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ソロモンの偽証・小説のネタバレ!犯人は誰?裁判は何を暴く?

ソロモンの偽証・小説のネタバレ!犯人は誰?裁判は何を暴く?

雪の夜、公衆電話を使う少年。『ソロモンの偽証』は、あの電話の意味が分かったとき、亡くなった柏木卓也と、生き残った子たちの関係ががらりと変わる小説です。

宮部みゆきの原作は、2012年刊の『事件』『決意』『法廷』からなる全三部。結末までのネタバレがあります。

柏木卓也の死の真相は自殺で、校内裁判では大出俊次に無罪の評決が下ります。ただ、その答えに届く最後の証言が、読んでいてつらいんですよね。

柏木卓也の転落から告発状へ、学校で何が起きた?

告発状の差出人と報道機関への流出

大出を名指しした三通の手紙

1990年のクリスマス・イブ、城東第三中学校の二年生・柏木卓也が、校舎の屋上から転落して亡くなります。雪の中の遺体を見つけたのは同級生の野田健一でした。警察は自殺と判断し、捜査を終えます。

そこへ届いたのが、大出俊次らが柏木を殺すところを見た、という匿名の告発状です。宛先は津崎校長、担任の森内恵美子、クラス委員の藤野涼子の三人。同じ学校の子が同級生を殺したという話に、保護者も学校も揺さぶられました。

差出人は三宅樹理です。ニキビをからかわれ、大出たちからいじめや暴力を受けていた樹理は、柏木の死を利用して大出を学校から追い出そうとしました。殺害を見たという話は、樹理が作った嘘なんです。

彼女は友人の浅井松子を巻き込んで手紙を送ります。誰が告発したかという謎の裏には、日頃の暴力を止めてもらえなかった子の怒りがありました。

告発状の流出、松子の事故、大出家の火事

津崎校長は差出人を探り、学校の中で事態を収めようとします。一方、森内宛ての手紙は、隣人の垣内美奈絵が郵便受けから盗み、報道機関に送っていました。森内本人が手紙を受け取る前に、内容が外へ出てしまったのです。

報道をきっかけに、騒ぎは学校の外まで広がりました。その渦中で、松子が交通事故で死亡します。樹理にとって、自分の話に付き合ってくれた友人を失う出来事でした。

さらに大出家が焼ける事件が起きました。この放火には、大出の父が関わっています。森内も垣内に襲われて負傷し、生徒たちの周囲では大人の起こす事件まで続きます。

「誰かが全部を仕組んでいるのか」と疑いたくなる展開ですよね。実際には、樹理の復讐心、垣内の森内への恨み、大出の父の事情が、それぞれ事件を生んでいました。

涼子はなぜ検事に?生徒たちが校内裁判を始めるまで

校内裁判での涼子と生徒たちの役割

三年生になった涼子は、卒業制作の話し合いで、自分たちによる裁判を提案します。報道にも大人の対応にも振り回され、同級生の死について納得できないまま過ごしてきたからです。

教師の北尾らの協力を得て、学校の課外活動として実施が決まりました。涼子は当初、大出の弁護人を引き受けるつもりだったんです。そこへ他校の生徒・神原和彦が現れ、弁護を志願します。

検事役のなり手が決まらず、涼子がその役を担うことになりました。神原は柏木の小学生時代からの友人で、塾でも一緒だった少年。野田が弁護助手となり、判事役は井上康夫が務めます。

夏休みに、証人への連絡、聞き込み、法廷の準備。受験生の予定表としては、なかなか容赦がありません! それでも検察側と弁護側は、それぞれ事件前後の証言を集めていきます。

涼子には樹理の言葉を聞く役割があり、神原には大出を守る役割があります。仲のいい子の肩を持つ、嫌いな子を責める、という普段の人間関係から離れて証拠に向き合うことが、この裁判の難しさでした。

