか?
神の力をジャックが奪うのは第19話「世界のゆくえ」。最終話では、自由になった後の兄弟に吸血鬼の事件が起こります。
サムもディーンと同じ事件で死にますか?
サムは事件を生き延び、後年に父親となります。死を迎えるのは、息子が大人に成長し、サム自身も老いた後です。
天国にいるサムも白髪の老人ですか?
橋に現れるのは若い姿のサムです。兄の呼びかけに応え、二人で抱き合います。
まとめ
神との戦いの勝利に続いて訪れるのは、吸血鬼退治の最中に兄を失う別れでした。ディーンは弟への愛と信頼を伝え、サムには生き続ける時間が残されます。
息子につけた兄の名、手放さなかったインパラ、父を送り出す息子の言葉。その一つ一つに、サムが兄を忘れずに人生を歩んだことが表れています。
そして橋の上で、ようやく兄弟が隣に並ぶ。もう少し地上でも一緒にいさせてほしかった、と私は思います。それでも、二人の笑顔で終われたことには、ほっとしました。