法廷でぶつかる樹理の証言と、大出のアリバイ

亡くなった柏木の姿も変わっていく

夏の体育館を法廷にして、五日間の審理が始まります。生徒、教師、家族らが証人となり、柏木の生前の言動や事件当夜の状況を語りました。

柏木の父は、息子を特別な子として見ていました。一方、兄や同級生の証言から浮かぶのは、周囲を見下し、人の死にも強い関心を向ける少年です。橋田祐太郎は、柏木が身近な人の死を知りたがっていたことを話します。

亡くなった子にも、家族の中の顔と、同級生に向ける顔がある。その食い違いが、証言を重ねるほど痛く感じられます。名前をメモするだけで忙しいのに、一人ひとりの印象まで変わるんですから、こちらの頭も休めません。

神原は大出の非行まで問いただす

非公開の法廷で、樹理は松子と一緒に殺害を目撃したと主張しました。すでに亡くなっている松子まで証言に組み込んだ話です。その内容には、それまでの供述との矛盾がありました。

一方、弁護士の今野努を通じて、事件当夜に大出を自宅で見た人物の証言が出ます。その人物は大出家の放火事件の関係者で、柏木が亡くなった夜の大出の所在を裏づけました。殺害を目撃したという樹理の話に、具体的なアリバイがぶつかります。

そこで神原は、大出が過去に行ったいじめや暴力を本人に突きつけました。「誰かにはめられた」と訴える大出に、告発されるほど人から恨まれていた日常を認めさせようとするんです。

弁護人の神原は、大出の無実を主張しながら、大出が他人を傷つけてきた事実にも向き合います。この場面で、樹理が受けてきた苦痛も法廷の人たちの前に出ました。

神原の最後の証言――クリスマスのゲームと屋上の別れ

神原が場所を巡り柏木と屋上で別れるまで

裁判の最終日、涼子が証人として尋問するのは、弁護人を務めてきた神原です! 彼は柏木が亡くなる直前まで、本人と会っていたことを明かしました。

過去の場所を巡り、柏木に電話をかけた夜

神原は幼い頃、父が母を殺し、その父も自殺するという出来事で両親を失っています。その後は養父母のもとで育ちました。柏木はその過去に関心を持ち、神原に生きる意味を繰り返し問いかけるようになります。

死にたいと話す柏木を、神原は思いとどまらせようとしていました。柏木が求めたのは、神原が両親の過去と向き合い、それでも生きていてよかったと言えるかを確かめること。それが、クリスマス・イブに行われた「ゲーム」です。

神原は両親との思い出の場所を巡り、公衆電話から柏木に報告しました。柏木家にかかった電話は、外を移動する神原からの連絡だったんです。電器店の店主が目にした、公衆電話の少年の正体もつながります。

過去をたどる時間は、神原に楽しかった頃の記憶も思い出させました。神原は自分の人生を肯定します。

生きたいという神原の答えに、柏木は反発する

その夜、神原は柏木に学校の屋上へ呼び出されます。ところが、生きていてよかったという神原の答えを、柏木は受け入れようとしません。神原の両親のことを持ち出し、さらに責めたてました。

神原は、柏木が自分を見下し、不幸な過去を持つ自分が前向きに暮らすことに腹を立てていると感じます。長く柏木を気にかけてきた彼も、そこで限界に達しました。

帰ろうとする神原に、柏木は飛び降りると告げます。神原は突き放す言葉を返し、学校を立ち去りました。神原が抱え続けたのは、あのとき柏木を止めるのをやめた、という罪悪感です。

助けようとしてきた友人との最後のやり取りが、そのまま自分を責める理由になる。ここは、読んでいて本当に苦しいところでした。神原は裁判で、その責任を自分に引き受けようとします。

野田の反対尋問と、神原をかばおうとする樹理

神原の証言のあと、弁護助手の野田が質問を始めます。反対尋問を行い、自分を責める神原の説明を、別の角度から問い直しました。

野田にも、家庭の中で追い詰められ、両親を殺そうとした過去があります。その彼が、柏木から圧力を受け続けた神原は自分を守ろうとしたのではないか、と問いかけるんです。助ける側の少年も傷ついていた、と法廷に示す質問でした。

私は、この場面で野田の存在が急に大きく感じられます。神原の指示をこなす助手から、自分の言葉で神原に向き合う友人へ。つらい家庭の経験を持つ子が、今度は目の前の子を支える場面です。

そして樹理も、神原の証言に反発します。自分こそ大出の犯行を目撃したのだと、改めて言い張りました。

樹理は、大出への尋問で自分の苦痛を認めてくれた神原を救おうとしていました。神原があの場にいたという証言を否定できれば、彼が柏木の死を自分のせいにする理由もなくなるからです。

同じ目撃話を続ける樹理の動機が、大出への復讐から、神原をかばう気持ちへ変わっています。嘘を重ねる行動の中に、初めて他人を思う気持ちが見える。この不器用さが、きれいな謝罪の言葉より胸に残りました。

評決の言葉と、2010年の春に戻ってくる野田

ノートの検討、無罪評決、野田の後日談

柏木が残したノートと陪審員の結論

評議では、柏木が書いた遺書のような小説も検討されます。自宅から見つかったノートの内容は、柏木自身が死を望んでいたことを裏づけました。神原の告白に加えて、本人の残した文章も判断につながります。

陪審員が事件を言い表すのは、柏木卓也が柏木卓也を殺したという言葉です。他人に自分を裁かせるような柏木の問いかけを、生徒たちは本人の行為として受け止めました。

この表現には、私は、神原一人に死の責任を背負わせまいとする響きを感じます。誰が何をしたかを確かめたうえで、生きている子がその後も生きられる結論にたどり着いた。その重さがある評決でした。

原作本編の最後は、国語教師になった野田

本編の後日談「二〇一〇年、春」では、野田が国語教師となり、母校の城東第三中学校に赴任します。家庭の中で居場所を失いかけた少年が、今度は学校で子どもと向き合う大人になったのです。

学校では、かつての裁判が伝説として語り継がれていました。野田は結婚し、子どももいる生活を送っています。死をめぐる出来事に深く関わった彼に、家庭と仕事のある年月が続いていた。その具体的な未来が、長い物語の最後に置かれています。

あの頃の野田を思うと、「先生になったんだ」としみじみしますね。法廷の強い言葉が続いたあとだけに、この静かな帰還がうれしく感じられました。

校内裁判は学校の課外活動。神原の刑罰も決まる?

生徒たちによる模擬裁判の言葉は、現実の刑事裁判で神原の罪が確定したという意味ではありません。この法廷は学校の許可を得た課外活動でした。

原作を読み返すなら、公衆電話の少年の表情が気になる

結末を知ってから冒頭へ戻ると、公衆電話の少年の戸惑いに目が向きます。初読では事件の手がかりとして気になる場面が、読み返すと、友人の言葉に困り果てている子の姿として迫ってくるんです。

三部作の書誌と試し読みは、新潮社の『ソロモンの偽証』特設ページにあります。分厚い本を前にすると身構えるのに、証言が始まると「あと一人だけ」と区切りを延ばしたくなる。続きが気になって、しおりを挟むのが惜しくなります。

関連映像は、松竹公式の2015年映画版予告編です。

FAQ

神原が通う学校の名前は?

私立東都大学付属中学校です。

原作の単行本と文庫は、それぞれ何冊?

単行本は三冊で完結します。文庫は各部が上下に分かれた六冊構成です。

題名の「ソロモンの偽証」は誰のこと?

題名には、裁く立場にある者自身が嘘をつく、という問いがあります。知恵や権力を持つ者、正しいことをしようとする者の嘘が重なり、学校や社会にも問いが向かう題名です。私は、樹理個人の嘘を突き止めたところから、さらに周囲の大人や法廷の子どもたちへ考えが広がると感じます。

まとめ

『ソロモンの偽証』で読後に残るのは、話を聞いてもらえたときに子どもが変わる、その瞬間でした。強気な子も、優等生も、黙っている子も、人前では言えなかった事情を持っています。

それを聞くために、生徒たちはあれだけ大がかりな法廷を作ったんですよね。途中では中学生の働きぶりに驚かされますが、読み終える頃には、この子たちが自分の言葉を持ててよかった、と感じる結末です。

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